連続増配株と高配当株 | つみたて次郎の投資日記 https://siegeljiro.com シーゲル流×積立NISA×iDECO Sun, 10 May 2020 22:23:46 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.0.9 134557597 【VYM】高配当株とバリュー株の重複について考えてみる【VTV】 https://siegeljiro.com/kouhaitou-value%e2%80%90choufuku https://siegeljiro.com/kouhaitou-value%e2%80%90choufuku#comments Tue, 19 Jun 2018 21:01:14 +0000 http://siegeljiro.com/?p=7222 つみたて次郎です。

米国株クラスタで度々話題となる高配当株戦略とバリュー株戦略ですが、この2つに対しては様々な見解があります。

全く別物だと考える人もいえれば、近い投資法であると考える人もいます。

そしてつみたて次郎は、非常に近い投資法であるという考えを持っています。

参考記事「高配当戦略は最も無難なバリュー株投資

それぞれの定義について大雑把にまとめると次の通りです。

 

高配当株戦略…配当利回りの高い株式に投資
バリュー株戦略…PBRやPER等の指標が割安な株式に投資

 

一見別物のようですが、その意味を考えていくと似ている部分が多いです。

なぜなら、高配当株はバリュー株になりやすく、バリュー株は高配当株になりやすいという性質があるからです。

配当利回りが高いということは、将来の利益成長に悲観的であったり、減配リスクが織り込まれている可能性が高く、市場からは悲観的な評価をされることが多いです。

逆に、何らかの悪材料で株価が下落した場合、配当が維持されているかぎり配当利回りは上昇していくので、割安株ほど高配当になりやすくなります。

これらを考えると、高配当株とバリュー株の中身はかなり重複していることになります。

有名な投資法である「ダウの犬」も、配当利回りに注目したバリュー株投資といえます。

しかし当然ながら、高配当株=バリュー株が必ず当てはまるわけではなく、「高配当だけどバリューではない」「バリューだけど高配当ではない」という株も存在しています。

今回はこの部分について考察するために、次のバンガードETF2種で考えてみます。

 

バンガード・米国高配当株式(VYM)
→米国大型株の配当利回り上位約50%をカバー

バンガード・米国バリュー(VTV)
→米国大型株の割安株上位約50%をカバー

 

この2つは、スマートベータETFの中でも選定基準が明確で、構成比率も一般的な時価総額加重平均であるため、全体的な傾向について調べるときのサンプルとして最適です。

高配当とバリューの関係をベン図にまとめてみました。

当然ながら、高配当株とバリュー株には重複した部分(オレンジ部分)があります。

記載している銘柄はほんの一例です。企業名一覧も載せておきます。

フィリップモリス・インターナショナル(PM)
マクドナルド(MCD)
エクソンモービル(XOM)
ベライゾン・コミュニケーション(VZ)
ユナイテッド・ヘルス(UNH)
バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)

 

各エリアごとの特徴についてまとめてみます。

 

赤い部分…高配当だがバリューではない。配当性向の高い企業や、債券と比較されるようなディフェンシブ株が多い。

黄色部分…バリューだが高配当ではない。減配した企業や、配当ではなく自社株買いで株主還元するタイプの企業が多い。上位銘柄では金融セクター企業が多い印象。

オレンジ部分…高配当かつバリュー。この3種の中では最もシェアが大きい(というか大半を占める)。長期投資先としては最優先候補だが、減配を織り込んでいる可能性も高いので要注意。

 

このように考えてみると、オレンジ部分に集中投資すれば一番理想的な気もしますが、懸念材料もあります。

例えば、シーゲル教授が調べた米国株成績上位銘柄は、市場平均に比べ配当利回りもPERも高めの企業がほとんどでした。

参考記事「生き残りS&P500黄金銘柄

ベン図で言えば赤い部分に多く含まれていたことになり、オレンジ部分だけではカバーできないことになります。

また、業績悪化して減配したようなボロ株はベン図の黄色い部分に集中していますが、投資家の期待が地の底まで落ちるのであれば最終的に良いリターンを出せる可能性もあります。

シーゲル教授は、高配当株やバリュー株の有効性を説いており、リターン補完戦略として、ポートフォリオに各10~15%ほど組み込むことを推奨しています。

参考記事「シーゲル教授の秘密のポートフォリオを斬る!

これは裏返せば、「高配当だけどバリューではない株」「バリューだけど高配当ではない株」も保有することを意味しています。

「高配当かつバリュー」でスクリーニングすることについてはシーゲル教授は具体的に明言していません。

オレンジ部分のみへの集中投資もかなり有力だと思いますが、シーゲル教授の見解とは少しずれることになります。(そもそも基本はインデックス等も含む幅広い分散投資ですからね)

ここからつみたて次郎が導き出した結論は次の通りです。

 

高配当でもバリューでもない株は保有するな

 

これならシーゲル教授の見解とぶつかりませんし、比較的丸い結論になっているのではないかと思います。

ようするに上記ベン図に含まれていない株式ということですが、少なくとも過去の実績から見れば魅力的ではないので、アンダーウェイトするのが広い意味でのシーゲル流投資になるかもしれません。

米国株においては、VYM+VTVがそれを実行するための理想的なポートフォリオであると考えており、つみたて次郎がこの2つを高く評価している理由でもあります。(この組み合わせだと、ベン図に含まれない株式には一切投資しないことになる)

とはいえ、この2つは構成銘柄がかなりかぶっており、値動きも非常に似ています。

ベン図の面積をより実態に合わせるとこんな感じです。

ほとんどオレンジ部分で埋め尽くされているイメージです(笑)

残りの赤い部分と黄色部分の影響はほぼ誤差といってもいいでしょう。

これはつみたて次郎の体感ですので、読者様もバンガード公式ホームページでそのかぶり具合を体験してみてください。

外部リンク…Vanguard(VYMの構成銘柄一覧)
外部リンク…VAnguard(VTVの構成銘柄一覧)

間違い探しをしている気分になります(笑)

バンガードETFにおいては、現状VYM≒VTVのような状態であり、正直どちらを選んでも大きな差にはならないと考えています。

しかがって幅広く分散投資をする前提であれば、高配当株投資≒バリュー株投資と考えることができ、この2つは同率に考えていきたいというのがつみたて次郎の主張です。

とはいえ、これはあくまでバンガードETFにおける高配当とバリューの重複なので、定義次第でベン図の形も重複も大きく変わってきます。

特に個別株投資であれば、赤い部分や黄色い部分の銘柄について検討する機会も増えますし、自分の保有銘柄の色が少しずつ変わっていくこともあるでしょう。

個別株かETFかによっても、高配当株とバリュー株への考え方は大きく違ってくるのかもしれませんね。

にほんブログ村 株ブログ 米国株へにほんブログ村 株ブログ つみたてNISAへにほんブログ村 株ブログ 投資信託へ
ブログ村ランキング

高配当バリュー次郎

]]>
https://siegeljiro.com/kouhaitou-value%e2%80%90choufuku/feed 2 7222
連続増配株式が高リターンというデータはない https://siegeljiro.com/renzokuzouhai-return https://siegeljiro.com/renzokuzouhai-return#respond Fri, 01 Jun 2018 21:01:48 +0000 http://siegeljiro.com/?p=7123 つみたて次郎です。

