バンガード・米国一般消費財セクター(VCR)分析
シーゲル二郎です。
今回は、バンガード・米国一般消費財セクター(VCR)を分析していきます。
米国の一般消費財企業にまとめて投資できるETFです。
バンガード・米国エネルギーセクターETF (2017/3/31現在)
項目 | データ |
信託報酬 | 0.10% |
銘柄数 | 376 |
PER | 23.4倍 |
PBR | 4.7倍 |
ROE | 20.8% |
利益成長率 | 12.7% |
売買回転率 | 7.3% |
標準偏差 | 12.01% |
利益成長率が素晴らしいですね。標準偏差は高めで、景気に左右されやすいです。
一般消費財とは、身もふたもない言い方をすれば、「娯楽品」です。株式投資においては、生活必需品の対となる存在です。
ですが、一般世間の一般消費財・生活必需品とは異なった分類をされます。例を挙げます。
生活必需品 | 一般消費財 |
食料品 | 外食産業 |
タバコ | スポーツ用品 |
ドラッグストア | ホームセンター |
スーパーマーケット | 雑貨店 |
適当に挙げてみましたが、生活必需品と一般消費財の境は非常にあいまいです。基本的には、不況でも需要が落ちないかどうかで判断されます。
ウォルマート・ストアーズ(WMT)は、もともと雑貨店に近い事業で一般消費財セクターに分類されていましたが、生鮮食品スーパー事業が大成功した結果、生活必需品セクターに移行しました。
S&P500との比較です。景気敏感株なので不況に弱いのですが、リーマンショックでは市場平均並みの下落で済んでいます。2014年以降を見ると、かなりボラティリティは高いように見えます。
業種別だと次の通りです。(2017/3/31現在)
業種 | 構成比率 |
ネット通販 | 17.6% |
ケーブル・衛星TV | 10.7% |
映画・娯楽 | 10.6% |
レストラン | 9.7% |
ホームセンター | 8.0% |
その他 | 43.4% |
その他には、衣料品・自動車・ホテルなどが含まれています。他のセクターに比べると、かなり細かく分かれているようです。
ちなみにネット通販の半分以上はアマゾンです。
上位10銘柄は、次の通りです。
順位 | 会社名 | 構成比率 |
1位 | アマゾン | 11.4% |
2位 | コムキャスト | 5.7% |
3位 | ホームデポ | 5.7% |
4位 | ウォルト・ディズニー | 5.4% |
5位 | マクドナルド | 3.4% |
6位 | プライスライン | 2.8% |
7位 | スターバックス | 2.7 |
8位 | タイムワーナー | 2.4% |
9位 | ナイキ | 2.4% |
10位 | ロウズカンパニー | 2.3% |
上位10銘柄計 | 44.2% |
当たり前ですが、どれも聞いたことがある名前ばかりですね。バフェット氏が好む、消費者に近い企業が多く存在しています。
全体的な傾向としては、アマゾンを筆頭とするグロース株が多いのが特徴ですね。トップ10ではっきりグロース株でないのはマクドナルドくらいでしょうか。
一般消費財セクターは、米国の長期セクター別リターンで、11セクター中5位とまずまずの成績でした。ですが、シーゲル派からはあまり好かれていません。
それは、一般消費財セクターの栄枯必衰の激しさです。
シーゲル氏は、1957年当時のS&P500銘柄を入れ替えせず保有していれば、本来のS&P500を上回るリターンを得ることを発見しています。負け組として指数から外されていた企業が、実は新しく入ってきた企業群よりも高リターンであることは、投資家にとって意外な事実です。
ですが、このデータが唯一当てはまらなかったのが、この一般消費財セクターでした。一般消費財セクターは、流行が激しいため、負け組企業が、リターンでも本当に負け組になることが多かったといえます。
その結果、1957年当初銘柄だけで計算したセクター別リターンは、11セクター中9位とひどい結果でした。
長期投資では、永続する企業を適切な価格で買い続けることが重要です。そのため、永続するか予想しづらい一般消費財セクターは避けられがちです。
上位10銘柄のグロース株ぶりをみれば、いかに勝ち組が固定されないセクターであるかが分かると思います。
一般消費財セクターで個別株投資をするのはかなり難しいと思います。
消費者独占企業が多いのは事実なので、自分だけのお気に入り銘柄を見つけて「バフェットごっこ」をして遊ぶのには向いているセクターかもしれません。