今回はいつもと少し趣を変えて、単一国ETFを分析していきます。
第一弾はiシェアーズ・MSCIサウジアラビア(KSA)です。
名前の通り、サウジアラビアの株式全体に投資できる海外ETFとなっています。
比較対象は、新興国株式全体をカバーしているiシェアーズ・MSCIエマージング(EEM)とします。
それぞれのデータをまとめていきます。
KSA(サウジ株) | EEM(新興国株) | |
信託報酬 | 0.74% | 0.68% |
銘柄数 | 72銘柄 | 1,227銘柄 |
PER | 16.80倍 | 14.22倍 |
PBR | 1.75倍 | 1.61倍 |
配当利回り | 2.20% | 2.91% |
新興国の単一ETFだけあって、銘柄数は72と少なめです。
バリュエーションについて特筆するところはありませんが、配当利回りが低めなのはちょっと意外でした。
信託報酬は0.74%とかなり高めです。
EEMとさほど変わらないように見えますが、新興国株ETFというジャンルで考えればバンガードのVWOが0.10%で存在していますので、単一国の比率を挙げたい場合は相応のコストを払う必要がありそうです。
KSA(サウジ株) | EEM(新興国株) | |
金融 | 46.33% | 26.82% |
素材 | 25.22% | 7.06% |
コミュニケーションサービス | 7.42% | 4.11% |
エネルギー | 5.67% | 7.30% |
生活必需品 | 4.88% | 6.72% |
一般消費財 | 4.02% | 6.33% |
公共事業 | 2.58% | 2.75% |
ヘルスケア | 1.98% | 2.85% |
資本財 | 1.89% | 5.21% |
情報技術 | 0.00% | 30.85% |
金融と素材で全体の7割以上を占めていたり、情報技術がゼロになっていたりと、非常にクセの強いセクター比率となっていますね。
個人的にはエネルギーセクター比率があまり高くなくて驚きました。
銘柄 | セクター | 構成比率 |
アルラジ銀行 | 金融 | 12.32% |
サウジ・ベーシンク・インダストリーズ | 素材 | 9.52% |
ナショナル・コマーシャル・バンク | 金融 | 8.37% |
サウジ・アラビアン・オイル | エネルギー | 5.66% |
サウジ・テレコム | コミュニケーションサービス | 5.36% |
サンバ・ファイナンシャル・グループ | 金融 | 4.14% |
リヤド銀行 | 金融 | 4.11% |
バンク・サウジ・フランシ | 金融 | 3.20% |
サウジ・ブリティッシュ・バンク | 金融 | 2.96% |
アルインマ・バンク | 金融 | 2.88% |
上位10銘柄 | 58.33% |
上位10銘柄で全体の6割近くを占めています。
時価総額比で半分弱が金融セクターなだけあって、上位10銘柄のうち7つが金融セクター企業になっています。
特に注目したいのは、サウジ・アラビアン・オイル・カンパニーについてです。
あまり聞きなれない企業ですが、サウジアラムコと言えばピンとくる方も多いかと思います。
世界最大の石油株式会社であり、2019年12月にはサウジアラビア国内で念願の株式上場が達成されました。
時価総額は2兆ドルに迫り、あのアップル(AAPL)を優に超える全業種中世界最大の企業といえます。
しかし、国営企業であるがゆえ浮動株比率はかなり低く、浮動株調整後時価総額だとそこまで大きな割合を占めているわけではないようです。
参考記事…浮動株調整後時価総額加重平均とは?
それを反映して、KSAにおける構成比率も6%弱と、企業規模から考えるとかなり控えめな組み込まれ方となっています。
KSAの設定は2015年とかなり最近なので、設定来のチャートを比較してみます。
出典「PORTFOLIO VISUALIZER」一部加工
プラスリターンにはなっていますが、広範囲なインデックスファンドには負けており、今のところ良い所なしです。
これだと期間が短すぎるので、サウジアラビア上場株全銘柄で構成されているサウジ・タダウル全株指数のチャートも張っておきます。
出典「Investing.com」
1998年以降のデータですが、なかなか恐ろしいチャートですね…。
2006年1月2日につけた最高値(19,502.65ポイント)から2009年1月2日の底値(4,384.59ポイント)で見ると77.5%の大暴落を経験しています。
ちなみにリヤル円の為替レートを考慮すると円建てで82.4%の暴落となります(辛)
また、直近では原油価格の暴落を受け、指数も大きく暴落しています。
出典「Investing.com」
典型的な資源国の動きで、良くも悪くも原油価格に左右されやすいです。
投資対象・コスト面で考えてつみ次郎が投資することはほぼなさそうですが、そもそも国内証券では取り扱いされていないようです(お約束)
今回KSAを分析しようと思ったのはサウジアラムコの構成比率がどんなもんなのか知りたかったからです。
結果としては、サウジアラビア株式インデックスの中でもわずか5%ほどしか組み込まれておらず、その影響力はそこまで大きいとは言えません(今後増える可能性はありますが)
サウジアラビア株式自体が新興国株の中でそこまで大きな割合を占めているわけではありませんので、新興国株式インデックス、さらに広範囲の全世界株式インデックスにおける構成比率はほんのわずかであると考えられます(別記事でまた考察します)
その一方、サウジ・タダウル全株指数とは別にサウジアラムコ株を採用するといった案もあるようなので、今後ダイナミックに増得る可能性もあります。
外部リンク…アラムコ株、終値でも2兆ドル突破 国際指数組み入れで
もしかしたら遠い将来、全世界株式インデックスファンドの構成比率トップがサウジアラムコになっているかもしれませんね(壮大)
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アラビアン次郎
つみたて次郎です。
今回は、iシェアーズ・エッジMSCI Min Volグローバル(ACWV)を分析していきます。
全世界の低ボラティリティ株にフォーカスしたスマートベータ系ETFで、前回紹介したUSMVのグローバル版といえます。
比較相手はiシェアーズ MSCI ACWI(ACWI)とします。
それぞれのデータをまとめていきます。
ACWV(低ボラ) | ACWI(全体) | |
信託報酬 | 0.32% | 0.33% |
銘柄数 | 446銘柄 | 2,286銘柄 |
PER | 22.1倍 | 19.4倍 |
PBR | 2.45倍 | 2.45倍 |
配当利回り | 2.26% | 1.89% |
信託報酬はなぜか低ボラ版のほうが低いです(笑)
とはいえ、シンプルな全世界株ETFが欲しいならVT(信託報酬0.08%)というライバルが存在しますので、比較すると割高感は否めません。
また、米国版のUSMVに比べると銘柄数の差が大きく、かなり絞られたポートフォリオになっているといえます。
ACWV(低ボラ) | ACWI(全体) | |
金融 | 28.20% | 19.82% |
生活必需品 | 12.84% | 7.92% |
コミュニケーションサービス | 10.57% | 2.87% |
資本財 | 9.69% | 10.97% |
情報技術 | 9.51% | 21.77% |
公共事業 | 8.26% | 3.26% |
一般消費財 | 8.09% | 11.83% |
ヘルスケア | 7.57% | 11.54% |
素材 | 4.52% | 4.65% |
エネルギー | 0.74% | 5.38% |
銘柄数の少なさを反映してか、セクター比率にも大きな特徴があります。
ボラティリティの高そうな金融の比率が市場平均よりも大分高いのは意外です。
また、情報技術の比率が低く、コミュニケーションサービスの比率が高いです(元電気通信セクター銘柄が多いから?)