米国株クラスタでは、シーゲル流投資を参考にしている人が多く、応用として連続増配企業を中心に投資している人が多いです。

過去のリターンが良かった通称「シーゲル銘柄」の中には、連続増配銘柄が多く含まれていました。

参考記事「生き残りS&P500黄金銘柄

しかし、シーゲル教授の著書であり日本で有名な「株式投資の未来」及び「株式投資第4版」では、具体的に連続増配とリターンについてのデータは載っていません。(最新版である「Stocks for the Long Run 5」は未読なのでもし載っていれば教えてください)

シーゲル教授は、配当金の重要性を一貫して主張しており、特に「株式投資の未来(以下:赤本)」では顕著です。

配当金を支払い続ける企業に投資するべきということで、連続増配や減配に関する記載も多数あります。

そして具体的な投資戦略として、過去15年間の減配歴がない銘柄を選んでいく「S&Pコア10種」「ダウコア10種」というものが紹介されています。

参考記事「S&P10種とS&Pコア10種ついて考えてみる

先に読んでいただくと分かりやすいかと思います。厳密には連続増配ではありませんが、意味合いとしてはほぼ同様です。

 

赤本では、高配当やバリューなどに属した銘柄群のリターンが優れていたというデータが載っています。

参考記事「高配当戦略の有効性
参考記事「低PER戦略の有効性
参考記事「低PBR戦略の有効性

しかし、連続増配に関連するのは上記のS&Pコア10種やダウコア10種くらいしかなく、成績も飛びぬけてよいとはいえません。

しかも、単純な連続増配ではなく高配当との複合戦略なので、本当に連続増配のおかげだったのかも懐疑的です。

例えばですが、連続増配年数ごとのリターンみたいなデータがあれば、より説得力も増したのではないかと思います。(連続増配年数10年以上の銘柄はリターンが良いとか)

成績上位銘柄が多いことと、連続増配銘柄が高リターンであるかどうかは直接結びつきません。

もしかしたら、連続増配銘柄の多くが冴えないリターンで、たまたま上位だけ目立っていただけという危険性もありますからね。

ここでシーゲル本からいったん離れて、連続増配銘柄のリターンに関するデータを考えていきます。

連続増配銘柄を集めた指数として有名なものに、S&P500配当貴族指数というものがあります。

参考記事「米国配当貴族指数とは?

略して「配当貴族」と呼ばれることもありますね。この配当貴族は、過去S&P500よりも良いリターンをもたらしてきました。

出典「indexology Biog

赤い線が配当貴族です。2000年前後のITバブル、2008年前後のリーマンショックで特に差を広げているのが分かります。

配当貴族は、S&P500採用銘柄かつ連続増配歴が25年以上の銘柄から約50種を選び均等額で保有するというルールがあります。

この事実をもってすれば、連続増配銘柄=高リターンという図式が成り立ちそうですが、いくつか問題点があります。

 

①連続増配25年以上という縛り

連続増配25年以上で絞っても、米国ならば100社近い銘柄が該当します。配当貴族は50銘柄強しか採用しないので、非採用銘柄のリターンについては未知数です。

 

②等金額という構成比率

配当貴族指数は、時価総額ではなく全銘柄に同額ずつ分散を行います。均等分散というのは、S&P500全体でもよいリターンをもたらしており、リバランスを通じて逆張りが行われるのが大きな理由の1つです。

相対的に時価総額が小さい企業へ資金が多く振り分けられるので、小型株効果につながりやすいというメリットもあります。

 

そしてこれらの裏を返せば、意図的な銘柄選定+等金額ウェイトによって超過リターンを得ることができていただけかもしれないという可能性を生み出してしまいます。

配当貴族指数が高リターンだった事実が間違いないとしても、それは直ちに連続増配年数が長いほど高リターンになるという証明にはならないということです。

その他の連続増配に関する内容としては、「バンガード・米国増配株式(VIG)」というETFがあります。

連続増配10年以上の約180銘柄を時価総額加重平均で保有するという内容になっており、配当貴族よりもより包括的です。

こちらであれば、単純に連続増配年数とリターンの関係を証明することができそうですが、こちらもこちらで問題があります。

 

①セクターの偏りが大きい

エネルギーセクターに属するエクソンモービル(XOM)シェブロン(CVX)は連続増配派からの人気が高いですが、VIGでは今現在エネルギーセクター企業が一切含まれていません。

これは、連続増配年数だけでなく、配当性向などの増配余力を考慮した結果であると推測できます。

裏を返せば、連続増配年数以外の銘柄選定があるということであり、増配年数とリターンの相関性を調べるのには不適切だといえます。

 

②設定が比較的新しい

VIGが設定されたのは2006年4月なので、長期データを検証できるほどの歴史がないというどうしようもない問題が発生します。

 

結局のところ、配当貴族もVIGも連続増配のみを基準として構成されているわけではありません。

したがって、仮に配当貴族やVIGの成績が今後良かったとしても、連続増配株=高リターンという結論を出すことはできないということになります。

つみたて次郎は元々、連続増配株に興味を持っていましたが、最近では高配当株やバリュー株について考えることが多くなりました。

その大きな理由の1つが、今回まとめた記事で説明している内容となります。

連続増配という概念は、高配当・低PERなどと違い、明確なバックテスト結果がありません。

バックテストはあくまで過去の結果に過ぎませんが、それを頼りに投資先を決めるのであれば、より確実でシンプルな根拠であるほどよいです。

その意味で、リターンときれいに相関性のあった高配当株や低PER株というのは、幅広く分散することでバックテストをなぞるポートフォリオを構築可能ですし、再現性も高いです。

そしてつみたて次郎がバンガード・米国高配当株式(VYM)をやたら押す理由もそれです。

配当利回りというリターンとはっきり相関性のあった指標を頼りにしており、VIGと比べ銘柄数が多く銘柄選定基準が非常に緩いです。

まさに、高配当戦略というバックテストをそのままなぞるようなスマートベータETFであり、後はその傾向が今後も続くことを祈るのみです。

しかし連続増配戦略の場合、根拠と環境という2要素がどちらも欠けている状況であるといえます。

 

