バンガード・米国ヘルスケアセクター(VHT)分析
シーゲル二郎です。
今回は、バンガード・米国ヘルスケアセクター(VHT)を分析していきます。
米国のヘルスケアセクター全体に投資できるETFです。
バンガード・米国ヘルスケアセクターETF (2017/3/31現在)
項目 | データ |
信託報酬 | 0.10% |
銘柄数 | 358 |
PER | 26.8倍 |
PBR | 3.8倍 |
ROE | 16.1% |
利益成長率 | 7.7% |
売買回転率 | 6.7% |
標準偏差 | 13.60% |
ヘルスケアセクターには、ファイザー(PFE)のような高配当バリュー株から、無配当のグロース株まで様々なタイプの株式が入り混じっています。いわば、「株のサラダボウル」ともいえるセクターです。
少し古いデータですが、PERは高く、全体的には成長セクターです。ヘルスケアセクターは通常ディフェンシブ性が高いといわれていますが、標準偏差はかなり高めになっています。
特に製薬会社に分類される企業群は、大手も結構下落しやすいイメージがあります。
S&P500との比較です。大きくアウトパフォームしていますが、チャートは凸凹で汚いです。健康意識の高まりというプラス材料と、薬価引き下げというマイナス材料が入り乱れていますが、全体としては期待の大きなセクターといえます。
ヘルスケアセクターは配当利回りが低いので、実際にはこれほどの差はありませんが、それでも大きく勝っていることには変わりありません。
参考に現在(2017/9/26)のVHTの配当利回りは1.36%、S&P500連動ETFであるVOOは2.06%と、大きな差があります。
ヘルスケアセクターは、米国セクター別リターンでは生活必需品を抑えて№1に輝いており、過去から学ぶならヘルスケアセクター企業へのウェイトを高める戦略がシーゲル派では流行っています。
生活必需品セクターが含まれる企業は、主に次の通りです。(2017/3/31現在)
業種 | 構成比率 |
医薬品 | 32.9% |
バイオテクノロジー | 22.3% |
ヘルスケア機器 | 18.1% |
管理健康医療 | 10.2% |
その他 | 16.5% |
米国株投資家では、製薬・医療機器・その他に分類することが多いと思います。それぞれの特徴は次の通りです。
製薬
・研究開発に大きな費用が掛かる。
・M&Aが盛ん。
・ブロックバスターを当てれば大儲け。
・失敗した時のリスクも大きい。
医療機器
・競争は比較的緩やか。
・超高収益企業が多い。
・訴訟リスクは高め。
その他(医療保険など)
・あまり収益性が良くない。
・ヘルスケアセクター特有のリスクは低め。
シーゲル二郎的には、勝ち組が固まっていて退屈な市場である医療機器が長期投資に一番向いていると思います。製薬は、競争がかなり激しいので、消耗戦になる可能性があります。
上位10銘柄は、次の通りです。
順位 | 会社名 | 構成比率 |
1位 | ジョンソン&ジョンソン | 10.2% |
2位 | ファイザー | 6.3% |
3位 | メルク | 5.3% |
4位 | ユナイテッド・ヘルス | 4.8% |
5位 | アムジェン | 3.4% |
6位 | メドトロニック | 3.4% |
7位 | アッヴィ | 3.2% |
8位 | セルジーン | 2.8% |
9位 | ブリストル・マイヤーズ | 2.8% |
10位 | アラガン | 2.7% |
上位10銘柄合計 | 55.1% |
ジョンソン、ファイザー、メルクはNYダウにも含まれていて、高配当銘柄としても有名ですね。
その他の人気のなさが泣けてきます。ヘルスケアセクターは生活必需品セクターよりも高いリターンを叩き出しているのですが、日本のシーゲル派は生活必需品大好きな人が多いですね。
上位3社以外は、存在していないような扱いをされることが多いです。やはり低配当&理解しにくい事業ということが理由だと思います。
シーゲル派の属性としては、高配当・バリューなどに焦点を当てているので、正反対のヘルスケアセクター全体を避けるのは当然の流れではあります。
正直興味ないETFです。ですが、シーゲル派のセクター戦略を純粋に実行するなら、避けては通れないので、個人的な妄想を述べていきます。
まず全体的な話として、ヘルスケアセクターではM&Aによる吸収合併が非常に盛んです。特に製薬メーカーでは、企業の成長=M&Aといっても過言ではありません。
買収する側の企業は大型高配当株が多く、買収される側は小型低配当株が多くあり、これほど属性がはっきり分かれているセクターはありません。
現在世界中で企業の巨大化が進んでいるので、今後も大手企業が中小企業を買収して成長していくトレンドは今後続いていくと思います。既に勝ち組の企業は、今後も勝ち組であり続けるということですね。
ですが、それが直ちに中小企業(=小型株)の投資が失敗するというわけではありません。M&Aはタダではできず、相手が納得するカネを用意しなければなりません。そして、基本的に両者の利害は対立します。
大手企業・・・できるだけ安く買いたたきたい。
中小企業・・・できるだけ高く身売りしたい。
ですが、ヘルスケアセクターの大手企業の場合、自社だけでのオーガニックな成長が期待できないので、「足元を見られる」可能性は高いと思っています。
シーゲル氏が分析したS&P500当初銘柄で高いリターンをもたらした企業の多くは、「フィリップモリスに買収された」企業でした。
シーゲル二郎が言いたいことを短くまとめると次の通りです。
ヘルスケアセクター大手企業は、今後も中小企業を吸収して勝ち組であり続けると思うが、本当の勝ち組はM&Aで買収された中小企業側になる可能性も高い。
~シーゲル二郎~
これはシーゲル二郎の持論ではありますが、ヘルスケアセクターの個別株投資VSヘルスケアセクター全体の投資は、どちらが勝つにせよ大きな差が出そうですね。
ヘルスケアセクターに限らず、M&Aが盛んな業界ほど、大型株VS小型株の結果は大きく違うことになりそうです。
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