貧乏人も「卵は1つのかごに盛るな」
シーゲル二郎です。
投資の格言に、「卵は一つのかごに盛るな」というものがあります。
1つのかごに卵を盛ってしまうと、何かの拍子にかごを落としてしまったときにすべて割れてしまいます。ですが、複数のかごに分けておけば、1つ落としてしまっても他のかごに入っている卵は無事という考えです。
投資以外に、日常でも非常に大事な考えです。例えば、シーゲル二郎は旅行に出かけるときは、普段使っているメイン財布をズボンのポケットに入れて、カバンの中にサブの財布を入れています。
こうしておけば、万が一財布を落としたり盗まれても、もう一つの財布でなんとかその場をしのげます。
これは、財布という名の卵を2つのかごに盛った例です。
投資においても、複数の分散が有効です。何を分散させるかというと、主に次の3つです。
①投資する地域(米国、日本、新興国など)
②投資する資産(株式、債券、REITなど)
③投資する時間(積み立て投資など)
③の時間分散については賛否両論ありますが、おおむねこの3つが分散するべきものだと一般的には言われています。
これらを究極に行うと、国際分業インデックス積立投資になります。複数に分散することで、どれかが不調であっても、他の部分でカバーできるという考えです。
ですが、最近では経済のグローバル化が進み、①地域ごとの分散によるメリットは年々減っています。
②についても、長期投資では株式への投資が最適解なので、広く分散することはあまり好まれません。
参考記事「投資期間とリターン」
③については、積み立て投資などで実践できるドルコスト平均法は、気休めにしかなりません。
参考記事「一括投資かドルコスト平均法化という愚問」
投資の世界においては、上記のルールを守って分散投資をしていても、決して卵を守り切れるとは限りません。
なぜなら、投資の世界では「全てのかごを落としてしまった」ということが日常茶飯事だからです。
2008年に起きたリーマンショックでは、あらゆる銘柄が暴落しました。もちろんその程度はありますが、しっかり分散投資していた人はしっかり資産を減らしてしまいました。
分散投資は、下落相場で自分だけが助かる魔法ではないのです。そもそも分散していけばいくほど、市場平均に近付いていくので、市場平均が下がれば評価額が下がるのは当然です。
分散投資は下落に強いという誤解がありますが、それは市場平均が下落に強いといっているようなものです。市場平均が下落に強いなら、いったい何が下落に弱いのでしょうか?
もし本当に下落を恐れているなら、市場よりもベータが低い生活必需品セクターや公共セクターに集中投資するしかありません。
これは、分散するかごの数を減らすことを意味するので、格言の趣旨とは反対になります。
分散投資の意味するところは、「儲けも損も平準化される」ことであり、巷でいわれているようなリスク軽減になるわけではありません。
裏を返せば、分散投資が決して「儲かりにくい」という意味でもありません。ETFや投資信託を用いず個別株投資をすれば、確かに大きなリターンを得ることができる可能性もあります。
ですが、個人で投資できる銘柄数はたかが知れているので、個別株特有のリスクを背負うことになります。理論的には20~40銘柄ほど選べば特有のリスクはほぼなくせるようですが、選んだ銘柄には偏りが出るはずで、投資家の数だけ抱えるリスクの量も質も違ってくるはずです。
決まり文句ですが、個別株でリスクを背負ってもリターンが向上するわけではありません。
低ボラティリティ効果などを考えれば、むしろリスクが高いとリターンが減るという結果もあります。グロース株の長期成績は、市場平均に対してリスクが高いのにリターンは低いという散々な結果でした。
事前に儲かる銘柄が分かるのであれば、集中投資は合理的です。ですが、分からないから愚直に分散投資を続けるしかないのです。
我々は金融のプロではありません。過去の実績を考えれば、取るべきリスクは「市場暴落リスク」だけで十分なはずです。
「資産額が少ないうちはリスクを取ってリターンを狙いに行くべき」という意見もあります。確かに長期投資は雪だるまのように資産を増やしていく方法なので、最初の雪だるまが大きいほど有利です。
しかし、これは投資を始めて間もないころに市場平均を超えようとすることを意味しており、結果的には多くの人が雪だるまを小さくしてから再スタートすることになります。
最初は集中投資でその次は分散投資というのは、かなり都合のいい未来を描いていることになります。むしろ投資経験年数を考えれば、分散投資からの集中投資のほうがまだマシな結果になるでしょう。
若いうちに投資で資金を大きく増やすには、、大きく抜き出た知識と度胸と運が必要になるでしょう。
リターンを考えずに投資していいのは、既に資産をたくさん持っている金持ちだけです。シーゲル二郎がもし億万長者なら、資本主義が崩壊しても大丈夫なように半分くらい純金にします(笑)
これは極端ですが、お金持ちであれば、リターンを気にせず分散できます。政府崩壊を予想してビットコインを買うもの悪くないでしょう。
ですが、シーゲル二郎のような貧乏人は、リターンを考えていかなければなりません。これは、リスクを積極的に取るべきとういう意味ではなく、より確実なリターンを狙いに行く必要があるという意味です。
そもそも資本主義の永続的な繁栄を信じて株式だけに投資している時点で、十分すぎるリスクを背負っているつもりです。
投資期間が長くとれるのに債券やREITにばかり投資しているのは論外ですが、「集中投資vs分散投資」の中身が「個別株集中投資vsETF分散投資」なのであれば、後者を推奨したいです。
金持ちは、「資産を守るための分散投資」、貧乏人は「資産を増やすための分散投資」をするべきで、資産額によらず「卵は一つのかごに盛るな」の格言そのものは大事だと思っています。
にほんブログ村
卵は安くて栄養満点な貧乏人の救世主
もしもが怖いなら、金(IAU)と株式(VT)でいいのでは?
おっしゃる通りですが、シーゲル二郎はまだ資産を増やしていかなければならない段階なので、保守的な選択肢を取るわけにはいきません。
純金は資産保全には最適でも、資産形成には向いていないことは歴史的にも明らかです。
参考記事「純金はポートフォリオに必要ない!」
http://siegeljiro.com/gold-no
分散か集中か? 投資する人にとったら一番悩ましい問題がこれですよね(笑)
私もシーゲル二郎さんの考え方に比較的近くて、アセットアロケーションはいろんな商品を比較検討
して上でシンプルにするのがいいと思っています。
一つの考え方ですが、仮に米国株インデックス1本に集中投資したとしても 預貯金100%で生活を
している人に比べたら比較にならないほどの分散投資になりますもんね
>米国株インデックス1本に集中投資したとしても 預貯金100%で生活を
している人に比べたら比較にならないほどの分散投資
こう考えると少し気が楽になりますね。みんな日本円という名のかごに卵盛り過ぎですよ(笑)