AT&T(T)分析
シーゲル二郎です。
今回は、AT&T(T)を分析していきます。
米国の総合通信事業者2強の1つです。読み方はそのまま「エーティーアンドティー」です。
連続増配…38年
S&P格付…A
採用インデックス
・米国配当貴族指数
・S&P500
総合通信事業者で、携帯電話回線や、インターネット回線の提供をしています。日本でいうNTTやドコモみたいな会社です。
米国シェアは第2位で、1位のベライゾン・コミュニケーション(VZ)の2社で大きなシェアを握っています。
出典「ITmediamobile」
3位のスプリント社は、孫正義氏率いるソフトバンクが買収したことで世界的なニュースになりました。買収し、事業を立て直そうと奮闘しています。
逆に言えば、現在は、ベライゾン・コミュニケーションとAT&Tの2社が強いということでもあり、2社で6割以上のシェアを誇っています。
日本では、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3強ですが、契約数があまり頻繁に動くものではないため、今後も米国2強体制はしばらく続くと思われます。
通信事業が含まれる通信セクター企業は、は電話から始まり、固定回線、LTEなどの移動通信網と、大きな技術革新が進んできました。そのため、昔は今の情報技術セクターのような華やかな扱いでしたが、今では技術的な進化も限定的になり、契約者の伸びも頭打ちです。
生活の一部となっていて、公共性が高く、電気ガスなどの公共セクターとよくひとくくりにされがちな地味な存在です。
そのため、従来の通信回線だけではなく、コンテンツを配信する側になろうと事業拡大を進めています。。ドコモのDビデオとか、アマゾンプライムみたいなノリですね。多数の契約者がいる強みを生かしていく戦略です。
エンターテインメント部門が3割を占めており、利益成長に大きく貢献しています。
2015年に買収したディレクTVが好調です。2016年には、タイムワーナー社の買収を発表しており、トランプ大統領の反対もありますがうまく調整中です。
案の定米国内でほとんどを占めます。契約者の増加はあまり期待できません。
2015年のディレクTV買収により、売上は伸びています。それを除けば、売り上げは化石のようで、自分自身の成長はほぼないといえます。また、通信事業ということで安定したビジネスモデルのはずですが、意外にも利益はばらついています。
キャッシュフローは一定で美しいです。基地局などの整備のため、投資CFが多いのは仕方がありません。契約者の数だけ定期的に使用料が入ってくるので、営業CFの安定感は抜群です。
普通の会社であればそこそこのグラフだといえますが、世界最大級のインフラ会社と考えるといまいちです。利益のばらつきは大きく、配当性向の高さが目立ちます。利益のほとんどを配当金として吐き出しているため、自社株買いもできず、EPSは伸び悩んでいます。
本業が停滞しているので、いかにエンターテインメント事業への参入がうまくいくかがカギです。
自己資本比率は30%で、事業内容を考えれば十分でしょう。直近のROEは10%と低いです。日本同様、他社との値段競争により圧迫されているのでしょうか。
現時点情報(2017/8/31)
株価…37.67ドル
PER…17.7倍
配当利回り…5.20%
連続増配…33年
インフラ企業ですがリーマンショックではしっかりへこんでいます。その後右肩上がりではありますが、非常に緩やかです。配当利回りがその証拠です。直近では5.2%もあり、典型的な高配当バリュー銘柄です。配当性向もほぼ100%近く、利益のほとんどを配当に回しているため、株価が急上昇することはあまりないでしょう。
シーゲル派としては、意見が分かれるところかと思います。
肯定派…投資家に期待が低い高配当バリュー銘柄のため、配当金再投資で大きなリターンが得られる。
否定派…市場平均を下回り続けた通信セクターである。また、同じく市場平均を下回り続けた公共セクターに、ビジネスモデルも業績も似ている。自社株買いも少なく、今後の増配余力に疑問がある。
シーゲル二郎はどちらかといえば否定派です。また、明確な脅威があります。
「格安SIM」です。日本でも、認知度は上がっています。シーゲル二郎もDMMモバイルのSIMをファーウェイのスマホにさして使っています(泣)
格安SIMとは、大手通信事業者の回線を別の業者が借りて、大手より安い値段で販売するものです。特徴としては、料金が非常に安い代わりに、店舗によるサポートなどがない場合が多いです。必要最低限でいいから安くしてほしいという消費者の心をつかんでいます。
米国でもAT&Tの回線を使った格安SIMが販売されているようです。幸いシェアには表れていませんが、今後値下げ競争に巻き込まれる可能性は高いでしょう。
日本の大手3社もぼったくりすぎだし
今後の成長性はネットTVなどのエンターテインメント事業にかかっているといっても過言ではありません。また、この分野はアマゾンプライム、ネットフリックス、Huluなどと競合する分野になります。消費者の娯楽に使う時間は有限なので、文字通り時間の奪い合いになるでしょう。そのため、買収戦略もシビアだと思います。
株主還元は十分ですが、事業の成長性に不安があるため、評価が難しいです。減配するまでは保有しててもいいですが、減配するなら早めにギブアップしてください。