楽天・全米株式インデックス vs 本家VTI

シーゲル二郎です。

楽天から販売された「楽天・全米株式インデックス・ファンド」が大人気で、2017年9月28日から運用が始まったにもかかわらず、総資産額は5億円近く集まっています。(以下:楽天VTI)

おさらいですが、バンガードの人気ETFである「バンガード・トータル・ストック・マーケット(VTI)」をひたすら買い続ける投資信託です。(以下:本家VTI)

本家VTIは非常に人気がありますが、海外ETFなのでドルでしか買えなかったり、配当金再投資ができずに不便です。そして何より少額から投資しずらいので、シーゲル二郎のような貧乏人には無縁の商品です。

そこで乗り出したのが楽天であり、手数料を差っ引いていく代わりに、貧乏人でも投資しやすいようにしたのが楽天VTIという訳です。

主な差をまとめると次の通りです。(1ドル=100円として計算)

楽天VTI 本家VTI
投資対象 米国株式 米国株式
信託報酬 0.1696%+α 0.04%
売買手数料※ なし 片道0.486%
為替手数料※ なし 0.005~0.25%
配当利回り 0% 約2%

※手数料はSBIネット証券を参考にしています。

本家ETFの売買手数料は片道0.486%ですが、最低5ドルの手数料がかかるので、一度の取引金額を10万円くらいにしないともっとかかります。

為替手数料は1ドルあたり0.25銭が基本ですが、FXで10,000ドル単位で両替すれば大幅に節約できるようです。

楽天VTIの場合、配当金は自動的に再投資されます。投資信託なので、自動積立にも対応しています。その一方本家VTIは海外ETFなので、売買で手数料がかかるし、配当金が発生するので再投資が面倒です。

ですが、それを有り余って補うのが圧倒的な信託報酬の安さです。楽天VTIは当然楽天の取り分があるので、信託報酬は高めです。(それを踏まえてもかなり低コストですが)

また、ETFは上場している金融商品で、売買するときは投資家同士でやり取りがされるので、取引で税金や売買手数料が発生しない仕組みになっています。

しかし、投資信託では現物の資産(今回はVTIそのもの)を保有しているので、顧客の解約などがあれば売買手数料や税金が発生してしまいます。

信託報酬では、実際には0.1696%と0.04%以上の差がついてしまうでしょう。

今回は、積立NISAの40万円を20年間という条件で比較してみます。シーゲル二郎は貧乏人代表なので楽天VTIびいきをしてしまいます。そのため、あえて楽天VTIに不利な条件で勝負させてみます。

共通条件
・それぞれ毎年40万円を積立投資していく。
・本家VTIは積立NISAで投資できないが、無理やりできるものとする。
・本家VTIは本来不可能だが、ピッタリの額を投資できるものとする。
・トータルリターンは毎年7%とする。(値上がり益5%、配当利回り2%)
・ロールオーバーは考えず、20年目で運用は終了とする。

楽天VTI側

・信託報酬は0.1696%だが、隠れコストを考慮して実質コスト0.3%と仮定する。
配当金は20年間一切でないとする。
配当金はファンド内部で源泉徴収10%を引いた1.8%を再投資する。

本家VTI側

・信託報酬は面倒だから0.00%とする。(実際0になる可能性もあるし)
・売買手数料と為替手数料は合わせて片道0.5%とする。
・配当金は源泉徴収10%を引いた1.8%を再投資する。
配当金は課税口座で再投資する。源泉徴収は全て取り戻せるとして20%を引いた1.6%を再投資する。

 

