アルトリアグループ(MO)分析

シーゲル二郎です。

今回は、アルトリアグループ(MO)を分析していきます。

米国1位のタバコ企業です。

 

連続増配…47年

S&P格付…A-

採用インデックス
・S&P500

 

世界的たばこメーカーですが、日本ではあまり聞かない名前かもしれません。フィリップモリスと聞けばピンと来る人もいるのではないでしょうか。両方とも元は同じ会社です。

最初の社名はフリップモリスで、2003年にアルトリアグループ(MO)と社名変更をしました。その後、2008年に海外事業部門をスピンオフして誕生したのがフィリップモリス・インターナショナル(PM)です。そのため、このアルトリアグループは、米国内事業のみを担当しています。

過去の米国市場で最もリターンが高かった銘柄はフィリップモリスといわれていますが、現在のフリップモリスのことではなく、アルトリア+フィリップモリスのことを指しています。

アルトリアグループは、タバコ以外にワイン事業にも参入しています。もともとは、食品加工メーカーのクラフトフーズ(現在はクラフト・ハインツ)を保有していましたが、2007年に売却しています。ビール会社のSABミラー社も保有していましたが、2016年にビール最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(BUD)に売却しています。

そのため、事業内容はほぼタバコのみといってもさしつかえありません。タバコ業界は複雑怪奇なので、詳しくはフィリップモリス・インターナショナル(PM)分析を見てください。

 

アルトリアは米国市場のみの担当ですが、シェアは50%近くを支配しています。残りの大部分は、レイノルズ・アメリカン(RAI)が占めており、2社で8割以上を埋める寡占市場となっています。ちなみにレイノルズ・アメリカンは、世界シェア2位のブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)による買収が決定しています。

タバコ業界は衰退産業なので、大手企業が中小企業を吸収して巨大化する動きが顕著です。現在は、アルトリア&フィリップモリス、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ、日本たばこ産業の3社がひしめく三国志みたいな状態です。

 

2007年からの激減は、海外部門フィリップモリスを分離したからです。2016年の純利益爆増は、傘下のSABミラー社の売却した関係かと思われます。それを除けば純利益は横ばいで美しいです。

 

営業CFマージンは20~30%でぶれていますが、買収や分離のイザコザなので問題ないでしょう。特筆すべきは投資CFの少なさで、営業CF≒フリーCFとなっております。もともとタバコ企業は設備投資が不要なことで有名ですが、アルトリアは海外展開をしておらず、米国でも既に天下を取ってしまっているので、やるべきことがありません。

一応タバコも製造業ですが、ボロ儲け過ぎて何も言うことはありません。

 

2007年はフィリップモリス分離、2016年はSABミラー売却です。配当性向は高いですが、EPSも緩やかに上昇しています。全体的な販売数は増えていませんが、値上げによる利益改善や、コストカットにより実現されています。

また、他のタバコ企業同様、長期借入金による自社株買いに積極的です。

 

直近の自己資本比率は27.8%であり、フィリップモリスの-34.43%と違って債務超過ではありません。とはいえ、SABミラー社の一時的な売却益によるもので、通常時は10%を切っており非常に低いです。

安定したフリーCFを担保にした危険な財務状況には変わりません。事業が安定している分、レバレッジをかけてハイリスクハイリターンを目指す方針です。

 

現時点情報(2017/9/14)

株価…62.51ドル
予想PER…18.83倍
配当利回り…4.22%
連続増配…47年

2008年の断崖絶壁はフィリップモリス分離です。(3回目)

配当利回りは4%越えと高配当ですが、配当性向が高いからです。PERは19倍ほどと、割安とは言えないでしょう。

シーゲル派大好きタバコセクターということで、素晴らしいグラフを見せてくれました。タバコは中毒性が高いので、値上げしても消費者がついてきます。

また、広告を派手に行うことができず、アルトリアの場合は海外展開もできないので、やるべきことが非常に限られています。せいぜい今はやりの電子タバコの「iQOS」の研究開発をすることしかありません。

そのため、バフェット氏がいう「経営者がおろかでも問題ない企業」の代表格といえるでしょう。だってやることないもん。

設備投資は、シーゲル氏いわく「資本を食う豚」であり、リターンを押し下げてきました。そのため、設備投資とリターンは逆相関するというデータもあります。

そのため、何もしないで稼ぐことができるアルトリアグループは、長期投資に向いています。

しかし、今後も高いリターンをもたらすかは不明です。フリップモリスよりはマシとはいえ、配当利回り4.2%は、今後の成長性を考えるとあまりに低すぎます。せめて5%は欲しいのではないでしょうか。

米国内で既に大きなシェアを持っているので、オーガニックな成長は期待できません。高いリターンを得る可能性も低いと思っています。

現在は株価も安定していて鉄壁ですが、訴訟リスクという爆弾を抱えていることを忘れてはいけません。安定高配当だと思って投資するような銘柄ではないと思っています。

 

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