【米国大型株】S&P100指数のうち無配当銘柄が占める割合は〇%

つみたて次郎です。

つみ次郎は高配当・連続増配といった配当にフォーカスした戦略を支持していますが、高リターンな無配当銘柄を取りこぼすという構造上避けられない弱点が存在しています。

『ファクター投資入門』では以下のように言及されています。

アメリカ株のおよそ60%、米国外株のおよそ40%が配当を支払っていないので、これらの発見は重要な示唆を持つ。つまり、配当をファクターとしてポートフォリオを構築し、無配の銘柄を除外すると、ポートフォリオの分散がかなり小さなものとなってしまうのだ。
出典「ファクター投資入門」

配当ファクターの問題点を指摘する文章ですが、今回はアメリカ株のおよそ60%が配当を支払っていないという部分に注目していきたいと思います。

数年前のデータではありますが、今と比較する分には大きなズレはないでしょう(コロナショックを眺めながら)

※あまり意味のないグラフイメージ。

つみ次郎の予想では、この60%という割合は銘柄数の話だと思いました。

例えば米国株式市場全域をカバーしているVTIの銘柄数は約3,500ですので、そのうちの6割…つまり2,100銘柄は無配当かなぁという予想です。

しかし、配当系ファンドの多くは均等加重ではなく時価総額加重・配当加重を採用していますので、銘柄数の割合よりも時価総額の割合で考えたほうが実情を反映しています。

参考記事…【指数】時価総額加重・均等加重・配当加重について

個別株投資家を想定する場合も、時価総額の大きい企業が大半を占めることになりそうですので尚更です。

また、成熟した大型株ほど配当金支払いをする理由があり、逆に上場したての小型株は無配当であることが多いため、時価総額で考えると無配当株の割合はかなり低いのではないか?という推測が勃ちました。

すぐに検証できる範囲で見ても、大型株30社からなるNYダウ銘柄で無配当は最近無配転落になったボーイング(BA)だけですからね。

参考記事…【悲報】ボーイング(BA)が無配転落

仮にNYダウ銘柄だけで配当戦略をやるなら上記の弱点はほぼ存在しないことになります。

そこで今回は、さらに範囲を広げて無配当銘柄の割合について調査していきたいと思います。

 

S&P100指数で検証

米国大型株全体の傾向を掴むために、S&P100指数(時価総額上位100にほぼ一致)で検証してみました。

本当はS&P500指数でやりたかったですが、流石に銘柄数が多すぎるのでアウト。

ちなみにS&P500指数は米株市場全体の約75%をカバーしていますが、S&P100の場合は約50%くらいです。

S&P100指数≒米株市場の上位半分と考えると分かりやすいですね。

採用銘柄や構成比率等については同指数に連動するiシェアーズ S&P 100 ETF(OEFを参照しました。

全銘柄の構成比率と配当利回りを載せてみます(2020/5/4現在)

セクターや配当利回りで並び替えもできます(表最上部の項目をタッチ)

 

