BtoB < BtoC
シーゲル二郎です。
世界一の投資家ウォーレン・バフェット氏は、消費者の知名度が高いビジネスへの投資を好んでいます。
具体的には、コカ・コーラ(KO)、アメリカン・エキスプレス(AXP)、ウェルズ・ファーゴ(WFC)などです。それぞれ炭酸飲料、クレジットカード、町の銀行ということで、消費者になじみ深いBtoC企業といえます。
一般的には、法人向けにビジネスを行うBtoB企業よりも、BtoC企業のほうが長期投資に向いているといわれています。BtoB企業の特徴をまとめると、次の通りです。
①知名度
BtoB企業は、そもそも法人向けなので、一般人の知名度は低いです。そのため、広告の必要性も低くなっており、マーケティングで企業価値を上げたりすることが難しく、愚直に商品やサービスの質を上げていくしかありません。
②ブランド効果
知名度と被りますが、商売相手は法人なので、ブランドはあまり関係なく、いかに相手の希望に合うものを安く高品質で用意できるかが全てです。相手企業の購買部とのやり取りになるため、取引に複数の社員がかかわることになり、ブランド指名買いなどはあり得ません。
ブランド力というよりは、取引先との信頼が重要です。かといって、信用を勝ち取っても強気な値段をつければ交渉の余地をあたえてしまうため、法外なボッタくりはできません。
③事業安定性
気まぐれで取引先を変えられることはないので、競争力を保っている間は安定しています。裏を返せば、強力な競合の台頭で大きな影響を受けます。顧客をつなぎとめるのが値段と品質しかないので、取引継続であっても、値引き交渉をされてしまう可能性もあります。一度の取引量が多いため、取引先を奪われれば窮地に追い込まれてしまいます。
④就職難易度
日本だけの話かもしれませんが、就職先ランキングを見ると、銀行、保険、製造メーカーなどの知名度が高い企業がずらずら並んでいます。投資するうえでは関係なさそうな気がしますが、人気が高いということは、優秀な社員が集まりやすいことでもあり、給料以外の魅力があることにもなります。
BtoB企業はいわば「隠れ優良企業」に分類されてしまい、就職する人は給料や安定性などの堅実を求める人が流れやすくなります。これはBtoBの問題というよりは、知名度が低いが故の欠点ともいえます。
いろいろまとめましたが、BtoCは上記の反対ということです。知名度は高いので、広告によるマーケティングが非常に重要です。日用品メーカーのP&Gや、ウォルト・ディズニーはみんなに広く知られていること自体が強みなので、多額の広告費を払っています。
また、一度ブランドが根付けば、「ブランド指名買い」が発生するので、強気な値段設定でも顧客が離れにくくなります。
ディズニーランドに行きたい人は他の遊園地は見向きもしないので、入園料が高くても客は入ります。
iPhoneを使っている人は、クソダサいandroidなんて見向きもしないでアップル社のiPhone8を買います。
どれだけボッタくりであろうと、顧客の心を掴んでいる間は好き勝手にビジネスをすることが可能です。莫大な利益を得ることができれば、次の広告や研究開発ができるので、長期にわたってブランドと競争力を保つことができます。
逆に言えば、ブランド力を保てないBtoC企業は悲惨です。ブランド力がない企業は値下げするしかないので、ますます利益が減り、最終的には資金がショートして倒産してしまいます。
バフェット氏が好むのも、強力なブランドを築き、ボロ儲けしている企業です。上記のような消費者が同じ商品やサービスを使わざるを得ない企業を、消費者独占企業といいます。
ブランド力を活かせないBtoB企業は、おのずとコモディティ化しやすく、競合と値下げ合戦や開発合戦に巻き込まれがちだということです。
これらの理由から、「BtoB < BtoC」という一般論が成り立ってしまうのです。
とはいえ、これはあくまで企業の勝ち組負け組を表しているにすぎず、投資リターンの勝ち組負け組になるかはわかりません。
参考記事「理解できない企業には投資しないという傲慢」