楽天VT vs SBI全世界株式(旧:EXE-iつみたてグローバル)
つみたて次郎です。
インデックス投資では、時価総額に基づいて全世界株式を保有するのが1つの最適解となっています。
世界の株式市場の平均点を常に得ることができる優秀な投資法です。
全世界株式に投資できる投資信託としては、現在次の2つが有力です。
・楽天・全世界株式インデックス・ファンド(以下:楽天VT)
・SBI・全世界株式インデックス・ファンド(以下:SBI全世界株)
※SBIのほうは以前は「EXE-iつみたてグローバル(中小型含む)株式ファンド」という名称でした。
いずれも連動指数は「FTSE Global All Cap Index」となっていますので、基本的な内容は同じです。
しかし、詳細を見ていくと結構違う部分があるので、解説していきたいと思います。
まずは各基本情報を一覧にまとめてみます。(2019/3/1時点)
楽天VT | SBI全世界株 | |
設定年月日 | 2017/9/29 | 2017/12/6 |
総資産額 | 約264億円 | 約36億円 |
信託報酬 | 0.222% | 0.117% |
投資先ETF数 | 1本 | 3本 |
この手の比較の場合、信託報酬が真っ先に上がることが多いですが、今回はそれ以外に注目して解説していきます。
設定年月日は楽天VTのほうがやや早いとはいえ、総資産額には大きな差がついています。
また、両社とも海外ETFを間接的に投資するファンド・オブ・ETF形式を採用していますが、楽天VTは「バンガード・トータル・ワールド・ストック(VT)」を1本保有するだけに対し、SBI全世界株は3本のETFを組み合わせて指数に連動させています。
そしてその比率は現在、だいたい米国50%+米国外40%+新興国10%となっています。
しかし、ベンチマークである「FTSE Global All Cap Index」指数は、あくまで時価総額に基づいた比率になるため、この割合は徐々に変わっていくことになります。
また、実はSBI全世界株が投資している海外ETF3本は「FTSE Global All Cap Index」とは直接関係ない指数に連動しています。
これはつまり、似たような動きをするETFを大体の割合で組み合わせることで指数への連動性を目指していることであり、ベンチマーク指数との連動性を重視していないということになります。
商品設計の時点で、SBI全世界株は致命的な弱点を抱えていることになります。
このような歪な設計になった背景は、楽天VTのライバル商品としての投入はもちろん、つみたてNISA制度も大きく影響しています。
つみたてNISAでは、金融庁指定のインデックス指数以外は全てアクティブファンドとして認定されてしまいます。
アクティブファンドの場合、継続的な資金流入や運用実績という条件が必要になってしまうため、楽天VTよりも低い信託報酬でつみたてNISAのインデックスファンド対象になるようにした結果、このような運用方法になったのではないかと推測できます。
信託報酬ではSBI全世界株のほうが低いですが、その他の運用コストやトラッキングエラーを考慮した隠れコストではEXE-iつみグロが大きく不利です。
運用ETFが3本であること・そもそも指数へ連動させることが難しいこと・総資産額の増加に大きな差があることなどを考慮すると、かなり厳しいのではないかと思います。
そもそも、ファンド・オブ・ETFという仕組み自体が現時点では未知数であり、VTに投資するだけの楽天VTですら大きな下方乖離をしばしば出しています。
このあたりを気にするのであれば、そもそも現物運用のeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を買ったほうが良いという結論になってしまいそうですね。
しかし、日本株を含めた全世界株という需要はかなり大きいので、楽天VT or SBI全世界株で悩んでいる人も多いのではないかと思います。
つみたて次郎は、この2択ならば断然「楽天VT」を選びます。
どちらも運用期間が短いため、実質コスト等で比較することはできませんが、現時点で決定的な違いがあります。
それは、楽天VTのネームバリューです。
楽天VTの運用会社は「楽天投信投資顧問」であり、名前の通り楽天グループの1つです。楽天市場・楽天カードなどが有名で、日本での知名度は抜群です。
その一方、SBI全世界株は「SBIアセットマネジメント」であり、SBIグループの1つです。SBIネット銀行・SBIネット証券などのネット金融機関でトップシェアです。
これらの投資信託は、どちらかといえばこれから投資を始める初心者向けなので、馴染み深い楽天のほうがブランドとしてはやや有利ではないかと思います。
これはまだよいとして、投資先のETFで考えるととてつもない差が開いています。
