アマゾン・ドットコム(AMZN)分析
シーゲル二郎です。
今回は、アマゾン・ドットコム(AMZN)を分析していきます。
いわずと知れたネット通販会社です。
連続増配…0年
S&P格付…AA-
採用インデックス
・S&P100
・S&P500
皆さんのイメージ通り、急成長を遂げている新興企業です。ネット通販の「アマゾン」は説明不要ですね。シンプルで分かりやすいレイアウトで、買い物がしやすいですね。楽天と違って
店舗の運営費がかかる小売業に比べて、圧倒的な安さを実現できるので、多くの小売業が瀕死状態です。
最近では、米トイザらスが破綻しましたが、原因の半分くらいはコイツのせいです。
また、アマゾンプライム(年会費3,900円)に加入すると、配達の時間が短くできる「お急ぎ便」を無料で利用できたり、数多くの映画や音楽を定額で楽しむことができます。
月額に直すと300円ちょいなので、これで見放題は安いですよね。
同じく定額見放題で急成長中のネットフリックス(NFLX)や、Huluなどとも競合しています。
ネット通販+娯楽サービスということで、セクターは一般消費財セクターに分類されています。マクドナルドと同じですね(笑)
ざっくりとした事業別内訳です。海外展開も積極的ですが、多くは北米になっています。
ですが、そんなことはどうでもいいです。申し訳程度に存在している「AWS」が重要なのです。
AWSは、「アマゾン・ウェブ・サービス」のことです。Eコマースの運営に関するクラウドサービスです。
簡単に言うと、「ネット販売をするときのITシステム」です。アマゾンはネット通販の先がけでもあるので、基本的なシステムも自社で開発していました。
アマゾンが開発したAWSは、汎用的に使いやすいシステムだったので、他の企業にとっても需要がありました。
現在クラウドに関する事業は、多くのIT企業がひしめく激戦区ですが、このEコマース関連のシステムでは、ASWが圧倒的に強い状況です。
どのくらいかというと、アマゾンの事業のうち10%にみたないASWが、アマゾン全体の利益の半分を稼いでいるくらいです。
そのため、アマゾンは、「ネット通販+娯楽サービス+ASW」の企業といえます。
むしろ、ASWが中心で他はオマケでやっているといっても過言ではないでしょう。
アマゾンは一般消費財セクターに分類されていますが、半分以上は情報技術セクターに足を踏み入れています。
かつてのウォルマートが一般消費財→生活必需品に以降したように、アマゾンもいつ移行してもおかしくありません。
ASWも含めた売上です。あくまで売上高ごとなので、ASWはかなり少なく計上されているはずです。
米国は個人消費が多いので、ネット通販部門の売上が膨れ上がっている可能性があります。実質的には、このグラフ以上に海外展開が進んでいると思います。
アマゾンは1994年に創業したばかりとはいえ、売上の伸びがおかしいです。超グロース株ですね。利益もほとんど出ておらず、全て次の設備投資に回されてしまいます。
現在の新興企業では、利益をほぼ残さず再投資するという、シーゲル派が卒倒してしまいそうな戦略が流行していますが、アマゾンはその先駆けといえます。
利益を意図的に出さない企業を分析するには、やはりキャッシュフローが重要です。利益はほぼありませんが営業CFは順調に成長しているので、事業安定性には問題ないことが分かります。
設備投資が安定しないのはお約束ですね。
アマゾンCEOであるジェフ・ベゾス氏は、「利益よりもフリーCFを重視する」という方針を打ち出しており、投資家としては安心できます。
無配当企業で、利益を重視するタイミングではないので、まったく無意味なグラフです。
自己資本比率は20%で低めですが、営業CFそのものは莫大なので、会社が傾く可能性は低いです。
ROEは増加傾向にありますが、利益を安定させる気がないので、あまり参考になりません。
現時情報(2017/9/29)
株価…956.40ドル
予想PER…245.43倍
配当利回り…0%
連続増配…0年
PERがとんでもないですが、利益を意図的に低くしているだけなので問題ありません。(それを差し引いても割高だけど)
参考になっているピンクの線は、最強指数ともいわれるS&P500です。いかにアマゾンが大成功した企業であるかが分かりますね。
ですが、このリターンは、最初から投資していた人が得られたリターンなので、これから投資する人はどうなるか分かりませんよ。
どんなに企業分析に自信があったとしても、シーゲル派を名乗る以上は投資してはいけない企業の筆頭です。
アマゾンがこれからも成長し続け、ネット通販、娯楽サービス、クラウドサービスで覇権を握るのは間違いありません。
ですが、投資家が得る利益も素晴らしいものになるかはわかりません。
アマゾンの株価は現在956ドルですが、この価格が本当に正しいかが分からない以上、長期投資で保有するべきではありません。
2016年には、米高級スーパーのホールフーズを買収しており、今後の事業はより複雑になっていくと思われます。その中で、正しいアマゾンの成長性を計算し、株価を評価できる人がどれだけいるのでしょうか?
長期投資で重要なのは、永続する企業を、どれだけ適正な値段で買えるかにかかっています。
適正な価格とは、企業の生み出すキャッシュフロー(≒配当金)によって決まるので、アマゾンのような無配当グロース株は、適正な価格を割り出すことが非常に難しいです。
もしかしたらアマゾンの適正な株価は500ドルかもしれないし、2,000ドルかもしれません。世界中の投資家が、現在は956ドルが正しいと思っているに過ぎません。
多くの投資家が正しい株価を見破れるならば、ITバブルは起きていません。
もちろんこれからアマゾンに投資をした人が市場平均を超えるリターンを生み出す可能性もかなり高いと思います。
仮設市場効率性を信じている純粋なインデックス投資家であれば、時価総額に応じた基準でアマゾンも保有するべきです。
シーゲル派投資家は、将来の配当金が予想できず、成長の罠にかかりそうなアマゾンは避けるべきです。
アマゾンの個別株投資するのは、一攫千金を狙う短期投資家だけで十分です。