税金・課税繰り延べ | つみたて次郎の投資日記 https://siegeljiro.com シーゲル流×積立NISA×iDECO Sun, 01 Nov 2020 03:01:12 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.0.11 134557597 「毎年違う投信を買って節税」の具体例と節税効果 https://siegeljiro.com/maitoshitigautoushin https://siegeljiro.com/maitoshitigautoushin#comments Sun, 12 Jan 2020 03:00:07 +0000 https://siegeljiro.com/?p=12446 つみたて次郎です。

先日投稿した、投信における節税テクニックについての補足です。

参考記事…【便乗】投信における取得単価の分散【節税】

元ネタは東大バフェット氏です。

外部リンク…【節税】投資信託を毎年変えれば節税になりません?

おさらいすると、類似の金融商品を複数、別々のタイミングで買付しておくことで、売却時に含み益の少ない物から売ることができる…という裏ワザです。

つみ次郎としてはこれまで誰も話題にしなかったのが不思議なくらい画期的なテクニックだと思っていますが、イマイチ盛り上がっていない(失礼)ようなので具体的な実践例を挙げてみようと思います。

 

米株投信派つみ次郎の場合

つみ次郎のアセットアロケーションを再現しつつ実践しようとした場合、以下のような投信が候補になりそうです。

・楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天
・eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)(Slim
・SBI・バンガードS&P500インデックス(SBI
・iFree S&P500 インデックス(iFree
※本記事では()を略称とします。

癖のない米株投信&低コストという条件で考えるとこのくらいでしょうか?

ほとんど同じする動きをする投信同士といっていいでしょう。

楽天だけ連動指数違うけど気にしないでください(震え声)

ネット証券の多くでは投信買付時に受取型/再投資型を選ぶことができますので、それを踏まえれば実質8パターンとなります。

また、証券会社を分散することで別枠として買付できますので、3社用意すれば合計24パターンとなり、かなりの長期投資にも耐えうることができます。

例えば楽天証券SBI証券マネックス証券の3社を用意して24年間の積立投資をやる場合、以下のような買付をすればよいことになります。

年数 略称 コース 証券会社
1年目 楽天 再投資型 楽天証券
2年目 Slim 再投資型 楽天証券
3年目 SBI 再投資型 楽天証券
4年目 iFree 再投資型 楽天証券
5年目 楽天 受取型 楽天証券
6年目 Slim 受取型 楽天証券
7年目 SBI 受取型 楽天証券
8年目 iFree 受取型 楽天証券
9年目 楽天 再投資型 SBI証券
10年目 Slim 再投資型 SBI証券
11年目 SBI 再投資型 SBI証券
12年目 iFree 再投資型 SBI証券
13年目 楽天 受取型 SBI証券
14年目 Slim 受取型 SBI証券
15年目 SBI 受取型 SBI証券
16年目 iFree 受取型 SBI証券
17年目 楽天 再投資型 マネックス証券
18年目 Slim 再投資型 マネックス証券
19年目 SBI 再投資型 マネックス証券
20年目 iFree 再投資型 マネックス証券
21年目 楽天 受取型 マネックス証券
22年目 Slim 受取型 マネックス証券
23年目 SBI 受取型 マネックス証券
24年目 iFree 受取型 マネックス証券

 

なんとか見栄えの悪い表にまとめてみましたが、これでイメージが湧くのではないかと思います(自画自賛)

例えば投資1年目は、楽天VTIの再投資型を楽天証券で買付するという事になります。

買付するのは年初一括でもいいですし、1年間毎日積立のどちらでも大丈夫です。

肝心なのは、2年目以降の投資内容と一切被らせないということです。

こうすることで、1年目の時点で投信の取得単価が確定するため、将来売却する時にこの部分だけをピンポイントで売ることができます。

基準価額が順調に右肩上がりになる前提であれば、1年目に投資した分が最も含み益を抱えることになる確率が高いですから、できるだけ売りたくない部分になっている可能性が高いはずです。

結果として24パターンの含み益・含み損が発生するので、含み損あるいは含み益の少ない部分から優先して売却し、含み益の多い部分は最後まで取っておくことで、キャピタルゲイン税の支払いを極限まで遅らせることができます。

上記のように一覧にして初めて気づいたのですが、このパターンだと複数の口座を頻繁にチェックする必要はなく、証券口座の切り替えは8年に1回で十分なんですね。

文章化するとこんな感じです。

①1年に1回証券口座にログインして買付する内容を変更する
②8年に1回証券会社を切り替える(元の口座もそのまま残す)

流石に毎年必ず1回は商品変更のためにログインする必要はありますが、少なくとも買付する時点ではそこまで作業が面倒ということにはならなそうです。

トータルリターンの計算が大変だったり、売却する時は全ての証券口座を全部並べて吟味するので面倒ですが、節税メリットに比べれば些細な問題でしょう(笑)

上記の例では24年間積立するという前提でしたが、このくらいの期間であれば多くの人の投資期間はカバーできそうです。

 

※1月22日追記…SBI証券は受取型/再投資型に分けることができず、別々で注文しても最初に選んだコースに統一されてしまいます(詳しくはコメント欄参照)。
そのため、上記の方法では24パターン確保することはできません。上記シミュレーションは参考程度にお願いします。
また、マネックス証券については当方口座を持っておらず確認できないため、確認したことのある方がいればコメント欄にて情報提供いただければ助かります。

なお、楽天証券についてはコース分けして保有できることを確認済みです。

 

また、今回は米株投信にスポットを当ててみましたが、MSCIコクサイなどであれば(信託報酬の差はともかく)さらに豊富なファンド本数がありますので、より細かく分けたプランも立てられそうですね。

極端な話、可能な限りパターンを分けるほど含み益・含み損をはっきりさせることができるため、例えば2020年1月分・2020年2月分・2020年3月分…みたいにすればより節税になります(流石にそこまでやるメリットはなさそうですが)

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過去10年間のS&P500リターンで検証

過去10年間におけるS&P500の円建てリターンをもとに、実際にどのくらい節税できるか検証してみます。

厳密には信託報酬や配当課税等の影響があるため、S&P500投信に投資しても全く同じリターンを得ることはできませんが、目安として考える分には十分代用できるでしょう。