タイトルにもあるように、「連続増配株式が高リターンというデータはない」というのは非常に大きな問題点です。

さらに厳しく言えば、連続増配年数というステータスは投資先を考えるうえであまり重要ではない可能性があるということになります。

もしかしたら、連続増配年数とリターンは逆相関していたなんていう驚愕の事実が発覚するかもしれません。

最強のシーゲル銘柄であるフィリップモリス・インターナショナル(PM)も、減配はしませんでしたが増配できなかったこともありましたし、リーマンショックではファイザー(PFE)メルク(MRK)のような優良ヘルスケア企業も減配しています。

連続増配年数で機械的にスクリーニングを行っていた場合、これらの優良銘柄を切り捨てていたことになります。

「減配したら即売り」という言葉をたまに聞きますが、むしろシーゲル流投資とは真逆の投資行動になってしまう危険性がありそうです。

連続増配年数は、あくまで投資判断の補助として考えるのがよいのかもしれません。

 

ここまで言っておいてアレですが、連続増配株そのものは優良な投資先だと思っています。

矛盾しているかもしれませんが、連続増配年数という縛りが、他の要素にも影響してくるからです。

連続増配銘柄は、当然ながら創業から時間が流れており、超急成長企業はほとんど含まれていません。これにより、極端な割高銘柄を避けることができます。

また、連続増配できるということは企業のキャッシュフローが健全であり、株主還元意識もしっかりしている可能性が高いです。配当金に回すための資金が半永久的に必要なので、設備投資も強制的に制限されます。

少ない設備投資で安定的に利益を稼ぎ続ける企業は、良い投資先になる可能性が高いです。

話がややこしくなりましたが、連続増配銘柄の特徴は間接的に高リターンになる要素をカバーしているのではないかという推測です。

なので個人的には、連続増配株を中心にポートフォリオを組んだり、配当貴族やVIGに投資するのも十分有力だと考えています。

実際、つみたて次郎の投資先の半分弱は米国配当貴族指数に連動する投資信託ですからね(笑)

配当貴族が悪いわけではないが、よりよい投資先を考えた結果、楽天VYMにたどり着いたという流れですね(まだほとんど投資できてないけど)

連続増配株=正義のような風潮がありますが、直接的に有効性を証明するデータはないという事実は重く受け止めていく必要がありそうですね。

にほんブログ村 株ブログ 米国株へにほんブログ村 株ブログ つみたてNISAへにほんブログ村 株ブログ 投資信託へ
ブログ村ランキング

連続増配企業

]]>
https://siegeljiro.com/renzokuzouhai-return/feed 0 7123
高配当株の是非を考えるために必要な4つの要素 https://siegeljiro.com/kouhaitoukabu-4youso https://siegeljiro.com/kouhaitoukabu-4youso#respond Mon, 30 Apr 2018 21:01:13 +0000 http://siegeljiro.com/?p=6856 つみたて次郎です。

米国の長期金利上昇を受け、高配当株の調子があまり良くありません。

そのため、高配当株の配当金再投資戦略について否定的な声が多く上がってきました。元々批判していた人だけでなく、実行していたけど他戦略に乗り換えた人もいます。

つみたて次郎は当然ながら高配当株を肯定する派です。(ほぼ実践していないのはお察しください)

とはいえ、確実な投資法などは存在しませんから、賛否両論の声があるというのはとても健全なことです。逆に一方的にたたえられる戦略など、投資するに値しません。

しかし、肯定派にも否定派にも、要領を得ていないような発言が多くみられているように感じましたので、今回は高配当株について考察する際に当然必要な要素を4つに分けて紹介してみます。

 

①配当金は資産の取り崩し

これは株に限らず債券でもそうですが、配当金というのは空から降ってくるものではありません。

企業の場合、配当金の原資となるのは株主資本です。つまり、株主→株主という流れでお金が動いているにすぎず、配当金そのものが利益になるわけではありません。

企業が得た利益は、配当金だけでなく、自社株買いや企業買収などにも活用できます。

したがって配当金を出すために何かしらの犠牲を払ったということに過ぎず、配当金はあくまでリターンに中立な存在です。

 

②配当金は税制上不利

日本では、株式の値上がり益と配当両方に課税されます。

しかし、値上がり益は売却するまで繰り延べできるのに対し、配当金は問答無用で課税されてしまうため、課税繰り延べ効果がありません。

また、日本国内での課税は値上がり益と配当金どちらも20%ですが、配当金の場合はさらに外国で課税されます。米国の場合は10%です。

参考記事「配当課税の恐怖と高配当戦略

したがって再投資する前提なら、配当利回りが高いほど税制上不利になります。

③高配当株は過去長期で高リターン

米国の場合ですが、高配当株は長期でよいリターンをもたらしています。

1957~2006年においては、S&P500のトータルリターンは11.13%だったのに対し、配当利回り上位20%だけに投資した場合は14.22%でした。

参考記事「高配当戦略の有効性

配当利回りが高い株式は、総じて成熟企業が多く、相対的に割安なことが多いです。

様々な考察は可能ですが、事実として過去長期において高配当株の再投資は有効な戦略でした。

ちなみに過去10年では、FANG含む無配当株及び低配当株のほうがリターンが良かったです。

 

④配当金と自社株買いは違う

これまで株主還元といえば配当金の事を指すことが多かったですが、近年では自社株買いによる株主還元が盛んになっています。

株主資本を使って流通している株式を買うだけですので、保有者にとっては株主→株主という流れでお金が動いているだけであり、配当金再投資と同等の効果をもたらします。

それどころか、配当金と違い課税を発生させないので、税制上有利というオマケがつきます。

理論上だけで言えば、自社株買いは配当金の上位ともいえる存在です。

しかし現実として、同じ働きをしないということを指摘したのがシーゲル教授です。

配当金は、企業の財政が健全であることの証拠であり、減配は大きなイベントとして投資家に受け止められます。しかし自社株買いは、他の使用用途が見つかれば中断されてしまい、結果として無駄に使われてしまう危険性があります。

また、配当金は実際に現金を配る必要があるため、誤魔化すことができません。

配当金による株主還元は、自社株買いに比べ信頼性が高いということになります。

 

まとめ

4要素を簡潔にまとめてみます。

 

配当金は資産の取り崩し
→配当利回りはリターンに直接影響しない

配当金は税制上不利
→課税の繰り延べ効果が弱くなる

高配当株は過去長期で高リターン
→少なくとも過去では有効だった

配当金と自社株買いは違う
→配当金が優先されることが多い

 

