ナイキ(NKE)分析
シーゲル二郎です。
今回は、ナイキ(NKE)を分析していきます。
説明不要の世界的スポーツ用品メーカーです。
連続増配…14年
S&P格付…AA-
採用インデックス
・NYダウ
・S&Pグローバル100
・S&P500
スポーツマンのみならず、引きこもりの陰キャでも知ってる有名企業です。名前の由来は、ギリシャ神話の勝利の女神、Nike(ニーケ)からきています。
特にスポーツシューズ関係に強みがあり、特に米国ではシェアの半分を誇ります。事業の6割がシューズ類、残り4割がシャツなどのアパレル関係です。ちなみにナイキ自体は商品の製造を行わないファブレスであり、商品の企画設計、宣伝等のみを行います。
ファブレスメーカーは、自社で工場を持たないため設備投資が少なくて済み、身軽なため高収益になりやすいです。その分、製造会社との駆け引きが重要で、工場の稼働率などで製造単価が左右されるリスクがあります。
シーゲル二郎はブランド品が嫌いなので興味はありませんが、エア・ジョーダン、コンバース、ハーレーなどが有名です。
特にエア・ジョーダンは、NBA(バスケット)のマイケル・ジョーダンと契約を結び、ナイキブランドの拡大に大きく貢献しました。
オリンピック含む各種大会やスポーツ選手のスポンサーとしても幅を利かしています。最近までは、ゴルフのタイガー・ウッズとも契約していましたが、ゴルフ事業から撤退に伴い解消されています。
出典「ビジネス+IT」
スポーツ用品世界ランキングです。ナイキは圧倒的1位です。2位のアディダスと合わせて大きなシェアを握っています。
3位のノースフェイスは、配当貴族であるVFコーポレーション(VFC)の傘下です。6位のアンダーアーマー(UAA)は、近年急成長を遂げているグロース銘柄で、高い注目を浴びています。
出典「FORTUNE」
米国内のみですが、フットウェアのシェア推移です。ナイキとVFコーポレーション、アンダーアーマーは増加していますが、アディダスが減少しています。
※9/16追記…最近はアディダスの北米シェアが急速に成長しているようです。
ナイキはトップシェアですが、現在でも緩やかにシェアを拡大しており、今後も安泰といえそうです。しかし、懸念材料がないわけではありません。
スポーツ用品は、オールドエコノミー(=昔ながらのビジネス)と思われがちですが、実はニューエコノミー(=新しいビジネス)ともいえる領域を持っています。
スポーツ用品は、競技の結果につながらなければ、スポーツマンの心を掴むことはできません。ナイキの強みは、シューズであり、クッション性に優れているといわれています。(履いた事ないから知らんけど)
また、急成長中のアンダーアーマーは、名前のアーマー(鎧)と名がつく通り、シャツ類に強みがあり、通気性がよく汗が乾きやすいと評判です。
そのため、各社の競争も比較的激しいです。ナイキは2016年に、自動で靴紐が締まる「ナイキハイパーアダプト1.0」というよくわからない製品を発表しました。
通常アパレル業界では、基本的に機能性より見た目やブランドが重視されるので、いかに流行に敏感なミーハー共の心を掴むかにつきます。
スポーツをやる人の半分くらいは、かっこつけたいだけのニワカプレーヤーです(シーゲル二郎調べ)。そのため、流行に左右される部分は大きいですが、プロを筆頭とする本当のスポーツマンの評価も大事なので、ファッション性だけでなく機能性も重視されるところが、一般的なアパレル銘柄と違うところです。
海外売上比率は50%を超えています。業種を考えれば十分すぎるほど海外展開できています。勝利の女神に国境はありません。
きれいな右肩上がりで、今後も増収増益が期待されています。
工場を持たないファブレスなので、投資CFは少なめですが、直近では増加しています。営業CFマージンは10%前後しかなく、高収益とはいえません。ナイキブランドを考えると低めに感じてしまいます。
グラフもばらついており、美しくありません。
利益の伸びも増配率も素晴らしく、文句なしです。シーゲル二郎はお断りしますが。
ナイキも自社株買いに積極的なため、自己資本比率は低下、ROEは上昇しています。
現時点情報(2017/9/13)
株価…53.4ドル
予想PER…21.73倍
配当利回り…1.47%
連続増配…14年
バリバリのグロース株かと思っていましたが、直近では落ち込んでおりお買い得です。配当利回りは約1.5%と低めですが、配当性向を考えれば十分だと思います。
そこそこ期待していたので、そこそこの評価になりました。ブランド力、シェアは申し分ありません。ただ、営業CFマージンは10%ほどと低めなのが意外でした。株価も意外とお手頃です。
一般消費財セクターなので、景気に左右されやすい業種に分類されています。とはいえ、ナイキが扱う商品はシューズが中心なので、不景気でも買われ続けると思います。
また、シューズはスポーツごとの対応が容易なので、スポーツ競技の流行が変わっても問題ないでしょう。
スポーツ人口も、先進国ではあまり増加は期待できませんが、新興国ならば人口そのものが増え続けているし、国民の所得が増加すれば娯楽としてのスポーツをやる人も増えていくと思います。
新興国では、プロスポーツ選手になるのが一攫千金のチャンスになっている側面もあるので、業界の成長は間違いないでしょう。
そのトップを抑えているナイキも安泰ではないでしょうか。
懸念とすれば、販売経路の確保です。ナイキは、今までアマゾンなどの通販サイトでの販売をしておらず、ネット通販の公式販売は自社直営サイトのみでした。
しかし、2017年に、アマゾンと提携を結び、一部商品に限定して公式販売を始めています。ナイキはネット販売によるブランド力の低下を懸念していたので、ナイキが折れたような状況です。
ことの発端は、米スポーツ用品販売大手のスポーツオーソリティが2016年に破綻したことです。同社は多くの在庫を抱えていたので、その中にはナイキの製品も大量にありました。そのため、同業種が安く買いたたき、安い値段で市場に流通してしまいました。
そのため、ナイキブランドの価格低下を招いてしまいました。そのため、アマゾンでの直販を導入することで、値引き競争やニセモノ流通を食い止めたい思惑です。
ちなみにクソダサい投資家に人気のあった、シューズ販売のフット・ロッカー(FL)も、同じような流れで大ダメージを受け暴落しています。
アマゾンはあらゆる業界の勢力をかき乱すポテンシャルを秘めており、退屈をこよなく愛するシーゲル派にとっては脅威といえます。
長々と書きましたが、ナイキブランドを揺るがすような内容ではないので、心配無用だと思います。スポーツ用品自体が成長産業なので、大きなポカをやらなければ生き残る企業の筆頭といっていいでしょう。
超有名企業で業績良しの優等生なので、問題は適正な値段で買えるかどうかです。シューズは割引されても、株価が割引されるタイミングはあまりなさそうですよ。