参考に、過去10年間のS&P500指数円建てリターン(配当込)は以下の通りです。

2010年 +0.4%
2011年 -3.3%
2012年 +30.8%
2013年 +60.8%
2014年 +30.3%
2015年 +1.1%
2016年 +8.9%
2017年 +17.4%
2018年 -8.0%
2019年 32.8%

参考「わたしのインデックス myINDEX

この数値をもとに、毎年年初に100万円ずつ、10年間で合計1,000万円投資した場合についてシミュレーションしていきます。

投資した年 リターン 含み益
2010年 +320% 320万円
2011年 +319% 319万円
2012年 +333% 333万円
2013年 +231% 231万円
2014年 +106% 106万円
2015年 +58% 58万円
2016年 +56% 56万円
2017年 +43% 43万円
2018年 +22% 22万円
2019年 +32% 32万円
総合計 +152%※ 1,520万円

※10年間の投資元本1,000万円に対するリターン。

過去10年においては、どのタイミングで100万円を投下してもプラスになりました。

含み益と投資元本を合わせて、税引前の評価額は2,520万円となります。

本当はリーマンショックとか挟んで含み損の期間も演出したかった

毎年同じS&P500ファンドに投資していた場合、上記の表における総合計に近い状況となります。

全部一括で売却する場合、含み益である1,520万円の20%(304万円)が税金として引かれることになります。

もし全体の10%(評価額でいえば252万円に相当)を売却する場合は、税金も10分の1(30.4万円)引かれることになるため、実際手に入れることができるキャッシュは252万円-30.4万円=221.6万円となります。

しかし今回の裏ワザを用いて、それぞれ年別に投信を分けていた場合、含み益の少ない部分から252万円分売却することができます。

上記の表でいえば2018年分と2019年分を売却すればほぼ同じになりますね。

投資元本200万円+含み益54万円=254万円

含み益は54万円ですので、売却時に課税されるのはたった10.8万円です。

そのため、手に入れられるキャッシュは254万円-10.8万円=243.2万円となります。

それぞれ250万円強の投信を売却したという状況は変わらないのに、課税される額が大きく違うというのがこの裏ワザの真骨頂と言えます。

逆の見方をすれば、同じ額のキャッシュを手に入れるために売却する投信が少額で済むともいえますね。

最終的に含み益の多い投信も売る必要があるためあくまで税の繰り延べに過ぎませんが、取り崩しタイミングが遅ければ遅いほどメリットも大きくなります。

 

メリットは大きいが…

具体的な投信選び・節税額等について考察してきましたが、つみ次郎がこの裏ワザを実践することは当面ないでしょう(掌返し)

まず大前提として、この裏ワザは非課税口座(NISAやiDeCo)には関係のない話なので、投資資金の大部分がつみたてNISAとiDeCoになっているつみ次郎の場合はほとんどメリットにつながらないからです。

また、課税口座(特定口座)では比較的癖の強い投信やETFを買っているので、そもそも裏ワザができるほどのファンド数を確保できません。

話をまとめると、この裏ワザを利用するためには

・投資資金の多くが特定口座になっている
・ETFではなく投資信託で投資したい
・買付候補となる投資信託が存在している

・口座管理等のある程度の手間を許容できる

といった要素を満たしている必要があります。

ですが、特定口座をメインにするほど入金力のある人は、投信よりもETFを重視しているイメージがありますし、逆に投信派な人は口座管理に時間をかけたくない人が多そうなので、なかなか該当する人は少なさそうな気はしますね。

それを差し引いても、税引後トータルリターンに直結する裏ワザだけに、もっと周知されて議論が深まってほしいなと思うつみ次郎でした(完)

 

おまけ

2010年~2019年の年初に一括投資した場合、2019年末の時点でどれだけのリターンになっているかグラフにしてみました(記事中に載せるタイミングがなかった)

 

 

例えば2010年の場合、2019年末時点では+320%のリターンとなり、投資元本が4倍以上に増えた計算になります。

2019年の場合、2019年初~2019年末となるので年間リターンと一致します。

こうしてみると、2010年~2013年はとんでもない幸運な相場だったといえますね。

当然ながら、年別のリターン変動幅が大きいほど裏ワザのメリットも大きくなります。

 

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エスピージロウ

 

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【便乗】投信における取得単価の分散【節税】 https://siegeljiro.com/shutokutanka-bunsan https://siegeljiro.com/shutokutanka-bunsan#respond Mon, 30 Dec 2019 01:01:05 +0000 https://siegeljiro.com/?p=12367 つみたて次郎です。

東大バフェット氏が運営する東大バフェットの株式投資ブログにて、興味深い投信節税ネタについて解説されていたので便乗させていただきます。

 

 

ざっくり要約すると、以下の手順を踏むと節税になります。

 

・毎年積立する投信を変える(できるだけ内容の近い物)
・売却する際は含み益の少ない投信から順番に売却

 

具体的なシミュレーションや節税になる理由についてはガッツリ元記事で考察されていますのでそちらをご覧ください(丸投げ)

外部リンク…【節税】投資信託を毎年変えれば節税になりません?

この理屈が成り立つのは、すなわち取得単価の分散ができているからと言えます。

全く同じ投信を1種類だけ積立する場合、取得単価は積立されるごとに平均化され、同じ時間軸において取得単価は1つしか存在しないことになります。

その一方、上記のように毎年積立する投信を変えていけば、積立した年度の数だけ取得単価が存在することになります。

そして取得単価が複数存在するという事は、その時点で最も含み益の少ない投信を売るという選択肢を増やすことができますので、結果的にキャピタルゲイン税の節約になります。

元記事でも触れられていますが、同じ投信であっても証券口座を変えたり、再投資型/受取型で区別させても同様の事が可能です。

ようするに投信の取得単価を可能な限り分散させて、儲かっている投信と儲かっていない投信をはっきり区別するように立ち回れば良いという事になります。

全体で見れば大きくプラスであっても、年度別に見れば大きくマイナスということも有り得ますから、ちょうど含み損になっている年度の投信だけ売ればキャピタルゲイン税ゼロで売却できる可能性もあります。

簿記で例えれば、通常は移動平均法しか使えないのに、この方法だと先入先出法の上位互換のような動きが可能になります(任意の順番で払い出しできる)

 