どれも当たり前の事なのですが、この4要素を無視して議論している方が多いように思います。

高配当再投資戦略を肯定するのであれば、税制上不利であっても超過リターンを今後も得られるという視点を持って語るべきです。

高配当再投資戦略を否定するのであれば、なぜ過去において有効だった戦略が直近では通用せず、今後も不調が続くのかという視点を持って語るべきです。

過去の実績は未来を証明するものではありませんが、各投資家は何かしらの根拠を過去に探しているはずです。

肯定派も否定派も、有意義で建設的な議論を交わしてほしいものです。

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

]]>
https://siegeljiro.com/kouhaitoukabu-4youso/feed 0 6856
高配当株の課税デメリットはリバランスで軽減される https://siegeljiro.com/kouhaitoukabu-demerit https://siegeljiro.com/kouhaitoukabu-demerit#respond Tue, 01 May 2018 21:01:31 +0000 http://siegeljiro.com/?p=6866 つみたて次郎です。

配当利回りが高い高配当な株式は、配当金が出るたびに課税されてしまうので、税の繰り延べ効果が弱く将来のリターンを押し下げます。

参考記事「配当課税の恐怖と高配当戦略

配当金再投資と聞けば聞こえはいいですが、その実態は「少しずつ売ってすぐ買い戻す」を繰り返しているに等しく、手数料や税金がもったいない手法でもあります。

配当金は、「一部を売却して利確している」とほぼ同義です。

高配当株に対する批判として、最も多い主張かと思われます。

しかし、自動的に利確されるという特徴を踏まえると、このデメリットが軽減されるパターンがあります。

それは、「売却を伴う調整が必要な場合」です。

リバランスによる売却でもいいし、ダウの犬ような銘柄入れ替えで必要な場合でもいいです。

例えば、配当利回りが万年5%の株と無配当の株があったとします。

配当以外の条件が全く一緒ならば、長期的に見て年間5%ずつキャピタルゲインに差が出ると考えられます。

当たり前ですが無配当株はキャピタルゲインの割合が大きくなりますので、その分売却する際の金額は大きくなります。

無配当株は税制上有利ですが、売却するのであればそのメリットを享受できません。

特に投資額が大きい場合、新規投資だけで適切な調整をすることが難しくなっていきますので、課税を覚悟で売却しなければならないケースも頻繁にあると思われます。

さらに具体的に例をあげてみます。

とあるところに、配当利回り5%の商品Aと現金を50%ずつ保有する人と、無配当の商品Bと現金50%を保有する人がいます。

商品Aと商品Bのリターンが同じだとして、とある年度に20%のトータルリターンが出たとします。

リバランスをするためには、それぞれ10%ずつ利益確定をする必要があります。

商品Aを持っている人は、既に利益の5%が配当として吐き出されていますので、株式を5%分売れば大丈夫です。

しかし商品Bを持っている人は、配当が一切出ていませんので、株式を10%分売らなければなりません。

上記の例では、商品Bの無配当であるというメリットが消えてしまっています。

厳密には配当には外国税額控除があったり、売買手数料などの兼ね合いもありますから不利には変わりませんが、配当金が不利である原因の大部分は相殺されていることになります。

まとめれば、「配当利回りを超える売却が必要ならば、配当課税のデメリットは大きく軽減される」ということです。

高配当株はバイアンドホールドが基本ですので違和感がある方もいるかと思いますが、このメリットを活用していると思われる米国株ブロガーの方がいます。

最近本を出版されたバフェット太郎氏のポートフォリオ「バフェット太郎10種」は、米国の大型優良株10種を均等に保有し、新規積立のみで調整を行うというスタイルです。

一見売却をしていないので関係ないように思えますが、もし配当金が出ていなければ、均等に保有することが難しくなっているかもしれません。

時価総額ではなく同じ比率で保有するという戦略は、逆張りになるので理論上高リターンになりやすいはずですが、厳密に実行する場合は売却を伴うので税制上不利です。

しかし、配当が出る株式であれば自動的に一部利確されていますので、それを用いて比率を調整する分には不利ではありません。

もし10種が全て無配当株であれば、比率が乖離していきやすくなりますので、新規積立だけでは間に合わなくなってしまうかもしれません。

均等保有を前提とするならば、高配当株と無配当株の差は縮まります。配当課税を犠牲にする代わりに、構成比率を一定に保ちやすくなります。

結局のところ、「一部が勝手に利確されてしまう」という性質をうまく活用することで弱点をカバーすることができるということです。

しかし、あくまで高配当株の弱点が小さくなるだけであり、根本的な問題解決になるということではありません。

また、そもそも比率調整しない高配当ETFなどの場合はあまり関係ありません(泣)

いくら理屈をこねても、配当金や売買がリターンを押し下げること自体は間違いありませんので、そのデメリットをカバーできるメリットを見出すことができるかどうかがカギですね。

あらゆる投資戦略は、メリットとデメリットを十分考慮して行うべきです。

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

]]>
https://siegeljiro.com/kouhaitoukabu-demerit/feed 0 6866
連続増配株は順張り・高配当株は逆張り https://siegeljiro.com/zouhai-kouhaitou https://siegeljiro.com/zouhai-kouhaitou#respond Sat, 29 Dec 2018 21:01:25 +0000 http://siegeljiro.com/?p=6564 つみたて次郎です。

米国株クラスタでかつて最大勢力を誇っていた「連続増配高配当株派」ですが、最近では勢いがありません。

多くはジェレミー・シーゲル著「株式投資の未来」に影響を受けた方が多く、安定した配当金が見込めるディフェンシブ株でポートフォリオを固めている方がほとんどです。

配当金再投資を行うため、配当利回りが高い高配当株、そしてその配当を安定して増やすことができる連続増配株を重視した投資家といえます。

結果的に、連続増配かつ高配当な株式が人気となっています。

具体的には、フィリップモリス・インターナショナル(PM)AT&T(T)などですね。

一見類似語のように思える連続増配と高配当ですが、その意味を考えていくと正反対の性質を持っています。

 

連続増配株の特徴

まず、連続増配というのは、文字通り配当金を毎年増配している企業のことを指します。

配当金の原資となるのは、当然ですが企業が生み出した純利益です。EPS(1株当たり利益)が順調に伸びていなければ、毎年増配していくことも難しいです。

ただし連続増配企業の中には、利益がほとんど出ていなくても無理してタコ足配当していたり、借金して配当原資を捻出している怪しい企業もあるので注意が必要です。

それを踏まえても、連続増配企業を全体で眺めてみれば、過去様々な危機を乗り越えてきた強い企業が多いです。

連続増配企業への投資は、「過去の実績があるから、今後も優良企業であり続けるだろう」という順張り的な投資戦略になります。

一般的に連続増配企業=退屈なバリュー株なんてイメージがありますが、過去の成長性から将来の成長を見込むという点ではグロース株投資と共通している側面もあります。

 

 