構成比順銘柄セクター構成比率配当利回り
1MSFT情報技術8.57%1.14%
2AAPL一般消費財7.78%1.12%
3AMZN一般消費財6.13%0.00%
4FBコミュニケーション3.14%0.00%
5GOOGコミュニケーション2.54%0.00%
6GOOGLコミュニケーション2.54%0.00%
7JNJヘルスケア2.51%2.27%
8BRKB金融2.3%0.00%
9V情報技術1.94%0.68%
10JPM金融1.88%3.91%
11PG生活必需品1.88%2.73%
12UNHヘルスケア1.74%1.5%
13INTC情報技術1.61%2.28%
14MA情報技術1.54%0.59%
15HD一般消費財1.54%2.7%
16VZコミュニケーション1.52%4.37%
17Tコミュニケーション1.41%7.03%
18PFEヘルスケア1.34%4.04%
19MRKヘルスケア1.28%3.17%
20DISコミュニケーション1.23%1.71%
21BAC金融1.21%3.14%
22XOMエネルギー1.18%7.75%
23NFLXコミュニケーション1.18%0.00%
24PEP生活必需品1.17%2.92%
25KO生活必需品1.14%3.63%
26WMT生活必需品1.13%1.75%
27CSCO情報技術1.12%3.48%
28NVDA情報技術1.12%0.22%
29CVXエネルギー1.09%5.64%
30CMCSAコミュニケーション1.09%2.54%
31ADBE情報技術1.08%0.00%
32ABTヘルスケア1.02%1.60%
33PYPL情報技術0.91%0.00%
34BMYヘルスケア0.91%2.99%
35MCDヘルスケア0.88%2.75%
36AMGN一般消費財0.88%2.77%
37COST生活必需品0.85%0.92%
38TMOヘルスケア0.85%0.27%
39LLYヘルスケア0.83%1.93%
40MDTヘルスケア0.82%2.27%
41ABBVヘルスケア0.78%5.77%
42ACN情報技術0.73%1.78%
43PM生活必需品0.73%6.38%
44ORCL情報技術0.72%1.89%
45NEE公共事業0.71%2.43%
46UNP資本財0.7%2.21%
47IBM情報技術0.69%5.36%
48NKE一般消費財0.68%1.14%
49WFC金融0.68%7.46%
50AMT不動産0.66%1.83%
51DHRヘルスケア0.66%0.45%
52TXN情報技術0.66%3.26%
53GILDヘルスケア0.65%3.39%
54C金融0.64%4.52%
55HON資本財0.63%2.66%
56LMT資本財0.61%2.53%
57RTX資本財0.58%3.23%
58SBUX一般消費財0.56%2.28%
59QCOM情報技術0.55%3.44%
60MMM資本財0.55%3.96%
61LOW一般消費財0.51%2.05%
62CHTRコミュニケーション0.51%0.00%
63CVSヘルスケア0.50%3.34%
64MDLZ生活必需品0.47%2.28%
65BA資本財0.46%0.00%
66MO生活必需品0.45%8.84%
67UPS資本財0.41%4.47%
68AGNヘルスケア0.4%1.57%
69CAT資本財0.39%3.82%
70BKNG一般消費財0.39%0.00%
71DUK公共事業0.39%4.57%
72AXP金融0.38%1.99%
73CL生活必需品0.38%2.53%
74BLK金融0.37%3.02%
75SO公共事業0.37%4.66%
76GE資本財0.36%0.64%
77GS金融0.36%2.84%
78TGT一般消費財0.35%2.36%
79BIIBヘルスケア0.34%0.00%
80USB金融0.32%4.87%
81MS金融0.29%3.68%
82COPエネルギー0.28%4.16%
83EXC公共事業0.22%4.32%
84DD素材0.21%2.68%
85EMR資本財0.21%3.68%
86ALL金融0.21%2.15%
87WBA生活必需品0.2%4.31%
88BK金融0.19%3.49%
89GD資本財0.19%3.53%
90COF金融0.18%2.60%
91FDX資本財0.18%2.24%
92KMIエネルギー0.18%7.17%
93MET金融0.17%5.38%
94GM一般消費財0.17%0.00%
95DOW素材0.16%8.47%
96SLBエネルギー0.14%3.08%
97AIG金融0.13%5.32%
98SPG不動産0.12%0.94%
99F一般消費財0.12%0.00%
100KHC生活必需品0.12%5.53%
101OXYエネルギー0.09%2.84%

 

S&P100ですが101銘柄ありました(お約束)

ETFであるため一部株式ではない資産(キャッシュ・ETF等)が入っていましたが、それらは除外した上で構成比率は再計算しています。

 

↓↓以下広告の下にまだまだ続くイカ~🦑

 

 

無配当銘柄の比率はいかに?

