eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 分析
つみたて次郎です。
今回は、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を分析していきます。
2018年7月3日から設定されている商品です。
名前から分かるとおり、超低コスト投信「eMAXIS Slim」シリーズの1つで、S&P500に連動するインデックスファンドです。
S&P500とは、米国を代表する大型株500社で構成されるインデックス指数で、米国市場の約80%をカバーしています。
信託報酬は0.165%と非常に低コストです。
eMAXIS Slimシリーズは、三菱UFJ国際投信㈱が運用会社となっており、既存の巨大マザーファンドを活かした商品展開を行っています。
これまでは、ただ単にeMAXIS(通称:fat)の低コスト版というスタイルを貫いていましたが、今年4月に登場したeMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)からその法則は崩れています。
とはいえ上記の3地域均等型は、既存の超巨大マザーファンド(TOPIX・外国株式・新興国株式)を組み合わせれば組性可能であり、その内訳自体はメジャーです。
しかし、S&P500は三菱UFJ国際投信のネット取扱商品には存在せず、そもそもマザーファンドがあるかどうかも不明です。仮にあったとしても、上記マザーファンドのような規模はないと推測できます。
その意味では、非常に思い切った商品設計ではないかと思います。
※同日追記…マザーファンドは既に存在するようです。参考になるブログ記事がありましたのでリンクを張っておきます。
外部リンク「eMAXIS Slimシリーズに「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」 新規設定。信託報酬 0.1728%」
外部リンク「【大改稿】スリムSP500が楽天VTIと同額で登場(7/3~)」
S&P500はつみたてNISAの対象指数にもなっており、投資家からの需要も大きいです。eMAXIS Slimシリーズは、既にインデックスファンドにおける各ジャンルの頂点に君臨していますが、今回新たに米国株式部門を制覇するつもりのようです。
日本においては、S&P500など米国株式のみに投資する低コストな投資信託はラインナップが非常に少なく、今までは楽天・全米株式インデックス・ファンド(以下:楽天VTI)とiFree S&P500インデックス(以下iFreeS&P500)2本くらいしかありませんでした。
今回登場したeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)(以下:SlimS&P500)はそこに登場した第三勢力であり、投資家を悩ませることになりそうです。
3商品の特徴をまとめてみます。(2019/10/1現在)
略称 | 投資先 | 運用先 | 信託報酬 | 総資産額 |
楽天VTI | 米国株全域 | ETFのみ | 0.162% | 約567億円 |
iFreeS&P500 | S&P500 | 現物+ETF | 0.243% | 約71億円 |
SlimS&P500 | S&P500 | 現物運用 | 0.1728% | 約301億円 |
まず投資対象を考えると、楽天VTIはS&P500よりも投資範囲が広く、時価総額下位約20%も全てカバーしています。
そして運用方法ですが、楽天VTIはバンガード・トータル・ストック・マーケット(VTI)をただ買付するだけのファンド・オブ・ETF形式です。
iFreeS&P500は採用銘柄の現物を保有して運用するスタイルですが、実は全体の40%をIVVという海外ETFで保有しており、現時点ではかなり中途半端な運用方法になっています。
※IVVの正式名称は「iシェアーズ・コア S&P 500 ETF」
SlimS&P500は現物運用を基本にするであろうと推測していますが、iFreeのように一部を海外ETFで代用する可能性は高そうです。
ETFで一部または全部を代用する場合、隠れコストが予想しずらいというデメリットがあります。
その一方、米国から見た外国株式(=米国株以外)に投資する米国籍ETFの場合、ファンド・オブ・ETF形式だと三重課税問題が発生しますが、実質的な投資先が米国株のみである上記3商品の場合関係ありません。
米国外株式をカバーする投資信託の場合、現物運用かETF運用かは大きな差になりますが、今回は米国株のみですのであまり気にしなくて良さそうです。
したがって、純粋に投資先(米国全体かS&P500か)と信託報酬で決めてしまって問題ないと思われます。
小型株含む米国全体に投資したい場合は楽天VTI、S&P500に投資したい場合は信託報酬が安いSlimS&P500を選んでしまってよさそうです。
しかし問題は、米国全体(≒VTI)でもS&P500のどちらでもよいという人です。
この2つは時価総額下位を20%をカバーしているかどうかですが、値動きは非常に似ており、正直好みの差で選んでよいレベルです。
つみたて次郎は現在楽天VTIに投資していますが、低コストな米国株ファンドという理由で選んだにすぎず、別にS&P500でも問題はありません。
投資対象はどちらでもかまわない場合、実質コストで考えていくことになりますが、信託報酬は楽天VTIが0.162%・SlimS&P500は0.165%でわずかに楽天VTIが低い程度です。
運用方法は違いますが、三重課税問題がないことや、SlimS&P500も一部はETFで運用する可能性を踏まえれば、隠れコストに大差がつくことも考えにくいです。
トータルで考えても、楽天VTIとSlimS&P500はほぼ互角であり、米国株ファンドとして熾烈な争いを繰り広げることになりそうです。
商品自体に大きな差がない以上、楽天VTIがどれだけ先行者利益を活かせるかどうかが勝敗を分けるカギだと思っています。
より詳細な比較記事もありますので、よろしければご覧ください。
参考記事「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) vs 楽天・全米株式インデックス(楽天VTI)」
※S&P500連動ファンドでより低コストなSBI・バンガード・S&P500インデックスも登場しました。
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SlimS&P500次郎
たわら男爵さんが三菱UFJ国際投信に確認したところ、マザーファンドは現物運用で、既にかなりの規模で運用されてるとのことみたいですね
マザーファンドは平成25年の設定だと届出の添付書面(信託約款)でも確認できますね
補足情報ありがとうございます。
巨大規模の現物運用であれば、ますます期待が高まりますね!