高配当株の特徴

その一方、高配当は株価に対して配当金が多い企業を指します。

連続増配企業に比べその内訳が多彩で、配当性向が高い優良ディフェンシブ株から、赤字続きで減配リスクが織り込まれたボロ景気敏感株まで様々です。

共通点は、何らかの悪材料や低成長を理由に株価が抑えられている企業が多いということです。

高配当株はバリュー株に近い性質を持っており、逆張りに近い投資戦略になります。

その一方、配当原資を用意できず大幅減配した企業は切り捨てるので、ほんの少し順張り的な要素もあるのが特徴であり、高配当株の大きなメリットだと思います。

参考記事「高配当戦略は最も無難なバリュー株投資

 

つみたて次郎はもともと、連続増配株に注目していましたが、バリュエーションが一切考慮されないという弱点があるため、今では高配当株の方に興味が移っているところです。

連続増配株は、そのほとんどが優良企業になります(優良企業=優良株ではないことに注意)

なので指標上は決して割安水準ではなかったり、配当利回りが1%が切るような低配当株も含まれています。

バフェット氏は、誰もが知っている優良企業に投資することを推奨していますが、その一方で皆から嫌われ続ける良く分からないボロ株も、それに負けないくらいのリターンを叩き出すのはよくある話です。

参考記事…バフェット「そこそこの企業を割安で買うより、素晴らしい企業をそこそこの値段で買ったほうがいい」

これらを考えた結果、傾向として人気企業が集まりやすい連続増配株よりも、人気も不人気も包括されている高配当株のほうがよりスクリーニングとして優れているのではないかと思うようになりました。

つみたて次郎がHDVよりもVYMを好む大きな理由の1つです。

 

連続増配と高配当まとめ

まとめると、連続増配株は順張り、高配当株はやや逆張りという性質を持っていることになります。

この両方を兼ね備える連続増配高配当株は、一定水準の優良企業から割安な株を抽出するということになるので、スクリーニング手段としては有力ではないかと思っています。

連続増配高配当株に注目して投資をしたいのであれば、iシェアーズ・コア米国高配当株(HDV)が選択肢の1つとなります。

配当金に関する指標でも、それぞれ大きく違う特徴を持っているので要注意です。

それらを踏まえて、自分の投資戦略にあったものを選んでいきたいですね。

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村
高配当次郎

]]>
https://siegeljiro.com/zouhai-kouhaitou/feed 0 6564
VTIとVYMの配当利回りの差から考える、高配当戦略で犠牲になるリターンは年間○% https://siegeljiro.com/vti-vym-gisei https://siegeljiro.com/vti-vym-gisei#comments Sat, 12 May 2018 21:01:49 +0000 http://siegeljiro.com/?p=6969 つみたて次郎です。

米国株クラスタで賛否両論の嵐が巻き起こっている高配当戦略ですが、つみたて次郎はご存知の通り肯定の立場を取っています。

参考記事「高配当戦略の有効性

しかし、直近では成績が振るわないため、人気が下がっているように感じます。

そんな高配当株への投資については、致命的な弱点が存在しています。

根本的に配当金とは、利益の一部確定と同義であり、配当金を受け取る時点で課税されてしまいます。

長期投資では、税金の支払いを遅らせることで繰り延べ効果を活かすことが重要ですので、配当金再投資を前提とする場合は非常に不利になります。

高配当株に対する批判として最も強いものといっても過言ではなく、投資する時点でハンデを背負っている状態です。

参考記事「配当課税の恐怖と高配当戦略

そして今回は、高配当株に投資することでどれだけのコストが犠牲になっているかを計算してみたいと思います。

次のETF2つで検証してみたいと思います。

 

市場平均代表…バンガード・トータル・ストック・マーケット(VTI)
高配当株代表…バンガード・米国高配当株式(VYM)

 

VTIは、米国市場の株式をほぼ100%カバーする海外ETFです。VYMは、米国市場のうち配当利回りが平均より高い銘柄で構成されています。

配当利回りは現在、VTIが約1.7%、VYMが約2.9%となっています。

そしてその差は1.2%ですので、その分課税上の不利が発生する形となります。

米国の課税前長期リターンは約6.7%でしたので、これらを前提として計算してみます。

 

シミュレーション条件

・どちらも実質リターンは年間6.7%とする。
・VTIのキャピタルゲインは年間5%、インカムゲインは年間1.7%とする。
・VYMのキャピタルゲインは年間3.8%、インカムゲインは年間2.9%とする。
・値上がり益に対する課税は20.315%とする。
・配当金に対する課税は28.2835%とする。
(米国課税10%×国内課税20.315%として計算)

 

それぞれ実質リターンが同じだとして、配当利回りから値上がり益を逆算しています。配当金に対する課税は、外国税額控除が一切使用できないケースとします。

 

一括投資した場合の年数ごとのトータルリターンは次の通りです。

投資期間が1年~30年の場合で計算してみました。

VTIだと約5.3倍に増えましたが、VYMの場合は約4.9倍にとどまっています。

税の繰り延べ効果は期間が長くなるほど効果を発揮しますので、投資期間が長いほど高配当株は不利になります。

 

 

投資期間ごとの年間トータルリターンを表にまとめてみます。

投資期間\投資先 VTI(市場平均) VYM(高配当株) リターンの差
1年 5.22% 5.10% 0.12%
10年 5.42% 5.26% 0.16%
20年 5.59% 5.39% 0.20%
30年 5.71% 5.48% 0.23%

 

どちらの場合も、投資期間が長くなるほどキャピタルゲイン税の繰り延べ効果により年間当たりのリターンは改善します。

また、期間が長くなるほど配当利回りの差が重くのしかかり、トータルリターンにも差が出ています。

上記シミュレーションで30年間一括投資した場合は、VYMが年間で0.23%リターンを毀損していることになります。

この差が、VYMで高配当戦略を実践するうえで犠牲になるコストといえます。

逆に言えば、年間で0.23%を超えるリターンを叩き出せると思うのであれば、VYMに投資するべきだということになります。

しかし、長期投資においてはコストは非常に重要で、海外ETFの場合は0.01%単位で信託報酬が評価される現状では、0.2%前後の負担は決して軽くはありません。

ただし上記シミュレーションは、いくつかの条件を無視しているので、あくまで机上の空論であるという点にはご了承ください。

そもそもリターンがVTI=VYMになるという仮定に意味などないかもしれません。

参考に、前提条件で高配当戦略が有利になる点と不利になる点をまとめておきます。

 

高配当戦略にとって有利な条件
・インフレを考慮していない。
・配当利回りは現在歴史的に低い(=差が出にくい)

高配当戦略にとって不利な条件
・外国税額控除を考慮していない。
・自社株買いの流行で配当利回りが今後下がる可能性がある

 

 

ここまで読んで、課税によるデメリットについてどのように考えたでしょうか?