順位 | 銘柄 | 地域 | セクター | 構成比率 |
1位 | WM | 米国 | 資本財 | 1.15% |
2位 | NESN | スイス | 生活必需品 | 1.11% |
3位 | SREN | スイス | 金融 | 1.10% |
4位 | ED | 米国 | 公共事業 | 1.08% |
5位 | PEP | 米国 | 生活必需品 | 1.02% |
6位 | NEE | 米国 | 公共事業 | 1.00% |
7位 | MCD | 米国 | 一般消費財 | 0.99% |
8位 | V | 米国 | 情報技術 | 0.97% |
9位 | 9437 | 日本 | コミュニケーションサービス | 0.96% |
10位 | KO | 米国 | 生活必需品 | 0.90% |
国別の構成比率は市場平均とあまり変わらず、過半数は米国が占めています。
ちなみに9位の9437はNTTドコモです。
構成比率は一見均等加重のように見えますが、全体で500銘柄近くあるため違うようです。
設定は2011年からと比較的新しいETFなので、設定以来でACWIと対決させてみます。
おまけでVTも参加させます。
ACWIとVTがほぼ一緒なのは当然ですが、ACWVまでリターンはほぼ一緒です(笑)
そして特筆すべきは、そのリターンをより低いリスクで実現しているという点です。
低ボラこそ正義!VTなんていらんかったんや!
実績だけで見れば文句なしですが、セクター比率の偏りは大きいので、その点をどう受け止めるかだと思います。
ディフェンシブなイメージに反して金融セクター比率はかなり高めなので、リーマンショック等の金融危機への耐性という面では多少不安があります。
指標的には割安でもなく、配当利回りもそれほど高くなく、セクター比率ももどかしい…といった具合でヒトを選びそうなETFではありますが、総合的なポテンシャルは高く刺さる人には刺さるタイプの金融商品だと思います。
クセの強いETFの宿命として、国内の証券口座では買付できないのが残念な所ではありますが、もし日本に上陸した場合VTの対抗馬として名前が挙がりそうです。
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低ボラティリティ次郎
今回は、iシェアーズ・エッジMSCI Min Vol米国(USMV)を分析していきます。
読者様からのコメントで初めて知ったのですが(デジャブ)、低ボラティリティな米国株にまとめて投資できるETFとなっています。
投資においては「リスクとリターンは比例する」という大原則がありますが、それに真っ向から抵抗するのが低ボラティリティ効果であり、それを活用した低ボラティリティ戦略を気軽に採用できるETFとなっています。
いわゆるスマートベータ系ETF(つみ次郎の好物)というやつですが、この手のETFを分析する際は「標準的なインデックスと比べてどう違うか?」が重要です(デジャブ2)
米国株を広くカバーしているS&P500に連動するiシェアーズ・コアS&P500インデックス(IVV)と比較していきたいと思います。
それぞれのデータをまとめていきます。
USMV(低ボラ) | IVV(S&P500) | |
信託報酬 | 0.15% | 0.04% |
銘柄数 | 208銘柄 | 505銘柄 |
PER | 25.75倍 | 23.54倍 |
PBR | 3.54倍 | 3.6倍 |
配当利回り | 1.88% | 1.99% |
さすがに信託報酬はIVVにかないませんが、0.15%と十分低いです。
銘柄数も200を超えており、そこそこの分散具合な感じですね。
バリエーション的には、PERや配当利回りは割高・PBRは割安となっていますが、そこまで大きな差はありません。
USMV(低ボラ) | IVV(S&P500) | |
情報技術 | 18.37% | 24.53% |
金融 | 16.07% | 12.48% |
生活必需品 | 11.98% | 7.09% |
ヘルスケア | 10.87% | 13.82% |
公共事業 | 8.56% | 2.98% |
不動産 | 8.12% | 2.98% |
一般消費財 | 8.11% | 9.77% |
資本財 | 7.08% | 8.96% |
コミュニケーションサービス | 5.58% | 10.46% |
素材 | 2.94% | 2.50% |
エネルギー | 2.08% | 3.74% |
その他 | 0.25% | 0.31% |
情報技術・コミュニケーションサービスが少なめ、生活必需品・公共事業・不動産が多めという大体イメージ通りのバランスになっています。
個人的には、ディフェンシブセクターの一角であるヘルスケアセクターの比率が少ないのが意外です。
とはいえ全体的にそこまで偏った部分はなく、良くも悪くもバランスの取れたセクター比率となっています。
順位 | 銘柄 | 構成比率 |
1位 | ニューモント(NEM) | 1.65% |
2位 | ビザ(V) | 1.59% |
3位 | コカ・コーラ(KO) | 1.58% |
4位 | ネクストラ・エネルギー(NEE) | 1.56% |
5位 | マクドナルド(MCD) | 1.53% |
6位 | ペプシコ(PEP) | 1.52% |
7位 | ウェイスト・マネジメント(WM) | 1.51% |
8位 | リパブリック・サービシズ(RSG) | 1.50% |
9位 | ベライゾン・コミュニケーション(VZ) | 1.41% |
10位 | ヤム・ブランズ(YUM) | 1.28% |
なんかジャンクフード系の企業多くないですかね(笑)
セクター別比率だと生活必需品・一般消費財が特別多いわけではないので、これらの大手はボラティリティの低い銘柄が多いという事でしょうか?
