ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)分析
シーゲル二郎です。
今回は、ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)を分析していきます。
アメリカ2大通信事業者の一角です。
連続増配…12年
S&P格付…BBB+
採用インデックス
・NYダウ
・S&P500
米国通信事業者で契約数1位、時価総額で2位の巨大企業です。日本でいうNTTドコモのような企業です。
米国売上比率は100%で、典型的なローカル企業です。
出典「ITmediamobile」
アメリカ通信事業の契約者数です。1位のベライゾン・コミュニケーションズと、2位のAT&T(T)の2社で6割以上のシェアを支配している寡占市場です。
ちなみに3位のスプリントは、ソフトバンクが買収したことでニュースになりました。ソフトバンクCEOの孫正義氏は、落ちぶれている企業を買収して復活させる手法が有名です。
逆に言えば、ベライゾンとAT&Tの2大勢力は非常に強いともいえます。ちなみに2015年までは、AT&TもNYダウに選ばれていましたが、その後アップルと入れ替わりで抜けています。
「通信事業者2社いるからどっちか抜こう」というテキトーな考えから、「じゃあ単純に株価低いほうでいいじゃん」というテキトーな決め方で抜けてしまいました。
NYダウ銘柄の決め方はテキトーです。
そのため、残ったベライゾンのほうが優良企業というわけではありません。むしろ、AT&Tは38年連続増配の米国配当貴族なので、実績でいえばAT&Tのほうが上です。
電気通信業界のあれこれについては、「AT&T分析」を読んでいただければ幸いです。
事業内容は、LTEなどの携帯電話向け事業が大半を占めています。ライバルのAT&Tは、全体の3割ほどがエンターテインメント部門で、多角化を進めています。(Huluやアマゾンプライムみたいな)
ベライゾンの場合は、2015年にネット大手のAOL社を買収しており、2016年にはヤフーを買収しています。
日本でも同じ現象が起きていますが、広く携帯電話が普及してしまったので、今後の契約数の伸びは期待できません。そのため、両社とも本業以外の分野を拡大しようとしている段階です。
ネットTVのAT&T VS ネット広告収入のベライゾン の図式です。
売上は米国オンリーです。また、事業拡大中とはいえ、あくまで通信回線で儲ける企業です。実体としては、電気・ガス会社のような公共セクターと同じような状態です。
売上は安定していますが、純利益はバラバラです。2013年の急増益は、英ボーダフォンとの合弁解消を行い、ワイヤレス部門を完全子会社化したからです。それを踏まえても、結構ばらついている印象です。
営業CFマージンは25%前後あり高収益です。基地局などの設備投資が必要なので、フリーCFはあまり多くありません。年度ごとに投資CFがバラついていて美しくありません。
汚いグラフです。配当性向は高めで、AT&Tと同じく自社株買いより配当金で還元するスタイルです。
自己資本比率は低めですが、事業の安定性を考えれば十分でしょう。
現時点情報(2017/9/12)
株価…46.3ドル
PER…12.26倍
配当利回り…5.06%
連続増配…12年
AT&Tと並び、高配当バリュー株の代名詞です。あちらはPER17倍ほどなのでこちらのほうが割安ですが、利益が結構ぶれるので参考になりません。
特にどちらも大きな強みはないので、好きなほうを買えばいいのではないでしょうか(適当)
ちなみにバフェット太郎10種の一角でもあり、注目度は高いです。
セクター上は電気通信セクターではありますが、下記の理由から実質公共セクターでいいと思います。
・米国内で事業完結している
・寡占市場だが付加価値がつけにくい
・設備投資が多くフリーCFが安定しない
・生活に密着しているため政府の規制リスクがある
シーゲル二郎は公共セクターに興味がないので、ベライゾンもあまり投資したいとは思いません。米国内に多額の設備を配置しているので、自然災害によるリスクが大きいし、通信費の増大は国民の可処分所得を下がることになるので、タバコみたいな露骨な値上げ戦略も取りにくいです。
配当利回りは魅力的ですが、配当性向と配当余力を考えると、少し不安です。シーゲル二郎がもし買うとすれば減配したときですかね。リタイヤ世代の保有者がパニックで手放すでしょうから。
連続増配は12年とそこそこですが、連続増配を期待するような銘柄ではないと思っています。
参考記事「生活必需品すぎる企業は危険だ!」