似たような投資信託を複数保有するメリット

つみたて次郎です。

特定の指数に連動するように設計されたインデックスファンドでは、似たような金融商品が多数存在しています。

例えば日本除く先進国株を広くカバーするMSCIコクサイ指数に連動する投信では、低コストかつ為替ヘッジなしで絞ると次の7種類が存在しています。

ファンド名 信託報酬
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド 0.10989%
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス 0.10989%
たわらノーロード 先進国株式 0.10989%
iFree 外国株式インデックス(為替ヘッジなし) 0.209%
i-SMT グローバル株式インデックス(ノーロード) 0.209%
つみたて先進国株式 0.22%
Smart-i 先進国株式インデックス 0.22%

 

信託報酬最安値になっているのはeMAXIS Slim<購入・換金手数料なし>ニッセイたわらの3つです。

いずれもMSCIコクサイに連動するように運用されますので、ほとんど同じように基準価格は変動します。

どれかが10%上がった日には、他も全部10%上昇していることになります。

短期的にはほぼ同じといっても差し支えないですし、長期的に見ても投資結果を左右するほど大きな差になるとは考えにくいです。

同じように変動する金融資産といえるため、この中のファンドを複数保有していても分散効果を得ることは出来ません。

なので基本的には上記ファンドの中から1本保有していれば十分というのが一般的な結論ですが、あえて似たようなファンドを複数保有するメリットがないわけではありません。

今回は、類似ファンドの同時保有がもたらすメリットとデメリットについて解説していきます。

 

複数保有のデメリット

まずは複数保有の問題点から解説していきます。

当然ながら保有するファンド数が増えるため、ポートフォリオ管理が複雑になるというデメリットがあります。

また、国内ETFや海外ETFの場合は金額指定で購入できないことや、ほぼ必ず分配金が発生することを考えるとさらに面倒なことになりそうです。

同じアセットアロケーションを構築できるのであればできる限り保有銘柄数は少ないほうが好ましいですし、精神衛生上もよいのではないかと思います。

複数保有そのものが問題というよりは、リスク分散にならないのに銘柄数を増やす意味がないといったほうが分かりやすいかもしれません。

 

複数保有のメリット

上記の通り同じようなファンドを複数保有しても、金融理論的にはあまり意味のない行為です。

しかし現実問題として、ファンドごとに固有のリスクがあり、個人投資家にとっても無視できない要素が存在しています。

一番分かりやすいのは繰上償還リスクですね。

運用会社都合による強制解約といえるのが繰上償還ですが、多くの場合投資家にとって不都合な問題を引き起こします。

課税口座の場合はほとんどのケースで税制上不利になってしまいますし、NISAの場合は非課税投資枠が減ってしまうことになります。

参考記事…課税口座における投資信託の乗り換えと税金について

なので繰上償還の可能性が低いファンドを選ぶというのは投資家の課題といえるのですが、事前に予想することは出来ません。

純資産総額が順調に増加しているファンドであれば繰上償還リスクも低いと考えることができますが、繰上償還されるorされないの2択なので、全くないと言い切れるファンドは存在しません。

しかし複数ファンドを保有していれば、どれか1つが繰上償還されても影響を抑えることが可能です。

 

また、インデックスファンドは低コスト化が進んだことで信託報酬以外のコスト…いわゆる隠れコストへの注目が高まっています。

隠れコストは過去の運用報告書や基準価格の変動等から大体の水準を予想することは出来ますが、正確に予想することは不可能です。

そのため最もコストなファンドを事前に選ぶことは困難であり、どのファンドを選んでも安泰とは言えません。

複数ファンドを保有していれば、ファンドにかかるコストも分散することが可能です。

もしどれかのファンドが運用ミスで大幅な下方乖離を発生させたとしても、全体で見れば小さな影響で抑えることができます。

繰上償還も隠れコストも不確実なリスクである以上、可能な限り分散するのが理想的です。

 

現実的な保有数について

類似ファンドを複数保有しても、価格変動のリスクを抑える効果は期待できませんが、繰上償還や運用ミスといったファンド運用に伴うリスクは分散することができます。

もしMSCIコクサイに投資したいのであれば、最初に紹介したファンド7種を全部保有するという荒業も検討できない訳ではありません。

しかし現実問題として、数を増やしすぎると信託報酬が相対的なファンドを含めることになりますし、管理も非常に面倒になってしまいます。

 

ここからはつみ次郎の主観が入りますが、現在の投信事情等を考えると主力となる資産クラスは2本持つのがちょうどいいのではないかと勝手に思っています。

以下参考として挙げていきます。

〇先進国株式クラス
・<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
・eMAXIS Slim 先進国株式インデックス

〇全世界株式クラス(除く日本)
楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天VT)
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

〇米国株式クラス
楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

それぞれ非常に似た内容になっています。

信託報酬や運用方法の違い等を考慮すると、各資産クラスごとにツートップが存在しているように感じます。(Slimとニッセイの功績が大きい)

甲乙つけがたいのであれば、両方とも保有すればよいのです。

特に上記の資産クラスはポートフォリオに占める割合が高い人が多そうなので、万が一片方に問題が発生した時にもう片方でカバーできるメリットは大きいです。

これを海外ETFに応用すると、例えばS&P500に投資したいときにVOO(バンガード)・IVV(iシェアーズ)・SPY(スパイダー)の3種に投資する発想もあります。

天下のバンガードといえど、繰上償還の可能性がゼロとは言い切れませんからね(ほぼないと思いますが)

ただし国内投信と比べれば運用安定性は桁違いなため分散するメリットは小さく、前述したとおりETFは分散することによるデメリットが大きいので、割に合わない分散になってしまうかもしれません。

 

つみたて次郎の場合

今回の話は、つみ次郎のポートフォリオにも色濃く反映されています。

参考記事…つみたて次郎の秘密のポートフォリオ

本家VTVと楽天VYMはコンセプトが異なりますが、結果として投資対象は似たり寄ったりになっています。

それを含めれば、ポートフォリオの中に3ペアが登場していることになります(笑)

また、上の〇から順に一般NISA→つみたてNISA→特定口座での保有となっているため、口座種別ごとに2銘柄ずつ保有していることになります。

できるだけ分散しつつできるだけシンプルにまとめたい…そんな思惑があり現在こんな状態になっています。

参考記事…投資に興味がなくなっても問題ない状況を整えておきたい

 

複数保有も案外悪くない

基本的に同じようなファンドを複数保有するのは基本的に無駄といわれがちですが、メリットがないわけではありません。

複数ファンドの中からどれに投資するかなかなか決められないような優柔不断な人や、徹底的に分散したい几帳面な人にとっても悪くない選択肢ではないかと思います。

口座管理が多少煩雑になってしまいますが、類似ファンドは同一であると見なせばリバランス等の調整時も大きな負担にはならないでしょう。

例えばとある資産クラスでSlimニッセイの2本を持っているとして、Slimはただ積立するだけ・売買が必要な時はニッセイで調整するといった棲み分けです。

分散効果を期待するなら均等分散で保有するのが理想的ですが、そこまでは徹底する必要性はなさそうです。

頻繁なリバランスやポートフォリオ変更をしなければデメリットも十分抑えられますので、繰上償還や下方乖離のリスクを分散したいのであれば複数保有も検討してみてはいかがでしょうか?

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たくさん次郎

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