投資信託における無分配型と分配金再投資型の違い
つみたて次郎です。
いきなりですが、私は大きな勘違いをしておりました。
当ブログでは、無分配型投資信託の優位性について語る記事が多いです。
参考記事「投資信託は必ず無分配型にしろ!」
つみたて次郎の中では、「配当金が出ない投資信託=無分配型投資信託」という意味で使っておりましたが、それに関する興味深い記事がありましたので紹介します。
外部リンク「投資信託の分配金と再投資についての誤解と謎」
米国株ブロガー、ゆきだるま氏の記事です。
投資信託内で発生した配当金の行方について分かりやすく考察されています。
特に誤解2における、分配金再投資型と無分配型の混同の部分が特に興味深いです。
恥ずかしながら、今まで同じようなものだと勘違いしておりました。
そもそも当ブログでは、分配金再投資型と受取型で選択できるような投資信託は紹介していないので誤った情報は掲載していないかと思いますが、知識不足だったことには間違いありませんので、深く反省しているところです。
特に投資信託の分配金取り扱いについては謎が多いですが、今回確実に分かったことだけまとめてみます。
無分配型
・文字通り配当金を出さないことを基本とした投資信託。
・無分配型を目論見書等で明言しているのは非常に少なく、暗黙の了解的な意味合いが大きい。
・インデックスファンドでは、実質的に無分配型になっている商品が多い。
・ファンド内で発生した配当金が再投資されることで、基準価格が上昇する。
分配金再投資型
・分配金を直接受け取る「受取型」、自動的に再投資される「分配型再投資型」を選べる商品が多い。
・顧客が選択するため、無分配型と違い明確に目論見書等で確認できる。
・分配型再投資型を選択しても分配金に課税される(=税制上のメリットはない)
・アクティブファンドに比較的多い。
・ファンド内で発生した配当金が再投資されることで、保有口数が増える(どちらのコースでも基準価格は常に同じ)
投資家目線で最大の違いは、分配金に課税されるかどうかです。
資産形成期であれば、分配金再投資型は避けたほうが賢明でしょう。
金融商品としての特徴で考えれば、ファンド内で再投資されることで基準価格が上昇するのか、保有口数が増えるのかといった違いがあります。
基準価格が増えるか保有口数が増えるかというのは、投資家としてはどうでもいい要素です(投資家が気にするべきはトータルで見た総資産額のみ)
同じような投資信託があるのならば、分配金再投資型の存在意義はほぼないといってもいいほどの致命的な差です。
当ブログで語る投資信託のメリットが完全に吹き飛んでしまいますので、よほどの事情がない限り分配金再投資型は避け、無分配型を選ぶべきです。
ちなみにこの差は、本来非常に不公平な仕組みです。
仮に投資対象が同じならば、片方だけ税金を前払いしているようなものです。
そして長期投資において税金の前払いとは、リターンに大きな悪影響を与えます。
しかし、税金を繰り延べされると徴収する側である日本政府にとっては不都合ですので、実質的に無分配を貫く投資信託に対して圧力をかけているなんて噂があります。
配当金を全く出さなかった投資信託がいきなり少額の分配金を吐き出すのはこのためだという陰謀論もあります。
課税命の財務省にとっては、受取型と分配金再投資型は歓迎できるが、無分配型は野放しにしたくないのが本音かと思います。
いずれにせよ無分配型投資信託の優位性は、非常に脆い課税制度の上で成り立っていることを忘れてはなりません。
また、記事元であるゆきだるま氏の分析によれば、そもそも無分配型でも非課税で運用されていないのではないかという疑問が投げかけられています。
もしそうだとすれば、つみたて次郎含めほとんどのブロガーが勘違いしていることになり、無分配型投資信託の優位性を根本からひっくり返してしまう致命的なものとなってしまいます。
投資信託自体がブラックボックスだらけということもあり、正確な情報を掴むことは困難ですが、今後も可能な限り情報収集に努めてまいりたいと思います。
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繰り延べ次郎
つみたて次郎様 拙ブログご紹介いただき有り難うございます。期せずして同日同時刻に続編とりまとめをアップしましたのでご参照いただければ幸いです。
