【書評】「全面改訂ほったらかし投資術」を読んだ感想
つみたて次郎です。
山崎元氏、水瀬ケンイチ氏共著「全面改訂ほったらかし投資術」を読んだので感想です。
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インデックス投資を中心とした、簡単かつ再現性の高い投資法について述べられています。
2015年に出版された本ですので、一部現在では当てはまらない部分もありますが、今でも十分すぎるほど役立つ内容になってると思います。
山崎元氏は、経済評論家であり楽天証券の研究員でもある金融のプロです。インデックス投資家の間でも有名な方ですね。
水瀬ケンイチ氏は、インデックス投資ブロガーの第一人者ともいえる個人投資家で、ブログ「梅屋敷商店街のランダムウォーカー」の運営者でもあります。
2017年には水瀬氏単独でも本を出版しています。
参考記事…水瀬ケンイチ氏著「お金は寝かせて増やしなさい」を読んだ感想
また、つい先月にも監修した本が出版されており、広く活躍されています。
私が監修したムック「お金が勝手に増えていく! カンタン! インデックス投資完全ガイド」(洋泉社)が発売!#ムック #ビジュアル満載 #オールフルカラー #インデックス投資 #つみたて投資 #つみたてNISA #iDeCo #若年層向け #投資未経験者向け #投資初心者向けhttps://t.co/hGuZtVOjRm
— 水瀬ケンイチ (@minasek) 2019年2月26日
こちらも機会があれば読んでみたいと思います。
今回紹介する「全面改訂ほったらかし投資術」はちょっと古い本ではありますが、インデックス投資の極意というものはそう頻繁に変わるものでもありません。
インデックス投資では流行を追いかける必要がないように、インデックス投資本も最新の流行を追い求める必要はないということです(震え声)
という半分冗談ですが、次の項目から感想を述べていきたいと思います。
明確な主張が多く分かりやすい
「ほったらかし投資術」というゆるい感じのタイトルですが、中身はメリハリの付いた主張が多いです。
当ブログもそうですが、インデックス投資に関する議論は比較的あいまいになりやすいため、ズバッと切り込んでいるのはありがたいです。
特に印象に残ったのは次の3ポイントです(つみ次郎の意訳)
・外国債券はリスクが大きいわりには期待リターンが小さく、先進国の債券は利回り低下余地が小さいため、「リスク資産」の中に必要ないと判断した。
・リスク資産は「国内株式」「外国株式」を半分ずつを基本として考えると分かりやすい。
・DCでもNISAでも、バランスファンド(株式と債券の両方を含むファンド)はほとんどの場合不適切。
本書は2人の共著ですが、おそらくこのあたりは山崎氏が普段から主張している内容と被りますので、山崎氏の意見が強く出ている部分かと思います。
また、最後のバランスファンドについては箇条書きで問題点が指摘されているので、本書から引用します。
(1) 運用途中の利益に非課税という制度のメリットを最大化できないこと。
(2) 運用者に適切なタイミングで資産配分を調整する能力など期待できないこと。
(3) 中身の割に手数料が高いこと(「幕の内弁当」母古代が高いと思ってください)
(4)投資家が中身をリアルタイムで把握しにくいこと。
引用「全面改訂ほったらかし投資術」
(1)(4)についてはぐうの音も出ない指摘ですが、(2)については予め比率が固定されている4資産均等型や8資産均等型では関係ないですし、(3)はバランスファンドも低コスト化が進んでいます。
バランスファンド最大のメリットは自動的にリバランスしてくれることだと思っているので、上記デメリットを踏まえて採用するのは悪くないのではないかと思います。
とはいえ非課税メリットを活かしきれないことやポートフォリオ調整が面倒なのは間違いないので、山崎氏の主張も理解できます。
現在とのギャップが面白い
本書は2015年6月に出版されており、現在から4年近く前となっています。
第3章の『商品ガイド編 インデックスファンド、ETFの「ミナセ・シュラン」』では、厳選されたインデックスファンドが紹介されています。
余談ですが、「ミナセ・シュラン」を予想変換したら「水瀬・酒乱」が第一候補に出てきたことは秘密です。水瀬氏はビール好き(補足情報)
全部で17ファンド紹介されていますが、つみ次郎の独断でいくつか抜き出します。
ファンド名 | 執筆時 | 現在 |
<購入・換金手数料なし>ニッセイ・外国株式インデックス・ファンド | 0.4212 | 0.11772% |
eMAXIS 新興国株式インデックス | 0.648% | 0.648% |
バンガード・トータル・ワールド・ストック(VT) | 0.17% | 0.09% |
ちなみに真ん中についてはeMAXIS Slim 新興国株式という上位互換が存在しており、信託報酬は0.20412%です。
また、当時は国内投信と海外ETFのコスト差が大きかったため、ETFの活用法や投信→ETFへのリレー投資などにもページ数が割かれています。
NISAを活用した投資法も紹介されていますが、当時はつみたてNISAもありませんでしたので一般NISAを前提に書かれています。
ファンド事情が大きく変わってしまったのでそのまま参考にはできませんが、現在との違いを考察しながら読み進めるのは有意義ではないかと思います。
予想に反して硬派な投資本
タイトルには「ほったらかし」というフレーズがあり、インデックス投資入門みたいなカジュアルな内容をイメージしていましたが、中身はそこそこ本格派です。
内容もかなり具体的に踏み込んでおり、生活防衛資金等を考慮したリスク資産への投資比率、NISAやDCを活用したポートフォリオ例などがメインテーマになっています。
全くの初心者だと少し難しい部分も多く、最新情報ではないため読みづらいかもしれません。
最初に取る1冊としてならば、水瀬氏の単著「お金は寝かせて増やしなさい」のほうがよりシンプルな解説で分かりやすいと思います。
参考記事…水瀬ケンイチ氏著「お金は寝かせて増やしなさい」を読んだ感想
本書はそこから一歩進んだ内容であるといえそうです。
また、2015年当時の投資環境を知るという意味ではいろいろ考えさせられる事がありましたので、最後まで楽しく読み進めることができました。
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