【高配当】S&P10種とS&Pコア10種について考えてみる【連続増配】
つみたて次郎です。
シーゲル教授が提唱するリターン補完戦略の1つとして高配当戦略がありますが、その具体的な投資方法に「S&P10種」「S&Pコア10種」というものがあります。
米国市場における時価総額上位100銘柄を投資対象とし、機械的にスクリーニングして投資していきます。
まずはその100銘柄を配当利回りで並び替え、上位10銘柄を均等額で保有するのが「S&P10種戦略」になります。
毎年1回見直しを行い、入れ替えを行っていきます。
ここまで読んでいただいてお察しの方もいるかと思いますが、NYダウの30銘柄から配当利回り上位10銘柄を選ぶダウの犬戦略と非常に似ています。
これをさらに応用したのが「S&Pコア10種」で、選ぶ条件に「過去15年間一度も減配していないこと」を追加しています。
まとめると次の通りです。
S&P10種
→時価総額上位100銘柄のうち配当利回り上位10銘柄を均等額保有
S&Pコア10種
→時価総額上位100銘柄かつ過去15年間減配歴がない銘柄のうち配当利回り上位10銘柄を均等額保有
S&P10種はシンプルな高配当戦略、S&Pコア10種は高配当+連続増配のミックス戦略だということができます。(厳密には連続増配ではないが)
そしてこの2つの戦略は、過去優れたリターンを叩き出しています。
1957~2003年におけるトータルリターン
戦略 | 年平均リターン |
S&P10種 | 15.69% |
S&Pコア10種 | 15.68% |
S&P500 | 11.18% |
参考文献「株式投資の未来」
過去長期間で集計を取ると、S&P500を圧倒しています。
年間4%を超える超過リターンは凄まじく、これに賭けるだけの価値は十分あるデータでしょう。
注意点としては、このデータは税金や売買手数料等のコストは考慮されていません。両者ともS&P500のようなインデックス指数に比べ売買回転率は高くなることや、配当利回りが高くなることから、コストがかさむことが予想されます。
とはいえ、リターン差が縮んだとしてもS&P500に圧勝していることには間違いないでしょう。
参考記事「VTIとVYMの配当利回りの差から考える、高配当戦略で犠牲になるリターンは年間○%」
ちなみに米国株ブロガー、バフェット太郎氏のバフェット太郎10種は、S&Pコア10種をヒントに考案されているようです(と本人がブログに書いていたような気がする)
ここで注目したいのが、S&P10種のリターンとS&Pコア10種のリターンの差です。
S&P10種が15.69%、S&Pコア10種が15.68%と、ほとんど差がないことが分かります。
これはつまり、「過去15年間減配していない」という条件の有無がリターンに影響しなかったということになります。
S&P10種もS&Pコア10種も配当利回りを基準にするのは共通なので、銘柄の重複により似たようなリターンになったのではないかと推測できます。
そしてもう一つ重要な要素として、S&Pコア10種のほうが売買回転率が低く済んだというデータがあります。
減配による入れ替え機会が減ったことが理由かと思われます。
ここで問題なのが、上記データが売買手数料についてどこまで考慮されているかということです。次の2通りに解釈することができます。
①S&Pコア10種は売買が少なくて済んだから、現実ならS&P10種に勝てた
②S&Pコア10種はリターンそのものはS&P10種に劣っていたけど、売買が少なくて済んだから結果互角だった
個人的には①だと思います。基本的にこの手の分析においては売買手数料まで詳細に計算されているとは考えにくいので、売買回転率の低かったS&Pコア10種のほうが、よりデータに近いリターンを現実世界で得ることができていたのではないかと思います。
とはいえ、仮に①だったとしてもリターンに大きな差が開くとは考えにくく、減配歴によるスクリーニングはあまり役に立っていなかったというのは押さえておきたいポイントですね。
つみたて次郎が連続増配にあまりこだわらなくなったのも、これが大きな理由の1つとなっています。
シーゲル教授は、弱気相場での配当金再投資がリターンを加速させるアクセルになるということを説いていますが、それは必ずしも連続増配や減配歴がない銘柄である必要はなさそうです。
むしろ連続増配歴○年というのは投資家から注目される的になってしまうので、シーゲル流投資家にとっては皮肉にも歓迎できないステータスになりつつあるのかもしれませんね。
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