税の繰り延べである点には注意

非常に有効な戦略であると思いますが、1つだけ補足させていただくと上記のメリットは税の繰り延べであるという点です。

極端な例を挙げれば、投信を別々にして取得単価をバラバラにしても、それを全部まとめて売却した場合の税金は変わりません(全体で見た投資元本と評価額はほぼ一致するため)

また、含み益の少ない投信から徐々に売っていくとしても、最終的には含み益のたっぷり乗った投信も売却する必要がありますから、同じ投信をずっと積立していた場合と比べればだんだん支払う税金が増えていく戦略であるともいえます。

なので厳密に言えば、節税というより税の繰り延べ…税金の支払いを後回しにしているだけともいえます。

こうして書くと悪いイメージに聞こえますが、税の繰り延べというのは最終的な投資可能額を増やし、トータルリターンを改善するという直接的なメリットにつながりますので、税の繰り延べ自体は非常に有意義な戦略です。

分配型投信に対する無分配型投信の優位性、高配当株に対する無配当株の優位性も、この税の繰り延べこそがキモですからね。

 

 

縦の分散と横の分散

ファンドを複数保有することについては、つみ次郎も以前記事にしています。

参考記事…似たような投資信託を複数保有するメリット

こちらは同時に複数のファンドを積立することで、トラッキングエラーや繰り上げ償還といったリスクを分散するという視点で考察しています。

いわゆる縦の分散といった所でしょうか?

それに対し、東大バフェット氏が考案した今回の戦略は、時間軸をずらして違うファンドに投資するという横の分散と勝手に命名させていただきます(笑)

管理の手間が許す限りは、縦にも横にも分散を利かせることで様々なリスクの分散や税の繰り延べにつなげることができます。

というよりも毎年違う投信を積立していれば勝手に縦にも横にも分散していることになりますので、つみ次郎の提案した戦略の上位互換と言えますね。

 

便乗記事を書いた理由

1つだけ負け惜しみを言わせていただくと、実はつみ次郎も以前に「投信の取得単価をバラしておけば売る時有利になるやん!」と考えたことがあるのですが、具体的な戦略に落とし込んだり、理屈についてうまくまとめることができませんでした(辛)

ですが今回、東大バフェット氏が見事に分かりやすい具体例と考察でまとめていましたので、勝手ながら便乗させていただきました。

言語化できなかったモヤモヤをキレイにまとめてくれて嬉しいという気持ちと、先を越されて悔しいという気持ちが両方入り乱れています(笑)

また、この戦略がなぜ今まで周知されなかったかを考えると、つみ次郎のように投資期間が長い人にとって実際にメリットがあるのは何十年も先の話であり、逆にあと数年で出口を意識しなければならないような人にとっては多少工夫したところでメリットは少ない…といった状況になりやすいからだと思っています。

NISAやiDeCoの場合はそもそも関係ないというのも、議論が盛り上がりにくいポイントと言えます。

ファンドの本数もまだまだ十分とは言えず、証券口座を分けるのも面倒なので、理論上は有利ですが実行するとなるといろんな課題がありそうですね。

5年や10年単位で別々のファンドに乗り換えていく…くらいなら現実味がありますが、数年もたてば投信事情も大きく変わっていそうなので、やはりモヤモヤするところはあります(投信業界全般の悩み所でもある)

いずれにせよ、投資リターンの追求という面で見ればデメリットの見当たらない優れた投資戦略ですので、知識の1つとして広まってほしい内容ですね。

 

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投資クラスタ界隈でバズっているので既に見ている方も多いかと思いますが、ドルコスト平均法に関する記事も非常に分かりやすいのでよろしければご覧ください!

 

 

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東大つみたて次郎

 

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無分配投信 VS 有分配投信 (外国税額控除適用あり) でシミュレーション https://siegeljiro.com/mubunpai-yuubunpai https://siegeljiro.com/mubunpai-yuubunpai#comments Fri, 28 Jun 2019 22:01:28 +0000 https://siegeljiro.com/?p=11010 つみたて次郎です。

投資信託の種類によって分配金の出す頻度や金額は大きく異なっており、毎月分配金を出すものから、一切分配金を出さないものまで様々です。

一般的に、同じ投資対象同士であれば、分配金を出さないほうが利益に対する課税タイミングを遅らせることができるため、トータルリターンで有利に働くことが多いです(税の繰り延べ効果)

そのため一切分配金を出さないファンド(通称:無分配型投信)を好んで選んでいる方も多いです(つみ次郎含め)

しかし2020年より、税制の変更により分配金を出すファンドのほうが有利になるかもしれないというデータが大和総研グループより発表されています。

参考記事…2020年以降は分配金の出る投資信託のほうが有利になる?
外部リンク…投資信託の外国税額控除の制度解説とファンドに及ぼす影響の試算

外国株に投資する場合、売却益に対しては国内課税のみで済むことが多いですが、配当金については外国で課税→日本で課税という二重課税になってしまうことがほとんどです。

場合によっては三重課税になるケースもあります。

参考記事…投資信託やETFにおける三重課税問題について

例えば配当利回り2%の米国株を持っていた場合、配当金に対してまず米国で課税されてしまいます(米国株の場合は10%課税)

その後、日本で約20%※¹課税されてしまうので、結果として元の配当金のうち約30%※²が税金として取られてしまうことになります。

※¹正確には所得税15.315%+住民税5%=合計20.315%になります。
※²厳密には単純な足し算ではないので、実際の税率は28.2835%になります。本記事では分かりやすく30%ということにします。

しかし個人の場合、外国税額控除をすることで、外国で課税された分の一部または全部を取り戻すことが可能です。

配当利回り2%のうち10%課税だと、単純計算で年間0.2%程度トータルリターンが棄損されることになります。

そして、2020年からは個人だけでなく、公募投資信託(ごく普通に買える投信)でも外国税額控除を適用できるようになり、上記の例で言う年間0.2%相当の税金を取り戻すことができる可能性が出てきました。

場合によってはインデックスファンドの信託報酬相当額のコストを穴埋めできる可能性もあり、トータルリターンの向上に大きく役立つという期待があります。

投信運用に関する内容なので、税制の変更がどれだけ実際のリターン改善につながるか、運用会社がそれを把握して臨機応変に分配金を出すようになるかは不明ですが、せっかくなので簡単なシミュレーションをしてみたいと思います。

 