IVV(S&P500)では構成上位に君臨するGAFA系の企業が一切含まれていないのはお約束です。
また、構成比率の決め方は時価総額加重ではなく、均等加重でもないようですが、どのようなルールなのかはよく分かりませんでした(辛)
設定は2011年からと比較的新しいETFなので、設定以来でIVVと対決させてみます。
トータルリターンでは若干負けていますが、低ボラティリティらしくリスクは抑えられています。
正直ボロ負け(笑)していると思っていたので、かなり意外でした。
上昇相場でもそれなりに食いつき、価格変動リスクは低い…スタート直後にこけることが多いスマートベータ系ETFとしては十分すぎる実績だといえます。
信託報酬は十分低く、セクター比率の偏りも自然で、そして過去の実績も十分…かなり有力なETFではないでしょうか?
つみ次郎としては低ボラティリティ効果に対して懐疑的な見方をしていますが、ここまで低コストであればサテライト的に保有してポートフォリオのバランスを取る役目を預けたいレベルです。
あわよくば低ボラティリティ効果による超過リターンを狙えますし、仮に市場平均に劣後したとしてもリスクを抑えた安定運用ができたと考えることができますので、ある意味ではどちらに転んでもおいしいETFといえます。
低ボラティリティETFだからといって、いかなる場面でも市場平均に比べて変動が少ないとは言い切れませんが、守りながら増やすという理想的な方針に近い内容ではないかと思います。
まぁ低ボラティリティ戦略自体がローリスクハイリターンを狙うという欲張りな投資法ですからね(笑)
前回紹介したiシェアーズ MSCI EAFEバリュー(EFV)もそうですが、iシェアーズのスマートベータ系ETFは興味がそそられる銘柄が多くありそうですので、今後も紹介していきたいと思います。
ただ、やはりお約束かスマートベータ系ETFは国内証券であまり取り扱いされておらず、どちらもSBI証券・楽天証券・マネックス証券では買えません(辛い)
現時点では容易に買うことはできませんが、いずれ来る(と思う)米国株取り扱い銘柄拡張を夢見て、情報を収集していきたいと思います。
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低ボラティリティ次郎
今回は、iシェアーズ MSCI EAFEバリュー(EFV)を分析していきます。
読者様からのコメントで初めて知ったのですが、北米を除く先進国株バリュー株にまとめて投資できるETFとなっています。
いわゆるスマートベータ系ETF(つみ次郎の好物)というやつですが、この手のETFを分析する際は「標準的なインデックスと比べてどう違うか?」が重要です。
そのため、バリューもグロースも全部カバーしているiシェアーズ MSCI EAFE(EFA)と比較していきたいと思います。
それぞれのデータをまとめていきます。
EFV(バリュー) | EFA(全体) | |
信託報酬 | 0.39% | 0.32% |
銘柄数 | 528銘柄 | 943銘柄 |
PER | 12.05倍 | 16.15倍 |
PBR | 1.12倍 | 1.69倍 |
配当利回り | 4.61% | 3.09% |
信託報酬は0.39%と高めですが、各種指標は魅力的に見えますね。
高配当ETFというわけではありませんが、バリュー株≒高配当株になりやすいため配当利回りは5%近くと高水準です。
銘柄数は500を超えており、EFA(全体)でも1,000銘柄以下であることを考慮すると、かなり広い範囲をカバーしているETFといえそうです。
EFV(バリュー) | EFV(全体) | |
金融 | 33.90% | 22.20% |
資本財 | 11.60% | 15.62% |
一般消費財 | 11.50% | 12.50% |
エネルギー | 9.45% | 5.35% |
素材 | 8.40% | 6.99% |
ヘルスケア | 7.11% | 11.92% |
公共事業 | 6.30% | 3.63% |
コミュニケーションサービス | 6.15% | 3.81% |
生活必需品 | 3.46% | 11.14% |
情報技術 | 2.15% | 6.84% |
全体的な傾向としては、バリュー株ETFらしく金融セクター比率が高いですね。
生活必需品セクターが低いのはちょっと意外でしたが、米国外でも生活必需品セクターは割高気味ということですかね。
その他も微妙な差異はありますが、おおむね市場平均に準じたセクター比率といってよさそうです。
EFV(バリュー) | EFV(全体) | |
日本 | 24.63% | 24.48% |
イギリス | 21.90% | 16.70% |
フランス | 10.34% | 11.18% |
ドイツ | 9.71% | 8.64% |
オーストラリア | 6.70% | 6.74% |
スイス | 5.57% | 2.73% |
スペイン | 4.00% | 2.86% |
イタリア | 3.75% | ? |
香港 | 3.06% | 3.33% |
スウェーデン | 2.16% | 2.73% |
オランダ | ? | 3.93% |
国別の比率で見ても、特別大きな特徴は見られないですね。
しいていえばイギリスの比率がやや多いくらい。
なお、個別銘柄別でみるとトヨタ自動車(7203)が構成比率2.23%でトップになっています。
ちなみにEFA(全体)では上位からネスレ(2.26%)、ロシュホールディング(1.62%)、ノバルティス(1.40%)、トヨタ自動車(1.10%)になっています。
トヨタの構成比率がちょうど半分になっていることを考慮すると、時価総額加重でバリュー株上位半分をカバーしているといえそうです。
国内最強企業がバリュー株ETFのトップに組み込まれているというのは、嬉しいのか悲しいのかよく分からないですね(辛)
バリュー株ETFの宿命ですが、過去10年間のトータルリターンについては普通のインデックスにボロ負け状態です。
特にコメントはないです(塩対応)
大元となるETF(指数)と比べ、銘柄数も時価総額も大体半分くらいをカバーしており、セクター比率や国別比率もそこまで違いはありません。
バリュー株を意識しつつ幅広い分散投資が両立されており、つみ次郎としてはかなり好みです。
米国外先進国株バリュー株ETFとして考えた場合、競合は何といってもバンガード・米国外高配当株(VYMI)でしょう。
