バンガード・トータル・ワールド・ストック(VT)を分析。1本で株式への国際分散投資ができる究極の海外ETF
つみたて次郎です。
今回は、バンガード・トータル・ワールド・ストック(VT)を分析していきます。
バンガード社の海外ETFで、全世界の株式市場を広くカバーする伝統的インデックスファンドです。
基本情報(2019/1/31現在)
項目 | データ |
信託報酬 | 0.09%※ |
銘柄数 | 8,125 |
PER | 15.2倍 |
PBR | 2.0倍 |
ROE | 13.9% |
利益成長率 | 10.4% |
※信託報酬は2019年より0.10%→0.09%に引き下げられました。
参考記事…バンガードETFが信託報酬引き下げ【VT・VWO・VYMなど】
VTに投資するだけで、世界中の様々な株式に投資していると同じ分散効果を得ることができます。
世界中に上場しているあらゆる国に、あらゆる業種の株式をほぼすべて投資をすることになります。
浮動株調整後の時価総額で考えると全世界株式市場の99.5%をカバーしているといわれています。
ある意味VTへの投資は「株式会社地球」への投資といえます(笑)
地域別比率(2019/1/31)
地域別に見た構成比率は次の通りです。
地域 | 構成比率 |
北米 | 57.2% |
欧州 | 18.8% |
アジア太平洋 | 13.6% |
新興国 | 10.0% |
その他 | 0.4% |
時価総額が大きいほど、浮動株比率が高い地域ほど比率も上がっていきます。
北米は米国+カナダですが、その大部分は米国ですので単独で全体の半分以上を占めていることになります。
日本はアジア太平洋の中に含まれており、単独だと全体の8%くらいの比率になります。
ざっくりした比率だと、日本10%+米国50%+その他先進国30%+新興国10%とイメージするのが分かりやすいかもしれません。
究極のインデックスファンド
狭義のパッシブ運用(≒インデックス投資)は可能な限り幅広い分散投資を行い、市場平均同等のリターンを得るのが目的となっています。
VTは全世界の株式市場を広くカバーしているため、世界の株式市場と連動して動きます。
逆に言えば、VTの値動きを見ていれば株式市場全体の状況を把握することができると言い換えることもできます。
VTへの投資=あらゆる株式への投資ですので、アセットアロケーションにおける株式クラスを全てVTに任せてしまうということも十分考えられます。
また、リスク資産は株式だけで十分であるという考え方もあるため、究極的にはVT+キャッシュでポートフォリオを完成させてしまうのも有力な選択肢の1つです。
そうでなくとも多くの投資家にとって株式はメインとなる資産クラスであり、その株式クラスを1本で賄うことができるVTは究極のインデックスファンドともいえる存在です。
少し大げさに言えば、インデックス投資家はこのVTを基準に金融商品を取捨選択していくべきといっても過言ではありません。
海外ETFだと面倒なら楽天VT
幅広い分散投資が低コストで可能な超有力商品ではありますが、あくまで米国市場に上場している海外ETFなため利便性の面でデメリットがあります。
基本的にはドルで買付する必要がありますし、配当金もドルで受け取ることになります。
市場で注文するので金額指定して買付はできませんし、自動積み立てなどにも制限があります。
これはVTの弱点というよりは、海外ETF全般の弱点といえます。
そこで登場するのが、国内の投資信託である楽天・全世界株式インデックス・ファンドです。
この投信はファンド内でVTをただひたすら買付するだけという商品設計になっており、実質的には「VTを投資信託化」したような内容になっています。
そのため通称楽天VTと呼ばれていたります。
楽天VTは投資信託なので円で金額指定買付が可能ですし、自動積立もできます。
また、海外ETFである本家VTだとつみたてNISAやiDeCoで投資することは出来ませんが、楽天VTを経由することで間接的に投資することが可能になります。
iDeCoの場合、楽天証券で取扱商品になっています。
参考記事…楽天証券でiDeCo(イデコ)を始めるメリットとおすすめファンド
ただし楽天を経由することで、コスト面で不利になってしまう可能性が高いです。
信託報酬は0.2196%となっており、本家VT自体0.09%+上乗せ分0.1296%という内訳になっています。
ベンチマークとの乖離リスクや繰上償還リスクも高まるため、安定性という意味では本家VTに軍配が上がります。
また、投資信託を用いて株式への国際分散投資を行いたいのであればeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)というライバル商品も存在しており、楽天VTと競合することになりそうです(信託報酬は0.1296%)
インデックスファンドの原点
数年前まで国内の投信やETFは信託報酬が割高だったので、信託報酬が割安な海外ETF…特にバンガード社のETFについては根強い人気があり、VTはその中心的存在でした。
最近では国内投信の低コスト化が進み、相対的にVT含め海外ETFの魅力は半減しています。
少なくとも信託報酬等のコスト面では、ほぼ同等の水準になっているのではないかと思います。
その一方、海外ETFの強みは莫大な純資産総額がもたらす運用の安定性であり、これは国内の運用会社が逆立ちしてもかなわない要素でもあります。
指数への連動性や、ファンドの永続性という意味ではバンガードETFは圧倒的なアドバンテージがあるといえます。
特にVTはインデックスファンドの基本ともいえる存在であり、インデックス投資家であれば必ずチェックしておきたいところです。
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