【朗報】eMAXIS Slim・つみたてんとう等のベンチマークが配当込み指数に変更
つみたて次郎です。
三菱UFJ国際投信㈱より、前例のない発表がありました。
外部リンク…ベンチマーク「配当込み指数」への変更について【概要】
同社が運用しているインデックスファンドのほとんどは配当除く指数をベンチマークとしていましたが、それらのベンチマークが配当込み指数に変更されます。
変更対象となるファンド数は100本を超えており、運用会社としてはかなり思い切った発表といえます。
外部リンク…ベンチマーク「配当込み指数」への変更について【対象ファンド一覧】
具体的にはeMAXIS Slim・eMAXIS・つみたてんとうシリーズなどが含まれており、ホルダーの方もかなり多いのではないかと思います。
特にeMAXIS Slimについては圧倒的な低コストで人気が高いので、大きな意味を持つことになりそうです。
プレイリリースよりeMAXIS Slim記載部分を引用しました。
これまでのベンチマークが左側、これからのベンチマークが右側です。
例えばeMAXIS slim 国内株式(TOPIX)の場合、日経平均株価(日経225)→日経平均トータル・インデックスとなります。
ちなみにeMAXIS Slim S&P500及びeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)については、設定時期やマザーファンドの関係からか元から配当込み指数になっています。
配当除く指数と配当込み指数
今回配当除く指数→配当込み指数に変更されることになりましたが、そもそもこれらは何が違うかについてざっくり説明していきます。
文字から分かるとおり、各銘柄から発生した配当金の処理をどのように行うかが異なっています。
・配当除く指数→配当金を含めない
・配当込み指数→配当金を再投資して計算
普段ニュースなどで聞く日経平均株価、NYダウなどは配当除く指数となっており、一般的に目に触れることが多いのは配当除く指数ではないかと思います。
また、配当込み指数は配当課税を考慮するかでさらに2つに分けることができます。
・配当課税をせずに再投資(グロス)
・配当課税後に再投資(ネット)
グロスは税金がない世界を前提とした「理論上最大値となる計算」と考えるとわかりやすいかもしれません。
一方ネットは、課税の影響も考慮した現実的な計算といえます。ただし計算上の課税と現実の課税が一致するとも考えにくいので、あくまで参考値である点には注意です。
同一指数であれば、トータルリターンは必ず次のようになります。
配当込み指数(グロス)>配当込み指数(ネット)>>配当除く指数
最も現実的な投資家のリターンに近いのは、課税後の配当金を再投資した配当込み指数(ネット)から信託報酬等のコストを引いた数値といえます。
ちなみに三菱UFJ国際投信は、原則として配当込み指数(ネット)を採用すると発表しています。
国内投信のベンチマーク
国内のインデックスファンドの多くは、ファンド自体から直接分配金を出さない無分配型を貫いています。
無分配型投信の場合、ファンド内部で発生する配当金は直ちに再投資されるので、よほど配当利回りが低い投資対象でない限り配当込み指数に近い動きをすることになります。
シンプルに考えれば、分配金をその都度吐き出す方針なら配当除く指数、分配金を出さず無分配を貫くなら配当込み指数をベンチマークとして定めるのが分かりやすいです。
しかし現実的には、各社どれをベンチマークとして設定するかはバラバラです。
例えばMSCIコクサイに連動するファンドの場合、一例をあげると次のように分かれています。
ファンド名 | 指数種類 |
たわらノーロード先進国株式 | 配当込み指数(グロス) |
<購入・換金手数料なしニッセイ・外国株式インデックス・ファンド | 配当込み指数(ネット) |
eMAXIS Slim 先進国株式 | 配当除く指数 |
いずれも有名な先進国株式ファンドですが、同じMSCIコクサイをベンチマークとしていても微妙にその数値が異なっていることになります。
ちなみにeMAXIS Slim 先進国株式は今後配当込み指数(ネット)に変更されます。
変更のきっかけについて
プレイリリース中には『ファンド運用では保有資産から配当金を受け取るため、ベンチマークとして採用した「配当除く指数」とファンドの運用結果に配当相当分のコストが生じておりました。』と記載されており、これが変更理由の1つとなっています。
実際は配当金を再投資しているのに配当除く指数をベンチマークとしていれば、見かけ上指数を大幅にアウトパフォームしていることになってしまうため、誤解を生みかねないという批判が前々からありました。
今回変更があったのも、そのような要望に応えた結果といえます。
現実的な運用成績に一番近いと思われる配当込み指数(ネット)をベンチマークとすれば、トラッキングエラーやコスト等についても分かりやすく顧客に伝えていくことができるのではないかと思います。
個人投資家への影響
今回の変更は、どちらかといえば運用会社の情報開示を実情に合わせたという意味合いが強く、個人投資家のリターンに直接つながるようなことではありません。
結局各社ベンチマークはバラバラですし、レポートや運用報告書から正確なコストを計算するのは不可能です。
ベンチマークがどれであろうと、最終的なトータルリターンに違いが出るわけではありません。
なので結局は各ファンドの基準価格の推移を手掛かりに真の低コストファンドを探していくしかありません。
今回のニュースのキモは「配当込み指数に変更されたファンドはしばらく分配金を出さないであろう」という裏情報です。
配当除く指数の場合、「ベンチマークに合わせるためにその都度分配金出します」という口実で分配金を出すのが正当化されてしまいます。
本来は「分配金出すから配当除く指数をベンチマークにします」というのが正しい流れですが、プレイリリースを見る限りでは仕方なく配当除く指数を使い続けていた風にも読み取れます。
今回配当込み指数に変更してしまった以上、むやみに分配していたら指数から下方乖離してしまうので、今後も分配金を積極的に吐き出すことはないと考えるのが自然ではないかと思います。
無分配型ファンドという前提でeMAXIS Slim等を保有している人にとっては、安心して長期保有できる要素が1つ増えたのではないかと思います。
裏情報はつみ次郎の推憶測に過ぎませんが、単に「ベンチマークを配当込み(ネット)に変更した」という表情報?だけでも十分素晴らしい事実です。
今回の変更に関する評価は賛否両論ですが、つみ次郎は三菱UFJ国際投信の判断を高く評価したいと思います。
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