無分配投信 VS 有分配投信

これまではほかの条件が一緒であれば、無分配型投信が絶対正義といえるような状態でしたが、今回その前提が覆ることになりそうなので、分配金なしVS分配金ありで対決させてみたいと思います。

また、分配金ありについては外国税の取り戻し具合によって3パターン用意し、合計4パターンで計算してみます。


〇共通条件

・年初に100万円を一括投資する。
・値上がり益は年間5%、配当金は年間2%とする。
・配当金は年末に出て即再投資するものとする。
・配当課税は外国で10%、日本で20%とする。
・売却益課税は20%とする。


①分配なし(無分配型)

・現状の無分配型投信に近いイメージ。
・ファンドからの配当がないため外国税額控除関係なし。
・配当金2%のうち外国税10%を引いた1.8%をファンド内で再投資。
・基本的な年間リターン(税引前)は5%+1.8%=6.8%になるが、配当課税を繰り延べしているため売却益課税は大きくなる。


②分配あり(還付なし)

・現状の有分配型投信に近いイメージ。
・配当金2%から外国税10%と国内課税20%を引いた1.4%を分配。
・基本的な年間リターン(税引前)は5%+1.4%=6.4%になる。


③分配あり(半額還付)

・新制度にて、外国課税を半額だけ取り戻せたイメージ。
・配当金2%から外国税10%の半分(=5%)と国内課税20%を引いた1.5%を分配。
・基本的な年間リターン(税引前)は5%+1.5%=6.5%になる。


④分配あり(全額還付)

・新制度にて、外国課税を全額取り戻せたイメージ。
・配当金2%から国内課税20%を引いた1.6%を分配。
・基本的な年間リターン(税引前)は5%+1.6%=6.6%になる。

 

 

シミュレーション結果(元利合計)

4パターンについて、投資期間が1年・10年・20年・30年だった場合、100万円が以下のように増えました(単位:万円)

 無分配型  還付なし  半額還付  全額還付
 1年 105.4 105.4 105.5 105.6 
 10年 174.5 171.7 173.3 174.9 
 20年 318.2 301.9 307.6 313.3
 30年 595.7 538.7 553.7 569.2

 

それぞれ投資期間の終了時点で売却した場合の税引後元利合計です。

投資期間が1年及び10年の場合は分配なし(全額還付)が最も良い成績ですが、投資期間が20年及び30年の場合は分配なし(無分配型)が最も良い成績になっています。

ちなみに逆転する年数は投資期間が13年の時になっていました。

無分配型が最終的に逆転するのは何となく予想できていましたが、想像よりかなり早いタイミングだったので驚きでした。

外国課税を取り戻せないデメリットよりも、分配しないことで配当課税を繰り延べるメリットが上回った形になります。

 

シミュレーション結果(年率)

上記グラフを年平均リターンに直すと次のようになります。

 無分配型  還付なし  半額還付  全額還付
 1年 5.44% 5.40% 5.50% 5.60%
 10年 5.72% 5.55% 5.65% 5.75%
 20年 5.96% 5.67% 5.78% 5.88%
 30年 6.13% 5.77% 5.87% 5.97%

 

いずれも値上がり益課税の繰り延べ効果があるため投資期間が長いほど1年間当たりのリターンは改善されていきますが、無分配型は特にその恩恵が大きいです。

簡易な試算ではありますが、外国税額控除を最大限活用できた場合でも無分配型が有利になる可能性もあるということになります。

 

投信業界にどう影響をもたらすか?

今回の試算では無分配型が最終的に有利にはなりましたが、実際はこのような単純な計算でリターンが決まるわけではないので、あくまで参考程度にとどめてください。

少なくとも大和総研グループのレポートを見る限りでは、分配するほうが有利になる可能性もあるという結論が出ていますし、今回のシミュレーションにおいても投資期間が短い場合は分配したほうが有利になるという結果になっています。

外部リンク…投資信託の外国税額控除の制度解説とファンドに及ぼす影響の試算

インデックスファンドにおいては年間0.1%という数字は誤差といえない水準になっているので、分配金を出すか出さないかでトータルリターンが多少変わってくるのであれば、投信業過にも影響を与える問題になっていくかもしれません。

税制に合わせて適切な分配金を吐き出すファンドが最も効率的になるのであれば、これまでの無分配神話も崩れることになります。

その一方、多少リターンが改善するからと言って、分配金を積極的に出すファンドが増えるかといわれると、個人的にはすぐ普及することはないと思っています。

投資に関する誤解としてよくあるのが「分配金=プラスリターン」と勘違いしてしまうことですが、逆に分配金を出すファンドが有利になってしまえば、ますます分かりづらい状況を作ることになってしまいます。

「毎月分配型投信」のようなタコ足配当を続けるようなファンドが人気を集めている状況を見かねて、金融庁が直々に分配金を出しまくるファンドに対して警告をしているくらいですからね。

出典「金融庁

T-213
少し前まで鰐じゃなくてワイが載ってたんやで

また、一般NISAやつみたてNISAにおいては、分配金再投資をすると枠を消費してしまうので、相対的に非課税投資額が減ってしまうという問題があるため、分配金を積極的に出すファンドとは相性が悪いです。

個人的には、投資リターンはトータルリターンでシンプルに評価したいので、無分配型のほうが分かりやすいという理由もあります。

基準価格で単純に比較できるのも便利ですからね。

いろいろと懸念はありますが、ただでさえ分かりづらい投信の選び方に「節税を意識した分配金の出し方をしているか」という新たな要素が増えてしまうというのが一番厄介だと思います。

無分配型なら「分配ゼロ」で横並びなので比較しやすいですが、分派金を出すならファンドごとの分配傾向なんかも考慮する必要があります。

つみ次郎のような投信マニアにとっては、純粋にリターン改善につながる可能性があるため歓迎の立場になるかと思いますが、普通に資産運用を検討している人にとってはかなり複雑な話になってしまいそうですね。

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毎月分配次郎

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2020年以降は分配金の出る投資信託のほうが有利になる? https://siegeljiro.com/2020-bunpai-yuuri https://siegeljiro.com/2020-bunpai-yuuri#respond Sat, 22 Jun 2019 23:01:51 +0000 https://siegeljiro.com/?p=10942 つみたて次郎です。

