毎月分配型投資信託のタコ足配当を斬る
つみたて次郎です。
当ブログでは、投資信託に関する話題を取り上げることが多いです。
そして日本の投資信託において有名なジャンルとして「毎月分配型投資信託」が存在します。
名前の通り毎月分配金が発生するので、生活費に充てたりすることができます。
資産形成がある程度終了し、取り崩しをしつつ運用していく「配当金生活向け」の仕様設計になっています。
つみたて次郎はまだまだ資産形成中ですので、むしろ分配金が出ないタイプの投資信託を選んで投資しています。
参考記事「無分配型と分配金再投資型の違い」
資産形成していく段階では、複利効果を活かし資産を効率よく増やしていく必要がありますが、毎月分配型投資信託は一部を分配金として吐き出してしまうため不適切です。
自分で再投資すれば同じであるという意見もありますが、再投資する前提ならばその都度課税されてしまう毎月分配型である必要はなく、年1回の分配だけのものや無分配型を選ぶべきです。
その他、毎月分配型はたびたび批判されることが多く、金融庁からも問題視されてきた歴史があります。
2018年からスタートしたつみたてNISAも、毎月分配型投信は投資対象から除外されています。
毎月分配型投信の問題点をまとめてみます。
・再投資しない場合複利効果が弱まる
・再投資する前提なら不適切
・コストが高いボッタくり商品が多い
・タコ足配当になっている場合がある
全体的に問題はたくさんありますが、今回はタコ足配当の部分を中心に考察していきたいと思います。
タコ足配当とは、ファンド内で得られた利益以上の金額を分配金として吐き出すことです。
株式で言えば、配当性向が100%を超えているような状態で、まるでタコが自分の足を食べて飢えを凌いでいるような状態です。
タコ足配当は配当金再投資の真逆のことを行うようなものですので、マイナスの複利効果が働き評価額は下がっていきます。
また、タコ足配当をすることで見かけ上の配当利回りを高く見せることができるので、金融機関のセールストークとしても一役買っています。
タコ足配当の投資信託を買って、分配金を毎月たくさんもらっていたら、いつの間にか投資元本が大きく減っていた…というようなトラブルも非常に多いです。
とはいえ、タコ足配当自体が問題という訳ではなく、誤解を生むような説明を金融機関がしてきたことや、誤解したまま投資して損失を出してしまった顧客が多数いることが最大の問題だと思っています。
タコ足配当をすること自体は、特別不利ではありません。
これは投資信託に限りませんが、配当金そのものはトータルリターンには中立の存在です。(税金や手数料を考慮しない場合)
配当利回りが高いほど有利になるわけではないし、逆にタコ足配当をしていても再投資するなら結局トータルリターンは同じです。
つみたて次郎含め、資産形成後には自分の金融資産を取り崩して生活費に充てていこうと考えている人が多いですが、これもある意味ではタコ足配当を手動で行っているだけです。
完全に株式や債券の配当金だけ使って生活し、投資元本には一切手を付けないという方針なら別ですが、よほどの大富豪でもない限り現実的な選択ではないでしょう。
したがってほとんどの投資家は、やがてタコ足配当と同じようなことをする運命にあるのです。
そしてそれは、多くの人にとっては退職後またはセミリタイア後であり、タコ足配当な毎月分配型が有力な投資先になるタイミングと一致します。
タコ足配当という仕組み自体は、むしろ投資において避けては通れない道です。
そしてタコ足配当について、肯定的な立場から取り上げられている記事を見つけましたので紹介します。
外部リンク「退職後は運用しつつ引き出す 「タコ足投信」悪くない」
タコ足投信について非常に分かりやすく解説されています。
特に興味をひかれたのが、一番最後に述べられている「引き出しを率で考えていく」という部分です。
例えば毎年4%ずつ引き出すとしておけば、ドルコスト平均法と似たような原理が働き、高い時に多く売り、安い時に少なく売るという投資行動を機械的に行うこともできます。
参考記事「逆ドルコスト平均法」
とはいえ、毎月分配金を生活費として充てる場合、上記の方法だと金額が毎月変動してしまうので不便なところもあります。
いずれにせよ、毎月の生活費が大きく変動しないのであれば、定率取り崩し・定額取り崩しという方法は有力だと思います。
しかし毎月分配型投資信託は、個人のこのような引き出し方法についてまで考慮してくれません。
とある投資信託Aという商品が毎月分配型であったとしても、ある人にとっては取り崩し額が多すぎたり、別の人にとっては少なすぎるという問題も発生します。
タコ足配当な毎月分配型投資信託の致命的なデメリットは、投資家のニーズにピッタリ合わせることができないということです。
もし同じ投資信託で「引き出し率は毎月○%」「引き出し額は毎月△△円」というようなラインナップを多数そろえることができるのであればよいですが、これはビジネスとしてとても成り立たないでしょう。
現実的には、そもそも配当金の引き出しルールを明確にしている投信自体がほぼなく、どれだけ出るかどうか分からない配当金を頼りに生活しなければならないという状況です。
逆に分配金が必要ない投資家にとっては、分配金が出ないことが理想となるので、ニーズが分散されずラインナップを複数用意する必要もありません。
これらを踏まえ、つみたて次郎は毎月分配型投資信託を評価することは出来ません。
自分の資産取り崩しスケジュールに合う商品を事前に見つけることが困難である以上、毎月分配型であっても完全に放置することは出来ず、不要な分配金は再投資する・足りない場合は一部売却するといった作業が必要になってしまいます。
であれば、わざわざ分配金の配分を運用会社に任せる必要はなく、無分配型投資信託などを自分の都合に合わせて少しずつ売却していくほうが合理的ではないかと思っています。
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