投信における配当金と分配金の再投資と税金の繰り延べ
※タイトルがごちゃごちゃしていますが、いい感じにまとめられなかったので許してください、なんでもしますから!(なんでもするとは言っていない)
つみたて次郎です。
先日投信に関する面白いツイートを見かけました。
無分配投資信託なら配当再投資が非課税でできるってかなり誤解を誘導する表現だと思う
国内の配当に係る税はたしかに課税されないけど外国源泉徴収税は発生しているしね
分配金再投資が非課税でできると表現したほうが良い気がするけど、どうなんだろうか🤔
— ミスターマーケット🏊♂️株大好きマン (@mrmarket_japan) November 28, 2020
一方で、分配金がでる投資信託は二重課税調整制度で、外国源泉徴収税分が国内税と相殺されるので、配当は実質非課税に近くなる
配当再投資を非課税でできるのは、どちらかというと分配金をだす投資信託
分配再投資を非課税できるのが、無分配投資信託
どうだろうか🤔
すごくわかりにくいよね
— ミスターマーケット🏊♂️株大好きマン (@mrmarket_japan) November 28, 2020
投資信託に関する分配金や配当金に関する内容がうまくまとめられています。
分配と配当の違いを語らせたらミスマさんの右に出る者はいないですね(笑)
特に分配あり投信→配当金再投資が非課税・分配なし投信→分配金再投資が非課税という表現は本質を突いている♂と思います。
ここらへんは特に誤解の多い項目ですので、勝手ながら堀り♂下げさせてもらいます。
分配金と配当金の違い
まずは全ての話の基礎となる分配金と配当金の違いについてです。
最も大きな違いは、支払われる大元の主体です。
分配金
→投信やETFから支払われたもの
配当金
→株式等から支払われたもの
※以後の説明では分かりやすいように分配金→投信・配当金→株式から出たものに統一して説明を進めていきます。
概ねこのように区別しておけば問題ないでしょう。
また、それぞれ支払われることで発生する出来事にも違いがあります。
分配金
→投信の基準価額(ETFの場合は株価)はその分必ず下落する
配当金
→株価等が下がるとは限らないが下落することが多い(いわゆる配当落ち)
分配金は元となる資産の一部を崩して投資家に配っている感じなのでイメージしやすいです。
配当金については元となる企業から現金(キャッシュ)が減る事になるため株価も下落することが多いですが、それ以外の要素も多いためちょっと複雑です。
これについてもミスマさんがいいツイートをしていたので貼っておきます(丸投げ)
←分配金 配当金→ pic.twitter.com/dCjaNCx8cr
— ミスターマーケット🏊♂️株大好きマン (@mrmarket_japan) August 2, 2020
投信における分配金と配当金
投資信託の場合、直接関係するのは分配金ですが、配当金も間接的に辛んでいます。
簡単に図でまとめてみました。
投資信託の運用会社は原資産である株式等から配当金を受け取ることができます。
また、その配当金は投信の運用資産になり、分配金を支払う時はその一部を取り崩すことになります。
国内投信の場合、受け取った配当金をどのように分配するかについて運用会社の裁量が大きいため、一切分配金を支払わない投信(いわゆる無分配投信)から受取った配当金や運用益を大きく超えた分配金を支払う投信(いわゆるタコ足配当投信)まで両極端なものが存在しています。
そしてその分配の支払い方によって税制面での取り扱いが変わってくるため、、冒頭で述べた分配あり投信と分配なし投信の違いにハッテン♂するというのが本記事の趣旨となります。
余談ですが投信ではなくETFの場合、配当金に関する裁量が小さいため配当金をそのまま分配金として垂れ流している♂ような感じになるためイメージしやすいです。
分配金と配当金と税金
まず大前提として、投資家個人が分配金や配当金を受け取る時は原則20.315%の税金がかかります(以下20%で計算)
また、米国株の配当金(米国籍ETFの場合は分配金)を受け取る時はその前に米国の取り分として10%が課税されます。
例えば米国株から100ドルの配当金があった場合、まずは米国課税分として10%引かれて90ドルになり、そこからさらに国内課税分として20%引かれた残り72ドルが税引後配当額となります。
※最終的な税率は10%+20%=30%…ではありませんので注意!
