インデックス投資でも主観による判断が必要になる
つみたて次郎です。
インデックス投資は基本的に銘柄選定を行わず、市場丸ごとに投資する手法です。
そのため「自分で選ぶ」という主観を放棄し、消極的・客観的な投資判断を行います。
そのため投資家ごとによる差が出にくいといわれる部分がありますが、それでもいくつかの主観を持って判断しなければならない項目がたくさんあります。
アクティブ投資に比べればもちろん判断ポイントは少ないですが、それでもかなり多くの選択肢が存在しており、投資家の数だけその答えも変わってきます。
今回は、項目ごとにどのような判断が必要になるかについてまとめていきたいと思います。
どの地域に投資するか?
インデックス投資は、できるだけ広い市場に丸ごと投資を行い、市場平均と同等のリターンを得ることが目的です。
市場を丸ごと再現する必要があるため、時価総額加重平均に基づく比率で投資するのが基本になります。
株式市場に限定すれば、全世界の株式に時価総額に応じて投資できるバンガード・トータル・ワールド・ストック(VT)や、eMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー)などが教科書通りの金融商品になります。
浮動株調整後の時価総額では世界の半分以上をアメリカが占めており、中国などの新興国株は全体の10%強にしかなりません。
この比率が真に中立であるかは疑問ですが、現実的には最も主観を取り除いた比率となります。
参考記事「VTや楽天VTへの投資は正しい国際分散投資といえるのだろうか?」
しかし国内で販売されているインデックスファンドの多くは日本株・先進国株・新興国株という3地域ごとに分かれていることが多かったり、バランスファンドにおいては組み入れ比率が国内資産に偏っていることが多く、上記比率を厳密に守っている投資家は非常に少ないのではないかと思います。
また、つみたて次郎の様に米国株を重視している投資家もいれば、割安感やGDP割合などを根拠として新興国株を重視している投資家もいます。
広く分散するのがインデックス投資の基本ですが、どの地域に焦点を当てるかで大きくポートフォリオは異なります。
スマートベータという選択肢
狭義の意味におけるインデックス投資とは市場平均と同じリターンを得ることが目的であるため、その比率は時価総額加重でなければなりません。
しかし最近では、スマートベータETFといった時価総額以外を基準に用いたインデックスファンドが登場しています。
スマートベータのジャンルは大きく分けて次の2つに分類できます。
①特定の属性を持った銘柄のみで構成
→小型株ETF、バリューETF、セクターETFなど
②時価総額加重以外のウェイトを採用
→配当加重・均等加重・ファンダメンタルなど
この両方を兼ね備えている商品も多く、その基準が尖っていくほど当然ながら市場平均とは異なる成績になっていくため、アクティブファンドに近づいていくことになります。
広義の意味ではインデックス投資に分類されますが、個人的には「コストの低いアクティブファンド」という認識です。
つみたて次郎はインデックス原理主義でも時価総額加重平均原理主義でもなく、むしろ数少ないスマートベータ信者(自称)です。
純粋なインデックス投資家からもアクティブ投資家からも嫌われる存在です(笑)
資産クラスの比率について
今回紹介する中では最も大切な要素といえます。
これまでは株式投資を例にして説明していますが、株式以外に投資できる商品は多数あり、伝統的資産クラスとしては債券・現金があります。
特に株式と債券の比率については何度も議論されているテーマであり、株式100%でよいという意見もあれば、年齢に応じて債券比率を高めていくべきだといったり論もあります。
有名なのは株式60%:債券40%の比率ですね。米国における過去データにおいては、長期的に優れたシャープレシオになる比率となっています。
また、純金などのコモディティや、仮想通貨といった新しい資産クラス、さらには不動産といった大きく特徴の違う商品も広い意味ではポートフォリオとして考える必要があります。
株式や債券においては、一応中立といえる答えが存在しています。(例:株式ならVT等)
しかしどの資産クラスを採用し、どのような比率で組み合わせるかというのは、教科書通りの答えすら存在していない問題です。
また、その比率を固定してリバランスしていくか、相場に合わせて調整を行っていくかという分岐点もあります。
バイアンドホールドを徹底するとしても、出口戦略を考えるのであればずっと放置という訳にもいきません。
判断の結果がポートフォリオになる
今回の3要素をより分かりやすく言葉にすると次の通りです。
資産クラスの比率について
→具体的な骨組みを考える。
どの地域に投資するか?
→それぞれ投資する対象の範囲を決める。
スマートベータという選択肢
→その範囲内での選別方法を決める。
順番は入れ替わっていますが、この3手順で考えていくと分かりやすくポートフォリオを構築できるのではないかと思います。
言葉では簡単にまとめることができますが、長期投資家にとって一番重要な意思決定といっても過言ではないため、気軽に答えを出せるような問題ではありません。
(あまり好ましいこととは思わないですが)場合によっては途中で方針転換も必要になりますし、ライフスタイルの変化によって変えざるを得ない場合もあります。
ちなみにつみたて次郎の場合、現時点では次のような答えを出しています。
資産クラスの比率について
→株式100%(債券等は不要、現金で調整)
どの地域に投資するか?
→米国偏重(それほどこだわってはいない)
スマートベータという選択肢
→一部に採用(ほんとは全部で採用したい)
ちなみに現在は資金面等での制約があるため実現不可能ですが、VYM+VYMIで構成されたポートフォリオがつみたて次郎の理想に近い内容になっています。(その場合米国偏重ではなくなる)
インデックス投資家といえど、数々の主観に基づいた意思決定がポートフォリオに命を吹き込んでいることを忘れないようにしたいですね。
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インデックス次郎
すみません資産配分の記事で少し気になったんですが
新興国の指数に投資する場合例えば中国株が好調で新興国の指数を引っ張ってるときに
中国が先進国に組み入れられると新興国ファンドなんかは基準価格がどうなるんでしょうか?
仮にVTIとVWOでポートフォリオを組んでいた場合もう中国の恩恵は受けられないのはわかりますが
VWOの価格がひどいことになるなったら後悔しそうです。(政治情勢とかで暴落するのはいいのですが指数
提供会社の都合で価格が下がるのはちょっと)
あと小型株も例えば最初Amazonを組み入れられてそれから今のような状態に
なった場合も結局はAmazonの成長を手にすることができないんですよね?
ここで聞いていいものなのかどうかわからないですがすこし疑問に思ったので
長文失礼しました。
K末さん曰く、日本一信者が多いらしいですね。
>>匿名様
例の場合であれば結果的に好調な中国株を売ってその他新興国株を買うことになるのでまだいいケースですが、逆だと悲惨ですね。
指数提供会社の都合で市場が歪んでしまうのはインデックス投資という仕組み自体が抱える大きな問題点ですね。
小型株についてはおっしゃる通りですが、小型株の一部が急騰しても全体に与える影響は小さいので個人的にはあまり気にしなくてもよいレベルだと思います。
とはいえ小型株が長期的に市場平均をアウトパフォームしているのは事実なので、同コストで保有できるなら含まれていたほうがいいですね。
>>ぱんかす様
今自分でも調べているところです(笑)