eMAXIS Slim 第1回運用報告書から実質コストを計算してみる
つみたて次郎です。
低コストファンドとして人気の高いeMAXIS Slimシリーズですが、2018年6月26日に1回目の運用報告書がそれぞれ発表されました。
運用報告書には、信託報酬及びその他費用が記載されており、概算で隠れコストを計算することができます。
本記事では、信託報酬以外のコストを「隠れコスト」、信託報酬含む全コストを「実質コスト」と表記します。
通常これらは、特に断りがなければ1年間当たりのコストをさします。しかし、運用報告書で記載されている決算期間はまちまちです。
今回は例として、eMAXIS Slim 先進国株式インデックスの運用報告を見ながら説明していきます。
出典「三菱UFJ国際投信」一部加工
先進国株式の運用報告書の一部です。
いろんな数字が出ていますが、基本的には赤い模様のついた3か所チェックすれば十分です。
まず、一番上に決算期間が載っており、2017年2月27日~2018年4月25日における費用であることが分かります。該当期間の日数は422日となるので、後でこれを1年間に換算する必要があります。
次に信託報酬を見ると、0.184%となっており、公表されている年間当たりの信託報酬0.11826%と一致しません。
一致しない原因としては、決算期間がちょうど1年間ではないことに加え、年度途中で信託報酬の引き下げが発生するからです。
Slim先進国株式の場合、2018年1月より信託報酬が0.20412%→0.11826%に引き下げられていますので、仮に決算期間がちょうど1年でも中途半端な数字になります。
422日間における信託報酬が0.184%、その他費用含む全体が0.276%ですので、
0.276%-0.184%=0.092%
先進国株式における422日当たりの隠れコストを求めることができました。
これを1年間単位に直したいなら、422分の365をかけてあげれば求めることができます。
0.092%×365/422≒0.07957%
この0.07957%が、先進国株式の1年あたりの隠れコストとなります。
Slim先進国株式の現時点における1年間あたりの信託報酬は0.11826%ですから、
0.11826%+0.7957%=0.19783%
これがSlim先進国株式における、1年間当たりの実質コストになります。
もし来期において信託報酬の引き下げ等がなく、運用にかかる費用にも大きな増減がなかった場合、この程度の実質コストになると考えることができます。
先進国株式以外のSlimシリーズについてもまとめていきます。
決算期間及び該当期間における隠れコスト
ファンド略称※ | 決算期間 | 隠れコスト |
国内株式(TOPIX) | 422日 | 0.007% |
日本株式(日経平均) | 82日 | 0.002% |
先進国株式 | 422日 | 0.092% |
新興国株式 | 268日 | 0.136% |
国内債券 | 422日 | 0.003% |
先進国債券 | 422日 | 0.024% |
バランス(8資産均等型) | 351日 | 0.059% |
※正式名はいずれも「eMAXIS Slim ○○インデックス」となります。
まずは、それぞれの決算期間と隠れコストです。日本株式(日経平均)については、設定年月日が2018年2月2日と比較的最近なので、決算期間も短くなっています。
そしてこれらの情報をもとに、先進国株式同様1年あたりに換算した結果がこれです。
1年あたりの信託報酬及び隠れコスト及び実質コスト
ファンド略称※ | 信託報酬 | 隠れコスト | 実質コスト |
国内株式(TOPIX) | 0.17172% | 0.00605% | 0.17777% |
日本株式(日経平均) | 0.17172% | 0.00890% | 0.18062% |
先進国株式 | 0.11826% | 0.07957% | 0.19783% |
新興国株式 | 0.20520% | 0.18552% | 0.39072% |
国内債券 | 0.15012% | 0.00259% | 0.15271% |
先進国債券 | 0.18360% | 0.02075% | 0.20435% |
バランス(8資産均等型) | 0.17280% | 0.06135% | 0.23415% |
※正式名はいずれも「eMAXIS Slim ○○インデックス」となります。
この表における信託報酬は、普段使っている年間当たり信託報酬そのままです。
計算して求めた概算の隠れコストを足すことで、来期における実質コストを予想することができます。
国内資産クラスのみである日本株式2つは非常に低く、管理費用がかさみやすい新興国株式や、リバランス等の管理が必要なバランス(8資産均等型)はやや高めになっています。
いずれも極端な高コストにはなっておらず、元々の信託報酬の低さもあり、最終的な実質コストは驚異的な低水準です。
つい先日、ニッセイが<購入・換金手数料なし>シリーズの信託報酬引き下げを発表し、最安値の座は奪われてしまいましたが、実質コストを踏まえればまだまだeMAXIS Slimシリーズに分がありそうです。
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Slim次郎