特定口座で保有している場合は自動的に上記が引かれた分だけ証券口座に入金されることになります。
ここまでは絶対に抑えておきたいよくある話ですが、投資信託の運用会社が保有している米国株の場合は話が違ってきます。
これも図でまとめてみました。
米国株に投資する国内投信をイメージした図です。
※ファンド・オブ・ファンズ形式の投信の場合は「配当金」も「分配金」となります。楽天VT等のETFを原資産とする投信でも同様です。その場合でも上記の図は成立します。
投資信託の運用会社に支払われる配当金には、国内課税の20%はかかりません(ちなみに投信内では売却益も非課税)
投資家が分配金として受け取った時に20%課税されることになります。
逆に、投資家が受け取った分配金には米国課税の10%はかかりません。
あくまで国内投信から出た分配金であり、米国課税分は投信内で間接的に支払っているからですね。
投資家目線で見ると課税されるタイミングがそれぞれ異なっていますが、最終的には両方とも無事(?)課税された後に分配金として手元に届くことになります。
「なんだ結局課税されるやん」と思ったそこのアナタは早計です(煽)
このタイミングのズレが、最終的にはトータルリターンにも影響を与えることになります。
↓↓広告の下に続くマネ~💸
分配あり投信と分配なし投信の税金
ここまでは投信から分配金が出るというのが大前提での説明ですが、先述した通り世の中には分配金を一切出さない投信が存在しています。
そして当ブログで頻繁に名前が登場するようなインデックス投信のほとんどは分配金を出していません(笑)
分配なし投信は、上記の図における国内課税20%分を半永久に繰り延べすることができます。
その分は最終的に投信を売る時に売却益課税(約20%)として辻褄が合わせられることになりますが、実質的に税金の支払いを遅らせることができるため、その分若干ではありますがトータルリターンの向上に繋がります。
これが分配なし投信(無分配型投信)の大きなアドバンテージであり、つみ次郎含めインデックス投資家の多くが分配金を歓迎しない最大の理由と言えます。
余談ですが、投信を買う時に分配金再投資型・分配金受取型2つのコースを選べる場合がありますが、これは分配金が出る場合にどのように取り扱うかの違いですので今回の話とは一切関係ありません。
参考記事…投資信託における基準価額と分配金について
無分配型投信の場合そもそも分配が出ませんので、どちらのコースを選んでも実質同じということになります。
逆に分配あり投信を分配金再投資コースで保有しても、分配金受け取り(国内課税20%有)→その後同一投信を買付けという作業が自動化されているだけですので、税制上のメリットはありません。
外国税額控除について
ここまでの話をまとめると無分配型投信最強!という結論になってしまいますが、その概念を崩しかねない外国税額控除という概念が存在しています。
まず大前提として、米国株の場合配当金(米国籍ETFの場合は分配金)を受け取る際に米国から10%課税されてしまいますが、これについては確定申告時に外国税額控除の手続きをすることで一部あるいは全部が還元される可能性があります(所得により大きく変動)
ただし米国株に投資する国内投信の場合、あくまで国内投信からの分配金ですので、外国税額控除をすることはそもそも不可能です。
これは米国株を直接保有するのと比べ不公平であるため、2020年より国内投信でも外国税額控除ができるようになりました。
参考記事…2020年以降は分配金の出る投資信託のほうが有利になる?
これにより、米国課税10%のうち一部を間接的に取り戻せる可能性が出てきました。
ただし、これはあくまで分配金の二重課税解消のための措置であり、そもそも分配金が出ない無分配型投信には関係のない話となっています(辛)
無分配型投信は、国内課税20%を繰り延べできる代わりに米国課税10%は一切取り戻せないという勃ち位置♂になってしまいました。
つみ次郎としてはそれでも無分配型投信の方がトータルでは有利だと考えていますが、投資信託の内部事情はブラックボックスですから分配金を出したほうが有利になる状況も十分あり得そうで辛いです。
参考記事…無分配投信 VS 有分配投信 (外国税額控除適用あり) でシミュレーション
まとめ
かなり長~い記事になってしまいましたが、今回の説明を図1枚でまとめるとこうです。
この図を見ると、最初に紹介した分配あり投信→配当金再投資が非課税・分配なし投信→分配金再投資が非課税という説明がしっくりきますね。
もちろん完全に非課税というわけではありませんのでこれも正確ではありませんが、それぞれの特徴を捉えるという意味では十分でしょう。
そもそも一言で正確にまとめるのが不可能だからこんな4,000文字近い記事で説明しているわけですからね(腹筋崩壊ポイント)
投信と配当金と分配金と税金に関する理解がほんの少しでも深まるきっかけになれば幸いです。
ブログ村ランキング
金!分配!TAX!