多くの金融商品は、売却益及び配当金に課税されます。

そして売却益課税(キャピタルゲイン税)については、自分が売らなければ半永久的に繰り延べできるのに対し、配当課税(インカムゲイン税)については自分の都合に関係なく配当金が出る都度課税されてしまてしまいます。

そのため長期保有する前提であれば、配当金が多く出る株式や投資信託は税制上不利になることが多いです。

投資信託においては、毎月配当金がもらえる毎月分配型と呼ばれるファンドが大人気ですが、インデックス型に限れば設定以来配当金を一切出していないファンドが主流となっています。

通称無分配型投信なんて呼ばれたりしますね。

参考記事…投資信託における無分配型と分配金再投資型の違い

配当金が出ない限り課税を繰り延べできるため、長期保有する前提であれば無分配型がトータルリターンでは有利になることが多いです。

しかし今回、上記の通説を覆しかねないレポートが大和総研グループより発表されていたので紹介してみたいと思います。

外部リンク…投資信託の外国税額控除の制度解説とファンドに及ぼす影響の試算

具体的には「2018年税制改定」により、2020年1月1日以降における外国税額控除の仕組みが変わることで、分配金を出すファンドのトータルリターンが改善する可能性があることについて触れられています。

 

外国税額控除とは?

米国個別株等に投資している方であればご存じかと思いますが、外国株式は上場国と日本の2ヵ国で二重課税されてしまうケースが多く、そのままでは不公平になってしまうという問題があります。

キャピタルゲイン税は日本国内だけの場合がほとんどですが、インカムゲイン税については国内課税20.315%の他に課税されてしまう場合が多いです(以下国内配当課税は20%と表記)

出典「大和総研グループ

米国株(米国籍ETF含む)の場合は10%なので、国内課税20%と合わせて約30%ほどが税金として配当金から引かれてしまうことになります(厳密には28.2835%)

この二重課税を解消するための制度が外国税額控除です。

上記のうち、確定申告を行うことで外国で課税されてしまった税金の一部または全部を還付してもらうことができます。

ただし所得税等との兼ね合いがあるので、全額戻ってくる方はあまりいないようです。

 

 

公募投信でも外国税額控除?

外国税額控除が使えるのはこれまで現物株式や私募投資信託などに投資している場合に限られており、公募投資信託(ごく一般的な投信)では認められていませんでした。

出典「大和総研グループ

そのため配当金のうち外国課税分を取り戻す手段がありませんでした。

余談ですが、投資信託の場合三重課税になるケースもあります。

参考記事…投資信託やETFにおける三重課税問題について

ですが「2018年税制改定」により、2020年1月1日以降には公募投資信託でも外国税額控除が利用できるようになります。

配当金を出している投信については、運営にかかるコストが一部削減されるため、2020年以降はこれまでよりも若干有利な条件で運用することが可能になりました。

外国株100%で運用する投信の場合、今回の変更で年間0.1~0.6%のリターン改善につながるという試算が出ています。

具体的な配当課税の流れについて分かりやすいグラフが出ていたので張っておきます。

出典「大和総研グループ

また、レポート中にも記載されていますが、特にファンドマネージャーの実力等に左右されにくいインデックス型投信においては大きな意味を持つ数字となりそうです。

逆にこれまで有利とされていた無分配型投信は上記の恩恵を受けることができないため、結果的に向かい風となります。

なので今後は下記のような棲み分けになりそうです。

無分配型…売却益課税で有利、配当課税で不利
有分配型…売却益課税で不利、配当課税で有利

ようするに売却益の繰り延べを取るか、配当課税の軽減を取るかという比較になります。

これまでは再投資を前提とするのであれば、無分配型のほうが有利でしたが、一概にそうとは言えなくなっていくのかもしれません。

 

無分配型有利の通説は覆るか?

つみ次郎含め投信クラスタの間では「無分配型は正義」という風潮がありますが、この通説が覆される可能性も十分あり得そうです。

もし外国税額控除による恩恵が大きいのであれば、適切な額の分配金をその都度出したほうがトータルリターンの改善に繋がるため、これまで無分配を貫いてきた投信が分配金を積極的に出すようになる可能性も十分考えられます。

株式やETFと違い、投資信託は比較的自由な裁量で分配金額を決定することができますので、節税のため工夫する余地も大きいのではないかと思います。

上記の節税テクニックが現実的なものであるとすれば、投資家にとって有利に働くのは間違いありませんが、投信選びにおける新たな基準が追加されることになるため、投信業界及び投信クラスタは混乱することになりそうです。

もし分配金を出すほうが有利になり、インデックスファンドであっても分配金を出すのが当たり前の風潮になるのであれば、一番かわいそうなのは多数運用商品のベンチマークを配当抜き→配当込みに変更するという英断を決めた三菱UFJ国際投信㈱ですね(笑)

参考記事…eMAXIS Slim・つみたてんとう等のベンチマークが配当込み指数に変更

分配金を出す前提ならば、むしろ配当抜き指数のほうが好都合ですからね。

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毎月分配次郎

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投資信託やETFにおける三重課税問題について https://siegeljiro.com/sanjukazei https://siegeljiro.com/sanjukazei#comments Sun, 30 Jun 2019 21:01:47 +0000 http://siegeljiro.com/?p=7445 つみたて次郎です。

インデックス投資家にとっては特に重要なのは、コストを最小限に抑えることです。

コストには、売買手数料や信託報酬、そして税金があります。

特に税金は、投資におけるコストとしては最も大きいものであり、慎重に考えていく必要があります。

今回は、その税金の中でも特に重要な「三重課税問題」について解説していきます。

 

税金の仕組みと二重課税

日本においては、株式や投資信託などの金融商品で得た利益については配当金と売却益それぞれに20.315%課税されます。(本記事では四捨五入して20%という表記で進めていきます)

そして日本以外の株式や、日本以外の株式を含む投資信託やETFを購入する場合、日本政府以外に支払う税金が発生します。

そして基本的に、売却益は課税されず、配当金にのみ課税されるという特徴があります。

例えば米国株の場合、売却益は国内で20%課税されるだけですが、配当金にはまず米国政府より10%課税され、その後日本政府より20%課税されます。

ここで間違えやすいのは、最終的に課税される比率は10%+20%=30%ではありません。

米国で10%引かれた後に日本で20%引かれるので、最終的に課税される比率は掛け算をして28%となります。(90%×80%=72%が課税後に残る)