課税の影響はやはりデカいなと考える人もいれば、思ったより差が開いていないと思う人もいるかと思います。

ジェレミー・シーゲル教授の分析によれば、配当利回りとリターンは比例するというデータがあります。

S&P500配当利回りで分けたグループごとのトータルリターン(1957~2006年)

リターン
最高 14.22%
13.11%
中間 10.55%
9.79%
最低 9.69%
S&P500 11.13%

参考文献「株式投資第4版」

配当利回りが高いグループほど成績が良く、最高グループは年間で3%以上アウトパフォームしています。

上記データの詳細については不明ですが、VYMの場合は最高~中間くらいをカバーしていると推測できます。

すごい大雑把に計算すれば、最高・高・中間のリターンを平均すると年間12.62%です。

市場平均であるS&P500に対して約1.5%も超過リターンを得ていますから、もし上記データが始まる1957年にVYMという商品が既にあり、日本から投資できていたのであればS&P500に圧勝しているはずです。

もちろん今後もこの傾向が続くかどうかはまた別問題ですが、少なくとも上記期間においては課税を考慮しても高配当戦略は十分有効だったと推測することができます。

結局のところ、高配当戦略を肯定するにしても否定するにしても、税制上の不利というのはあくまで一要素でしかないという考えで臨んでいくことが重要ですね。

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村
楽天VYM次郎

]]>
https://siegeljiro.com/vti-vym-gisei/feed 4 6969
ファンド・オブ・ETF×高配当戦略=最強 https://siegeljiro.com/etf-kouhaitou https://siegeljiro.com/etf-kouhaitou#respond Sat, 02 Dec 2017 21:01:41 +0000 http://siegeljiro.com/?p=4898 シーゲル二郎です。

海外ETFを投資対象とする「ファンド・オブ・ETF」と「スマートベータ戦略」の相性の良さを前回説明しました。

参考記事「ファンド・オブ・ETF×スマートベータ=最強

ちなみにどうでもいいことですが、今までずっと「ファンド・オブ・ファンズ」を「ファン・オブ・ファンズ」と勘違いしていました。(恥ずかしい)

ここから本題ですが、海外ETFを事実上の投資先として運用するシリーズには、「楽天・バンガード・ファンド」や「EXE-i」シリーズなどがあります。

これらは現物株を集めて運用することなく、全て海外ETFで代用して行うため、ポートフォリオ維持管理に伴うコストを大幅に削減することが可能です。

直接海外ETFを買えば早いのですが、ドルへの両替が必要だったり、金額指定の積立投資が不可であったりと、利便性に問題があるため、シーゲル二郎のような貧乏人では手を出せません。

海外ETFをわずかな信託報酬と引き換えに投資できることを考えれば、なかなか悪くありません。

さらにリターンに直結するメリットして、配当金の課税を繰り延べできるという点があります。

 

この特徴を考えると、配当利回りが高いETFであるほどメリットが大きくなります。

高配当戦略は、配当利回りが高い銘柄を中心にポートフォリオを組みます。必然的に、配当金の金額は大きくなるため、キャピタルゲインは少なめ、インカムゲインは多めになります。

配当金は受け取る時点で課税されてしまうので、税の繰り延べができません。トータルリターンのうちインカムゲインの割合が多くなる高配当戦略は、税制上不利という最大の弱点があります。

現在、米国で10%、日本で20%の配当課税が発生するため、配当金の30%近く引かれてしまいます。

米国で課税される分は確定申告で一部取り戻すことが可能ですが、それでも大きなロスです。

S&P500の利回りを2%、バンガード・米国高配当(VYM)の利回りを3%とすると、それぞれ最大で0.6%と0.9%のリターンを失うことになります。

ETFの場合、配当金は必ず発生するので、その都度課税されてしまいます。

投資信託の場合、無分配型であれば、米国で10%で引かれた後の配当金を日本で課税される前に再投資できるので、税の繰り延べを最大限に行うことができます。

これはETFに対して投資信託が持っている唯一のリターン向上メリットであり、ETFでは絶対にマネすることができない部分です。

海外ETFを投資信託でパッケージ化してしまうことで、配当課税の影響を抑えることができます。そして、配当利回りが高くなればなるほど、このメリットは大きくなります。

例えばですが、iシェアーズ米国優先株(PFF)というETFは配当利回りが5%を超えています。海外ETFでそのまま持っていれば、30%引かれた3.5%しか再投資することができません。

もし楽天PFFが設定されたとした場合、配当課税は米国の10%のみなので4.5%を再投資することができます。

その差は1%もあり、信託報酬を考慮しても十分元が取れる計算です。

したがって、高配当ETFを投資信託化することは、リターンの向上においても非常に有利に働くということになります。

もちろん投資信託の場合、信託報酬は多少増えるし、指数と下方乖離するトラッキングエラーという別問題が発生してきます。

それを踏まえても、「高配当戦略」×「ファンド・オブ・ETF」というのは、投資信託の長所を最大限に発揮し、理論上は海外ETF現物よりも有利になることすらある夢のような組み合わせなのです。

したがって、シーゲル二郎が欲しがっている「楽天VYM」は、高配当戦略の弱点をカバーした最強商品になる可能性を秘めているのです。(机上の理論だけどね)

参考記事「バンガード・米国高配当株式(VYM)分析

楽天より、「楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド」の新規設定が発表されました。夢がかなって嬉しいです。

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村
楽天様どうかお願いします

]]>
https://siegeljiro.com/etf-kouhaitou/feed 0 4898
増配×高配当の組み合わせは危険 https://siegeljiro.com/zouhaixkouhaitou https://siegeljiro.com/zouhaixkouhaitou#respond Sat, 25 Nov 2017 21:01:59 +0000 http://siegeljiro.com/?p=4790 シーゲル二郎です。

米国株ブログ界では、配当貴族株や高配当株についての議論が活発のようなので、シーゲル二郎も未熟ながら持論を展開していきたいと思います。既に2つの考察を記事にしています。

第一弾「配当貴族は黄金銘柄を引き当てるギャンブル
第二弾「高配当戦略は最も無難なバリュー株投資

第三弾は、「増配×高配当」について考えていきます。

長期投資においては、配当が利益の源泉とされており、配当金再投資が非常に重要です。また、全ての金融資産は将来得られるキャッシュフローをもとに値段がついていることを考えると、値上がり益すら配当金が大きな決め手になっています。

そのため、単純に配当金を毎年増やしてきた連続増配企業や、既に配当利回りが高い企業に投資することで、受け取る配当金を最大化しようというのが、日本の米国株投資家で流行っている戦略という訳です。