こちらはバリューではなく高配当であり、新興国株が2割ほど含まれているという違いはありますが、コンセプトとしてはかなり近いです。
配当利回りもかなり近く、信託報酬もそこまで大きな差はない(0.38%と0.27%)ため、なかなか悩ましい選択肢と言えます。
少し高めの信託報酬に目をつむれば有力ファンドと言えそうですが、最大のデメリットは国内証券で取り扱いされていないという点です(多分)
少なくともSBI証券・楽天証券・マネックス証券にはありませんでした(辛)
みんな大好きサ〇ソバンク証券では取り扱いされているようですが、一般口座になってしまうためハードルは高いです(激辛)
米国株ですらバリュー株ETFはそこまで人気があるジャンルとは言えないので、仮に国内証券で取り扱いが開始したり、サク〇バンクが特定口座に対応したとしてもFEVにスポットが当たることは当面ないでしょう(辛辣)
つみ次郎としてはVYMIと並び注目していきたいファンドなので、陰ながら応援していきたいと思います(買うとは言っていない)
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FEV次郎
今回は、エイリス・キャピタル(ARCC)を分析していきます。
米国市場に上場するBDCの一角で、高い配当利回りが魅力です。
BDCはビジネス・デベロップメント・カンパニーの略で、未上場の中小企業への融資によって利益を上げようとする組織の総称です。
未上場に間接的に投資できるという意味では、ベンチャーキャピタルなどに近いジャンルといえそうです。
利益の90%以上を配当することで法人税面での優遇があり、投資家が得られるリターンも配当によるインカムゲインが中心となります。
この仕組みは不動産投資信託(REIT)と非常に似ています。
比較的ハイリスクハイリターンな中小企業への融資&利益の多くを配当という特徴から、配当利回りは高めに推移していることが多いです。
エイリス・キャピタル(ARCC)は、そのBDCの中で最大手銘柄となっており、配当利回りは10%近くなる時もあります。
各種データをまとめてみました。
キャッシュフローはかなり不安定ですが、配当利回りを期待されて買われる銘柄だけあって配当金はかなり安定しています。
上記で紹介した各グラフ過去10年なのでリーマンショック前後が抜けていますが、配当金推移についてはそれ以前も含めグラフにしてみました。
なぜか1つ上で紹介したDPS(配当)と数字が異なっていますが、こちらは公式サイトのデータをもとに作ったのでこちらのほうが正確かと思います。
外部リンク…ARCC Dividends
初年度である2004年を除けばそれなりに安定していますが、結構減配もある感じですね。
リーマンショックでも大幅減少にならなかったのは評価できます。
ARCC各指標(2019年4月29日現在)
1株当たり株価…17.59ドル
配当利回り…8.75%
実績PER…8.73倍
実績PBR…1.03倍
直近の配当実績と現在の株価から求めると、配当利回りは9%近い水準になります。
平常時の株価は横ばいですが、リーマンショック時に大きく下げていることが分かります。
最高値からの最大ドローダウン幅は-82%となっており、世界恐慌みたいな暴落になっています。
最安値時の株価は1株当たり3.6ドルとなっており、当時の配当金(1.47ドル)で計算すると配当利回りはなんと40%越えてしまいます。
結果論に過ぎませんが、底で仕込めればわずか数年で元本を回収できたことになります。
インカムゲイン重視&平常時は比較的安定した株価という特徴を踏まえると、同じく高配当銘柄として高い人気を誇るiシェアーズ 米国優先株式(PFF)と非常に似ています。
PFFは大手金融機関の優先株を中心に投資を行いますが、ARCCは中小企業へのシニアローン(返済順位の高い貸付)が中心となっています。
なのでARCCのほうがより債券的な性質が強いと思われますが、あくまで中小企業への投資が中心ですので不況時の暴落幅はARCCのほうが大きいです。
資産クラスで分類するとジャンク債券ファンドあたりが適切ではないかと思います。
ちなみによく比較されるPFFのチャートはこんな感じです。
リーマンショックで大きく暴落していますが、ARCCを見た後だと大したことなく見えてしまいますね(笑)
PFFの配当利回りは5%前後で推移していますが、もしリーマンショック時に仕込めれば15%くらいの利回りになっていました。
配当収入を得る目的で考えると、良くも悪くもPFFを尖らせたのがARCCといえそうです。
また、ARCCはあくまで個別株なので、ETFであるPFFと違い信託報酬がかからないのは大きなメリットです。
リーマンショック時の暴落はあったものの、平常時においては株価は安定しており、9%近い配当金は大変魅力的です。
配当課税(30%)を考慮しても税引後6%くらいにはなるので、100万円預ければ毎年6万円のお小遣いになります。
しかし税引前9%との利回りというのは、仮にキャピタルゲインが全くゼロだとしても許容できてしまうレベルの超高配当です。
S&P500の超長期名目リターンが6.6%なので、多少のインフレを考慮しても市場平均並みの成績になってしまいます。
今後も配当金が維持され続けるなら大変魅力的な投資先ですが、それだけ暴落や減配のリスクとすぐ隣り合わせであるという視点は必要ですね。
つみ次郎は高配当銘柄が好きですが、あくまで「普通株式」に限ります。
もし普通株で配当利回り9%なんて銘柄があれば「減配リスクの高いボロ株」という評価ですが、その低い期待が高いリターンを生む可能性があると考えることができます。
しかしARCCの場合は安定配当を期待して買われるので、高配当=期待が低いという図式が成り立ちづらくなってしまいます。
なのでPFF同様、ARCCに対してもかなり懐疑的な見方をしています。
個人的な好みでいえば、大型企業選好派なので中小企業への融資ビジネスというのも食指が動かないです(笑)
普通株と高配当銘柄に関する考察についてはPFFの記事に書いてあるのでよろしければ併せてご覧ください。
特にARCCの場合は配当利回り9%という、過去の市場平均と比較しても持続不可能なレベルの水準ですので、見かけ以上にハイリスクハイリターンな銘柄ではないかと思います。
逆に言えば暴落時に絶好の仕込み時になるという見解もありますが、つみ次郎がもし暴落時に仕込むなら「普通株かつハイリスクハイリターン」なSPXLあたりにしたいですね。
