SBIインデックスファンド(全世界株・先進国株・新興国株)の第1回運用報告書から実質コストを計算してみる
つみたて次郎です。
SBIアセットマネジメント㈱が運用するSBIインデックスファンドシリーズの第1回運用報告書が出ていましたので実質コスト等調べていきたいと思います。
下記3商品について考察していきます。
・SBI・全世界株式インデックス・ファンド(SBI全世界株)
・SBI・先進国株式インデックス・ファンド(SBI先進国株)
・SBI・新興国株式インデックス・ファンド(SBI新興国株)
決算期間と日数について
略称 | 決算期間 | 日数 |
SBI全世界株 | 2017/12/6~2018/11/12 | 346日 |
SBI先進国株 | 2018/1/12~2018/11/12 | 304日 |
SBI新興国株 | 2017/12/6~2018/11/12 | 346日 |
いずれも第1回目なので、決算期間の開始日=ファンドの設定年月日となっています。
SBI先進国株だけ少し遅れて設定されているので、決算期間も短くなっています。
信託報酬について
信託報酬は次のようになっています。
略称 | 親ファンド信託報酬 | その他信託報酬 | 合計 |
SBI全世界株 | 0.042% | 0.108% | 0.15% |
SBI先進国株 | 0.0345% | 0.081% | 0.1155% |
SBI新興国株 | 0.13% | 0.0648% | 0.1948% |
投資信託を経由して別のファンド(投資信託・ETF)を保有するファンド・オブ・ファンズ形式になっているため、運用会社にかかる費用とは別に親ファンドの信託報酬も実質的に負担することになります。
その合計が一般的に言われる信託報酬に該当します。いずれも非常に低コストな水準になっています。
それだけに信託報酬外に発生しているコストが気になりますね。
実質コストの計算方法
SBI全世界株を例に挙げてみます。
出典「SBIアセットマネジメント」一部加工
SBI全世界株の第1回運用報告書の一部です。
資料中の(a)信託報酬は、親ファンド経由で実質的に負担している信託報酬は除かれています。
SBI全世界株の場合、親ファンド以外に発生している信託報酬は0.108%です。
ですが今回決算期間が1年間に満たないため、上記報告書では0.101%と記載されています。
つまり0.108÷0.101%≒1.06931%の補正をかけることで1年間当たりの費用を求めることができます。
決算期間における全体の費用は0.281%だったので、
0.281%×0.93519%≒0.30048%
これが親ファンドの信託報酬を除いた実質コストとなります。
SBI全世界株における親ファンド信託報酬は0.042%ですので、
0.30048%+0.042%=0.34248%
これで最終的な実質コストを求めることができました。
ここから信託報酬0.15%(0.042%+0.108%)を引いてあげれば信託報酬以外の隠れコストになります。
0.34248%-0.15%=0.19248%
これで全てのコストを求めることができました。
各ファンドの実質コスト
上記計算を行った各結果は次の通りです。
略称 | 信託報酬 | 隠れコスト | 実質コスト |
SBI全世界株 | 0.15% | 0.19428% | 0.34248% |
SBI先進国株 | 0.1155% | 0.27516% | 0.39066% |
SBI新興国株 | 0.1948% | 0.17316% | 0.36796% |
全世界株と新興国株は十分な結果ではないかと思います。
同じようなコンセプトで運用される楽天バンガードシリーズの全世界株及び新興国株よりも低い水準になっています。
参考記事…楽天バンガードの第1回運用報告書から実質コストを計算してみる【VT・VTI・VWO・VYM】
ただし先進国株はやや高めの隠れコストになっていますね。
一般的には隠れコストは新興国株>全世界株>先進国株の順になっていることが多いですが、今回は全く逆の結果になっています。
運用報告書だけでは確認できないコストの影響が他ファンドより大きいのではないかと予想できます。
SBI全世界株と楽天VTを比較
SBI全世界株とベンチマークが同じであり、ライバル関係にある楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天VT)と比較します。
信託報酬及び直近の実質コストは次の通りです。
略称 | 信託報酬 | 隠れコスト※ | 実質コスト |
SBI全世界株 | 0.15% | 0.19428% | 0.34248% |