日本と外国の2カ国で課税される状況を、本記事では「二重課税」と定義します。

米国の場合は税率10%ですが、その比率は国によって大きく異なります。

国名 源泉徴収額
アメリカ 10%
イギリス 0%
スイス 35%
中国 0~10%

 

ごく一部の例をあげてましたが、その幅はかなりバラバラです。基本的には課税率が低いほど税金が少なくなるため有利です。

英国株は本国での課税がないので、配当金目当ての投資家から注目されることが多いです。

ただし、海外で課税された税金は、確定申告で一部を取り戻せるケースがあるため、一律に比較できないのが難しいところです。

全世界の平均で配当課税は10%程度になるようで、米国の10%はちょうど世界平均と同じぐらいの水準になっています。

 

三重課税問題について

そして今回メインとなる「三重課税」について解説していきます。

日本における三重課税とは、日本+米国+もう1つの国という3カ国で課税されてしまう状況を指します。

具体的には、米国籍ETFを経由して米国外株式に投資した場合に発生します。

インデックスファンドに投資したい場合、投資信託・国内ETF・海外ETFの3つが基本になりますが、そのうち海外ETFは、そのほとんどが米国籍ETFとなっています。

そのため、海外ETFを使って米国以外に投資する場合に気を付ける必要があります。

ここで具体的な例として、バンガード・トータル・ワールド・ストック(VT)のケースで考えてみたいと思います。

VTは、バンガード社が運営する米国籍ETFで、投資対象は全世界の幅広い株式です。実質的な投資先は、米国株が約55%・米国外株が約45%となっています。

この場合、米国株式部分が生み出す配当金については、米国で課税→日本で課税という流れになります。

しかし米国外株式が生み出す配当金については、次のようになってしまいます。

 

①VTのファンド内部で米国外に税金が払われる
②VTは米国株扱いなので米国へ税金が払われる
③最後に日本へ税金が支払われる

 

米国以外の外国→米国→日本という3カ国で課税されてしまうのが三重課税問題です。

そして②の部分については、米国籍ETFを経由しなければ支払う必要がなかった部分であり、バンガードETF含め米国籍ETFが抱えるデメリットとなります。

直接米国外株式を保有したり、投資信託や国内ETFを経由すれば、現地国→日本の2カ国で済むため、三重課税問題は発生しません。

直接保有すれば支払う必要がなかった米国課税分が発生してしまうのが、三重課税における最大の問題ということになります。

 

具体的な商品で比較してみる

三重課税問題は、米国籍ETF(=海外ETF)が抱える問題ですが、他の金融商品と比較して考えてみます。

VTと内容が似ている、全世界株式に分散するタイプの商品を例に挙げます。

商品名 形式 信託報酬
バンガード・トータル・ワールド・ストック(VT) 海外ETF 0.10%
eMAXIS Slim 全世界株式(日本除く) 投資信託(現物) 0.1296%
楽天・全世界株式インデックス・ファンド 投資信託(ETF) 0.2196%

 

上記3商品は、いずれも全世界の株式に投資するインデックスファンドで、内容は非常に似ています。

構成銘柄の多少や、Slimについては日本株が含まれていないなどの差異はありますが、今回の趣旨からは外れますのでほぼ同一内容として考えていきます。

ここからは次の前提をもとに、米国外株式部分における配当金の米国課税率を計算していきます。

 

・配当利回りは1.8%とする。
・米国外株式比率は45%とする。
・米国課税分の税率は10%とする。

 

概ね実情に合った数値かと思います。

既に登場しているVTに当てはめて計算してみます。

VTは米国市場に上場する米国籍ETFなので、45%を占める米国外株式については日本・米国・現地国と三重に課税されます。

配当利回りが1.8%という前提に基づき、米国で課税されてしまう比率を計算すると次の通りです。

1.8%×45%×10%=0.081%
(配当利回り×米国外株式比率×米国配当課税率)

つまりVTを経由して米国外株式に投資することで、年間当たり約0.08%程度米国政府に払う余計な税金が発生してしまうことになります。

これは、投資信託であるeMAXIS Slimを選んだ場合には発生しない税金なので、税制上海外ETFであるVTは不利な立場になっています。

また投資信託であっても、楽天・全世界株式インデックス・ファンドのようなファンド・オブ・ETF形式で運用する場合、事実上の投資先は海外ETFとなるので三重課税問題を無視できず同様に不利となります。

さらに厄介なのが、ETF内部で発生した税金であるため、個人の確定申告で取り戻すことができないという点です。

配当金が出ない無分配型投資信託であれば無視できるような気もしますが、ファンド内で再投資される際に課税されてしまうので同じように三重課税になってしまいます。

海外ETF及び海外ETFを経由する投資信託に投資する場合、三重課税に気を付けていく必要があります。

また、今回は米国外株式比率が約半分でしたが、新興国株式ETFなど投資対象が全て米国外である海外ETF等の場合は、三重課税による悪影響は大きくなります。

逆に米国株式のみに投資するような海外ETFの場合、そもそも三重課税にならないので気にする必要はありません。

 

商品を比較する際の参考に

とはいえ、VTの場合は元々の信託報酬が0.10%と低いため、三重課税で年間0.08%のロスがあってもあまり大きな問題点にはなりません。

VTに限らず、現状では三重課税問題を考慮しても海外ETFのポテンシャルは圧倒的であり、国内ETFがその水準にまで追いつくのはしばらく先のことでしょう。

その一方、投資信託においては三重課税問題が大きな判断材料になります。

例えば楽天・全世界株式インデックス・ファンドの場合、三重課税問題がなく元々の信託報酬も低いeMAXIS Slim 全世界株式(日本除く)に対し圧倒的な不利な状況になっており、最終的な実質コストで勝つのは困難でしょう。

逆に、ETFを用いるが投資先が全て米国株のみである楽天・全米株式インデックス・ファンドなどの場合は、三重課税問題がないため不利にはなりません。

 

三重課税問題まとめ

三重課税問題についてまとめてみます。

 

・海外ETF経由で米国外株式に投資すると発生
・配当金に対し米国課税10%が余計に引かれる
・三重課税があっても海外ETFは魅力的

・投資信託でもETFで運用されている場合は発生
・投資信託を選ぶ際の重要なポイントになる
・投資先が米国株のみの場合は関係ない

 

投資に関するコストでは、信託報酬や課税繰り延べなどが注目されやすく、この三重課税問題についてはあまり言及されないイメージがありますが、特に投資信託を選んでいくうえでは非常に重要なポイントです。

最近では、楽天バンガードやEXE-iつみたて等、海外ETFで運用するタイプの低コスト投資信託が増えており、ますますその重要性が高まりつつあります。

海外投資における税制度は複雑な部分が多いですが、総合的なコストで判断していきたいですね。

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三重次郎

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【悲報】株の配当課税・売却益課税が増税される可能性 https://siegeljiro.com/kabu-zouzei-kanousei https://siegeljiro.com/kabu-zouzei-kanousei#respond Wed, 03 Jan 2018 09:01:43 +0000 http://siegeljiro.com/?p=5625 つみたて次郎です。

新年早々、嫌なニュースが飛び込んできました。

株などの配当・売却益にかかる金融所得課税が、現在の20%から25%への引き上げられるかもしれません。

時期については、早ければ消費税アップとなる2019年10月からになるのではないかという推測も出ております。

仮に25%への引き上げが決定した場合、短期投資家・長期投資家問わず大きなダメージとなります。

また、日本株においては増税前の利益確定売りが入り、一時的な調整を迎える可能性もあります(米国株はそんなに心配しなくていいかも)

いずれにせよ、投資クラスタの方にとっては、ひじょーに悪いニュースとなっています。

増税が検討されている理由としては、労働所得と金融所得の格差を軽減するためです。

働いて得た労働所得に関しては、累進課税により税率が決まっており、最高税率は55%(課税所得4,000万円以上)となっています。

必死に働いて得た収入の半分以上が税金として取られてしまいます。

ちなみにつみたて次郎は最低の15%(課税所得195万円以下)ですので、皆さん羨ましいかと思います(泣)

その一方、株式等の売却益や配当金にかかる課税は一律20%となっており、非常に不公平です。

仮に金融所得にかかる税金が25%になっても、ほんの少し差が縮まるだけで、結局金融所得が多い人に有利な状況は変わりません。

冷静に考えて、汗水たらして働いて得たカネよりも税金が安いって、世の中間違っていると思います。

ただでさえ資本主義は、労働所得が増えるスピードよりも金融所得が増えるスピードのほうが早いのですから、深く考えなくても格差が広がるのは想像できます。

そのため、本来であれば金融所得も累進課税にして最高70%とか取ってしまえばいいと思いますが、これをすると富裕層が日本からみんな出て行ってしまいます(笑)

海外には意図的に金融所得への課税を優遇し、金持ちを呼ぼうとしている国が多数あるため、金融所得への大幅増税は現実的ではありません。

不労所得を稼ぎまくる真の金持ちから課税するには、世界レベルで共通の課税システムを構築しなければなりませんが、つみたて次郎が生きている間には無理だと思っています。

金持ちから奪い取るのはあきらめて、少しでも金持ち側になる努力をするほうがマシでしょう。

さて、今回のニュースは、専業トレーダーや配当金生活者にとっては大きなダメージかと思いますが、サラリーマン投資家であれば、あまり悲観しなくてもよいのかなと思います。

かなり楽観的な考えですが、金融所得への課税が増えた分労働所得への課税がマシになる(減るとは言ってない)はずなので、プラスマイナスゼロと考えましょう。

ちなみに今回のニュースは、つみたて次郎にとってはあまり関係ありません。

なぜなら、つみたてNISAとiDECOでしか運用していないので、国内には一切税金を払っていないからです(笑)

参考記事「今年も非課税口座をフル活用するぜ!

また、特定口座の場合は、当ブログで頻繁に優位性を語っている無分配型投資信託の配当課税繰り延べメリットが大きくなります。

参考記事「投資信託最大のメリット

今回の引き上げが決定すれば、相対的に非課税口座や無分配型投資信託の魅力が増すことになるので、短期的に見ればつみたて次郎にとって嬉しいニュースですらあります(不謹慎)

ですが、将来つみたて次郎が立派な入金投資家になった際にはやはり嫌なので、全力で抵抗していきます(どうやって?)

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配当課税はイヤ

※お知らせ…本日を持って、1日2回更新は終わりにしたいと思います。明日からは毎朝6:00に投稿していきたいと思いますので、毎日遊びに来てください。

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配当課税の恐怖と高配当戦略 https://siegeljiro.com/haitoukazei-kyoufu https://siegeljiro.com/haitoukazei-kyoufu#respond Tue, 02 Jan 2018 21:01:41 +0000 http://siegeljiro.com/?p=5619 つみたて次郎です。

当ブログのメインテーマは「いかに税金を払わないか」です(半分本気で)

もちろんこれは脱税とかっていう意味ではなくて、株式投資で最大の敵である、税金とどう向き合っていくかという意味です。

つみたて次郎は現在投資資金の100%を非課税口座で運用することで、税金を払わずに運用できる状況を作っています。

投資金額が少ない貧乏人だからこそなせる業です(笑)

参考記事「今年も非課税口座をフル活用するぜ!

とはいえ、つみたて次郎もいずれはブログ収入で爆益の彼方(笑)に向かい、非課税口座から溢れんばかりの資金を持て余す入金投資家になるという大きな野望があるため、いずれは特定口座で運用せざるを得ない時が来るでしょう。

特定口座では、キャピタルゲインとインカムゲインにもれなく課税されてしまいます。また、キャピタルゲインはバイアンドホールドであれば、半永久的に繰り延べが可能ですが、配当金などのインカムゲインは有無を言わさず課税されてしまいます。

配当課税というものは、特に配当金を重視するシーゲル派にとっては恐怖ともいえる存在です。

分かりやすく伝えるために、大げさな例を用意します。

次のような米国株が2種類あったとします。

米国株A…毎年値上がり10%、配当利回り0%
米国株B…毎年値上がり0%、配当利回り10%

どちらもトータルリターンは年間10%ですが、この2つは長期間保有すると全く違うリターンになります。

仮に100万円を特定口座に突っ込み、30年間放置したいと思います(Bは配当再投資のみ行う)

課税条件は、次のようにします。

・キャピタルゲイン税は売却時20%
・配当課税は20%とする。

配当課税は本来米国からも10%徴収されます。ただし、外国税額控除で取り戻せる可能性があるので、全額取り戻せたと仮定し20%とします。(現実的には全額取り戻せるケースは少ない)

結果は次の通りです。

会社名 税引後評価額 平均リターン
米国株A(値上がりのみ) 14,159,522円 9.2366%
米国株B(配当のみ) 10,062,657円 8.0000%

 

当然ですが、米国株Bは毎年律儀に課税されるため、単純にリターンは10%から20%を引いた8%ピッタリです。

その一方米国株Aは30年間保有し続けることにより、最終的なリターンは9%を超えています。

思っていたよりも差が開いていると思う人も多いのではないでしょうか?

課税さえなければ両方ともトータルリターンは10%ですが、現実世界の特定口座位では、これほどまでの差が開いてしまいます。

もちろんこれは極端な例ですが、高配当戦略をとるということは、これと同じようなハンデを背負っていることに等しいです。

昨日紹介した「ダウの犬10種」も、同様の弱点を抱えています。

シーゲル教授の著書「株式投資の未来」では、配当金の重要性について説明されていますが、あくまで税金のない世界が前提である点には注意が必要です。

ただ、つみたて次郎はこの致命的なデメリットを考慮した上で高配当戦略は魅力だと思っていますし、少しでも理論上のリターンに近づくためにはできるだけ税金や手数料を減らす工夫が必要です。

税金の影響を十分抑えることができれば、高配当戦略は市場平均をアウトパフォームすると信じています。

そこで楽天VYMですよ(笑)

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何回出てくんだ

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【朗報】公募投資信託等の内外二重課税の解消? https://siegeljiro.com/nijukazei-kaishou https://siegeljiro.com/nijukazei-kaishou#respond Thu, 28 Dec 2017 09:01:50 +0000 http://siegeljiro.com/?p=5476 つみたて次郎です。←毎回手動で入力

平成30年度税制改正について、現在投資信託クラスタの間でホットな話題があります。

我々のボス、金融庁様からのお告が出ました。

外部リンク「平成30年度税制改正について-税制改正大綱における金融庁関係の主要項目-

まずは金融庁が作成したこの資料をご覧ください。

出典「金融庁

公募投資信託等(以下:投資信託)には、定期的に分配金をもらうことができる商品が多数あります。

その原資は、投資信託を経由して保有している株式や債券から発生する配当金が基本です。

しかし、その保有している株式や債券が日本外の資産である場合、外国から配当金の一部について課税されてしまいます。

米国の場合は、現地で10%課税された後、日本で20%課税されてしまいます。

これが外国株や海外ETFであれば、確定申告で外国税額控除をすることで、外国にとられた配当課税を取り戻すことができます。(所得税から差し引く形になる)

ですが、投資信託では今まで日本と海外の二重課税に対する措置がなかったから、新たに導入しようという試みかと思います。

詳しい内容や影響については、知識豊富な方々の考察記事を待つこととします(笑)

現在では個別株や海外ETFの人気が高まっていますが、それでもなお庶民の資産形成の中心として、投資信託の存在は欠かせません。

国民の健全な資産形成を後押しするには、シンプルで分かりやすい仕組みが必要不可欠なので、金額指定や自動積立が可能であるというメリットは強烈です。

この思考を強烈にこじらせたのが、来年から始まる「つみたてNISA」です(笑)

そして、資産形成をする上では、できるだけ配当金再投資も自動で行われる無分配型が好ましいです。(配当金を無駄に使ったり、キャピタルゲインとインカムゲインを区別するというミスがなくなるから。)

ちなみに今回の二重課税解消について他の方の意見を見る限りでは、どうやら無分配型投資信託には関係ないらしいです・・・。

 

 

 

 

 

…〇ソがあああああああああああ!

 

 

 

 

まぁ別に元々外国課税なんて取られる前提だしそれでも無分配型のほうが有利だし国内課税の繰り延べがあるから海外ETFにも十分抵抗できるし楽天VSバンガードには関係ないしつみたてNISA制度と逆行してるだなんて思ってないし別に配当金たくさんもらえてもうらやましくなんかないしどうでもいいです。

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投資理念<<<税金 https://siegeljiro.com/toushirinen-zeikin https://siegeljiro.com/toushirinen-zeikin#respond Sun, 10 Sep 2017 08:00:33 +0000 http://siegeljiro.com/?p=697 シーゲル二郎です。投資をする上では、あらゆる手数料や税金を考えなければいけません。投資の名言に、下記のようなものがあります。

あらゆる投資家の目的はただ一つ。税引き後リターンを最大にすることだ。

当たり前のことですが、非常に核心をついています。よく株式のリターンが年率7%だとかいう話が飛び交いますが、税金を考慮していないケースが非常に多いです。

(外国からの課税は除いて)日本の場合、値上がり益に20%、配当金にも20%課税されます。株式から得られるリターンはこの2つしかないので、どうやっても儲けの2割は引かれることになります。

配当金再投資では雪だるま形式で資産を増やしていくので、配当金の2割課税は将来的に2割どこではない損失になります。

そして、日本では、確定拠出年金や来年から始まる積立NISAで、これらの課税が一切されない方法で投資信託を運用することが可能です。ただし、両方とも、選べる商品に大きく制限がかかります。そのため、自分の投資理念を基に投資することは難しいかもしれません。

しかし、シーゲル流を含め、どんな戦略をとったとしても、20%が課税されない平凡なインデックス投資に勝つのは難しいでしょう。

つまり、個別株をやっている勉強家の投資家は、確定拠出年金や積立NISAしかやらない片手間投資家にトータルリターンで勝つのは不可能だということです。

もちろん、非課税投資可能枠は(個別株投資家の金持ちさんにとっては)少ないですから、超えた部分を個別株で運用するのはもちろん正しい選択です。

シーゲル二郎も、いつかそちら側に行って個別株をやりたいと思っていますが、ポートフォリオのうち、

 

確定拠出年金&積立NISA VS 個別株投資(課税有)

 

の結果が分かってしまうというのは、投資家のやる気をなくさせるかもしれませんね。

非常につまらないですが、自分の投資理念なんかより税金を支払わないことを優先させてください。

シーゲル二郎も積立NISAのラインナップ次第では、米国株重視の投資スタイルを捨てます。

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