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ARCC次郎
今回は、バンガード・トータル・ワールド・ストック(VT)を分析していきます。
バンガード社の海外ETFで、全世界の株式市場を広くカバーする伝統的インデックスファンドです。
項目 | データ |
信託報酬 | 0.09%※ |
銘柄数 | 8,125 |
PER | 15.2倍 |
PBR | 2.0倍 |
ROE | 13.9% |
利益成長率 | 10.4% |
※信託報酬は2019年より0.10%→0.09%に引き下げられました。
参考記事…バンガードETFが信託報酬引き下げ【VT・VWO・VYMなど】
VTに投資するだけで、世界中の様々な株式に投資していると同じ分散効果を得ることができます。
世界中に上場しているあらゆる国に、あらゆる業種の株式をほぼすべて投資をすることになります。
浮動株調整後の時価総額で考えると全世界株式市場の99.5%をカバーしているといわれています。
ある意味VTへの投資は「株式会社地球」への投資といえます(笑)
地域別に見た構成比率は次の通りです。
地域 | 構成比率 |
北米 | 57.2% |
欧州 | 18.8% |
アジア太平洋 | 13.6% |
新興国 | 10.0% |
その他 | 0.4% |
時価総額が大きいほど、浮動株比率が高い地域ほど比率も上がっていきます。
北米は米国+カナダですが、その大部分は米国ですので単独で全体の半分以上を占めていることになります。
日本はアジア太平洋の中に含まれており、単独だと全体の8%くらいの比率になります。
ざっくりした比率だと、日本10%+米国50%+その他先進国30%+新興国10%とイメージするのが分かりやすいかもしれません。
狭義のパッシブ運用(≒インデックス投資)は可能な限り幅広い分散投資を行い、市場平均同等のリターンを得るのが目的となっています。
VTは全世界の株式市場を広くカバーしているため、世界の株式市場と連動して動きます。
逆に言えば、VTの値動きを見ていれば株式市場全体の状況を把握することができると言い換えることもできます。
VTへの投資=あらゆる株式への投資ですので、アセットアロケーションにおける株式クラスを全てVTに任せてしまうということも十分考えられます。
また、リスク資産は株式だけで十分であるという考え方もあるため、究極的にはVT+キャッシュでポートフォリオを完成させてしまうのも有力な選択肢の1つです。
そうでなくとも多くの投資家にとって株式はメインとなる資産クラスであり、その株式クラスを1本で賄うことができるVTは究極のインデックスファンドともいえる存在です。
少し大げさに言えば、インデックス投資家はこのVTを基準に金融商品を取捨選択していくべきといっても過言ではありません。
幅広い分散投資が低コストで可能な超有力商品ではありますが、あくまで米国市場に上場している海外ETFなため利便性の面でデメリットがあります。
基本的にはドルで買付する必要がありますし、配当金もドルで受け取ることになります。
市場で注文するので金額指定して買付はできませんし、自動積み立てなどにも制限があります。
これはVTの弱点というよりは、海外ETF全般の弱点といえます。
そこで登場するのが、国内の投資信託である楽天・全世界株式インデックス・ファンドです。
この投信はファンド内でVTをただひたすら買付するだけという商品設計になっており、実質的には「VTを投資信託化」したような内容になっています。
そのため通称楽天VTと呼ばれていたります。
楽天VTは投資信託なので円で金額指定買付が可能ですし、自動積立もできます。
また、海外ETFである本家VTだとつみたてNISAやiDeCoで投資することは出来ませんが、楽天VTを経由することで間接的に投資することが可能になります。
iDeCoの場合、楽天証券で取扱商品になっています。
参考記事…楽天証券でiDeCo(イデコ)を始めるメリットとおすすめファンド
ただし楽天を経由することで、コスト面で不利になってしまう可能性が高いです。
信託報酬は0.2196%となっており、本家VT自体0.09%+上乗せ分0.1296%という内訳になっています。
ベンチマークとの乖離リスクや繰上償還リスクも高まるため、安定性という意味では本家VTに軍配が上がります。
また、投資信託を用いて株式への国際分散投資を行いたいのであればeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)というライバル商品も存在しており、楽天VTと競合することになりそうです(信託報酬は0.1296%)
数年前まで国内の投信やETFは信託報酬が割高だったので、信託報酬が割安な海外ETF…特にバンガード社のETFについては根強い人気があり、VTはその中心的存在でした。
最近では国内投信の低コスト化が進み、相対的にVT含め海外ETFの魅力は半減しています。
少なくとも信託報酬等のコスト面では、ほぼ同等の水準になっているのではないかと思います。
その一方、海外ETFの強みは莫大な純資産総額がもたらす運用の安定性であり、これは国内の運用会社が逆立ちしてもかなわない要素でもあります。
指数への連動性や、ファンドの永続性という意味ではバンガードETFは圧倒的なアドバンテージがあるといえます。
特にVTはインデックスファンドの基本ともいえる存在であり、インデックス投資家であれば必ずチェックしておきたいところです。
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トータルワールド次郎
今回は、ウィズダムツリー・グローバル高配当株式ファンド(DEW)を分析していきます。
全世界株式を対象とした高配当株ETFです。
直接競合するETFは見当たりませんが、VYM+VYMIポートフォリオが近い内容になります。
それぞれのデータをまとめていきます。
信託報酬 | 0.58% |
銘柄数 | 1,209 |
PER | 14.42% |
PBR | 1.83倍 |
売買回転率 | 21% |
配当利回り | 3.87% |
信託報酬は0.58%と高めになっています。
高配当ETFらしく、各種指標は割安で配当利回りもそこそこ高いです。
同じく高配当ETFであるVYMやVYMIと比較すると売買回転率が高めですが、スマートベータETFとしては標準的な水準だと思います。