増配×高配当は、1つのマジックワードとして広く浸透しています。

シーゲル二郎も比較的信頼しているマジックワードですが、懸念がないわけではありません。

まず、増配企業は、比較的安定した企業でなければ達成できません。先日ゼネラルエレクトリックが減配を発表したように、景気敏感株には不利な条件です。

また、安定している企業で高配当を探すと、必然的に配当性向が高い老舗企業にぶつかります。

コカ・コーラマクドナルドベライゾンエクソンモービルなどです。

上記のような高配当バリュー株の中に、末来の黄金銘柄は存在していないというのがシーゲル二郎の持論です。

黄金銘柄(コーポレートエルラルド)とは、シーゲル教授が著書「株式投資の未来」で記した、米国株におけるリターン上位20銘柄のことです。

参考記事「生き残りS&P500の黄金銘柄

これらの企業群には、連続増配企業が多いという共通点がありました。ただし、配当利回りは市場平均よりやや高い程度、そして市場平均より大幅な利益成長を達成していました。

ですが、上記のような老舗企業に、今後市場平均を大幅に超えるような利益成長を望むのはほぼ不可能です。

高リターンの条件は、「低い期待×高い成長」ですが、そのうち片方が既に達成不可能なので、かつてのフィリップモリスのようなリターンは不可能でしょう。

増配×高配当でスクリーニングするのであれば、黄金をあきらめて銀や銅を拾い集めることになります。

末来の黄金銘柄を探すなら、高配当連続増配企業ではなく、配当利回りはそこそこで利益成長が見込める企業に投資するべきだと思います。

米国配当貴族指数に採用されている50銘柄の中には、低配当利回りの成長企業も多く含まれているので、50銘柄の中に未来の黄金銘柄が隠れている可能性は高いと思います。

もちろん全てが黄金になれるわけではないので、ガラクタが多すぎた場合は市場平均をアンダーパフォームすることでしょう。

また、高配当戦略は、配当金に注目したバリュー戦略でもあり、本当に配当金再投資の力で市場平均をアウトパフォームしたのかという疑問もあります。

むしろ、高配当戦略自体は下落に強い戦略ではないので、シーゲル教授の前提と少し違う気がします。

参考記事「配当金は下落相場のプロテクター?

もし配当利回りをバリエーションを図るための道具として考えるなら、さらに連続増配やセクターでスクリーニングするのは少し違うような気がします。

 

まとめると、次の通りです。

 

連続増配・・・黄金銘柄の最低条件

高配当・・・割安度チェックの指標

 

連続増配戦略と高配当戦略は、それぞれ求めるものが全く違っています。連続増配に注目するなら、利益成長率や配当余力を個別にチェックするべきだし、高配当に注目するなら機械的に抽出するべきだと思います。(ダウの犬とか)

増配と高配当を同時に満たす銘柄ばかり集めるのは、結果中途半端な銘柄の山を築くことになってしまうかもしれません。

 

また、定性的な話で恐縮ですが、「増配×高配当」って、誰がどう考えても安心できる最強の響きだと思うんです。

インターネットの世界は「弱者こそ最強である」という言葉もありますが、株式投資においても弱者は最強なんです。

増配×高配当という最強の株が、最弱に転落する可能性を否定できません。人気が高まり、割高になっているというオチも想像できてしまいます。

そしてなにより、リタイアした世代の「リターンは低くてもいいから配当金だけ欲しい」というニーズにピッタリ当てはまっているという点が非常に心配です。

配当暮らしの人は株価が割高でリターンが減っても別にかまいませんから、株価が割高で推移してしまうというシナリオも想像できてしまいます。

増配・高配当・生活必需品・ヘルスケア、これらのキーワードが世間で意識されている以上、市場平均を超えるかどうかは未知数です。

 

結論…インデックスが一番無難、最強の戦略は存在しない

 

ですが、シーゲル二郎は現在のところ嫌々インデックス投資をしている身なので、早く高配当戦略を非課税口座で運用できる商品を設定してほしいところです。(現行NISAはNG)

楽天さん、早く楽天VYMを設定して、iDECO対象に指定してください。

速攻でSBI証券から楽天証券に移管して、泣きながら宣伝させてもらいますから。

頼んだよ。

※楽天VYMが販売されることが決定しました。分析記事ご覧ください。

楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド 分析

にほんブログ村 株ブログ 米国株へにほんブログ村
楽天VYM欲しい(2回目)

]]>
https://siegeljiro.com/zouhaixkouhaitou/feed 0 4790
バリュー株投資として考える高配当戦略 https://siegeljiro.com/kouhaitoukabu-bunan https://siegeljiro.com/kouhaitoukabu-bunan#respond Sat, 29 Dec 2018 21:01:30 +0000 http://siegeljiro.com/?p=4770 つみたて次郎です。

今回は、リターン補完戦略としての高配当戦略について考察していきたいと思います。

ジェレミー・シーゲル教授いわく「株式リターンの97%は配当金」といわれていますが、これは数字のマジックがあります。

参考記事「3%キャピタルゲインの嘘

また、配当金は下落相場のプロテクターとなり、下落ショックを支える効果もあると説明がありますが、あくまで減配しない銘柄に限ります。

参考記事「配当金は下落相場のプロテクター?

昔と違い、自社株買いという株主還元方法も盛んになってきたので、配当利回りだけに注目することは危険であり、警告するブロガーが多く見受けられます。

ですが、高配当戦略は、消去法で最も無難なバリュー戦略ともいえます。

シーゲル教授が提唱するリターン補完戦略で属性の近いものは、次の3つがあります。

 

低PER戦略…利益に対して割安な株
低PBR戦略…株主資本に対して割安な株
高配当戦略…配当金に対して割安な株

 

いずれも市場平均を大きく上回るリターンを叩き出しており、割安に放置された株を拾うことができた戦略です。

ですが、それぞれ弱点が存在します。

 

低PER戦略…景気敏感株の場合、利益変動によってPERも大きく変わる。利益が落ち込んだ時にPERが上がることにより、割高な株を買い、割安な株を売ってしまう危険性がある。

低PBR戦略…知的財産や研究開発費が重要になっている現在では、そもそもPBRで割安度を測ることが難しい。結果、設備投資が多いだけのガラクタ企業が多く紛れ込む。

高配当戦略…配当金のみで判断するため、自社株買いに積極的な割安株を外すことになりがち。

 

いずれも一長一短ですが、個人的には高配当戦略の弱点が一番マシに見えます。

また、自社株買いは配当金に比べて金額が安定しないため、比較的変動が少ない配当金を中心に考えるのは理にかなっています。

そして何より、シーゲル教授の理論を最も現実的に実践できるのが高配当戦略だと思っています。

 

①人気のある割高株は配当利回りが低いので除外できる
②倒産しそうな本当にヤバイ企業も除外できる

 

