高配当戦略の有効性
シーゲル二郎です。
経済学者であるベンジャミン・グラハム氏ととデビッド・ドット氏は、1940年代に次のような論文を発表しました。
1ドルの利益は配当として支払われるほうが、余剰金に回されるよりも株主にとって値打ちがあるという株式市場の常識は、経験に裏打ちされている。普通株を購入する投資家は通常、十分な収益力と十分な配当金を要求する。 出典「証券分析」
シーゲル派の皆さんであれば、当然理解している内容ですが、これって世の中の常識を考えるととても不思議な現象です。
企業が利益を得た場合、配当や自社株買いとして株主還元するか、企業が新たな資金として活用するかのどちらかになります。
もし配当金として1ドル受け取れば、賢明な長期投資家であればすぐに再投資をします。これは、特別な知識がなくてもパソコンが使えれば誰でもできる作業です。
その一方、1ドルの資金を商売で2ドル3ドルにすることは素人ではなかなか難しいです。だからこそ、株式を利用して自分よりもはるかに優秀な経営者たちにお金を託しています。
上場企業の経営者らは、成果が出なければクビになります。(日本は除く)
アメリカでは従業員すらもバッサリ切られるので、経営者なんかはコロコロ入れ替わります。その代わり、成果が出れば何十億というアメリカンドリームを手に入れることができます。
そのため、配当金としてお金をもらうよりも、そのお金を企業内で増やしてくれたほうがリターンが高い考えるのが自然です。
ですが、実際は全くの反対でした。
S&P500配当利回りで分けたグループごとのトータルリターン(1957~2006年)
リターン | |
最高 | 14.22% |
高 | 13.11% |
中間 | 10.55% |
低 | 9.79% |
最低 | 9.69% |
S&P500 | 11.13% |
参考文献「株式投資第4版」
S&P500の長期リターンでは、配当利回りとリターンはきれいに比例しています。配当金を出さず、経営者が必死に利益を上げようとするよりも、現金でもらって再投資していたほうがはるかに良かったという結果になっています。
このデータから分かるのは、配当利回りが高い銘柄は、市場平均を超える可能性が高いという事実です。
そのため、現在では配当利回りが高い銘柄を集めたスマートベータETFが人気になっており、その代表格には「バンガード・米国高配当株式(VYM)」がいます。
このETFは、米国市場のうち配当利回りが平均を超えている銘柄を多数集めていて、今後も上記の傾向が続くなら、市場平均を超える可能性が高いです。
NYダウ銘柄のうち、毎年配当利回りが高い10銘柄を選んで投資する「ダウの犬」戦略も有名で、こちらも継続的に市場平均を超えてきています。
個別株投資家でも、配当利回りが高い銘柄に集中投資している人が多くいます。
ですが、あくまで上記のデータを信用して投資をするなら、ETF等を用いて幅広く分散投資をしなければなりません。
「よく高学歴は仕事ができない」などといったふざけたことを言う人がいますが、それはたまたま会社に来た東大卒がポンコツだっただけで、高学歴の多くは仕事でもバリバリ活躍しています。
高学歴は仕事ができる人が多いが、ポンコツも紛れているのは当たり前のことです。
したがって、上記のデータに感心して投資をするのであれば、ETF等を用いて幅広い高配当銘柄に投資をしなければならないということです。
個別株投資では、純粋な高配当戦略を実行することはできません。
個別株投資をしている人は、「高配当だから」という理由だけで投資をしてはならず、他の根拠も併せて必要になるということになります。
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シーゲル二郎は高卒(泣)