楽天バンガード vs SBIインデックスファンド(旧:EXE-iつみたて)
つみたて次郎です。
去年後半以降、インデックスファンド業界では熾烈な競争が繰り広げられています。
「eMAXIS Slim」のような既存ファンドの信託報酬引き下げを行うシリーズと、全く新しい新規ファンドを立ち上げたシリーズに分かれています。
そして後者には、次のような人気シリーズがあります。
○楽天・バンガード・ファンド
○SBIインデックスファンド
※2018年9月5日以前は、SBIのほうは「EXE-iつみたて○○」という名称でした。
この2つは、去年新しく設定された新規ファンドですが、圧倒的な低コストを武器に一躍有名になりました。
特徴のある運用方法
大きな特徴としては、それぞれ販売経路を自分で確保していること、ファンド・オブ・ETF形式で運用されていることです。
通常のインデックスファンドの場合、運用会社が指数に採用されている銘柄を買い集めることで指数への連動を目指していますが、これら2つは採用銘柄の代わりに指数に連動するETFそのものを買付しています。
つまり、指数に連動するETFを代理で購入するだけのファンドとなっており、次のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
・ETFを管理するだけなのでコストがかかりにくい(と思われる)
・売買回転率によるデメリットを受けない
・海外ETFを投資信託の形で買うことができる
・つみたてNISAで間接的に海外ETFを保有できる
デメリット
・投資元ETFと併せて二重のリスクを背負う(乖離・繰上償還等)
・米国外に投資する場合三重課税となる
・現物運用に比べトラッキングエラーが発生しやすい
一長一短ではありますが、現時点では現物運用に比べて不安材料が多いです。運用システムそのものを評価するというよりも、「海外ETFを投資信託として買える」という点に注目すべきだと思います。
各シリーズラインナップ
それぞれラインナップを見ていきましょう。
楽天・バンガード・ファンド
・楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天VT)
・楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)
・楽天・新興国株式インデックス・ファンド(楽天VWO)
・楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド(楽天VYM)
SBIインデックスファンド
・SBI・全世界株式インデックス・ファンド(SBI全世界株式)
・SBI・先進国株式インデックス・ファンド(SBI先進国株式)
・SBI・新興国株式インデックス・ファンド(SBI新興国株式)
※それぞれ旧名は「EXE-iつみたて○○ファンド」となっていました。
各解説記事がありますので、よろしければご覧ください。
特にこの中でも、全世界株式に投資できる楽天VTとSBI全世界株式が特に注目されています。また、数少ない米国株式のみに投資できる商品として楽天VTIも非常に人気で、つみたて次郎も投資中です。
いずれも優良ファンドであり人気はありますが、正直なところ楽天とSBIでは天と地の差がついているのも事実です。
各設定年月日と総資産額を見れば明らかです。(2019/1/22時点)
略称 | 設定年月日 | 総資産額 |
楽天VT | 2017/9/29 | 169億円 |
楽天VTI | 2017/9/29 | 313億円 |
楽天VWO | 2017/11/7 | 10億円 |
楽天VYM | 2018/1/10 | 15億円 |
SBI全世界株 | 2017/12/6 | 17億円 |
SBI先進国株 | 2018/1/12 | 7億円 |
SBI新興国株 | 2017/12/6 | 12億円 |
楽天バンガードを追いかけるEXE-iつみたてという構図ですが、設定年月日を考慮しても大きな差がついています。
唯一新興国部門である楽天VWOとSBI新興国株はいい勝負になっていますが、これは楽天VWOがつみたてNISAに採用されていないという特殊な事情を考慮すると実質負けています。
さらにSBIの先進国と新興国には「eMAXIS Slim 先進国株式ファンド」「eMAXIS Slim 新興国株式ファンド」という最強のボスがいるため、今後の将来性は暗いといえるでしょう。
ブランド力の大きな差
後発でより低コストファンドを打ち出したにもかからわず人気が出ていないのは、やはりブランド力に問題があると思われます。
