売買手数料が無料なノーロード投資信託は長期投資に向いてない?
つみたて次郎です。
現在低コストなインデックスファンドのほぼ全てが、購入時手数料がかからないノーロード投資信託となっています。
購入時手数料は取引する証券会社ごとに異なりますが、大抵のネット証券であれば無料になっていたり、そもそも投信自体に購入時手数料が設定されていないことが多いです。
特にインデックス投信においては、いかにコストを抑えてベンチマークに近いリターンが得られるかどうかが全てですので、コストには細心の注意を払う必要があります。
一般的に投信のコストといえば、保有中にかかる信託報酬や隠れコストのことを指すことが多いです。
本来は購入時手数料も重要なポイントですが、上記の通り現在ではノーロード型が主流なため、あまり議論されることはありません。
今となっては「無料で当たり前」といえる状況です。
それどころか、購入時にポイント還元されるサービスも登場しています。
参考記事「楽天カードで投信の積立が可能に!ポイント還元1%分もしっかり再投資可能!」
購入時手数料について
投資信託の購入時手数料は、ファンドで決められた割合の中で販売会社が設定することができ、販売会社が徴収します。
多くのファンドでは0~3%くらいで定められています。
ネット証券では、購入時手数料をゼロにしているところがほとんどです。
当然ながら、同じ投信を買うのであれば購入時手数料がゼロの証券会社を選ぶべきです。
最近登場したファンドの場合、そもそも購入時手数料がゼロになっていることも多いです。
ちなみにつみたてNISAの場合、購入時手数料が無料でないと対象商品になることができません。
信託財産留保について
※9月27日…誤解を生む表現がありましたので項目全体を削除しました。結論への影響はありません。
ノーロード投信=長期投資向け?
頻繁に売買せず長期で保有する場合、コストをどれだけ抑えられるかが重要になります。
保有中に発生する信託報酬等はもちろん、売買手数料も重要なポイントです。
そのため一般的には、長期投資ならばノーロード投信を選ぶべきだという意見が大多数を占めています。
これ自体はつみたて次郎も同意ですが、本来ノーロード投信という仕組みそのものは、長期保有者にとって不利な仕組みです。
私たちが負担する手数料がゼロだとしても、ファンドの内部では日々売買が発生しています。
それはファンドが必要な株式や債券を市場から買うためだったり、受益者がファンドを売却する際に支払う現金を捻出するため等です。
投資信託の運営もビジネスなので、一定の利潤を確保する必要があります。
売買手数料が無料ということは、その分のコストが信託報酬等に上乗せされていると考えていけば、売買に伴うコストは間接的に受益者が払っていることになります。
ファンドを頻繁に売買するような人が増えるほどコストは増えるし、逆にファンドを頻繁に売買する人が少なければコストは減ります。
確実に言えるのは、頻繁に売買する人もしない人も、ノーロード投信では同じだけの負担が発生するという点です。
どれだけ売買しても受益者自身は手数料がかからない訳ですからね。(信託保留財産は除く)
ノーロード投信は、頻繁に売買する人に有利・頻繁に売買しない人に不利な商品設計ということです。
ノーロード投信自体は超優秀
ここまでだと、ノーロードファンドは長期保有に不利という印象になってしまいますが、現実的な問題として長期保有するならばノーロード投信一択です。
なぜなら国内投信の多くは、次の2種類に分類されるからです。
・売買手数料が高い&信託報酬も高い
・売買手数料が低い&信託報酬も低い
本来であれば売買手数料が高いほど信託報酬における販売会社分を減らせるはずなので、互い違いの組み合わせになりそうですが、実際には超高コスト投信と超低コストの二極化になっています。
信託報酬が十分に安い商品を選んでいけば、自然とノーロード投信にぶつかるという状態です。
当然ですが、信託報酬等の条件が同一であれば売買手数料が安いほうがいいに決まっています。
「ノーロードだから優秀」ではなく「優秀なのはだいたいノーロード」ということですね。
こんな投信あったらいいな
上記の組み合わせを互い違いにしてみると、面白い商品が生まれそうです。
・売買手数料が高い&信託報酬が低い
国内ではほとんど存在しない組み合わせといっていいでしょう。
例えばですが、購入手数料が2%かかるけど信託報酬はゼロという投資信託があれば、長期保有者にとっては素晴らしい商品になりそうです。
ただし購入手数料だけでは販売会社ばかり儲けてしまうため、販売会社にも利益が行きわたるような調整は別途必要になります。
現在の仕組みでは実現不可能ですが、運用コストを前払いで回収するビジネスモデルという発想は面白いのではないかと思います。(需要があるかは別にして)
※後払いで回収=信託財産留保を高めに設定するという発想もありますが、売却されない限り利益がゼロになってしまうため厳しそうです。
購入手数料は初回に単利で発生するコストに過ぎないため、長期で保有するほど有利な商品になります。
ノーロード投信の真逆のコンセプトであるといえます。
ここまで聞くとなんだか胡散臭いですが、実はこれって投資信託VS海外ETFと同じ構図なんですよね。
海外ETFは、売買手数料や為替手数料が発生する代わりに、信託報酬が激安になっているため、長期保有では投資信託よりも有利とされています。
これも投資家の目線で考えれば、購入手数料が高い&信託報酬が安いという組み合わせであるといえますね。
ノーロード投信は必要悪
ノーロード投信という仕組み自体は長期保有者にとって不利です。かといってノーロード投信で短期売買を繰り返すくらいならETFのほうが良いのではという矛盾もあります。
その一方、売買手数料が無料であるというのは、これから投資を始める人にとっては安心できる材料であり、投資を普及させていくためには大きなアピールポイントになるのではないかと思います。
ただでさえ投資=ギャンブルという認識がある現状では、購入時点でマイナスからスタートするのは大きなストレスになりかねません。
投資信託=ノーロードで当たり前というイメージが根付いた現状では、ノーロード以外の工夫を凝らした商品が出たとしても、つみたて次郎のようなマニア以外には見向きもされないでしょう。
金融機関にとっても個人投資家にとっても、ノーロード投資信託は一層重要な役割を果たすのではないかと思います。
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ノーロード次郎