楽天・インデックス・バランス・ファンド(均等型・株式重視型・債券重視型)が登場!国際分散型バランスファンドの最有力候補か?
つみたて次郎です。
2018年7月20日から、楽天投信投資顧問㈱より素晴らしい投資信託が3本新規設定されます。
楽天・インデックス・バランス・ファンド(均等型)
楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型)
楽天・インデックス・バランス・ファンド(債券重視型)
いずれも日本を含む全世界の株式や債券にまとめて投資できるバランスファンドで、株式と債券の比率に応じて3つのバリエーションが用意されています。
それぞれの株式と債券比率、信託報酬は次の通りです。
種類 | 株式 | 債券 | 信託報酬 |
均等型 | 50% | 50% | 0.252% |
株式重視型 | 70% | 30% | 0.24% |
債券重視型 | 30% | 70% | 0.264% |
信託報酬はいずれも低く、最安値クラスとはいえませんが十分な水準です。
他社商品と比較して興味深いのは、株式比率が高いほど信託報酬が低くなっていることです。
通常、債券に比べ株式のほうが運用コストがかかりやすく、同シリーズのバランスファンドにおいては、株式比率が高いほど信託報酬が高くなる傾向があります。
しかし、この商品においては逆になっています。その理由については、運用方法を確認していくと良く分かります。
当商品は、バンガードのETF及び投資信託(ミューチュアルファンド)を間接的に保有することでベンチマークとの連動を目指します。
次の2商品を上記で示した比率で保有するのが基本方針となります。
ファンド名 | 種類 | 信託報酬 | |
株式部分 | バンガード・トータル・ワールド・ストック(VT) | 海外ETF | 0.0.9% |
債券部分 | バンガード・グローバル・ボンド・インデックス・ファンド | 投資信託 | 0.15% |
株式部分は、バンガードETFであるVTを利用することになります。均等型の場合、株式比率は50%ですので、全体の半分がVTとして運用されることになります。
ちなみにVT100%で運用されるのが、楽天・全世界株式インデックス・ファンドになります。
債券部分は、バンガードの未上場ミューチュアルファンドを利用することになっています。
どちらも時価総額加重平均でウェイトが決められており、株式の半分強・債券の半分弱は米国になっています。
そして、債券部分は為替ヘッジ有になっており、他のバランスファンドと比較する際に注意しておきたいポイントになります。
バンガードの投資信託とETFを1つずつ組み合わせて運用するという、ファンド・オブ・ファンズとファンド・オブ・ETFを併せたような独特の運用方法になっています。
信託報酬は、元々のETF及び投資信託の分が上乗せで発生しますが、株式部分を担当するVTのほうが低くなっているため、VTの比率が高い=株式比率が高いほど、信託報酬が低くなるというちょっと不思議な状況になっています。
ちなみにいずれも、元商品の信託報酬+0.132%が最終的な信託報酬になっており、他の楽天バンガードシリーズと同様の法則になっています。
ここまでの特徴をまとめると、今年5月に登場した楽天・インデックス・バランス(年金DC)と非常に似ています。
こちらは株式20%:債券80%という比率になっていること・DC(確定拠出年金)専用であること・信託報酬が割安に設定されているという違いがありますが、基本的な制度設計はほぼ一緒になっています。
今回登場した3商品には「DC専用」という文字は入っていないので、特定口座はもちろん、つみたてNISAの対象商品になる可能性が高いです。
ここまで商品の概要をまとめてきましたが、今回登場した楽天・インデックス・バランス・ファンドの3商品を一言で表してしまえば、「為替ヘッジ有債券が混ざった楽天VT」といえます。
これまで楽天バンガードは、楽天VTや楽天VTIなど、株式のみの投信を中心に展開してきましたが、今回本腰を入れてバランスファンドに殴り込みをかけた形になります。
その中でも特に需要が高い、全世界株式+全世界債券というジャンルに参入したのは、素晴らしいセンスといえます。
今回の発表で最もダメージを受けるのは、なんといってもセゾン投信㈱が運用しているセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドでしょう。
全世界株式50%+全世界債券50%という分かりやすいコンセプトで一躍有名になりましたが、信託報酬0.61±0.02%というのは、今となっては割高です。
今回登場したうち均等型が非常に近い内容で、信託報酬は0.252%と大幅に低くなっており、非常に強力なライバルとなるでしょう。
ただし、セゾンは債券部分が為替ヘッジ無・楽天は債券部分が為替ヘッジ有という大きな違いがあるため、一概に楽天のほうが良いと言い切れないのが何とももどかしいです。
また、セゾンの強みは、直接販売による安心感やネームバリューにあるため、信託報酬を理由にセゾン→楽天への乗り換えは意外と進まないのではないかと個人的には予想しています。
その他商品では、世界経済インデックスファンドや世界経済インデックス・オープンなどにも影響を与えそうです。
商品設計に多少の違いはありますが、全世界株式+全世界債券という基本構想は同じですし、株式と債券の比率に応じたバリエーションがあるという点も似ています。
そしてこの2つについても信託報酬は0.54%とやや高めですので、楽天・インデックス・バランス・ファンドが今回登場したのは大きな痛手になりそうです。
いずれも内容が少しずつ違いますが、信託報酬に大きな差があるため、乗り換える理由としては十分でしょう。
特につみたてNISAにおいては、債券単体のファンドに投資できないという制約上、債券を含めたポートフォリオを構築する場合、バランスファンドに頼らざるを得ないという現状があります。
バランスファンドの多くは、日本株や日本債券に偏っていたり、国際分散を重視した商品は上記のような信託報酬が高めになっているものが多いという問題がありました。
しかし今回登場した楽天・インデックス・バランス・ファンドがつみたてNISAに採用されれば、これら問題を一気に解決させてくれるほどのポテンシャルが秘められています。
債券部分が為替ヘッジ有になっているのは好みが分かれそうですが、3種類の比率も絶妙であり、バランスファンドを検討している多くの人にっての最適解となりうる素晴らしい商品になると思っています。
特に株式比率が70%の株式重視型については、単体でもバランスのよいアセットアロケーションになっており、現金比率を調整することで、幅広い人に最適な投資信託となりそうです。
より幅広い人にオススメできるという意味では、楽天VTと同じぐらい、いやそれ以上に素晴らしい投資信託だと思います。
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あまりに素晴らしい投信
この楽天バランス、全然売れていないですね。
何がいけなかったのでしょうか?
私は債券+VTという安直な構成がダメだったような気がします。
海外ETF100パーセントなので、バランスファンドになっていないような気がします。
元々バランスファンド自体需要がバラけやすく、楽天バランスも商品設計としてはインパクトに欠ける内容だからだと思います。
個人的には、幅広い投資家に合うような素晴らしい内容だとは思いますが、売れるかどうかはまた別問題ということですね。