SBIインデックスファンドシリーズは、運用会社が「SBIアセットマネジメント」となっています。SBIといえば、ネット銀行やネット証券で超有名です。
しかし、SBIよりも「楽天」のほうが世間的な知名度は圧倒的に上でしょう。運用会社である「楽天投信投資顧問」の歴史は浅いですが、ネームバリューは抜群です。
また、間接的に投資している海外ETFも、SBIインデックスファンドシリーズでは「シュワブ」「スパイダー」となっており、日本での知名度は低いです。
楽天バンガードは、全てバンガード(vanguard)社のETFで統一されています。バンガードは、世界レベルの低コストリーダーであり、潤沢な運用金額と圧倒的知名度を誇っています。
楽天+バンガードの知名度を生かせる楽天バンガードに対し、信託報酬の低さしかアピールできないEXE-iつみたてでは、埋めることのできない大きな差が広がっています。
インデックスファンドを選ぶ際は、連動する指数及び実質コストが重要であり、人気だけで選ぶのはNGです。
しかし、あまりに人気のないインデックスファンドは、総資産が集まらず運用に支障が出てしまったり、最悪の場合繰上償還なんてことにもなりかねません。
もともと、国内投信というのは、本場アメリカのバンガードやiシェアーズに比べ、非常に少額な資金を運用しているにすぎません。
現在大人気になっている楽天バンガードやeMAXIS Slimですら、決して安泰とは言えないでしょう。
特に繰上償還リスクは軽視されがちですが、特定口座ならば課税繰り延べ効果の消滅・NISAであれば非課税枠の消滅という大きなダメージを受けることになります。
通常の投資であれば、長いものに巻かれるのは非常に危険な行為ですが、インデックスファンドにおいては例外です。
人気があるほど総資産額が集まるため、運用会社にとっては非常に好都合です。
しばしば下方乖離をやらかす「ニッセイ外国株」や、もはや低コストとは呼べなくなってしまった「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」の人気は健在です。
SBIの早すぎる名称変更
SBIインデックスファンドは、2018年9月5日以前は「EXE-iつみたて○○」という名称でした。
いずれも新規設定から1年待たずの変更ということで、受益者の方は不安になってしまいそうです。
さらに変更後の名称が楽天と酷似していることから、楽天の二番煎じという悪いイメージをさらに強化してしまう恐れがあります。
SBIインデックスファンドの将来性は暗い
少し不思議な話ですが、インデックスファンドは人気があることそのものが強みになります。
逆に言えば、いくら素晴らしくても人気がなければダメだということにもなります。
そして「SBIインデックスファンド」シリーズは、残念ながらそのシナリオを歩んでいるとつみたて次郎は考えています。
また、仮にEXE-iつみたてが実質コストで優れていたとしても、主要ネット証券すべてで販売している楽天バンガードと、系列であるSBIネット証券でしか売ってないEXE-iつみたてでは、メディアや口コミでの広がりには限界があるでしょう。
※2018年5月11日より、楽天証券でも取り扱いが開始されましたが、最初のスタートで遅れた分を取り戻すのは難しいかと思われます。
その一方、楽天バンガードには「楽天」というあらゆる広告を活用できるブランドに、バンガードが抱えるVT・VTI・VWO・VYMという知名度をフル活用できるため、仮に実質コストが多少高くなってしまったとしても人気が衰えることはないかと思います。
本来であれば、実質コストの優劣が判明するまでインデックスファンドの優劣を語ることはできませんが、これほど不利な条件が重なっているのなら、SBIインデックスファンドがシリーズとして成功する可能性は低いと予想しています。
楽天VTIや楽天VYMのように、他社と競合しないオンリーワン商品がないのも致命的です。
その中であえてSBIインデックスファンドの中から投資対象を選ぶのであれば、慎重になったほうが良いかもしれません。
※2019年1月20日追記…第1回運用報告書が発表されました。
参考記事…SBIインデックスファンド(全世界株・先進国株・新興国株)の第1回運用報告書から実質コストを計算してみる
参考記事…【2018年分】楽天VTとSBI全世界株の月別騰落率を比較
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