3%キャピタルゲインの嘘

シーゲル二郎です。

最近、米国株ブロガー界が盛り上がっていて、シーゲル二郎もうれしい限りです。

ですが、最近特に気になっている部分があります。ゼネラルエレクトリック太郎氏以外の多くの人は、Googleアドセンスというクリック型広告を掲載している人が多いです。当ブログでも利用しています。

Googleアドセンスは規約が厳しく、ちょっとしたことで利用停止(一生禁止)になってしまうことで有名です。特に〇ネタ関連は特に厳しいようですが、多くの人がアドセンス掲載のページで〇ネタを連発しているので、少し心配してしまいます。

さて、ここからが本題です。我らが先生、ジェレミー・シーゲル氏は、著書「株式投資の未来」で次のような記述をしています。

1871年から2003年にかけて、インフレ調整ベースで、株式の累積リターンの97%は、配当再投資が生み出してきた。値上がり益が生み出した部分は3%に過ぎない。

これを読んだ時、驚きと疑いという感情が同時に生まれました。文章通りに解釈するなら、値上がり益(キャピタルゲイン)は、利益全体の3%しか貢献しなかったということになります。

5%ドラえもんならぬ3%キャピタルゲインということですね。

この期間の122年間において、配当金再投資した場合のインフレ調整後リターンは約7%、再投資なしの場合は約4.5%になっていました。当期間における平均配当利回りは、7-4.5=2.5%だったことになります。

この時点で、利益の貢献度がキャピタルゲイン>インカムゲインになっていることは明らかで、シーゲル先生の話は盛られていることが分かります。


出典「株式投資の未来」

1871年に米国株式市場に投資した場合、配当金再投資ありの場合は1,000ドルが7,947,930ドルまで増えましたが、配当金再投資なし(=キャピタルゲインのみ)の場合はたった243,386ドルです。

この2つの数字を割ると、243,386÷7,947,930≒約3%になります。つまり、配当金再投資した場合の3%の利益しか得ることができなかったことになります。

この事実から、キャピタルゲインが生み出したリターンは3%に過ぎないという結論になっています。

 

ですが、これは明らかに数字のマジックなので、シーゲル二郎は抵抗するで?拳で。

シーゲル氏が作成した上記のグラフは、トータルリターンVSキャピタルゲインのみのグラフです。そのため、シーゲル二郎がトータルリターンVSインカムゲインのみのグラフを作成しました。

インフレ調整後トータルリターン(年率7%)と、現実的にはあり得ませんが実質キャピタルゲインが全くなしで、配当金再投資のみ(年率2.5%)だった場合のグラフです。

とんでもない設定ですが、株価がインフレ程度にしか上昇しなかった世界を想像してください。

2つを比較すると、122年間でとてつもない大きな差がついています。

これで計算するのであれば、26,035÷7,562,383≒約0.34%となります。

このグラフをもとにすれば、配当金再投資が生み出した利益は全体の0.34%しかないことになります。

シーゲル氏が導いた、「利益のうちキャピタルゲインが生み出した部分は3%に過ぎない」という内容と、シーゲル二郎が導いた「利益のうちインカムゲインが生み出した部分は0.34%に過ぎない」というのは、どちらも筋が通っています。

両方間違ってはいないけど、決して正しいともいえないと思います。複利で計算しているので、ほんの少しの差が大きな差になっているだけで、キャピタルゲインもインカムゲインもどちらも大事です。

ジェレミー・シーゲル氏が提唱する「リターンの大部分は配当金である」という結論は、このグラフからでは読み取れません。

これまでの歴史で米国株式が生み出した年平均7%のうち、配当金再投資が生み出したのは2.5%に過ぎず、半分以上は値上がり益が生み出したことには間違いありません。

そのため、「リターンのほとんどは配当金だから、配当金に注目することが大事」ということは上記のグラフから読み取るべきではないということです。

「3%キャピタルゲイン」を文字通り信じてはいけません。

ですが、別の角度から見れば、「リターンの大部分は配当金である」という理論は正しいものになります。

全ての金融資産は、生み出す将来のキャッシュフローによって価値が決まります。株式の場合は、将来の配当金を計算した上で値段がつけられます。

株価が上昇するのも、将来の配当金上昇を予想しているからに過ぎません。

株式を金のなる木、配当金を木の実だと考えるとわかりやすいかもしれません。

木の実(=配当金)がだんだん増えていくなら、金のなる木本体(=株式)の価値も上がります。

木の実がつかない無配当株式も、最終的には配当金を出すステージに進みます。アマゾン(AMZN)の株価がべらぼうに高いのも、将来の木の実(=配当金)をみんな楽しみにしているから株価が上昇しているにすぎません。

つまり、キャピタルゲイン=配当金への期待と言い換えることができます。

現実的には疑問ですが、金融理論的には、キャピタルゲインも配当金が生み出しているものと考えることができます。

この考えをもとにすれば、「リターンの大部分は配当金」という理論はかなり正しいといえます。

キャピタルゲインよりインカムゲインが重要ということではなく、「どちらも元をたどると配当金が左右する」ということですね。

以前書いた記事で詳しく説明しているので、よろしければご覧ください。

参考記事「金のなる木

参考記事「金のならない木

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キャピタルゲインもインカムゲインも似たようなもの

 

 

 

3%キャピタルゲインの嘘” に対して1件のコメントがあります。

  1. 匿名 より:

    普通にインフレ調整後でありましてですね…

  2. つみたて次郎 より:

    もちろんインフレを考慮すれば数字に違いは出るかと思いますが、実質リターンが7%で配当利回りが2.5%なら、キャピタルゲインのほうが貢献度が大きいのは明らかではないでしょうか?

  3. 算数 より:

    頭悪いなー
    ちゃんと計算しなさいよ
    トータルで

  4. 小学生 より:

    もう比較がめちゃくちゃ。
    右肩上がりに配当を再投資していたらこうなっていたという話ですよ。
    122年間変わらない元本1000ドルを配当再投資した金額比較しても
    意味無いでしょ。ベースは右肩上がりなんですから。
    分かります? 北海道の医者も同じようなこと言ってますね。
    大丈夫か?

  5. つみたて次郎 より:

    コメントありがとうございます。

    グラフだと横ばいですが、インフレ率と同等の株価上昇&増配を計算していますので、条件は同じではないでしょうか?
    計算方法としておかしいのは私も理解していますが、元データであるシーゲル教授の計算も同じようなものではないかと思います。

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