お馴染みのVYMやVYMIでは配当利回りの上位約50%が基準になっていますが、DEWでは上位約30%が対象になっています。
また、DEWはその構成比率にも特徴があり、時価総額加重平均ではなく配当加重平均が採用されています。
企業の時価総額ではなく企業が支払った配当総額でウェイトが決定します。
そのため配当利回り上位30%の中でも、利回りが高い企業ほど多く組み込まれることになります。
高配当ETFとしての特徴が強く出ている商品といえます。
セクター | 構成比率 |
金融 | 17.71% |
情報技術 | 6.69% |
一般消費財 | 6.42% |
資本財 | 5.42% |
ヘルスケア | 8.12% |
生活必需品 | 13.42% |
エネルギー | 12.45% |
素材 | 4.09% |
コミュニケーション | 10.05% |
不動産 | 7.27% |
公共事業 | 8.35% |
金融セクターに偏るかなと思っていましたが、意外とそんなでもないですね。
情報技術セクターが市場平均よりかなり低めなのは高配当ETFらしいですね。
エネルギーや公共事業といった高配当セクターの比率も高めになっています。
企業名 | 構成比率 |
エクソンモービル(XOM) | 3.02% |
AT&T | 2.74% |
ベライゾン(VZ) | 2.38% |
シェブロン(CVX) | 1.92% |
プロクター&ギャンブル(PG) | 1.82% |
ファイザー(PFE) | 1.81% |
フィリップモリス(PM) | 1.66% |
コカ・コーラ(KO) | 1.62% |
シスコシステムズ(CSCO) | 1.47% |
ウェルズ・ファーゴ(WFC) | 1.40% |
上位10銘柄合計 | 19.84% |
上位10銘柄は全て米国株となっています。
ここだけ見ればつみたて次郎の好みにかなり近いです。
米国株式比率自体は約54%となっており、市場平均と大きく離れていませんが、米国外で配当重視の大型株はまだまだ少ないのかもしれません。
日本株式の比率は約3.4%とかなり低く、市場平均と比べ半分程度しかありません。
全世界株式の代表としてVTとチャートを比較してみます。
過去10年では大きく負けています。
株価チャートなので配当は含まれていませんが、それを考慮してもボロ負け状態です。
特に市場を大きく引っ張っていた米国グロース株がほとんど組み込まれないのでこのような結果になってしまいました。
信託報酬が0.58%と高めなのも地味に響いているかもしれません。10年なら単純計算で5.8%のコストですからね。
ここしばらくは調子が悪いですが、国際分散された高配当戦略というのはつみたて次郎の好みドンピシャであり、信託報酬さえ安ければ理想的なETFかもしれません。
地域にかかわらず高配当な株を追いかけ続ける渋いETFです。シーゲル流投資を行いたい人は検討できそうですね。
余談ですが、シーゲル教授はウィズダムツリー社のアドバイザーを務めています。
また、DEWはマネックス証券のゼロETF(売買手数料実質無料対象)となっているため、取引にかかるコストを抑えられるのもメリットです。
信託報酬が高いのがやはり気になりますが、総合的には悪くないETFだと思います。
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シーゲル二郎
今回は、バンガード・米国外高配当株式(VYMI)を分析していきます。
米国を除く先進国株や新興国株のうち、配当利回りが市場平均を超える銘柄に投資することができます。
バンガード・米国高配当株式(VYM)の米国外版といえます。ティッカーもVYMのInternationalと考えるとしっくり来ます。
バンガード・FTSE・オールワールド(除く米国)ETF(VEU)から高配当株をスクリーニングしたETFという見方もできます。
ただし現在、国内の証券会社からは購入することができません。
投資したい場合、海外の証券口座を開設する必要があるため非常に面倒です。
つみたて次郎を含む多くの人にとっては現時点で投資不可能なETFですので、ご了承ください。
時価総額加重平均で幅広く米国外株式市場をカバーしている、VEUと各種データを比較します。
項目 | VEU | VYMI |
信託報酬 | 0.11% | 0.32% |
銘柄数 | 2,712 | 923 |
PER | 13.6倍 | 11.8倍 |
PBR | 1.6倍 | 1.4倍 |
売買回転率 | 4% | 8% |
配当利回り | 2.94% | 3.64% |
各指標は割安になっており、売買回転率も十分抑えられていて魅力的です。
それだけに、信託報酬が割高なのは非常に惜しいポイントですね。
しかもVYMIが設定されたのは2016年2月からですが、当初の信託報酬は0.30%だったので、バンガードETFでは非常に珍しい値上げの改定が行われています。
それでも他社のETFに比べれば圧倒的に低コストですけどね。
高配当ETFではありますが、幅広い銘柄に分散されているためさほど配当利回りが高くないのはVYMと似ています。
地域 | VEU | VYMI |
ヨーロッパ | 43.0% | 52.30% |
アジア太平洋 | 29.7% | 19.90% |
カナダ | 6.0% | 7.1% |
新興国 | 20.6% | 19.90% |
その他 | 0.7% | 0.8% |
VEUと比較すると、アジア太平洋が10%ほど少なく、その分ヨーロッパが10%程度多くなっています。
アジア太平洋の約半分は日本株ですので、相対的に日本株アンダーウェイトになっています。
国別の構成比率トップは多い順に、VEUが日本・イギリス・フランスとなっていますが、VIGIでは
イギリス・スウェーデン・オーストラリアとなっています。
セクター | VEU | VYMI |
金融 | 22.25% | 34.98% |
情報技術 | 11.69% | 2.25% |
一般消費財 | 11.18% | 6.98% |
資本財 | 11.50% | 7.42% |
生活必需品 | 9.71% | 9.87% |
素材 | 8.39% | 6.98% |
ヘルスケア | 7.93% | 6.18% |
エネルギー | 7.31% | 12.25% |
コミュニケーション | 3.89% | 6.49% |
