楽天バンガードの第1回運用報告書から実質コストを計算してみる【VT・VTI・VWO・VYM】
つみたて次郎です。
待ちに待った、楽天バンガードシリーズの第1回運用報告書が発表されました。
下記4商品の報告書について分析していきたいと思います。
・楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天VT)
・楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)
・楽天・新興国株式インデックス・ファンド(楽天VWO)
・楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド(楽天VYM)
運用報告書には、信託報酬以外に発生する費用(=隠れコスト)が記載されているため、実際に保有するうえで発生する実質コストを計算して求めることができます。
今回は、実質コストを計算しながら考察していきたいと思います。
決算期間と日数について
各ファンドの決算期間とその日数は次の通りです。
略称 | 決算期間※ | 日数 |
楽天VT | 2017/9/29~2018/7/17 | 291日 |
楽天VTI | 2017/9/29~2018/7/17 | 291日 |
楽天VWO | 2017/11/17~2018/7/17 | 242日 |
楽天VYM | 2018/1/10~2018/7/17 | 188日 |
いずれも第1回目なので、決算期間の開始=ファンドの設定年月日となっています。
実質コストの計算方法
楽天VTを例に挙げてみます。
出典「楽天投信投資顧問」一部加工
これは、楽天VTの運用交付報告書の一部です。
資料中の(a)信託報酬は、投資元であるバンガードETFにかかる信託報酬は除かれています。
楽天VT含め今回考察する4商品は、いずれも信託報酬が投資元ETFの信託報酬+0.1296%になっています。
しかし(a)信託報酬には0.098%と記載されており、0.1296%と一致していないため、年間当たりに変換する必要があります。つまり、
0.1296% ÷ 0.098% ≒ 1.32245(倍)
という補正が必要になります。同期間では0.304%の費用が掛かっているため、
0.304% × 1.32245倍 ≒ 0.4020%
これが投資元ETFの信託報酬を除いた実質コストになります。
楽天VTの投資元はバンガード・トータル・ワールド・ストック(VT)であり、その信託報酬は0.10%であるため、
0.4020% + 0.10% ≒ 0.5020%
これが楽天VTの最終的な実質コストになります。
逆にここから元の信託報酬である0.2296%(=0.10%+0.1296%)を引くと、信託報酬以外の隠れコストになります。
0.5020% - 0.2296% = 0.2724%
これで全てのコストを計算することができました。
各ファンドの実質コスト
上記計算を行った結果は次の通りです。
略称 | 信託報酬 | 隠れコスト | 実質コスト |
楽天VT | 0.2296% | 0.2724% | 0.5020% |
楽天VTI | 0.1696% | 0.1416% | 0.3112% |
楽天VWO | 0.2696% | 0.3312% | 0.6008% |
楽天VYM | 0.2096% | 0.2575% | 0.4671% |
いずれも隠れコストは高めという悲しい結果になっています。
先日eMAXIS Slimシリーズの運用報告書が更新されましたが、比べてみても割高感は否めません。
参考記事「eMAXIS Slim 第1回運用報告書から実質コストを計算してみる」
特に隠れコストが多くなりがちな新興国株クラスでは、楽天VWOの隠れコストが0.3312%なのに対し、eMAXIS Slim 新興国株式では0.18552%と大きな差が開いています。
楽天バンガードの行方はいかに
楽天バンガードは、いずれも海外ETFの買付のみを行うファンド・オブ・ETFともいえる独自の運用システムを採用しています。
そのため隠れコストがどの程度になるかは多くの人が気になっていましたが、第1回報告を見る限りでは残念な結果となってしまいました。
ETFを買うだけだからコストはほとんどかからないかも…という淡い期待もありましたが、少なくともその線はナシと考えたほうが良いかもしれません。
リターンを大きく毀損するような水準ではありませんが、楽天VTIと楽天VYMを保有しているつみたて次郎は残念な気持ちです(泣)
とはいえ、まだ設定から1年も経過していない状態なので、来年以降は大きく減少する可能性も十分ありそうです。
また今度詳しく考察してみたいと思います。
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楽天バンガード次郎
早速の細かい解説、ありがとうございます。
さらりと楽天証券に問い合わせたら、こんな回答でした???
平素より楽天証券をご愛顧いただきまして、誠にありがとうございます。
お問い合わせの件につきまして、ご案内申し上げます。
現在投資積立にて設定中の、「楽天・全米株式インデックス・ファンド」
につきましては、投資信託のお取引となります。
投資信託はファンドにより手数料が異なり、当該銘柄の弊社での
買付手数料は無料です。
また、解約時信託財産留保額もかかりません。
ファンドの管理費用(含む信託報酬)につきましては、
0.1696%(税込み)です。
なお、「信託報酬」は、間接的に負担していただく費用で、
換金の際に差し引かれる費用ではございません。
運用・管理にかかる費用となり、信託財産の中から販売会社
である弊社、運用会社、受託銀行が一定の割合でお預りします。
年率でご案内しておりますが、日々信託財産から差し引かれます。
従いまして、信託報酬が差し引かれたものが基準価額となり、日々
公表されております。
詳細は目論見書等でご確認くださいますよう、お願い申し上げます。
この他にも、ご不明な点がございましたらお問い合わせください。
今後とも楽天証券をお引き立ていただきますようお願い申し上げます。
楽天証券株式会社
カスタマーサービスセンター
コメントありがとうございます。
記載されている内容は特に本記事とは矛盾しなさそうですが、何か気になった部分はありましたでしょうか?
あ、今回はイニシャルコストが・・・みたいな格好いい回答を期待していたので、なんか素人だからはぐらかされたのかな?と思いまして、失礼しました。
>>通りすがり様
なるほど意図が分かりました(笑)
問い合わせの回答としては期待はずれでしたね。
やっぱりか、楽天。という印象です。
分かりやすい解説ありがとうございました。
>>匿名様
参考にしていただきありがとうございます。
第2期については多少落ち着きそうな感じなので、併せてごらんいただければ幸いです。
参考記事…https://siegeljiro.com/rakuten-kyukagetsu