少しわかりずらいですが、毎年値上がり5%、配当利回り2%と仮定してトータルリターンを計算します。全体として本家VTI側に有利な設定かと思います。

現行NISAだと海外ETFの買付手数料無料とかそういうこと言わない。

楽天VTIは配当金を出さないというところだけ都合がいいですが、これが出てしまったら投資信託最大のメリットがなくなってしまうのでカンベンしてください。

配当金が出ないとすれば、毎年40万円の枠を使うことができますが、配当金が出る本家VTIでは、2年目以降配当金を積立NISAの中で投資することができません。

1年目に40万円投資すれば年間で税引後7,200円の配当金がもらえますが、2年目に追加資金40万円を用意しているなら積立NISAの枠内で投資できません。

あらかじめ枠が決まっているのなら、配当金が出ないというのは事実上の非課税枠の拡大ともいえます。

参考記事「積立NISAではETFではなく投資信託を選ぼう

したがって、本家VTIの配当金は全て課税口座で運用することにします。ただし、米国の源泉徴収10%は全額取り戻せるとします。

それぞれの結果を表すと次の通りです。

(ほぼ一緒やん…)

このグラフは、それぞれの評価額を表したグラフです。楽天VTIについては、手数料や税金はファンド内で完結するので、そのままのグラフにしています。

本家VTIについては、それぞれの年度で売却したと仮定した場合の評価額です。

グラフでは小さい差ですが、実際はそこそこあります。(単位:円)

 経過年数  楽天VTI  本家VTI
 1年目  426,000  415,811
 2年目  879,690  875,565
 3年目  1,362,870  1,358,796
 4年目  1,877,456  1,874,978
 5年目  2,425,491  2,426,264
 6年目  3,009,148  3,014,947
 7年目  3,630,743  3,643,471
 8年目  4,292,741  4,314,439
 9年目  4,997,769  5,030,625
 10年目  5,748,624  5,794,985
 11年目  6,548,285  6,610,669
 12年目  7,399,923  7,481,032
 13年目  8,306,918  8,409,649
 14年目  9,272,868  9,400,331
 15年目  10,301,604  10,457,135
 16年目  11,397,208  11,584,389
 17年目  12,564,027  12,786,699
 18年目  13,806,689  14,068,978
 19年目  15,130,123  15,436,457
 20年目  16,539,581   16,894,713 

 

1~4年目は売買手数料の関係で楽天VTIが有利ですが、それ以降は本家VTIが有利です。(当然ですけど)

40万円×20年間で投資した800万円はどちらも1,600万円をこえ、2倍以上になりました。その差額は355,132円です。

割合で考えると、楽天VTIのほうが約2.1%ほど損しています。とはいえ、楽天VTIと本家VTIには信託報酬の差が年間0.3%もありましたが、思っていたより減っていないような気がします。

本家VTIは、配当金が毎年枠からはみ出るので、評価額のうち約316万円が通常の課税口座になっています。20年目の売却では約16万円のキャピタルゲイン税が発生しています。そのため、思ったよりは差が出なかったことになります。

とはいえ、積立NISAの仕組みを踏まえても本家VTIのほうが有利でした。評価額で考えれば差は2.1%ですが、投資額800万円を引いた利益額で考えると差は大きくなります。

楽天VTI…8,539,581円の利益
本家VTI…8,894,713円の利益

楽天VTIのほうが儲けが4%ほど低くなっています。やはり投資信託は貧乏人の代用ETFといわざるを得ないですね。

とはいえ、今回のシュミレーションは楽天VTIにはかなり不利に設定しているので、実際の差は縮むはずです。

ですが、現行NISAでは海外ETFの買付手数料無料の証券会社が多いので、現行NISA対決であれば楽天VTIの完敗になります。

金持ちの皆さんは安心して現行NISAでVTIなりVDCに投資していってください。

今回はVTI対決でしたが、全世界株式のVT対決もやってるのでよろしければご覧ください。

楽天VT vs 本家VT

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楽天・全米株式インデックス vs 本家VTI” に対して1件のコメントがあります。

  1. stockkatu より:

    いつも拝見しています。
    楽天VTIはSBI証券や楽天証券で購入するとポイントが付与されるので、ここを考慮するとまたちょっと違う結果になるかと思いました。
    気が向いたらこの観点も考察に加えて頂けると嬉しいです。

  2. シーゲル二郎 より:

    いつもありがとうございます。
    確かにポイントも重要な要素ですね。
    時間があるときに計算してみたいと思います。

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