リターンを引き下げる可能性の高いこれらの株を機械的に除外できるという意味では、高配当戦略は優れたスクリーニング手段であると考えています。

また、この戦略を実行する場合、「バンガード・米国高配当(VYM)」が最適です。

似たようなETFに「iシェアーズ・コア米国高配当株(HDV)」がありますが、こちらはセクター戦略や連続増配戦略なども複合的に混ざっているので、高配当以外の属性が絡んできます。

VYMの場合、シンプルに配当利回りが市場平均を超える銘柄を機械的に選定しており、セクター比率も市場平均にかなり似ています。

銘柄数も400超えており、米国株全体でダウの犬戦略を行うようなイメージでしょうか。

少なくとも、「市場平均を超えるための高配当戦略」と「配当暮らしの人の高配当戦略」は全く別物なので、そこを区別して考えることが大切なのは言うまでもありません。

もちろんここまでして、高配当株が市場平均を超えるかどうかは分かりませんが、スクリーニングのプロセスを見る限りでは有力なバリュー株投資になるのではないかと思います。

にほんブログ村 株ブログ 米国株へにほんブログ村
楽天VYM次郎

]]>
https://siegeljiro.com/kouhaitoukabu-bunan/feed 0 4770
連続増配は株主利益を損ねる https://siegeljiro.com/renzokuzouhai-son https://siegeljiro.com/renzokuzouhai-son#respond Sat, 29 Dec 2018 22:01:23 +0000 http://siegeljiro.com/?p=1478 つみたて次郎です。

米国株クラスタの一大勢力として「連続増配株派」が存在しています。

長期的に継続して配当金を増やしている企業は、過去の不況やトラブルを乗り越えてきた実績のある企業であるといえます。

また、米国市場における長期リターンが高かった株の多くは増配を続けてきた企業となっています。

参考記事…生き残りS&P500の黄金銘柄

単に利益成長が高い企業だったから連続増配できていただけという見解もできますが、高リターンな株の多くが連続増配株だったということは押さえておきたいところです。

また、配当ではなく自社株買いによる株主還元も米国では主流になりつつあります。

米国では、配当金+自社株買いが純利益を上回る(=総還元性向100%超え)ことも珍しくありません。

 

連続増配が最適解とは限らない

連続増配企業は実際に受け取れる配当金が(現地通貨換算で)だんだん増えていくので、配当目当ての投資家にとっては頼もしい存在です。

しかし企業の最適な資本政策という意味では、必ずしも連続増配することが常に正しいとは限りません。

極端な例として、常に還元性100%を目指す企業があったとします。(利益は全て配当or自社株買いで還元する)

利益を全て配当金として吐き出すのが一番わかりやすいですが、この場合は年度ごとの純利益で配当金が上下してしまうので、連続増配を達成するのは事実上不可能になってします。

なので連続増配企業になるためには、利益の変動幅を考慮しつつ無理のない額を配当金として出し、残りは自社株買いに当てる必要があります。

ある年に臨時的な利益が出たとしても、(連続増配を達成したいなら)むやみに増配はできないということになります。

そして今回の場合は総還元性向100%が前提ですので、配当をしない=自社株買いをするということになります。

自社株買いが株主還元と有効になる大前提は、自社の株価が割高でないことです。

割高な株価で自社株買いをされてしまうと、買い戻せる株数が少なくなってしまうので株主にとっては不利です。

そして今回のケースでは、利益が急増した場合自社株買いに充てることになりますが、そのような好調な時期であれば株価が上昇し、結果的に割高になっている可能性が考えられます。

株主にとってはあまり歓迎できませんが、自社株買いをすれば発行株式数が減るのは事実なので次の増配は楽になり「経営陣にとっては」悪くありません。

連続増配をただ達成するだけであれば、控えめな配当額+積極的な自社株買いが分かりやすいですね。

逆に言えば、株価が適正~割安の場合は、税金の繰り延べができる分配当金より自社株買いのほうが有利です。

つまり、経営悪化等で株価が割安になっている局面では全額自社株買いが理想です。

しかし経営が悪化しているような局面では利益も減少している可能性が高いので、連続増配を守るために配当金を出してしまったら自社株買いのための原資は減ってしまいますし、最悪自社株買い自体ができなくなります。

 

結果、どちらのケースでも株主利益を損ねることになります。

簡単にまとめるとこんな感じです。

 

経営好調…株価が割高だから全額配当したいけど、配当額増やしすぎると次の年辛いからほどほどにして残りは自社株買いしよう。

経営悪化…株価が割安だから全額自社株買いしたいけど、連続増配達成したいから配当金はちゃんと出して自社株買い控えよう。

 

もし総還元性向100%を維持しつつ株主利益を最大化したいのであれば、本来は次の行動が正しいはずです。

 

経営好調…株価割高だから利益は全額配当するよ。次の年減配してもカンベン

経営悪化…株価割安だから利益は全額自社株買いするよ。配当なくてゴメンネ

 

しかしこれを実行するとどう頑張っても連続増配はできません。つまり、連続増配を意識した企業は配当金の出し渋りをしたり、不都合な自社株買いをせざるをえない場合があるということです。

 

 

直接的な株主還元以外について

現実には配当金or自社株買いではなく、内部留保や企業内投資という選択肢もあります。

しかしいずれの場合も、連続増配という肩書を守るために配当金を維持し続けようとすることで、かえって株主利益を損なう可能性を秘めていることには変わりありません。

配当金として還元するよりも素晴らしい資本政策があったとしても、減配すれば配当目当ての株主からの評価は下がりますし、連続増配歴〇年という肩書も捨てることになります。

逆に連続増配にこだわらず、大きなチャンス(買収案件とか)があったときに即減配という判断ができるような企業こそ、真の優良企業といえるかもしれません。

 

現実的な取捨選択

しかし、現時点で連続増配以外に企業の株主還元を評価できる方法はありません。仮に上記のような正しい行動をする企業があったとしても、次の年も正しく実行するかどうかを判断するのは不可能です。

また、配当金は増配歴にかかわるので約束が守られやすいですが、自社株買いは企業の意向次第で中止される可能性も高いです。

そもそも経営陣が正しく利益を再投資するのは難しいので、積極的に株主還元する企業が高リターンだったともいえますからね。

参考記事…資本を食う豚

また、配当金暮らしの人にとっては、配当金額が急に増えたり減ったりするのは不都合なので、いきなりそんな戦略を取ったらひどいクレームがくるでしょう(笑)

結果、最善ではないけど配当と自社株買いのバランスを取って連続増配できる企業が浮かび上がってくるのではないかと思います。

にほんブログ村 株ブログ 米国株へにほんブログ村 株ブログ つみたてNISAへにほんブログ村 株ブログ 投資信託へ
ブログ村ランキング

簡易つみたて次郎

]]>
https://siegeljiro.com/renzokuzouhai-son/feed 0 1478