【iDeCo】新たな非課税投資枠の創設が検討中【NISA】

つみたて次郎です。

個人型確定拠出年金(iDeCo)に関するニュースがあったので紹介します。

外部リンク…「非課税枠」の退職金運用が浮上 政府税調の議論 

制度細分化による複雑化を解消する目的で、国民共通の非課税貯蓄枠の創設が検討されています。

つみたて次郎も度々主張していますが、複雑な制度というのはそれだけで利用する意欲を損なう危険性があります。

そのためシンプルで広い人が利用できる制度はそれだけで優位性がありますし、利用者同士で情報を共有化しやすいですからね。

ただし文章を読む限りでは「iDeCoの資金を60歳以降も非課税で運用できる枠」としてのニュアンスが強い印象を受けました。

現時点でiDeCoは年金として分割受け取りすれば運用期間を延長できますし、そもそもiDeCoの受給開始年齢を広げれば対応できることです。

参考記事…iDeCoの引き出し可能年齢が60歳→65歳になる可能性
参考記事…ネット証券のiDeCo受け取り方法について比較

なのでわざわざ新しい枠を設けて対応する必要性は低いのではないかと思います。

むしろ制度の複雑化を進める要因ともなりかねません。

単に制度を強化して利用者を増やしたいのであれば、受給開始年齢引き上げ+ペナルティあり引き出しを認めるというのが分かりやすいと考えています。

 

 

また、後半ではNISAの総額管理についても述べられています。

例えば、月3万円強が投資上限のつみたてNISAでは、若いときは月3万円も積み立てられず、年齢が上がり年収が増えても月3万円までしか積み立てられないケースも考えられ、トータルで見た投資枠を使い切れない。そこで、若いときに使い残した枠を後から利用できるようにするアイデアだ。
引用「日本経済新聞

確かにこれは面白い考え方ですね。

理論上つみたてNISAは年間40万円×20年=800万円の資金を運用できますが、そのためには毎年上限いっぱいまで積立をする必要があります。

しかし収入や出費が一定ではない以上投資に回せる金額も変わってくるので、余った投資枠を後で利用できるシステムは合理的ですね。

ただし余剰枠の計算はNISA口座を開いた年からカウントするのか、それとも利用開始年齢(今は20歳)からカウントするかなどといった分岐点もありますね。この2択なら後者のほうが公平だと思います。

ただし導入された場合「NISAの余剰枠」という新たな要素を考慮した投資戦略が求められることになるので、制度の複雑化は避けられません。

また、趣旨からは外れますが「若いうちは毎月3万円も積立できない」という部分から、政府関係者たちの若年層投資家に対するイメージが読み取れます。

毎月3万円だと年間36万円となり、つみたてNISAの上限40万円に収まってしまいます。

つみたてNISAの上限40万円は少なすぎるという批判がしばしばありますが、毎月3万円の積立というのは決して小さい金額ではありません。(若年層に限らず。夫婦なら毎月6万以上です。)

そのためNISAの総額管理の是非はともかく、「若いうちは毎月3万円も積立できない」という視点からの制度考察はとても良いのではないかと思います。

 

元記事では、NISAとiDeCoの棲み分けについて次の様に述べられています。

iDeCoを母体に新制度を立ち上げる場合でも、「60歳まで資産を引き出せない年金の仕組みだけでなく、ライフイベントに応じて引き出せる制度も必要」とNISAの存在意義を主張し、新制度とのすみ分けを図る考えだ。
引用「日本経済新聞

制度設計を考えれば明白ですが、60歳以前の必要資金はNISA・60歳以降の必要資金はiDeCoで運用するのがセオリーです。

究極的にはNISAとiDeCoを合体させたような総合資産運用制度が理想ではありますが、管轄が違うことを踏まえると難しそうです。

前半で述べたように、つみたて次郎はiDeCoのペナルティあり引き出し(60歳未満でも引き出せる)の導入を希望していますが、そうするとNISAとiDeCoの境界線が曖昧になってしまうという問題もあります。

人生何があるか分からない以上、60歳という年齢の前後でお金に色を付けてしまうのはあまり好ましいものではないと考えていますが、現状の税制を考えたらやむを得ない判断です。

現時点では一本化ではなく、差別化を図る方向で調整が進むことになりそうです。

 

いずれにせよそう遠くないうちに新たな動きがありそうですから、動向を見守っていきたいですね。

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いでこ次郎

【iDeCo】新たな非課税投資枠の創設が検討中【NISA】” に対して1件のコメントがあります。

  1. 匿名 より:

    特別法人税についても何とかしてほしいです

  2. 612 より:

    利用枠の持越しも賛成ですが、個人的には損切りで売却した時に限りNISA口座枠の再利用を検討してほしいかと。

    例えば10月・11月みたく世界的に株価が暴落しても、NISA口座は一度売却すると非課税枠が再利用できないというルールのため中々売るに売れず塩漬け状態になってる人も少なからずいると思うんです
    評価損益が(例えば)10%以上下がっている場合に限り損切り売却しても非課税枠を再利用できるようにしたり、商品入れ替え(スイッチング)を可能に出来れば、なんて思っています。

    つみたて次郎さんのご意見を聞かせてほしいです

  3. つみたて次郎 より:

    なかなか面白い提案だと思います。
    利益確定目的の売却は今まで通りけん制しつつ、損失確定目的の売却を行いやすくする狙いですね。
    損切りOKルールは短期売買を助長させる可能性がありますが、利益確定するたびに枠が減るのは変わらないのでちょうどいいかもしれません。
    スイッチングができるようになれば(あらゆるタイプの投資家にとって)理想的ではありますが、NISAが本来想定していない短期売買での利用を助長しかねません。
    スイッチングについては私もよく考えますが、枠再利用ルールの設定という視点は目から鱗でしたので、もしかしたら今度記事にさせていただくかもしれません。(うまくまとめられれば)
    とても参考になりました。

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