VT+VTIよりもベターな組み合わせを考えてみる
つみたて次郎です。
日本で人気の高い海外ETFというと、次の2つを思い浮かべます。
・バンガード・トータル・ワールド・ストック(VT)
・バンガード・トータル・ストック・マーケット(VTI)
VTは全世界株式・VTIは米国株式にまとめて投資できるETFで、インデックス投資家ならば一度は検討したい金融商品です。
そのため、この2つはよく比較されており、両方とも保有している人も非常に多いです。
しかし、全世界株式のうち半分が米国であることを考えると、VT+VTIという組み合わせはかなり重複してしまう部分があります。
結果として米国重視の国際分散投資になってしまうので、同時に保有する場合それなりの根拠が必要であると考えています。
参考記事「全世界株+米国株はアリなのか?」
そして仮に米国中の国際分散投資をすると決めたとしても、VT+VTIという組み合わせはあまりオススメできません。
なぜなら、よりよい組み合わせが存在しているからです。
VTは、分解すると米国株+米国外株のセット販売であると考えることができます。
そしてバンガードからは、米国外のみに投資できるETFも多数販売されています。
・バンガード・FTSE・オールワールド(除く米国)ETF(VEU)
・バンガード・トータル・インターナショナル・ストック(除く米国)ETF (VXUS)
この2つは、米国株を除く株式に広く分散投資できるETFとなっています。2つとも内容は非常に似ており、VXUSのほうがより小型株を包括していて投資範囲が広くなっています。
浮動株調整後時価総額基準における現在の米国株比率は約55%ですから、VTIを55%+VEUまたはVXUSを45%でポートフォリオを構築することでVTをほぼ再現することができます。
さらにこれらのETFをまとめてみると、このポートフォリオの優秀さが良く分かります。
投資対象 | 銘柄数 | 信託報酬 | 総資産額 | |
VT | 全世界株 | 8,099 | 0.10% | 約123億ドル |
VTI | 米国株 | 3,629 | 0.04% | 約996億ドル |
VEU | 米国外株 | 2,708※ | 0.11% | 約238憶ドル |
VXUS | 米国外株 | 6,327 | 0.11% | 約116憶ドル |
※銘柄数は2018年4月30日現在、信託報酬及び総資産額は6月12日現在。
まず注目したいのが銘柄数です。
VTでも十分すぎるほどの分散数ですが、VTI+VXUSにするとより銘柄数を増やすことができます。VTI+VEUだとVTよりも銘柄数は少なくなり、個人的には意外な事実でした。
そして信託報酬は、VEUとVXUSともに0.11%となっています。
時価総額に合わせてVTI55%、残りをどちらかにした場合、信託報酬は0.0715%となります。
これはVTの信託報酬0.10%を下回っていますので、自分で組み合わせたほうがオトクになります。
最後に総資産額ですが、VTはアメリカでは相対的に人気がなく、上記ETFの中では地味です。
参考記事「VTがアメリカで人気がないのはなぜ?」
VXUSよりは上ですが、VTの設定年月日が2008年に対しVXUSは2011年と遅いことや、VEUという直接競合する商品があってこの結果ですので、やはり人気がないといっていいでしょう。
繰上償還のリスクはほぼないと思いますが、やはり総資産額は多いに越したことはありません。
今までのデータをまとめてみると、次の結論を出すことができます。
・VTI+VXUSのポートフォリオは、VT単体よりも銘柄数が多くなる。
・VTI+VEUのポートフォリオは、VTよりも総資産額が多い組み合わせになる。
・VTI+VEU(またはVXUS)のポートフォリオは、信託報酬が低くなる。
米国外株部分をVEUにするかVXUSにするかは好みが分かれますが、いずれにせよVT1本に比べて有利になる部分が大きいです。
しかしVTの魅力は、それ1本で済んでしまうシンプルさにありますので、上記メリットで優劣をつけることは出来ません。
しかしここで問題なのは、VT+VTIというポートフォリオと比較した場合についてです。
この場合管理するETFが2本という条件は一緒なので、単純に中身で比較することができます。
VT+VTIという組み合わせは、必然的に米国株の比率が55%を超えることになりますが、VTI+VEU(VXUS)でもほぼ同じポートフォリオを組むことができます。
そしてVTは信託報酬や総資産額で不利な金融商品であるため、2本のETFを用いるという条件であれば、VTI+VEU(VXUS)のほうが良いのではないか?とつみたて次郎は考えています。
さらにこちらの場合、米国株比率を決めるのが容易なので、管理する時に分かりやすいというメリットもあります。
VT+VTIという組み合わせが候補に挙がった時点で、米国株に対する投資方針はある程度明確にするべきだと思うので、であれば米国株式比率を具体的に決めるのは難しくないはずです。
したがって、VT+VTIという組み合わせよりも、VTI+VEUまたはVTI+VXUSという組み合わせをオススメします。
また、3つ以上の組み合わせが許容できるのであれば、VTI(米国)+VEA(米国外先進国)+VWO(新興国)等のようなさらに上位の組み合わせパターンもありますので、いろいろ検討してみると面白いかもしれません。
余談ですが、海外ETFではなく投資信託の場合、低コストな米国外株式ファンドが存在しないため、楽天VT+楽天VTI等の組み合わせは十分選択肢になると思います。
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