上記101銘柄のうち配当金を出してない銘柄は14種だったので、銘柄数で見た場合の無配当株が占める割合は14%以下という事になります。

また、その14種の構成比率を合計すると21.81%になりましたので、時価総額で見た場合の無配当株が占める割合は約22%という事になります。

どちらも大体つみ次郎の想像通りだったのでとりあえず一安心です(笑)

前述したとおり、S&P100は米株市場の時価総額上位半分をカバーしている指数ですので、時価総額で考えた場合その8割…つまり米株市場全体を見た場合で少なくとも4割程度が配当金を出しているという計算になります。

さらにS&P100銘柄以外(S&P400等)でも配当金を出している企業は大量にありますので、この時点で米株市場の60%が無配当銘柄というのは時価総額の話ではないという事がほぼ確定となります。

S&P100に含まれるような大型株に限定すれば、銘柄数で見ても時価総額で見ても無配当銘柄の割合は2割前後の話であり、配当ファクターが特別ポートフォリオの分散を下げるものではないと考えました。

 

配当利回りもついでにチェック

せっかくなので、配当利回りに関するデータもあれこれ調べてみました。

S&P100銘柄全体の時価総額加重で計算した配当利回り平均は2.06%でした。

ちなみにOEFの配当利回りは2.29%ですのでまぁこんな感じでしょう。

他にもいろいろまとめたので一覧にしてみます。

 

配当利回りの時価総額加重平均
2.06%(65種・44.3%)

配当利回りの単純平均
2.78%(45種・27.9%)

配当利回りの中央値
2.66%(50種・33.3%)

 

()内の数値はそれぞれの配当利回りを超えている銘柄の数およびその銘柄の構成比合計です。

配当利回りが平均値(中央値)を超えた銘柄というスクリーニングだとそれなりに絞られる感じですね。

こうして考えると、配当加重ってとんでもなく素晴らしいですね(唐突)

幅広い銘柄を採用しつつも構成比率の調整は緩やか…DLNが欲しくなります(笑)

参考記事…ウィズダムツリー 米国大型株配当ファンド(DLN)分析
参考記事…【指数】時価総額加重・均等加重・配当加重について

ちなみに先ほど張った銘柄一覧の表は配当利回り順に並び変えることもできますので、高配当銘柄をチェックしたい人はぜひご活用ください(笑)

 

兼ね満足できる結果に

少なくとも米国大型株においては、銘柄数だけでなく時価総額比で見ても無配当銘柄の割合というのはそこまで大きいわけではないことが分かりました。

これからも安心して楽天VYMを保有できそうです(笑)

ただし、無配銘柄の中には市場全体のリターンを牽引している大型グロース株や、無配転落した大型バリュー株(?)がゴロゴロ存在しています。

それらの尖った銘柄を完全に除外することになってしまうので、その弱点をどう受け止めるかが配当投資のキモといえるかもしれません。

せっかくですので無配当銘柄14種の一覧でも載せておきます。

 

ADBE・AMZN・BA・BIIB・BKNG・BRK.B・CHTR・F・FB・GM・GOOG・GOOGL・NFLX・PYPL

 

余談ですが、この中でBA・F・GMクソ株3種についてはコロナショック後に減配を発表しているので、もう少し前に検証すればさらに無配当株の割合は下がっていたかもしれません。

上記3種を除くと、無配当銘柄が全体に占める割合は銘柄数で11%以下・構成比率で21.06%になります。

逆に、今後無配転落になってしまう銘柄が増えるほど割合は増えることになりますので、コロナショックが配当の在り方を変えてしまわないか?という心配はあります。

参考記事…雇用維持>配当金>自社株買い

いずれにせよ、配当戦略を採用している人にとってはいろんな意味で苦しい状況が続きそうです(高みの見物)

 

今日の一言

DLNの信託報酬(0.28%)高すぎて辛い

 

にほんブログ村 株ブログ 米国株へにほんブログ村 株ブログ つみたてNISAへにほんブログ村 株ブログ 投資信託へ
ブログ村ランキング

無配当次郎

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください