投資信託における基準価額と分配金について
つみたて次郎です。
タイトル通り、投資信託における基準価額と分配金に関する考察を行っていきたいと思います。
基準価額と分配金
基準価額とはいわゆる投資信託の値段であり、株式でいう株価と似たようなものです。
投資信託が新規設定されるときは通常10,000円からスタートしますが、これは1万口当たりの金額となっています。
つまり最初は1口=1円ということですね。
分配金とはご存じの通り、投資信託やETFの保有者に対して支払われるキャッシュの事を指します。株式における配当金と似たようなものです。
投信やETF→分配金、株式→配当金、債券→利息
分配金の頻度は投信ごとにあらかじめ設定されていることが多く、年1回から年12回(=毎月)まで様々なです。
また、インデックス型投資信託の多くは設定来1度も分配金を出していない無分配型の商品が多いですね。
受取型と再投資型
投資信託を買付する際に、受取型または再投資型という2つのパターンが用意されている場合があります。
それぞれ分配金が出た場合の取り扱いに違いがあります。
受取型…分配金を現金でそのまま受け取る
再投資型…分配金を同じ投信に即再投資する
分配金を受け取って生活費等に充てたいのであれば受取型、分配金も積極的に再投資して資産の最大化を狙っていくのであれば再投資型を選ぶことになります。
特定口座の場合、どちらを選んでも分配金に20%課税されますので税制上の有利不利はありません。
分配金再投資と口数の関係
やっとここから本題という感じですが、再投資コースを選択している場合、分配金が出る度に同じファンドを買付していく事になりますので、ファンドの保有数…すなわち口数が増えていきます。
再投資コースを選んでいなくても、手動で分配金を再投資していくのであれば同じことが起きます。
具体例として、基準価額が現在11,000円になっている投信を10,000口保有していると仮定します(1口あたり1.1円)
そこから1,000円の分配金が発生した場合、まずは基準価額がその分下がります。
基準価額11,000円→10,000円(1口当たり1円)
そして、分配金1,000円で同じ投信を可能な限り買い付けてきます。1口あたり1円になったので、ちょうど1,000口買えることになります。
総保有口数→10,000口+1,000口=11,000口
1口あたり単価と保有口数の関係を再投資前後で比較すると以下の通りです。
再投資前…1口あたり1.1円×10,000口数=評価額11,000円
再投資後…1口あたり1.0円×11,000口数=評価額11,000円
どちらの場合も最終的な評価額は同じになります。
投信に限りませんが、分配金再投資というのはATMから出てきたお金をそのまま入金するようなものですので、トータルで見た損得がないのは当然の話です。
結果として基準価額は下がって口数が増えるという現象が起きるという点は押さえておきたいポイントです。
また、上記は非課税で計算しているので、実際は20%引かれた分しか再投資できず、上記例だと再投資後の評価額は10,800円となります(特別分配を考慮しない場合)
チェックポイント
・分配金再投資後は基準価格が下がって口数が増える
・税金を無視すれば再投資前後で全体の評価額は変わらない
・再投資をする前提であれば分配金が多いほど税制上不利
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分配金再投資という言葉のややこしさ
分配金再投資というのはいろんな意味で解釈が広い言葉ですが、投資信託における分配金再投資を厳密に定義すると以下のようになるとつみ次郎は考えています。
①投資信託から分配金が発生して
②再投資型コースを選んでいて
③自動的に分配金再投資が行われて
④結果として保有口数が増える
ただし前述したとおり、インデックス型投資信託の多くはそもそも分配金を出していませんので、上記の流れによる口数増加は発生しない状態になっています。
ですが、投資信託を経由して株式や債券等に投資していれば配当金や利息というのは必ず発生しますので、その恩恵は間接的に保有者にもたらされています。
運用会社が原資産から受取った配当金や利息をファンド内で再投資することにより、基準価格に影響を与えることになります。
チェックポイント
・投信から分配が出なくても内部で再投資されている
・口数は増えない代わりに基準価格に影響を与える
・インデックス型投信の多くがこれに該当する
無分配投信における分配金再投資
例えばS&P500指数に連動する投資信託の場合、間接的に約500銘柄の米国株を保有していることになりますが、その多くは配当金を出しており、その支払いタイミングもバラバラです。
そしてその都度ファンド内部で再投資されることになります。流れをまとめると以下の通りです。
①S&P500構成銘柄から運用会社に配当金が支払われる
②その都度運用会社がS&P500構成銘柄の買付に充てる
③結果として分配金再投資と同じ効果が得られる
実質的な投資元(今回の場合はS&P500構成銘柄)が配当金を出しているけど投資信託から分配金が出ていないという事は、運用会社が勝手に再投資してくれていると考えればわかりやすいと思います。
というか再投資せず運用会社がチョロまかしてたら完全アウトですし、再投資せずずっとキャッシュで持っていたら指数からズレてしまいます(笑)
ただし、あくまで投資信託としては分配金を出していませんので、口数が勝手に増加することはありません。
基準価額と分配金まとめ
いろんな要素が辛味合って複雑な部分ではありますが、投資信託を考えるうえではしっかり押さえておきたいところです。
特に今回お伝えしたかったのは、分配金再投資という言葉の危うさです。
配当金再投資・分配金再投資というのは長期投資を考えるうえで非常に重要な戦略ですが、実際に自分で再投資したりしなければならないという意味ではありません。
インデックス型投信で主流となっている無分配投信は、見かけこそ分配もなく再投資も〇ソもありませんが、その本質を考えていけば全く問題ありません。
それどころか、見かけ上の分配がない分税制上有利であり、むしろ再投資戦略の理想ともいえる商品設計と言えます。
楽天VYMの事を思い出してください(唐突なステマ)
投資信託に限らず、金融資産の多くはいくらの物を何個持っているかで評価されます。
投信の場合は基準価額×口数となりますが、トータルでいくらという評価額こそが一番重要ですので、分配金の有無や口数の増減にこだわりすぎないようにしましょう。
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