不動産 | 3.15% | 2.06% |
公共事業 | 3.00% | 4.98% |
高配当株≒割安株という側面もあるため、相対的に金融セクター株が多く組み込まれています。
その一方、情報技術セクターは極端に少なくなっています。
コミュニケーションサービスセクターは多めになっていますが、これは旧分類の電気通信セクター企業が多く採用されているからだと思われます。
市場平均(VEU)と比較したチャートは次の通りです。
設定されたのが2016年2月であるため、それ以降の比較になります。
現時点では残念ながらVYMIのほうが低いリターンになっているようです。
直近の成績は良くありませんが、低コストで米国外株のスマートベータ的運用が可能なETFは非常に貴重です。
配当利回りが高い株式は、相対的に市場からの期待が低かったり、株主還元に積極的な成熟企業が多いため、割安な優良銘柄を抽出できる可能性が高いです。
また、米国企業に比べその他先進国企業や新興国企業は株主への利益還元が徹底されていないことも多いため、配当でスクリーニングする意味もより大きいのではないかと思います。
とても面白いETFですが、国内証券会社から購入できないのは非常に残念ですね。
つみたて次郎が米国版のVYMを熱狂的に支持しているのは周知の事?かと思います。
参考記事「VTIとVYMの配当利回りの差から考える、高配当戦略で犠牲になるリターンは年間○%」
参考記事「高配当戦略は最も無難なバリュー株投資」
参考記事「高総還元性向ETFが発売されたら高配当ETFは用済み?」
参考記事「つみたて次郎がETFの売買回転率を気にする理由」
つみたて次郎は現状米国株に集中投資していますが、その大きな理由の1つに高配当やバリューといったスマートベータ的運用を低コストで行うことができる利点があります。
しかし米国外の株式においては、なかなか低コストで運用できる商品がありません。
そんな中で、VYMIは(多少割高とはいえ)十分許容できる水準の信託報酬になっていたり、売買回転率も非常に低くつみたて次郎の好みドンピシャともいえる内容です。
例えばVYM+VYMIでポートフォリオを組めば、全世界の高配当株をカバーすることができます。
全世界株の高配当株に投資するETFとしてはウィズダムツリー 世界株 高配当ファンド(DEW)が存在していますが、こちらは信託報酬が0.58%となっています。
VYMの信託報酬は0.08%・VYMIの信託報酬は0.32%なので、その差は歴然です。
また、新興国株を対象としたスマートベータ系の投資信託やETFは、国内証券会社で買える範囲でもいくつか存在していますが、米国外先進国株をメインの対象としているものは皆無です。(ほぼ米国株と抱き合わせ)
VYMIのの8割以上は米国外先進国株となっており、その意味でもオンリーワンな金融商品といえます。
米国外株式に投資しつつインカム収入を重視したい、シーゲル流的な意味で国際分散された高配当株式に投資したいという需要は結構ありそうなので、ぜひ国内証券会社でも取り扱いされたらいいなと思います。
せめて日本上陸が難しいなら、どうにかして間接的に投資できればいいなぁ…。
(絶対ない)
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楽天VYMI次郎
今回は、バンガード・米国外増配株式(VIGI)を分析していきます。
米国を除く先進国株や新興国株のうち、増配される可能性が高い銘柄に投資することができます。
バンガード・米国連続増配(VIG)の米国外版といえます。ティッカーもVIGのInternationalと考えるとしっくり来ます。
バンガード・FTSE・オールワールド(除く米国)ETF(VEU)から連続増配株をスクリーニングしたETFという見方もできます。
ただし現在、国内の証券会社からは購入することができません。
投資したい場合、海外の証券口座を開設する必要があるため非常に面倒です。
つみたて次郎を含む多くの人にとっては現時点で投資不可能なETFですので、ご了承ください。
時価総額加重平均で幅広く米国外株式市場をカバーしている、VEUと各種データを比較します。
項目 | VEU | VIGI |
信託報酬 | 0.11% | 0.25% |
銘柄数 | 2,712 | 312 |
PER | 13.6倍 | 20.4倍 |
PBR | 1.6倍 | 3.1倍 |
売買回転率 | 4% | 9% |
配当利回り | 2.94% | 1.76% |
連続増配に注目したETFですが、配当利回りは市場平均よりも大きく下回っています。
各種指数も割高になっており、米国株版であるVIGとは大きく特徴が異なっている印象です。
VIGと同じく銘柄数は非常に絞られています。
「連続増配に注目したグロース株ETF」といえるかもしれません。
地域 | VEU | VIGI |
ヨーロッパ | 43.0% | 49.5% |
アジア太平洋 | 29.7% | 16.8% |
カナダ | 6.0% | 7.2% |
新興国 | 20.6% | 26.4% |
その他 | 0.7% | 0.1% |
結構違いがありますが、一番の特徴は新興国株式の比率です。
VIGIのほうがより多く新興国株を組み込んでいます。
国別の構成比率トップは多い順に、VEUが日本・イギリス・フランスとなっていますが、VIGIではインド・イギリス・日本となっています。
セクター | VEU | VIGI |
金融 | 22.25% | 9.16% |
情報技術 | 11.69% | 18.70% |
一般消費財 | 11.18% | 10.62% |
資本財 | 11.50% | 9.85% |
生活必需品 | 9.71% | 20.36% |
素材 | 8.39% | 5.93% |
ヘルスケア | 7.93% | 11.54% |
エネルギー | 7.31% | 7.03% |
コミュニケーション | 3.89% | 3.33% |
不動産 | 3.15% | 1.78% |
公共事業 | 3.00% | 1.69% |
VIGIは金融セクターの比率が低く、生活必需品セクターが多くなっています。
またヘルスケアも若干多く、全体的にややディフェンシブなセクター比率になっています。
市場平均(VEU)と比較したチャートは次の通りです。
設定されたのが2016年2月であるため、それ以降の比較になります。
