バフェット太郎10種を斬る!
つみたて次郎です。
まず最初の注意点について、この記事はバフェット太郎氏の投資方法を批判するものではありません。
バフェット太郎氏の投資方法については興味がありますし、むしろ均等分散・逆張りといったスタイルはつみ次郎も好みだったりします。
もちろん万能な投資スタイルというわけでもありませんので、本記事ではバフェット太郎10種の特徴を踏まえ、考察していきたいと思います。
バフェット太郎10種とは?
バフェット太郎10種とは、米国の大型バリュー株10銘柄にそれぞれ10%ずつ資金を振り分ける均等分散が基本のポートフォリオです。
運用総額は2019年6月時点で約7,000万円になっているため、各銘柄700万円程度保有していることになります。
毎月最も構成比率の低い銘柄に追加投資を行っており、毎月の入金額は、ここ最近だと60~120万円くらいになっています。
つみ次郎の入金力は毎月4~8万円くらいです
今のところは追加投資のみで比率調整(=ノーセルリバランス)しているようですが、将来さらに運用資金が増えた場合効果が薄くなってしまうので、個人的にはどこかのタイミングで売却ありのリバランスをするのかな…なんて勝手に思っています(笑)
極端な例を挙げれば、700万円持っている銘柄に120万円追加投資するのは大きなインパクトがありますが、7,000万円に120万円追加しても焼け石に水であり、本来の目的である「構成比率を一定に保つ」という目的を達成できませんからね。
話が少し脱線しましたが、これはバフェット太郎10種に限らず、ノーセルリバランス全体の課題といえます。
次に、バフェット太郎10種を構成している各銘柄を紹介します。
ティッカー | 会社名 | セクター |
WMT | ウォルマート | 生活必需品 |
KO | コカ・コーラ | 生活必需品 |
MO | アルトリア | 生活必需品 |
PM | フィリップモリス | 生活必需品 |
PG | P&G | 生活必需品 |
JNJ | ジョンソン&ジョンソン | ヘルスケア |
VZ | ベライゾン | 電気通信 |
IBM | IBM | 情報技術 |
MCD | マクドナルド | 一般消費財 |
XOM | エクソンモービル | エネルギー |
選ばれている銘柄の半分は生活必需品セクターになっております。
その他銘柄も、セクター内では不況に強い銘柄が選ばれており、ディフェンシブ性が高いものがほとんどです。
これらの企業は、深い堀(=ワイドモート)を築いている消費者独占企業ばかりで、並大抵のことでは倒れないタフな銘柄ばかりです。
いずれも配当利回りは高めで、ほとんどが増配歴の長い配当貴族銘柄になっています。
バフェット太郎10種のコンセプトは、
均等分散×生活必需品×高配当×連続増配
という大きく4つのジャンルにまたがっているのではないかと思います。
バフェット太郎10種のメリット
バフェット太郎氏がこの個別株均等分散するのは、分かりやすさという部分もあると思いますが、それ以上に感情に左右されないという部分だと思います。
バフェット太郎氏の投資方法は、しばしば思考停止と批判されることがありますが、市場を深読みしすぎないように距離を置くためのルールであると考えることもできます。
つみたて次郎としては、銘柄数が10というのはなかなかの集中投資だと思っていますが、限りなく幅広い銘柄に分散するインデックス投資との共通点もあります。
それは、「自分で選ばない」という点です。
バフェット太郎氏がバイアンドホールドを推奨することや、基本的に決められた銘柄のみを買い増ししていくというのもそのためではないかと思います。
バフェット太郎10種のルールは、最初に10銘柄を決めてしまえば極端な話あとは放置でいいわけですからね。
超優良企業の株が低迷している時に買うことができれば、長期で市場平均を超えることができるというのがバフェット太郎氏の最終的な結論だと思います。
上記の考えであれば、あらかじめ決めておいた銘柄が冴えない時に機械的に買うことになるバフェット太郎氏の投資方法は最適解の1つだといえます。
バフェット太郎10種のデメリット
ですが、買い増しする銘柄を機械的に行うことで発生するリスクもあります。
バフェット太郎10種の戦略は、ジェレミー・シーゲル氏の著書「株式投資の未来」で出てきたS&Pコア10種が基本となっています。
ここまで読んでいる人で勘違いしている人はいないと思いますが、バフェット太郎氏はバフェット流の投資家というよりはシーゲル流の投資家に近い投資哲学を持っています。
つまりバフェット太郎氏はシーゲル派なのです。検索されやすいためバフェットという名前を付けています。
「株式投資の未来」では、S&P10種とS&Pコア10種という2つの戦略が紹介されています。
S&P10種はS&P100に採用される米国の超大型株100種類のうち、最も配当利回りの高い銘柄10種類に投資して、年度ごとに入れ替える投資方法です。ダウの犬のS&P100バージョンです。
その一方、S&Pコア10種は、配当利回りの高さ以外に、過去15年間に減配なしという条件を同時に満たす銘柄から10種類を選んで投資する方法です。
この2種類の投資方法は、長期間で市場平均を大幅に上回った実績があります。
1957年~2003年における年平均リターン(参考文献:株式投資の未来)
投資方法 | リターン |
S&P10種 | 15.69% |
S&Pコア10種 | 15.68% |
S&P500 | 11.18% |
どちらの場合も、市場平均であるS&P500を大幅に超えています。