楽天VT | 0.2296% | 0.2724% | 0.5020% |
※それぞれ直近の運用報告書より。決算期間が異なるため参考程度に。
もし運用報告書が正しくファンドのコストを表すのであれば、SBI全世界株が0.15952%程度アウトパフォームすることになります。(0.5020%-0.34248%)
ただし運用報告書から求められる実質コストもあくまで参考値に過ぎないため、指数の乖離等も考慮した真のコストについては基準価格から逆算するしかありません。
設定日や決算期間が異なるのでどの期間で区切っても不公平な部分は生じてしまいますが、大きな乖離が発生しやすい設定直後を避けた2018年1月4日~2018年12月28日の1年間における基準価格と騰落率を比較します。
略称 | 2018/1/4 | 2018/12/28 | 騰落率 |
SBI全世界株 | 10,361円 | 8,965円 | -13.47360% |
楽天VT | 10,631円 | 9,181円 | -13.63935% |
SBI全世界株が0.16575%アウトパフォームしており、実質コスト差に近い数値が出ています。
ただし異なる決算期間を基準とした実質コストをベースに無理やり比較しているので、割り引いて考える要はあります。
また、SBI全世界株の設定日である2017年12月6日から直近(2019年1月18日)で比較すると逆に楽天VTが0.176%ほどアウトパフォームしていたりするので、コスト面からの優劣を決めるにはまだまだ早計ですね。
SBIインデックスの今後は
複数のETF等を組み合わせて運用するという複雑な仕組みを持つSBIインデックスファンドシリーズですが、思っていたより隠れコストが低いのは以外でした。
特に注目を浴びているSBI全世界株は、少なくとも楽天VTと互角以上の成績になっているためとりあえず一安心ですね。
ただし、SBIインデックスファンドシリーズの根本的な問題はコスト面ではなく、不人気や販路の狭さで純資産総額が増えにくい環境になってしまっていることです。
参考記事…楽天バンガード vs SBIインデックスファンド(旧:EXE-iつみたて)
2018年1月18日現在、楽天VTの純資産総額が166億円なのに対し、SBI全世界株は17億円しかありません。
SBI全世界株が極端に少ないという訳ではありませんが、10倍近い差は流石に無視できません。
なので以前から主張している通り、よほど大きなコスト差が判明しない限り逆転は難しいと思われますし、今回の結果はその範疇に入らないでしょう。
参考記事…楽天VT vs SBI全世界株式(旧:EXE-iつみたてグローバル)
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SBI次郎
SBI全世界株の保管費用が0.083とやや割高なのはなぜだと思われますか?
ホームページ、いつも楽しく拝見しています。
>>三様
いつも応援ありがとうございます。
SBI全世界株の保管費用が新興国株より高いのもそうですが、むしろ先進国株が圧倒的に低くなっているのが不可解ですね。
ETFの本数が関係しているのかと思いましたが、3本(全世界株)と2本(先進国株)で大きな差がつくとも考えにくいですし、10%ほど混ぜられているエマージングETFがそれほど悪さするとも考えにくいです。
申し訳ないですが全く見当もつかないです。
まったくもって謎ですね。次年度を楽しみにします。
こんばんは。いつも楽しみに読ませていただいております。
今、新興国株はスリム先進国株を積み立てているのですが、以前から韓国が入っているのに少し違和感を感じていました。SBI新興国株は実質コストがスリム新興国株とほとんど変わらないようですので、積み立てを変更してもいいレベルでしょうか。
>>masamasa様
どうもこんばんは。いつもありがとうございます。
報告書上のコストは非常に低く収まっていますが、類似ファンドと基準価格で比較できないのがもどかしいですね。
一応韓国抜きでは楽天VWOが近い存在ですが、指数は違うのでコスト面の優劣をつけるのも難しそうです。(年率リターンも結構な差が出ています)
SBI新興国株も楽天VWOも新しいファンドなので、コスト面で安心するのはまだ早いかもしれません。
とはいえ新興国株における韓国の比率はそこそこあるので、納得できないファンドを保有するくらいなら多少のコスト高を許容して変更してもよいレベルではないかと思います。
どっちつかずの回答で恐縮ですが参考になれば幸いです。
つみたて次郎様
コメントありがとうございます。SBI新興国株とスリム新興国株、どちらも一長一短あるので、しばらく考えてみたいと思います。ご意見参考になりました。