セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド 分析

シーゲル二郎です。

今回は、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド(投資信託)を分析します。

日本人の長期投資家であれば、みんな知っているといっても過言ではない超有名バランスファンドです。

日本のインデックス投資普及に大きく貢献した金融商品でもあります。

当然のごとく積立NISAの対象になっております。インデックス型のはずが、積立NISAの分類では「アクティブ運用投資信託等」に分類されています。

実態はアクティブファンドではなくインデックスファンドなので間違えないように気を付けてください。

2007年から長く人気のある商品で、総資産額は1,504億円もあります。積立NISA対象の商品では現在ダントツで多く、今後も安定した運用が期待できます。

名前にあるとおり、運用会社はセゾン投信になっています。その後についているバンガードは、みんなご存知の米国バンガード社のことです。

???「ヴァンガードしようぜ!」

出典「セゾン投信

セゾン投信が顧客から集めた資金でバンガードの投資信託を買うというファンズオブファンズ形式で投資をしています。

間接的にバンガードの投資信託に投資できることになります。ETFではなく、未上場のミューチュアルファンドになっています。

間接的にバンガードの商品を買うものでは、最近発売されたばかりの「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」と「楽天・全米株式インデックス・ファンド」があります。こちらはミューチュアルファンドではなくETFを買付するのが違いです。

実質的な投資先は次の通りです。

出典「セゾン投信

投資内容は、株式と債券が半分ずつの割合で固定されています。株式は攻め、債券は守りの資産と考えられているので、この割合は攻守バランスの取れた比率だといわれています。

それぞれの内訳の中では、時価総額基準で割合が決められています。このグラフでは地域ごとに分かれていますが、先進国の割合が全体の80%を占めています。

多くの人は為替リスク取り過ぎだと思うのではないでしょうか?

シーゲル二郎は為替リスク自体は問題ないと思いますが、先進国債券の比率が全体の半分も占めているのはバランスが悪いです。

先進国債券は、長期リターンが日本国債に毛が生えた程度しか期待できないのに、為替リスクは大きいです。そのため、リスクに対するリターンが割に合いません。

参考記事「外国債券不要論

先進国債券はほぼ不要、または分散効果を期待してほんの一部だけ保有するだけでいいはずです。そのため、先進国債券が半分近くを占めているセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドはあまり好きではありません。

また、信託報酬にも問題があります。

ファンズオブファンズ形式の場合、信託報酬が二重になるため割高になることが多いです。

セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドは、信託報酬が年0.68%±0.03%となっています。

販売が開始された2007年当初では、他の追随を許さない圧倒的な低コストでしたが、現在の他社商品と比べると、むしろ高めともいえる水準です。

信託報酬のうちバンガードのファンドにかかる分は約1.8%しかありません。残りの0.5%はその他の委託・受託・販売会社の取り分になっており、かなり高額です。

参考に新発売された楽天と比較してみます。

信託報酬の内訳(セゾンは合計0.68%と仮定)

ファンド名 バンガード その他 合計
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド 0.1832% 0.4968% 0.68%
楽天・全世界株式インデックス・ファンド 0.11% 0.1296% 0.2396%
楽天・全米株式インデックス・ファンド 0.04% 0.1296% 0.1696%

 

セゾン取り過ぎだろ!

楽天は2017年9月29日に設定したばかりの後発なので、セゾンより低いのは当然ですが、それを踏まえてもセゾン側の取り分の多さが目立ちます。

楽天のほうは、合計の信託報酬で考えてもほぼ最安値クラスです。

セゾンのほうは類似商品がありませんが、単体のインデックスファンドを組み合わせると0.2%を切ることも可能です。バランスファンドはリバランスの手間はコストがかからないので単体と直接比較することはできませんが、あまりにも差があり過ぎです。

自分で調整すれば、年間0.5%近くの信託報酬を節約できます。バランスファンドのメリットを踏まえても、ちょっと高すぎかと思います。

投資内容のバランスが悪い&信託報酬が高すぎるということで、世間の評判の割にはそこそこな問題児です。とはいえ、初心者が1つで分散投資するという意味では悪くありません。

株式と債券が半分半分という内容だと、「世界経済インデックスファンド」や「SMT世界経済インデックス・オープン」などが競合商品になります。

株式と債券の割合は同じだけど、内訳がどちらもGDPによって決められており、新興国比率が全体の3~4割を占めています。新興国債券比率も高いので、よりバランスが悪い内容になっています。

セゾンでは新興国は株式にごくわずか含まれているだけなので、かなり大きな違いです。

これら以外のバランスファンドだと、日本国内への投資を重視している商品ばかりです。

悲しいですが、消去法でバランスファンドを選ぶと生き残るのがセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドです。

また、積立NISAでは現在先進国債券中心のバランスファンドが存在していないので、組み合わせで再現することができません。

いくらセゾンのブランドが強いとはいえ、他社が類似商品を低コストで販売すれば多少顧客は奪える気がしますが、全くその気配がないのが不思議です。

先行者利益といってしまえばそれまでですが、積立NISAが始まる今のタイミングなら十分勝算はあるのではないでしょうか?

シーゲル二郎は信託報酬が良心的な「楽天・全米株式インデックス・ファンド」をひたすら積立する予定なので必要ありませんがね。

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