http://niftyfifty.blog.fc2.com/blog-entry-389.html
次郎さんは完全非課税派ですね。私は課税されても分配金派です(笑)。引き続き宜しくお願いいたします。
いえいえ、こちらこそ大変勉強になりました。ありがとうございます。
続編とりまとめも見させていただきましたが、やはり事実上分配金を出さないファンドの存在が問題を複雑にしていますね。
これからもどうかよろしくお願いいたします。
つみたて次郎様
いつもブログで勉強させて頂いています。当方まだ投資初心者で理解が浅いのですが、今回の記事について質問させて下さい。
米国株を投資信託でインデックス投資をする場合、配当金については米国で10%、日本で20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)が課税されると思いますが、無分配型では、配当金は米国で10%のみ課税されて、日本での20.315%の課税はされずに配当金から米国での10%分の課税が差し引かれた額がファンドによって自動的に再投資されるということでしょうか?一方で、分配金再投資型では、米国での10%の課税に加えて、日本で20.315%の課税をされた残りの額がファンドによって自動的に再投資されるということでしょうか?もしそうであれば、確かに無分配型の方が日本での20.315%の課税を先延ばしにできてより複利の効果が得られてお得だと考えますが、配当金の税金については日本では実質的に払わずに済み、日本では米国株を売却した際の売却税のみが課税されるということになるのでは・・・と思うのですが、いかがでしょうか?(もちろん我々米国株長期投資家にとっては売却はずっと先の話だとは思いますが笑)
長文になり申し訳ありません。。
いつもありがとうございます。
内容についてはおっしゃる通りで、無分配型は国内分の配当課税が事実上かからないと考えてよいかと思います。
そのかわり、売却益課税が多くなるような仕組みになっています。分配金再投資型の場合、右肩上がりを前提とするなら取得単価は少しずつ上昇してくため、無分配型に比べ売却益課税は小さくなります。
まとめると無分配型は、配当課税を売却益課税に置き換えてしまう運用システムであると考えることができます。
現時点ではこの仕組みにより、無分配型は税制上非常に有利になっています。
また、今回の話とは少し離れますが、米国における二重課税問題解消に向けた動きがあるため、その恩恵を受けられない無分配型は多少優位性を失うことになるのではと懸念しています。
http://siegeljiro.com/nijukazei-kaishou
参考記事ですので、よろしければご覧ください。
ご回答ありがとうございます。
なるほど、そういう仕組みなのですね。無分配型では分配金再投資型よりも売却益課税が多くなるとのことですが、この点を差し引いても長期投資で考えた場合、無分配型の方が最終的に(売却後に)お得なのでしょうかね?もちろん、どの程度無分配型の方が売却益課税が大きいのかにもよると思いますが・・・。
参考記事のご紹介ありがとうございます。この問題は、確かに分配金再投資型の人は、今までできなかった確定申告で外国税額控除が申請できるようになって朗報かと思いますが、そしたら別に米国ETFでいいのではとちょっと思ってしまいます。外国税額控除の申請とか大変そうですし。。分配金再投資型は、配当金の二重課税を確定申告で取り戻すとか、そういう煩わしいことを考えなくていいというのもかなり大きなメリットな気がします。
二重課税を考慮せずその他の条件が全く同じなら、確実に無分配型が有利になります(長期になるほど)
仮に二重課税問題が完全に解消したとしても、分配金再投資型がETFに近付くだけですので、信託報酬の逆転が起こらない限り分配金再投資型は不利な立場かと思います。
楽天証券×つみたてnisaでの話になりますが、
楽天VTI、楽天VT、楽天VYMは「無分配型」に分類されているという事で合っておりますでしょうか?
無分配型では「ファンド内で発生した配当金が再投資される」とのことですが、年間40万円投資できる額が
配当金の再投資により減ってしまうということはありませんよね?
