ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)分析

シーゲル二郎です。

今回は、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)を分析していきます。

名前の通りタバコの販売会社です。本社は分かりづらいですがイギリスです。

 

連続増配…?年

S&P格付…?

採用インデックス
・S&Pグローバル100

たびたび情報不足ですいません。タバコセクターの代表的な企業で、本社はイギリスのロンドンです。タバコ業界はいろいろ複雑なので、順を追って説明していきます。

まずは登場人物を紹介します。

フィリップモリス・インターナショナル(PM)…世界№1ブランド「マルボロ」を保有。米国シェア1位で、海外展開もしていたが、米国内での訴訟が怖いので、米国内事業は下のMOとして分離した。そのため米国外売上比率100%

アルトリアグループ(MO)…上のPMから分離した米国内部門。当たり前だが「マルボロ」もちゃんと売ってる。米国内売上比率100%。

レイノルズ・アメリカ(RAI)…上記に次ぎ米国内では2位のシェア。ほぼ米国内でしか展開していない。近いうちにBTIに買収される予定。

ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)…米国ではやる気がないが、それ以外では高いシェアを誇る。米国内にも手を出したかったので、RAI株を保有して子会社にしていた。だけど物足りなくなり完全に買収することが決定した。

JT(日本たばこ産業)…ちゃっかり世界シェア3位。売り上げの半分は日本で、残り半分は海外。米国では訴訟リスクとかなんちゃらがあってほとんど売ってない。

中国煙草総公司…上記に負けず劣らず名前がかっこいい、中国のタバコ会社。中国ではタバコは専売制であり、この会社しか売ることができない。中国内でしか販売していないが、中国人はタバコ大好きのため、世界シェアの半分を占める。上の4つが束になっても勝てない。

 

勢力別に色分けしました。同じ色は仲間みたいなもんです。世界シェアの半分が中国であり、中国煙草公司しか売ることができないということと、米国内と米国外で全く違う事情があるということを抑えてください。

それを踏まえて、米国と中国を除いたシェアがこちらです。

出典「Philip Morris International」

上位3社が強く、買収による巨大化が盛んなので、この勢力図は動かないでしょう。

 

また、タバコブランドごとで見るとこうです。

 

出典「Philip Morris International」

フィリップモリス&アルトリアが販売する「マルボロ」が圧倒的首位です。その他を見ても、上位3社で独占しています。今回のブリティッシュ・アメリカン・タバコはBATの青いところを保有しており、比較的目玉はないけど幅広い品ぞろえです。

伝統的なタバコ事業は、健康意識の高まりもあって衰退産業といえます。しかし、タバコはブランドの力が強いので、販売数が減っても値上げで売り上げを維持することができています。しかし、今後は分からないので、各社電子タバコの開発に力を入れています。

企業名 電子タバコ
フィリップモリス&アルトリア iQOS(アイコス)
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ glo(グロー)
JT(日本たばこ産業) プルームテック

 

電子タバコは成長産業でもあり、今までのタバコで得た利益を開発費にあてています。しかし、当初予定ほどあまり売り上げは伸びていないようです。

 

ブリティッシュ・アメリカン・タバコ自体の売上先は、大体4分の1が米国です。また、買収が決まったレイノルズ・アメリカンはほぼ米国内です。両社の合併後のバランスを計算してみたところ、米国内が4割弱、米国外が6割強になるようです。(適当な計算)

よくあるようなバランスになりました。米国専門のレイノルズを買収した後も十分多国籍展開できそうです。

 

次に各データを見ていきます。単位はポンドです。

売上は横ばいですが、純利益は上昇しています。タバコの売れる量はいつも変わらないので、あとは値上げとコストカットで利益率を上げることができます。

 

このグラフこそタバコセクターの極意。営業CFマージンは30%前後を叩き出しており超高収益です。投資CFも少ないためフリーCFがハンパないです。

 

何も言うことはありません。素晴らしいです。連続増配年数は不明ですが、少なくともポンド建てで10年以上は確実です。

 

 

2015年は何かあったようです(適当)

自己資本比率が20%と低いですが、同業種のアルトリアは10%程度、フィリップモリスにいたっては債務超過でマイナスですから、その中では一番高いです。毎年の現金収入が安定しすぎているので、無茶してもヘッチャラです。

 

現時点情報(2017/9/4)

株価…62.67ドル
PER…21.33倍
配当利回り…3.61%
連続増配…?年

チャートはきれいな右肩上がり。配当利回りは3.6%と高めですが、衰退産業のタバコ企業では高配当が当たり前になっているので、少し物足りないかもしれません。

市場シェアや各グラフは何も言うことはありません。しかし、タバコ事業は健康被害による訴訟リスクがあるし、現在の中国のように政府による規制も大きいです。また、税金もがっつり国に取られてしまいます。

逆に言えば、上記のリスクを重く見すぎて投資家から避けられた結果、今までは高いリターンをたたき出せたともいえます。また、上記のデメリットを言い換えれば、政府規制があるから他社が参入できないし、税金を多く払っているので国もつぶせないというメリットにもなります。現在の中国市場も、いずれは専売でなくなり解放されるかもしれません。

このように、タバコ企業を取り巻くニュースはいいものも悪いものもたくさんあります。また、タバコ企業自身も尖っていて、低い自己資本比率・高い配当性向・売上地域の偏りなどを兼ね備えています。湧き出るキャッシュを頼りすぎているといわれてしまっても文句は言えません。

不確実性が多く、今後も高いリターンを生み出せるかは未知数です。シーゲル派なら肯定したいところですが、シーゲル二郎は何とも言えません。そんなタバコ企業の中ではこのブリティッシュ・アメリカン・タバコは比較的無難なので、シーゲル二郎10種にも選ばれています。

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