まず、楽天VTが投資している「バンガード・トータル・ワールド・ストック(VT)」は、おそらく日本で1番有名な海外ETFといっても過言ではありません。
運用会社であるバンガード(vanguard)はインデックスファンドのさきがけでもあり、運用実績や金融商品のレベルもダントツです。
少しインデックス投資をかじった人なら知っているレベルの超有名企業です。
その一方、SBI全世界株は、シュワブやSPDR(スパイダー)と言ったブランドのETFであり、知名度は天と地の差です。スパイダーはともかく、シュワブを知っているのはよほどのマニアだけでしょう。
バンガードのVTは、「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」という総選挙でもかつて1位を獲得しており、直近の2018年でもETFでは唯一のベスト10入りとなっています。
参考記事…「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2018」が発表されたらしい
「VT」で検索するだけで、投信ブロガーの記事もゴロゴロ出てきます。
楽天+バンガード+VTという3つの要素が、ある意味ブランドの1つとして確立している状態です。
通常投資では、人気や流行を追いかけるのは高値掴みにつながり危険ですが、インデックスファンドには当てはまりません。
同じ指数に連動する商品同士なら、人気のあるなしはリターンに影響しません。
むしろ人気があったほうが総資産額が増えやすいので、隠れコストの削減や繰上償還リスク軽減につながります。
インデックスファンドは、指数が同じなら人気があるほうが有利になります。
インデックス型投資信託には、人気やシェアそのものが強みになるネットワーク効果があります。下方乖離をやらかしまくっている「ニッセイ外国株」が一定の評価を得ているのを見れば明らかです。
総資産額でもネームバリューでも圧倒している楽天VTに極めて有利な状況といえます。
さらに致命的な要素として、楽天VTは主要ネット証券(楽天・SBI・マネックス・松井など)の幅広い販路を確保しているにもかかわらず、SBI全世界株は同グループであるSBI証券のみでの取り扱いです。
さらに、楽天とSBIの場合もらえるポイントにも差があります。
楽天証券 | SBI証券 | |
楽天VT | 0.048% | 0.03% |
SBI全世界株 | (取扱なし) | 0.03% |
SBI全世界株の保有でもらえるポイントは0.03%ですが、楽天VTは楽天証券で保有することで0.048%のポイントをもらうことができます。
ポイントはあくまでおまけに過ぎませんが、これほど低コスト同士の勝負であれば無視できません。楽天証券の場合、ポイントで投信買付ができるので利便性にも優れています。
まとめると、楽天VTの強みは次の通りです。
・運用方法がシンプル
・総資産額に大きな差がある
・ブランド力に大きな差がある
・販売経路が広い
・ポイント付与率で有利
これほど有利ならば、仮に楽天VTの実質コストが多少高かったとしても安定性をとって楽天VTを選びたくなってしまいます。
現時点では未知数ですが、実質コストによほど大きな差がつかない限り、つみたて次郎はSBI全世界株よりも楽天VTへの投資をオススメします。
※追記…2018年10月31日よりeMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー)が登場し、日本株含めた国際分散投資が1本で可能になりました。
※2019年1月20日追記…第1回運用報告書が発表されました。
参考記事…SBIインデックスファンド(全世界株・先進国株・新興国株)の第1回運用報告書から実質コストを計算してみる
参考記事…【2018年分】楽天VTとSBI全世界株の月別騰落率を比較
投資するなら非課税口座で
どちらも「つみたてNISA対象商品」になっているので、非課税で運用できる「つみたてNISA口座」で積立することができます。
当ブログでは、楽天証券でのつみたてNISA口座開設をおすすめしています。
特に楽天カード決済で投信積立をすると1%がポイント還元されるので非常にオトクです!
参考記事…つみたてNISA×楽天証券×楽天カードで資産運用を始めよう!
外部リンク…楽天証券(公式)
また、それぞれ確定拠出年金(iDeCo)でも投資することが可能になっています。
楽天VTの場合は楽天証券、SBI全世界株はSBI証券でiDeCo対象商品に選ばれています。
外部リンク…【楽天証券】個人型確定拠出年金(公式)
外部リンク…SBI証券 個人型確定拠出年金(公式)
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楽天VT次郎