バンガード・米国外高配当株式(VYMI)を分析。VYMと対になるスマートベータ系ETF
つみたて次郎です。
今回は、バンガード・米国外高配当株式(VYMI)を分析していきます。
米国を除く先進国株や新興国株のうち、配当利回りが市場平均を超える銘柄に投資することができます。
バンガード・米国高配当株式(VYM)の米国外版といえます。ティッカーもVYMのInternationalと考えるとしっくり来ます。
バンガード・FTSE・オールワールド(除く米国)ETF(VEU)から高配当株をスクリーニングしたETFという見方もできます。
ただし現在、国内の証券会社からは購入することができません。
投資したい場合、海外の証券口座を開設する必要があるため非常に面倒です。
つみたて次郎を含む多くの人にとっては現時点で投資不可能なETFですので、ご了承ください。
目次
VYMIとVEUを比較(2018/8/31)
時価総額加重平均で幅広く米国外株式市場をカバーしている、VEUと各種データを比較します。
項目 | VEU | VYMI |
信託報酬 | 0.11% | 0.32% |
銘柄数 | 2,712 | 923 |
PER | 13.6倍 | 11.8倍 |
PBR | 1.6倍 | 1.4倍 |
売買回転率 | 4% | 8% |
配当利回り | 2.94% | 3.64% |
各指標は割安になっており、売買回転率も十分抑えられていて魅力的です。
それだけに、信託報酬が割高なのは非常に惜しいポイントですね。
しかもVYMIが設定されたのは2016年2月からですが、当初の信託報酬は0.30%だったので、バンガードETFでは非常に珍しい値上げの改定が行われています。
それでも他社のETFに比べれば圧倒的に低コストですけどね。
高配当ETFではありますが、幅広い銘柄に分散されているためさほど配当利回りが高くないのはVYMと似ています。
地域別割合について(2018/8/31現在)
地域 | VEU | VYMI |
ヨーロッパ | 43.0% | 52.30% |
アジア太平洋 | 29.7% | 19.90% |
カナダ | 6.0% | 7.1% |
新興国 | 20.6% | 19.90% |
その他 | 0.7% | 0.8% |
VEUと比較すると、アジア太平洋が10%ほど少なく、その分ヨーロッパが10%程度多くなっています。
アジア太平洋の約半分は日本株ですので、相対的に日本株アンダーウェイトになっています。
国別の構成比率トップは多い順に、VEUが日本・イギリス・フランスとなっていますが、VIGIでは
イギリス・スウェーデン・オーストラリアとなっています。
セクター比率について(2018/8/31現在)
セクター | VEU | VYMI |
金融 | 22.25% | 34.98% |
情報技術 | 11.69% | 2.25% |
一般消費財 | 11.18% | 6.98% |
資本財 | 11.50% | 7.42% |
生活必需品 | 9.71% | 9.87% |
素材 | 8.39% | 6.98% |
ヘルスケア | 7.93% | 6.18% |
エネルギー | 7.31% | 12.25% |
コミュニケーション | 3.89% | 6.49% |
不動産 | 3.15% | 2.06% |
公共事業 | 3.00% | 4.98% |
高配当株≒割安株という側面もあるため、相対的に金融セクター株が多く組み込まれています。
その一方、情報技術セクターは極端に少なくなっています。
コミュニケーションサービスセクターは多めになっていますが、これは旧分類の電気通信セクター企業が多く採用されているからだと思われます。
トータルリターン(2018/9/21現在)
市場平均(VEU)と比較したチャートは次の通りです。
設定されたのが2016年2月であるため、それ以降の比較になります。
現時点では残念ながらVYMIのほうが低いリターンになっているようです。
低コストで面白いETF
直近の成績は良くありませんが、低コストで米国外株のスマートベータ的運用が可能なETFは非常に貴重です。
配当利回りが高い株式は、相対的に市場からの期待が低かったり、株主還元に積極的な成熟企業が多いため、割安な優良銘柄を抽出できる可能性が高いです。
また、米国企業に比べその他先進国企業や新興国企業は株主への利益還元が徹底されていないことも多いため、配当でスクリーニングする意味もより大きいのではないかと思います。
とても面白いETFですが、国内証券会社から購入できないのは非常に残念ですね。
つみたて次郎が今一番欲しいETF
つみたて次郎が米国版のVYMを熱狂的に支持しているのは周知の事?かと思います。
参考記事「VTIとVYMの配当利回りの差から考える、高配当戦略で犠牲になるリターンは年間○%」
参考記事「高配当戦略は最も無難なバリュー株投資」
参考記事「高総還元性向ETFが発売されたら高配当ETFは用済み?」
参考記事「つみたて次郎がETFの売買回転率を気にする理由」
つみたて次郎は現状米国株に集中投資していますが、その大きな理由の1つに高配当やバリューといったスマートベータ的運用を低コストで行うことができる利点があります。
しかし米国外の株式においては、なかなか低コストで運用できる商品がありません。
そんな中で、VYMIは(多少割高とはいえ)十分許容できる水準の信託報酬になっていたり、売買回転率も非常に低くつみたて次郎の好みドンピシャともいえる内容です。
例えばVYM+VYMIでポートフォリオを組めば、全世界の高配当株をカバーすることができます。
全世界株の高配当株に投資するETFとしてはウィズダムツリー 世界株 高配当ファンド(DEW)が存在していますが、こちらは信託報酬が0.58%となっています。
VYMの信託報酬は0.08%・VYMIの信託報酬は0.32%なので、その差は歴然です。
また、新興国株を対象としたスマートベータ系の投資信託やETFは、国内証券会社で買える範囲でもいくつか存在していますが、米国外先進国株をメインの対象としているものは皆無です。(ほぼ米国株と抱き合わせ)
VYMIのの8割以上は米国外先進国株となっており、その意味でもオンリーワンな金融商品といえます。
米国外株式に投資しつつインカム収入を重視したい、シーゲル流的な意味で国際分散された高配当株式に投資したいという需要は結構ありそうなので、ぜひ国内証券会社でも取り扱いされたらいいなと思います。
せめて日本上陸が難しいなら、どうにかして間接的に投資できればいいなぁ…。
まとめ
(絶対ない)
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