謎の勢力「分配金でないなら楽天VYMより楽天VTIのほうがいい」

つみたて次郎(楽天VYM次郎)です。

当ブログイチ押しの投資信託「楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド(以下:楽天VYM)」ですが、配当金の出ない高配当株インデックスということで、その評価は真っ二つに分かれている印象です。

肯定派の主な意見は次の通りです。

・小額から買いづらい本家VYMを積立投資できる。
・配当金再投資する場合に課税繰り延べが期待できる。

特に後者については不安材料もありますが、トータルリターンで本家VYMに並ぶかもしれない可能性を秘めた凄まじいメリットです。

参考記事「楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド vs 本家VYM

 

逆に、批判派の主な意見は次の通りです。

・配当金出ないなら高配当株の意味がない。
・楽天VYMよりも楽天VTIのほうがいい。

本来のバンガードETFである「バンガード・米国高配当株式(VYM)」の場合、現在だと約3%の配当金を毎年もらうことができます。

しかし、楽天VYMの場合、おそらく分配金が出ないということになるため、定期的な配当収入を見込めない可能性が高いです。

参考記事「楽天VYMは無分配型になりそう

また、配当金が出ないのであれば、同じく米国株式に投資する「楽天・全米株式インデックス・ファンド(以下:楽天VTI)」でいいじゃないかという意見が非常に多いです。

今回は、この「楽天VYMよりも楽天VTIがいい」理論について反論していきたいと思います。

まずこの理論の致命的な間違いは、配当金の有無そのものを投資判断に含めてしまっているということです。

はっきり言ってしまえば、実際に配当金が出るかどうかは投資判断を決める小さな要素の1つでしかありません。

そもそも投資信託における配当金の有り無しは、単純に事務手続き上の違いでしかありません。

配当金がその都度出されるのがバンガードETF、勝手に再投資されているのが楽天バンガードという区別のみです。

そのため、楽天VYMが配当金を出さないのではなく、本家VYMが勝手に毎年3%解約しているととらえることだってできます。

楽天VYMを毎年3%ずつ解約すれば、本家VYMとほぼ同じ投資行動をとることができます。

そもそも株式においても、現在では配当金支払い以外に自社株買いという還元方法がある以上、配当利回りや配当金支払いの有無だけで投資先を決めるのは大きな損失です。

ですから、「楽天VYMより楽天VTIのほうがいい」という理論を成り立たせるためには、「本家VYMより本家VTIのほうがいい」が前提になければなりません。

しかし実際には、本家バンガードETFならVYM、楽天バンガードなら楽天VTIを選ぶという人が相当数いるように感じます。

これははっきり言ってしまえば、見かけ上の配当金で投資先を決めてしまうという大きな判断ミスといわざるを得ません。

単純に配当金が出ようが出まいが、楽天VTIと楽天VYMの優劣には一切影響しませんので注意してください。

そもそも論ですが、成長株=資産形成向き、高配当株=配当生活向きというイメージそのものが正しいとはいえません。

 

資産形成向き=トータルリターンが大きい
配当生活向き=価格変動が緩やか

 

当然ですが、資産形成期ではトータルリターンこそ最も重視すべき要素です。そして、VYMのような高配当株式は、シーゲル教授の教えに従えば市場平均をアウトパフォームする可能性が十分あります。

また、資産形成終了後には、ディフェンシブ性の高い資産で下落に備えることが重要です。

完全に配当金だけで生活するなら別ですが、こだわらないのであれば無分配型投資信託や無配当株を少しずつ売って生活費に充てるだけでいいはずです。

無配当なBRK.Bを少しずつ売って生活するのだって十分な選択肢となります。

逆にいくら高配当でも、ゼネラルエレクトリック(GE)みたいな不安の大きい株が配当生活向きとはいえませんよね?

結果的に、価格変動の安定性を求めると高配当株が多くなるという以上の意味はありません。

また、高配当株という集団は、どんな時でも下落に強いわけではありません。

リーマンショック時には、VYMはVTI以上に下落しています。

一般的には資産形成期にVTI、その後はVYMなんて言われていますが、考え方によっては資産形成期にVYMでリタイア後はVTIという考え方だってできます。

配当金に注目するという考え方は重要ですが、その本質を考えなければ誤った投資行動につながりかねませんので気を付けましょう。

最後に個人的な意見ですが、VYMにはGEみたいなポンコツ株も結構まぎれるため、VYM自体が配当金生活向けではないと思っています(笑)

自分でその都度売れば配当利回りなんて気にしなくてよいのですから、事業安定性や低ボラティリティを最重要視するべきです。

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