よそで書かれている方のつみたてNISAの問題点 という箇所なのですが、
https://www.avocado-fes-thought.com/0816_TsumitateNISA.html
デメリットとは「分配金再投資額や、売却分の他商品への再投資額も年間非課税枠に加算される」という仕様です。と記載があります。
これは分配金再投資型の商品で分配金が出た場合は、課税された分配金として受け取るか、課税された分配金を再投資するか選択することが出来る。つみたてnisaならこの商品を選んでも分配金を受け取ろうが、分配金を再投資しても課税はされないが、分配金を再投資した場合(例えば課税後の分配金が1万再投資されると)、つみたてnisaの投資枠が39万になってしまうということなのでしょうか?
また楽天証券のつみたてnisaで分配金再投資型の商品は明示されているのでしょうか?
>>サバ缶様
まずは無分配型投信について説明しますね。
記事中の「ファンド内で発生した配当金が再投資される」という表現については、あくまで運用会社側の内部で行われる行為に過ぎないので、ファンド自体から実際に分配金は出ない=枠の消費もないという解釈になります。
また、分配金を出さないと明記しているファンドはおそらく存在しないため、「無分配型」というのは顧客側から見た非公式な分類にすぎません。(楽天証券内でも記載はありません)
楽天VTI、楽天VT、楽天VYMについては分配金をずっと出さない可能性が高い(=無分配型)と思っていますが、あくまで推測の話です。(ちなみに楽天VYMはつみたてNISA対象外です念のため)
>>分配金再投資型の商品で分配金が出た場合は、課税された分配金として受け取るか、課税された分配金を再投資するか選択することが出来る。
この部分については少し補足して説明しますね。
ほとんど投信は買付する時点で「受取型」「分配金再投資型」という2種類のコースから選び、分配金が出たとき現金で受け取るのが前者、分配金をただちに再投資するのが後者となります。
記事中の「分配金再投資型」とは「分配金が出るファンドで分配金再投資型コースを選ぶ」という意味で使用しています。楽天VTI等でも買付時この2種類から選択することになりますが、もし予想通り分配金をずっと出さないのであればどちらも事実上同じことになります。(再投資自体しないので枠も消費しない)
逆にどちらのコースを選んだとしても、ファンドが分配金を出すことを決定した時点で枠を無駄に消費してしまうと思ってください。
ただし記事中にもあるように多くのインデックスファンドは分配金自体を出していないものが多いので、現時点ではあまり心配しなくてもよいかもしれません。
元記事含め分かりづらい説明ですいません。長文失礼しました。
>>
楽天VTI、楽天VT、楽天VYMについては分配金をずっと出さない可能性が高い(=無分配型)と思っていますが、あくまで推測の話です。(ちなみに楽天VYMはつみたてNISA対象外です念のため)
名言されている訳ではないので、憶測の話なのですね。
ファンドが分配金を出すか出さないかがポイントになるのですね。
分かりやすい説明ありがとうございます。
初めてまして、分配金の課税について調べているところ辿りついた タカと申します。
楽天VTIの運営会社に電話で問い合わせしたところでは、本家VTIから出る分配金に米国で10%課税された後にファンド内で再投資して口数が増えるそうです。
国内の20.135%は課税されない。
またスリムS&P500の運営会社にも問い合わせしたところ、上記と同じ回答です。ただスリムは口数が増えるのではなく基準価格が上がるそうです。
更に楽天証券に問い合わせしましたら、10%+20.135%引かれた上での再投資という回答するオペレーターと運営会社に聞いて下さい。と言われるオペレーターがいました。
長くなりましたが、リンク先の回答と どれを信用していいものかと (;^ω^)
>>タカ様
どうも初めまして、貴重な情報ありがとうごあいます。
楽天VTIは今のところ無分配型なので、本家VTの分配金はファンド内で再投資→基準価格が増えるだと思っていました。
もし口数の増加となるのであれば、楽天VTIとスリムS&P500は基準価格同士で比較できないことになってしまうので、私も調査してみようと思います。
オペレーターのくだりはちょっと分かりませんでしたが、「楽天証券に問い合わせしたら運用会社に聞くように案内された」ということでよろしいでしょうか?