バフェット太郎氏は基本的に銘柄を入れ替えません。売買に伴う費用や税金を抑えれば、さらになるリターンが望めると思っているからです。
上記戦略の場合、値上がりや減配等により配当利回りが下がった場合、ポートフォリオから外れます。しかし、バフェット太郎氏は減配したとして即入れ替えるつもりはないようです。
優良企業であれば、簡単に堀が崩れることはないと信じているからできる戦略になります。
ですが、S&P10種やコア10種は配当利回りが低下した企業を除くことで、割高になった企業や業績不振になった企業を取り除けるという大きなメリットがあります。
バフェット太郎10種の場合、株価上昇によって配当利回りが低下した銘柄には追加投資されないので、前者についてはさほど問題ではないといえます。
しかし後者については、業績が悪化して倒産するようなボロ企業に連続で追加投資してしまう危険性を抱えることになります。
前者の部分はあまり問題ではないですが、後者の部分は大きな問題です。もし本当に機械的に投資をしていくなら、業績が悪化して倒産するような企業にしばらく追加投資してしまうという危険性を抱えていることになります。
バフェット太郎氏の現在の総資産額は約7,000万円で、単純計算で1銘柄当たり約700万円分保有していることになります。
仮にどれかの銘柄が個別の理由で大暴落して半額になった場合、350万円になります。投資金額は毎月60万円とすると、他の銘柄に大きな動きがなければ単純に6ヵ月連続で同じ銘柄に投資することになります。
うまく反発すれば大きな利益ですが、倒産してしまう可能性もないとは言い切れません。
あくまで現時点なので、今後バフェット太郎氏の資産額が増えていくほど、単一銘柄への連続投資が10ヶ月にも20ヵ月にもなることがあるかもしれません。
もしどれか1銘柄が倒産して紙屑になってしまった場合、単純に総資産の1割を失うことになり、長期投資では大きな損失です。
短期間で大暴落→倒産するのであればまだいいですが、長期的にジワジワ下がっていくような展開になれば、追加資金の多くが無駄になってしまいます。
縁起でもない話ですが、つみたて次郎が一番気になるのはバフェット太郎10種の企業が倒産の危機に陥って無配転落になった際に、どのような行動をとるのかについてです。
S&Pコア10種をヒントにしているなら、減配しない強い銘柄への投資が報われることも当然理解しています。
しかし、優良企業・消費者独占企業・ワイドモートというのはその瞬間を切り取った言葉に過ぎず、優良企業が短期間で没落することもよくある話です。
特にバフェット太郎10種は優良銘柄への逆張りが基本になっていますので、その線引きが最も重要といっても過言ではありません。
一時的な減配どころか永続的な事業優位性が失われて無配転落するような非常事態が発生した時、どのように銘柄入れ替えを行うか…このときの判断こそが、我々がバフェット太郎氏から学べる一番大きな教訓になると思っています。
バフェット太郎氏の判断材料
バフェット太郎10種の銘柄入れ替えについて、バフェット太郎氏が度々言及していますので、参考にリンクを張っておきます。
外部リンク…バフェット太郎が保有銘柄を売る時
外部リンク…保有銘柄の売却条件は営業キャッシュフロー・マージンの暴落
バフェット太郎氏が最も重視しているのは、営業キャッシュフロー・マージンであるといえます。
ただし、具体的に〇%を下回ったら売却という基準は定めていないようなので、やはり実際に入れ替えが必要な緊急事態が発生した時、数少ないバフェット太郎氏の主観による投資判断を拝めることになりそうです。
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つみたて次郎10種
バフェット太郎氏が本当に毎月50万円入金しているなら
制菌も考えると軽く年収1500万円くらいは超えているはずですから
経済的な余裕が一般人とはかなり違うんじゃないかなといつも思ってます。
それだけ本業で収入があれば多少暴落しても平気でしょうね。
本業は謎に包まれていますよね。ブログ収入もさすがに50万まではいかないでしょうし。
シーゲル二郎は貧乏ですが、暴落も恐れず投資していきたいです。
バフェット太郎氏が自身のブログで語っていますね
http://blog.livedoor.jp/buffett_taro/archives/28163074.html
知ってましたらスミマセン。
既に知っていましたが、情報提供していただきありがとうございます。
分かりやすいように、記事の最後に載せてみようと思います。
単純な均等分散だからこそ、売却する判断はシビアになりそうですね。
シーゲル流で始めたばかりです。私の場合は確定申告で税金が戻らないので(所得税が少なく、米国の税金のほうが多い)、ADR銘柄を取り入れています。アストラゼネカ、ブリティッシュアメリカンタバコ、ユニリーバです。
英国は配当金に税金がかかりません。12名柄で等分にする予定です。
バフェット太郎10名柄より安定性が良いとはいえなくなっていますから、銘柄を入れ替えることも考慮して決算をチェックしないといけないでしょう。
バフェット太郎氏は、確定申告で税金が戻ってくると書かれていましたので、所得税が多いと思われます。きっと減らしても痛痒を感じずにすむのでしょう。
コメントありがとうございます。
ADRの英国株は魅力的ですね。私も個別株をやるのなら採用すると思います。
米国株だから安心ともいえませんが、どちらにせよ銘柄数が12でしたら決算チェックは大事ですね。
バフェット太郎氏のブログは市場平均に勝つというのがテーマですから、その点ではリターンにシビアかもしれません。