世界経済インデックスファンド 分析
クソダサいパクリ系投信ブロガーのシーゲル二郎です。
今回は、世界経済インデックスファンド(投資信託)を分析していきます。
バランスファンドで一躍有名になったセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドのパクリです。
たった1つで世界中の株式や債券に分散投資できる部分が共通しています。バランスに応じて、3種存在しています。
・世界経済インデックスファンド…株式50%、債券50%
・世界経済インデックスファンド(株式シフト)…株式75%、債券25%
・世界経済インデックスファンド(債券シフト)…株式25%、債券75%
ちなみにライバルのセゾンのほうは株式と債券50%ずつのモノしかないので、後発で多彩なラインナップを意識しているようです。
項目 | 通常 | 株式シフト | 債券シフト |
株式:債券 | 50:50 | 75:25 | 25:75 |
投資範囲 | 全世界 | 全世界 | 全世界 |
ウェイト基準 | GDP | GDP | GDP |
信託報酬 | 0.54% | 0.594% | 0.486% |
純資産額 | 503億円 | 41億円 | 7億円 |
最大の特徴は、ウェイト基準がGDP基準になっているところです。通常インデックスファンドでは、時価総額を基準にすることが多いです。なぜなら、インデックスファンドは、世界の平均点を取るのが大きな目的なので、時価総額であれば株式市場のリアルタイムをそのまま追いかけるので、平均点とのブレが最も少ないからです。
GDPを基準にするということは、売買手数料も増えがちなので、今流行のスマートベータに近い思想に基づいて運営されています。
なぜこのタイミングで投資信託分析なのかというと、シーゲル二郎が初めて投資した金融商品なので、ここで一度過去を振り返ってみたかったからです。
投資したのは、株式の割合が高い株式シフト型です。シーゲル二郎が投資を始めたのは20歳ちょうどだったので、投資経験は5年にも満たない新米ポンコツ投資家です。
当時から債券に対する株式投資の有効性は理解していました。また、高いリターンを得るには、多くのリスクを取ることが最も大切だと考えていました。
この世界経済インデックスファンドは、新興国への投資比率が非常に高いです。
出典「三井住友トラスト・アセットメント」
通常版の世界経済IFの内訳です。新興国への投資比率は30%もあります。競合商品のセゾン・バンガード・バランスファンドでは、新興国の比率は10%にも満たないです。
出典「三井住友トラスト・アセットメント」
ちなみにシーゲル二郎が実際に投資していた株式シフトはこんな感じです。株と債券のバランスが違うだけで、新興国比率は同じく30%あります。
なぜこんなにも違うのかというと、新興国企業の浮動株比率が低いことが挙げられます。浮動株とは、政府や創業者一族が保有しているような、市場に流通する可能性の低い株です。新興国ほど浮動株比率は低い傾向にあり、逆に米国では非常に高いです。
多くの時価総額インデックスは、浮動株のみで構成比率を決めてしまうので、現実よりも新興国株を少なく保有してしまいます。
世界経済IFで採用しているGDP基準であれば、新興国の実際の成長に合わせて比率も上がるので、今後どんどん比率が上がっていくことになります。
シーゲル二郎は当時、米国の繁栄をあまり信用しておらず、米国株が半分以上を占める時価総額基準インデックスに疑問を持っていました。そのため、この世界経済IFは、非常に魅力的な商品に思えました。
GDP基準ならば、米国の比率が低く、新興国比率が高くなることが大きな特徴で、シーゲル二郎が投資した理由の1つです。
ですが、もう一つ決定的な理由がありました。次のグラフをご覧ください。
データ参考「世界経済のネタ帳」
日本の1985年~1994年における、名目GDPと日経平均株価の推移です。1985年=1としています。なぜこの期間を抜き出したかというと、バブル前後で分かりやすいからです。
名目GDPは、その国内で生み出された財やサービスの合計で、実体経済を反映しているといわれています。その点、日経平均株価は、株式市場の予想や期待を表しています。
名目GDPは緩やかに上昇していますが、日経平均は1989年を頂点に右肩下がりです。あとから振り返れば、当時は完全にバブルだったことが分かります。つまり、時価総額基準では、バブルで大ダメージを受けていたが、名目GDPなら影響は最小限で済んだということです。
これは時価総額基準全体の弱点でもありますが、割高な株をそのまま保有してしまうという欠点があります。GDP基準であれば、その国の経済力に応じて比率が決まるので、バブルの影響を受けにくいです。
バブルのネタみたいな伝説や、その後の悲惨さは数々耳にしていたので、まずはバブルに強いポートフォリオを組もうと考えていました。
また、名目GDPと株価は長期で相関しているというデータもあり、基準にするには最適だと思っていました。
世界一の投資家ウォーレン・バフェット氏も、時価総額を名目GDPで割った「バフェット指標」なるものを投資の参考にしているという情報もあり、完全に長いものに巻かれてしまいました。
しかし、この投資信託をまともに積み立てていたのは、1年強の間だけでした。(現在もわずかですが売らずに保有しています)
この考えを180度変えてしまったのが、ジェレミー・シーゲル氏の著書「株式投資の未来」に載っていた一文です。
投資家のリターンは、時価総額とはまるで別の概念だ。リターンは、株価の変動だけでなく、配当が支払われているかぎり、その水準にも左右される。
これを見て、シーゲル二郎はとても驚きました。株式投資とは、最終的に一番株価が上昇する銘柄を選ぶゲームだと思っていたからです。
上記の名目GDPと日経平均株価のグラフも、あくまで名目GDPと時価総額の相関についてまとめたにすぎず、配当金という概念を無視していました。また、著書では、株価上昇とリターンが一致しない多くのデータが証明されており、株価が上がりそうな国を予想して先回りすることの無力さを知りました。
新興国のGDP成長は間違いないと思っていたので、適正な株価もどんどん上がる(=高リターン)だと思っていたシーゲル二郎は、GDP基準や新興国投資に対する疑問を持つようになりました。
その結果、現在は米国一国集中、投資インデックスもNYダウと米国配当貴族指数だけという、歪んだ投資家が誕生してしまいました。もちろん新興国が今後高いリターンをもたらす根拠も十分あります。
購買力平価による新興国通貨の上昇や、新興国が実際に資本主義の覇権を握る可能性などです。しかし、現在では、グローバル化が進んでいるので、結局は現時点の勝ち組が、買収で有利にビジネスを進めていく可能性も高いです。シーゲル二郎が米国企業の海外売上比率を気にしているのも、「新興国の成長は確実」だと思っているからです。
シーゲル二郎は、高いリターンを得ることをあきらめました。シーゲル二郎がNYダウや米国配当貴族指数ばかり投資しているのは、「絶対リターン」でマイナスになりたくないからです。
インフレに勝つには株式100%、その中でどんな地獄でも生き残るであろう企業群に投資しているつもりです。
とはいえ、一番怖いのは税金なので、つみたてNISAのラインナップ次第では全世界インデックス投資家になるかもしれません(笑)
参考記事 早く個別株投資家になりたい(妖怪人間風)