楽天・インデックス・バランス(株式重視型・債券重視型)の第1回運用報告書から実質コストを計算してみる
つみたて次郎です。
楽天バンガードシリーズの投資信託のうち、下記3ファンドについて第1回目の運用報告書が出ていました。
・楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型)
・楽天・インデックス・バランス・ファンド(均等型)
・楽天・インデックス・バランス・ファンド(債券重視型)
参考記事…楽天・インデックス・バランス・ファンド(均等型・株式重視型・債券重視型)が登場!国際分散型バランスファンドの最有力候補か?
いずれも全世界の株式と債券に固定比率で投資することができ、その配分で3つのバリエーションがあります(債券は為替ヘッジ有)
それぞれ設定年月日は2018年7月20日となっています。
均等型を例に実質コストを計算
株式と債券の比率が半分ずつになっている均等型の運用報告書をもとに、実質コストを計算してみます。
均等型の信託報酬は0.2546%となっていますが、その内訳は運用会社等の取り分である0.1296%と、投資先のETFや投信に対して間接的に負担している0.125%に分けることができます。
そして0.125%については、均等型の実質的な投資先である下記2つのETF及び投信の信託報酬に依存しています。
ファンド名 | 種類 | 信託報酬 | |
株式部分 | バンガード・トータル・ワールド・ストック(VT) | 海外ETF | 0.10% |
債券部分 | バンガード・グローバル・ボンド・インデックス・ファンド | 投資信託 | 0.15% |
均等型の場合50%ずつ投資しているので、実質的に負担しなければならない割合は次のようになります。
( 0.10% + 0.15% ) × 50% = 0.125%
VTについては、2019年2月に信託報酬が0.10%→0.09%に引き下げられているので、実際はもう少し低い信託報酬になっています。
参考記事…バンガードETFが信託報酬引き下げ【VT・VWO・VYMなど】
ただし、今回については交付目論見書に記載されている数値を用いて計算することにします。
均等型の運用報告書より一部引用します。
出典「楽天投信投資顧問」
上記費用には、投資先のETF及び投信に対して発生している信託報酬0.125%が含まれていないので、それ他の信託報酬である0.1296%という数値を最初に用います。
決算期間における(a)信託報酬率は0.102%なので、
0.1296% ÷ 0.102% ≒ 1.27059倍
という補正を費用合計率にかけてあげればよいことになります。
0.284% × 1.27059倍 ≒ 0.36085%
これに0.125%を足してあげれば、信託報酬含めた全体の実質コストになります。
0.36085% + 0.125% = 0.48585%
ここから元々の信託報酬合計である0.2546%を引いてあげれば、信託報酬除く隠れコストになります。
0.48585% - 0.2546% ≒ 0.23125%
これで隠れコストと実質コストの両方を求めることができました。
各商品の隠れコストと実質コスト
上記の要領で、残り2つについても計算した結果が以下の図です。
略称 | 信託報酬※ | 隠れコスト | 実質コスト |
株式重視型 | 0.2456% | 0.2455% | 0.49109% |
均等型 | 0.2556% | 0.23125% | 0.48585% |
債券重視型 | 0.2656% | 0.18303% | 0.44863% |
※2018年2月に発表されたVTの信託報酬引き下げの影響は反映していない(現時点の交付目論見書から引用)
債券重視型の隠れコストはやや低めですが、それを踏まえても全体的に高めになっている印象ですね。
とはいえ楽天バンガードの先駆けともいえる楽天・全米株式インデックス・ファンド及び楽天・全世界株式インデックス・ファンドについては、第1期に比べ第2期で大きくコストが下がっている可能性が高いので、第2期以降は同じように期待できるかもしれません。
参考記事…楽天VTと楽天VTIの第2期9ヵ月経過時点の費用明細が発表されました
コストよりも不人気が辛い
隠れコストはやや高めという残念な結果ですが、元々バランスファンドはコスト最優先で選ぶというよりも、リバランス等のメンテナンスから解放されるという意義が大きいと考えているので、極端な高コストでない限り及第点であると考えています。
それ以上にマズいのは、3商品とも純資産総額がうまく増えていないことです。
類似ファンドの中でも信託報酬は低めであり、商品そのものは優秀だと評価していますが、いかんせん知名度がなさすぎるのが辛いです。
参考に、ファンドが設定された2018年7月20日~2019年6月25日における純資産の変化について類似ファンドとともにまとめてみます。
ファンド名 | 2018/7/20 | 2019/6/25 |
株式重視型 | (設定日) | 約11億円 |
均等型 | (設定日) | 約4億円 |
債券重視型 | (設定日) | 約3億円 |
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド | 約1,656億円 | 約1,819億円 |
ドイチェ・ETFバランス・ファンド | 0.66億円 | 0.68億円 |
世界経済IF(株式シフト型) | 約50億円 | 約46億円 |
世界経済インデックスファンド | 約585億円 | 約612億円 |
世界経済IF(債券シフト型) | 約7億円 | 約7億円 |
世界経済IO(株式シフト型) | 約16億円 | 約19億円 |
世界経済インデックス・オープン | 約2億円 | 約6億円 |
世界経済IO(債券シフト型) | 約6億円 | 約8億円 |
つみ次郎が思いつく範囲で調べてみました。
最も人気のある株式重視型ですら、ほぼ1年経過したにもかかわらず11億円とかなり不人気であることがうかがえます。
セゾンバンガードや世界経済IFからの乗り換えが期待できれば爆発的に増える可能性もないとは言えませんが、現状を考えるとかなり厳しいシナリオといえそうです。
また、類似ファンドではあるもののそれぞれ微妙に特徴が違うので、信託報酬だけで一概に優劣をつけにくいのも問題です。
以前から言及していますが、やはり債券部分については為替ヘッジをつけなかったほうが、商品アピールしやすかったのではないかと思います。
それを差し引いても、既存ファンドの勢力が非常に大きいジャンルなので、どちらにせよ厳しい戦いを強いられることには変わらないとは思いますけどね。
隠れコストはとりあえず及第点であり、ファンドのコンセプトも悪くないだけに、このまま終わらせてしまうのはもったいないですね。
楽天投信投資顧問の底力を見せてもらいたいところです。
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楽天・インデックス・バランス・ファンド(次郎重視型)
最近初心者におすすめを聞かれて、内容的には一番良いと思ったのですが、隠れコストと最悪の場合償還も頭をよぎり、躊躇してしまいました。
釈迦に説法ではありますが、為替ヘッジは、パフォーマンスを下げても、円ベースで見た場合の暴落時のクッションとして大いに期待でき、相関関係も大きく下げるので、個人的にはアリだと思っています。
>>につてい様
私とほぼ同じような評価ですね(笑)
おっしゃる通り内容は素晴らしいですが、それを打ち消すような不人気具合がもったいないです。
為替ヘッジについても、下落耐性をつけるという意味では十分アリな方針だと思います。
ただ、下落リスクを下げるだけであれば国内債券の比率を高めるなどで十分ですし、「セゾンと同じ内容で大幅低コスト」というフレーズで売り込めないのはかなり痛手だったような気もします。
個人的には為替ヘッジ有無の2パターンで設定していればまだ違う結果になったのではないかと思っています。