現時点では残念ながらVIGIのほうが低いリターンになっているようです。
直近の成績は良くありませんが、低コストで米国外株のスマートベータ的運用が可能なETFは非常に貴重です。
配当利回りは低いためインカムゲインを重視する人には向いていませんが、将来の配当成長が期待できる点は魅力的です。
また、米国企業に比べその他先進国企業や新興国企業は株主への利益還元が徹底されていないことも多いため、配当でスクリーニングする意味もより大きいのではないかと思います。
米国版連続増配ETFであるVIGでは比較的成熟した巨大企業が多いですが、VIGIではむしろ大きな利益成長を遂げている新興企業が多く組み込まれている印象です。
とても面白いETFですが、国内証券会社から購入できないのは非常に残念ですね。
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VIGI次郎
今回は、「iシェアーズ 米国優先株式(PFF)」を分析していきます。
米国の優先株式にまとめて投資できる海外ETFです。
配当金を多く受け取ることができたり、企業が解散・倒産した時の残存財産を優先的に受け取れるなど、通常の株式と違う権利が付与されている株式のことです。
その代わり、議決権が付与されていないことが多く、株主総会への参加が制限されています。
株価の値動きも穏やかなことも多く、普通株式と債券の中間の性質を持っているといえる資産クラスです。
企業が倒産した場合、残存財産の配分は債券の保有者が優先され株式の保有者は後回しになりますが、優先株式はその中間の立場になります。
項目 | データ |
信託報酬 | 0.46% |
銘柄数 | 303 |
PER | 15.66% |
PBR | 1.23% |
売買回転率 | 22% |
配当利回り | 5.57% |
配当頻度 | 毎月分配 |
信託報酬はETFとしてはかなり割高な水準になっています。
各種指標は割安ですが、優先株式は安定した配当金と引き換えに事業が好調であっても増配や値上がりが期待できないため、他ETFと直接比較するのは不適切かもしれません。
そして最大の特徴は、5%越えの高い配当利回りです。また、毎月ごとに分配されるため、定期的なインカム収入を求める方に人気が高いです。
その一方、毎月分配されるたびに課税されてしまうので、複利効果が弱まってしまうのは大きなデメリットです。
なお、米国株の場合は配当金に対し国内で20%・米国で10%課税されてしまうため、外国税額控除をしない場合受け取れる配当金の利回りは4%前後にまで低下していしまいます。
セクター | 比率 |
銀行業 | 34.68% |
各種金融 | 24.81% |
不動産 | 14.09% |
保険業 | 10.22% |
エネルギー | 3.73% |
公共事業 | 3.21% |
ヘルスケア | 2.23% |
生活必需品 | 1.86% |
資本財 | 1.02% |
セクター比率にも大きな特徴があります。金融に関するセクターだけでも全体の7割近くを占めています。
優先株式は金融セクター企業の資金調達として用いられることが多いため、このようになっています。
リーマンショック時には大きな下落を経験していますが、それ以降は35~40ドル付近で推移しており、ボラティリティは非常に小さいです。
逆にいえば、値上がり益を狙うタイプのETFではなく、リターンのほとんどは配当金によるものになります。
リーマンショックの時も配当金はしっかり維持されたので、当時は利回り15%越えという絶好の買い場でした。
配当金を再投資した場合のトータルリターンは次の通りです。リーマンショック時を除けば、ゆっくり右肩上がりになっています。
ただしこのチャートは、税引き前の配当金を再投資した場合なので、実際の成績はこれよりも低くなります。
一時期米国株クラスタで大流行した、配当利回りに注目する高配当戦略にはピッタリに思えます。
しかし個人的には、課税によるロスが大きすぎるのではないかと考えています。
課税前の配当利回りが約5.5%なので、単純に国内課税20%と米国課税10%を引いたら実際に受け取れるのは4%くらいになってしまい、5.5%-4%=1.5%が税金として引かれてしまいます。
仮に米国課税分を外国税額控除で全額取り戻せたとしても、1%程度の課税ロスは避けられません。
キャピタルゲインがほとんど狙えず、比較的ローリスクローリターンであるPFFにとっては、非常に大きなコストではないかと思っています。
ジェレミー・シーゲル教授は、株式において配当利回りとトータルリターンに相関があるというデータを発表しており、推奨する投資戦略の1つとして「高配当戦略」を挙げています。
その一方、シーゲル教授は平均回帰性などの理由から債券よりも株式への投資を推奨している面もあります。
優先株式は、前述したとおり債券と株式の間ともいえる性質を有しており、安定性の代わりにトータルリターンを大きく犠牲にしています。
シーゲル流投資=高配当含め高いリターンが見込める普通株式への投資であると私は考えているので、PFFはシーゲル銘柄ではないと思っています。
平常時の値動きは債券ETF並に安定しており、配当金も横ばいです。
ただしリーマンショック時には、50%以上の大暴落を経験しています。優先株式に金融セクター企業が多く含まれていることもあり、金融危機に対する耐性には疑問があります。
そのため債券ETFのように、緊急時のクッションにならない可能性がある点には注意しなければなりません。
優先株式である以上、株式を超えるリターンを得るのはほぼ不可能であり、債券のような暴落時の緩衝材としての役割にも疑問が残るPFFは、攻守ともに中途半端ではないかと思っています。
米国株クラスタでも比較的人気の高いPFFですが、個人的にはあまり魅力を感じることができません。
トータルリターンを追求するならば、課税ロス以上の超過リターンを見込むことができないため対象にするのは難しいですし、単にインカム収入を求めるならば、高配当な普通株式ETF+債券ETFのほうが適切ではないかと考えています。
つみたて次郎としては悲観的な評価ですが、その一方高い評価をつけている方も多く、PFFへの投資は意見が真っ二つに分かれている印象があります。
PFFへの投資を検討している人は、特に慎重な投資判断が求められそうですね。
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PFF次郎