ファンド・オブ・ETFの将来性
シーゲル二郎です。
楽天から販売された楽天バンガードシリーズが大注目を浴びており、さらにはSBIからもEXE-iの目玉商品が出ており、投資家としては嬉しいサプライズが続いています。
両社の共通点は、投資先が個別の株式ではなく、海外ETFに投資しているところです。
楽天の場合はバンガードのETFをただ買付し、SBIの場合はシュワブやスパイダーのETFだけを買い付けます。
これは例えれば、カレーを作ってもらおうとしたら、レトルトカレーを出されるような手抜きです。ですが、結果安くておいしければ問題ありません。
間の楽天やSBIがマージンを差っ引くことに不満がある人もいるようですが、必要経費として割り切れば十分な取引です。投資に余計な感情は必要ありません。
例えば最近影が薄くなってしまった「iFree S&P500インデックスファンド」は、運用のために米国株500種類を自力で揃えなければなりません。
楽天の「楽天・全米株式インデックス・ファンド」の場合、本来であれば米国株3,800種類を自力でそろえなければなりませんが、面倒なのでバンガードが既に完成させているVTIで代用しています。
「株式3,800種類を集める」という最大の手間をバンガードに任せているということになります。
この運用方針、個別株を集めるよりも手間は楽だし、指数との連動性も高められると思っていました。
ですが、楽天が出した10月のレポートでは、ひどい下方乖離が発生しています。
参考記事「楽天VT・楽天VTIが下方乖離」
一時的なものだと信じたいですが、コメントで興味深い情報があったので今回掘り下げてみました。
楽天と同じ仕組みで運用している商品に、「i-mizuho米国株式インデックス」という投資信託があります。
連動指数はS&P500、実質的な投資先はiシェアーズのIVVで、このETF1つをそのまま買付するだけです。
この商品も指数との乖離が続いているようですが、ベンチマークが配当抜きなので、非常に分かりづらい状況になっています。
出典「BRACKROCK」
設定来では、3.3%ほどベンチマークを上回っています。ですが、配当金がある分上に乖離するのは当然で、設定日から4年たっていることを考えると微妙です。
信託報酬は0.6156%となっています。隠れコストを含めても過去1年では0.68%となっています。大体4年経過しているので、今までの通算では0.68×4=約2.7%ほどは信託報酬によるコストがかかっています。
上記の3.3+2.7=6%が運用上の超過成績になりますが、実際にどのくらい乖離しているのかイメージしずらいです。
これは、ベンチマークを配当金なしにしているのがすべての原因です。当ファンドは今まで配当金を一切出していないので、このまま続くとベンチマークから上のほうにだんだんずれていくことになります。
インデックスファンドは指数に連動することが唯一の目的であるため、簡単に達成できてしまう配当金なしのベンチマークだと、うまく運用できているか分からないという致命的なデメリットがあります。
ETFが関係なくなってきましたが、成績を評価しずらいというのは優良商品と粗悪商品の見分けがつきにくくなることを意味するので、配当込みをベンチマークにしているファンドが好ましいですね。
また、上で1度出てきた「iFree S&P500インデックスファンド」も、実は全体の30%くらいをIVVで運用してるんですよね。
いろいろ考えても、個別株を集めるよりも確実にETFのほうが楽ですし、ETFにかかるコストは既に計上されているので、今後も指数との乖離が続いていくとしたら少し不思議ですね。
ですが、SBIアセットマネジメントが販売している「EXE-i」シリーズは、いずれもETFでの運用を行いますが、なかなかひどい成績です。
いずれも配当なしの指数を目標としているにもかかわらず、設定来でベンチマークに負けています。
これは、配当金によるプラスを全て吹き飛ばしてマイナスという異常事態であり、ビックリしてしまいました。
外部リンク「EXE-i」
新商品の今後も少し不安になってしまいます。
参考記事「EXE-iつみたてグローバル(中小型含む)株式ファンド 分析」
参考記事「EXE-iつみたて 新興国株式ファンド 分析」
いずれにせよ、本気で低コストを目指していくと思われる楽天とSBIの新商品が、どれだけ指数にうまく連動できるかが今後の大きなカギといえます。
薄い内容でごめんなさい。
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シーゲル二郎さん、こんばんは。
分析記事のアップ、ありがとうございます。
本記事の参考情報を補足させてください。
モーニングスター(日本版)のサイトでは、各種ベンチマーク指数が比較参照できます。
代表的なものですと、以下の指数が参照可能です。
※「楽天・全米株式インデックス・ファンド」の参照指数「CRSP USトータル・マーケット・インデックス(円換算ベース)」は残念ながら載っていません。
■米国株式指数
S&P500(配当込)/円換算
S&P500(配当なし)/円換算
NYダウ(配当込)/円換算
NYダウ(配当なし)/円換算
ここで、以下2本の投信について、2017/10/31時点での「トータルリターン3年(年率)」を見てみました(モーニングスターのサイトにて算出)。
①i-mizuho米国株式(S&P500)/信託報酬0.54%(税込)
配当込指数:12.45% ファンド:11.28% 配当落指数:10.11%
→配当込み指数との差=▲1.17%
→配当落ち指数との差=+1.17%
②SMT NYダウ(ダウ30)/信託報酬0.54%(税込)
配当込指数:14.86% ファンド:14.15% 配当落指数:12.01%
→配当込み指数との差=▲0.71%
→配当落ち指数との差=+2.14%
両ファンドとも信託報酬はおおむね同水準。
配当率はダウ2.85%に対してS&P500は2.34%。
本来であれば配当の大きいダウ投信のほうが配当込み指数からの乖離も大きいはずですが、上記2投信のサンプル比較では、i-mizuho米国株式の方が乖離幅が目立って大きいです。
楽天・全米株式インデックス・ファンドもi-mizuho米国株式と同様に「ファンド・オブ・ETF」ですので、なんとなく嫌な予感がします。
せめて配当落ち指数はアウトパフォームしてほしいと願っています。
非常に参考になるコメントありがとうございます。
「配当落ち指数はアウトパフォームしてほしい」って、なかなか悲しい目標ですよね。
ファンド・オブ・ETFそのものに致命的な弱点があるのかと思うと夜も眠れません(笑)
米国への投資なら課税上の問題もないはずだし、現物株を集めるより絶対楽だと思うんですけどね。