iFree S&P500インデックスの第1回運用報告書から実質コストを計算してみる
つみたて次郎です。
先日iFree S&P500インデックスの第1回運用報告書が発表されていましたので、費用などを考察していきたいと思います。
出典「大和投資信託」
当期決算期間は2017年8月31日~2018年9月7日になっており、日数に直すと372日となっています。
該当期間における費用率は0.380%となっていますので、
0.380% × 365/372 = 0.3728%
これで1年間に換算した実質コストを求めることができました。
元々の信託報酬は年間0.243%ですので、
0.3728% - 0.243% = 0.1298%
これが信託報酬を除く費用(=隠れコスト)となります。
素晴らしい低コスト…とまではいきませんが、設定されてまだ1年ということや、マザーファンドをゼロから立ち上げていることを考えれば上出来でしょう。
また、月次レポートより興味深い変化を確認できました。
出典「大和投資信託」
これは2018年7月31日時点の月次レポートです。全体の40%以上が海外ETF(IVV)になっており、半分だけファンド・オブ・ETFという中途半端な状態になっていました。
出典「大和投資信託」
しかし直近の2018年9月28日時点レポートでは、全体の7.4%まで低下しています。
たった2ヶ月で組み入れ比率が大きく変化していることになります。実質コスト等に影響を与えないのであれば別に問題はありませんが、個人的には気になってしまいます。
米国株式インデックスファンドとして有力な商品は、iFree S&P500インデックス含め次の3つがあります。
ファンド名 | 信託報酬 |
iFree S&P500インデックス | 0.243% |
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 0.1728% |
楽天・全米株式インデックス・ファンド | 0.1696% |
iFreeとSlimはS&P500指数に連動しており、楽天VTIだけはより広い範囲をカバーする指数に連動しています。
とはいえS&P500自体が米国市場を広くカバーしている指数であるため、どれも似たような値動きになります。
信託報酬以外の隠れコスト及び実質コストを一覧でまとめてみます。
略称 | 信託報酬 | 隠れコスト | 実質コスト |
iFree | 0.243% | 0.1296% | 0.3726% |
Slim | 0.1728% | ? | ? |
楽天VTI | 0.1696% | 0.1416% | 0.3112% |
Slimはまだ運用報告書が出ていないため、隠れコスト及び実質コストは不明です。
楽天VTIは先日運用報告書が出ましたので全て判明しています。
参考記事「楽天バンガードの第1回運用報告書から実質コストを計算してみる【VT・VTI・VWO・VYM】」
隠れコストだけで見ればiFreeの勝ちですが、元々の信託報酬が高めなためトータルで見た実質コストでは負けています。
とはいえiFreeも十分健闘していますし、よほど大金を運用しない限りリターン面で大きな差が開くことはないでしょう。
iFreeが抱える問題は割高な信託報酬ではなく、「割高な信託報酬がもたらす不人気」です。
S&P500というジャンルならば信託報酬が低いeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)のほうが魅力的に見えますし、より広く分散したいと思えば楽天・全米株式インデックス・ファンドという選択肢があります。
そもそも米国株式ファンドというジャンルは比較的マイナーであるため、つみたて次郎のような細かい差にこだわる神経質なマニアが目を光らせています。
どんなに優秀でも売れ続けなければ意味がないのが投資信託ですので、総資産額の推移や、それに大きな影響をもたらすファンド自体の人気についても考えていかなければなりません。
それぞれの設定年月日と純資産総額をまとめてみます。(2018/10/30現在)
略称 | 設定年月日 | 純資産総額 |
iFree | 2017/8/31 | 約60億円 |
Slim | 2018/7/3 | 約59億円 |
楽天VTI | 2017/9/28 | 約230億円 |
ほぼ同期といえる楽天VTIとは4倍近い差が開いています。
また、今年の7月に設定されたばかりのSlimに逆転されそうになっているのは私もビックリしました(笑)
他の2商品に比べ圧倒的に不人気といえる状態であり、長期的に投資を続けるうえでは大きな懸念といえるでしょう。
iFreeが信託報酬を同等以下まで引き下げれば話は別ですが、エゲつない採算度外視戦略を取るSlim・VTIにのっかるだけの楽天VTIに対抗するのはなかなか難しそうです。
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