メドトロニック(MDT)分析
シーゲル二郎です。
今回はメドトロニック(MDT)を分析していきます。
医療機器を中心とした世界的企業で、心臓ペースメーカーの世界トップシェアです。
連続増配…40年
S&P格付…A
採用インデックス
・米国配当貴族指数
・S&P500
連続増配年数は40年と、非常に素晴らしいです。
ジョンソン・エンド・ジョンソンの時にも説明しましたが、医療機器は、安かろう悪かろうが許されない製品であるため、何よりも品質と信頼が重視されます。また、心臓ペースメーカーは直接命を左右する重要な機器なので、さぞかし高収益なのでしょう。これから分析していきましょう。
メドトロニックの心臓ペースメーカー世界シェアは、約30~40%といわれています。特に埋め込み式のIDCと呼ばれるものでは、世界シェア60~70%を誇るといわれています。
私の周りにはペースメーカーの人がいないのでわかりませんが、日本でも多くの人がメドトロニック製の製品を使っているのではないでしょうか。
日本語が少し怪しいですが気のせいです。心臓ペースメーカー部門は「心臓血管医療機器」のところに入ります。事業規模としては全体の3分の1ほどですが、利益ベースでは全体の約50%を誇る稼ぎ頭です。
まさにメドトロニック社の「心臓」ともいえる事業ですね(これが言いたかっただけ)
海外売上比率は50%を切っており意外です。J&Jもそうですが、医療機器はやはりアメリカに集中するのでしょうか。
世界中から患者が集まる米国ですから、この割合でも仕方がないのかもしれません。
出典「ビジネス+IT」
少し古い資料ですが、医療機器売上ランキングです。10位の「コヴィディエン」は、2015年にメドトロニックに買収されたので、メドトロニックは現在2位なのかな?
医療機器は分野ごとに強みがはっきりしており、競合はゆるやかなので、ある程度の事業規模を持っていれば安心でしょう。
売上が伸びすぎて逆に心配になりますが、買収を重ねた結果です。2015年に手術用品メーカーの「コヴィディエン」、2016年に補助人工心臓メーカーの「ハートウェア」を買収しました。
今年4月の決算では、純利益はあまり増えませんでしたが、来年以降は大幅な増加が見込まれており、投資家の期待は高いです。
研究開発費がかかるはずですが、営業CFが莫大のため、とんでもないフリーCFを生み出すことができています。
営業CFマージンも、25%前後で推移しているため、まさに超高収益企業にふさわしいグラフです。
増配率も十分高く、配当性向にも余裕があります。自社株買いにも積極的で、総還元性向も100%を超えることも多いです。
ROEが10%を切っているのが非常に気になります。事業買収の混乱が落ち着けばもとに戻るのではないでしょうか。
自己資本比率は50%を超えており、鉄壁です。
現時点情報(2017/8/23)
株価…81.76ドル
PER…28.3倍
配当利回り…2.25%
連続増配…40年
右肩上がりすぎて割高です。配当利回りはそこそこですが、ちょっと手を出しずらい水準だと思います。
また、医療機器は、企業が信頼を得ている間は超高収益ですが、製品の不具合などによる訴訟リスクも非常に高いです。
そのため、ちょっとした不安材料で暴落しかねません。
心臓ペースメーカーというまさに心臓を抑えているメドトロニックは、素晴らしい高収益と成長性を兼ね備える優良企業でした。
米国配当貴族指数に選ばれる銘柄は、いわゆる株価が割安で冴えないバリュー株であると思われがちですが、メドトロニックのような、連続増配とグロース株のような成長性を兼ね備えた企業も多くあります。
しかし、どんな時でも買値は大事であるため、メドトロニックのような投資家からの期待が高い企業は注意しなければなりません。
しかし、無配グロース株のような天井知らずの上がり方ではなく、PERも30以下で、極端な割高というわけではありません。
投資家の期待が高く市場平均を下回る可能性は否定できませんが、少なくとも株価が暴落して大損する、といったタイプの失敗は避けられるでしょう。
個別株なら避けたい水準ではありますが、米国配当貴族指数の中でリバランスしながら保有するのであれば、問題ないでしょう。