ひふみ投信の海外株式比率はどこまで上がるか?
つみたて次郎です。
日本株アクティブファンドとして有名な「ひふみ投信」ですが、2018年7月のリターンが良くなかったため、最近では悪い意味で注目を浴びています。
参考記事「ひふみ投信が不調」
基本的には日本株、その中でも中小型グロース株を重視して投資を行っているアクティブファンドですが、最近では10%程度の割合を目安に海外株も組み込むようになっています。
小型株ファンドの場合、運用総額が多くなりすぎてしまうと、自分の売買が株価に影響を与えてしまうことになり、うまくリターンを得ることが困難になります。
ひふみ投信及び関連ファンドの総資産額の合計は約7,823億円もあり、国内では最大級のアクティブファンドです。(2018/8/9現在)
ちなみにちょうど1年前では約3,171億円ほどでしたので、1年で2倍以上に増えていることになります。
巨大な資金の新たな受け皿として、海外株(特に米国の超大型株)も視野に入れざるを得なくなったというのが実情かもしれません。
読者様からの情報提供で初めて知ったのですが、ひふみ投信の海外株式比率について興味深いレポートがあったので紹介します。
ひふみアカデミー2018年3月号です。
動画の13:00~あたりのコメントについて要点をまとめてみます。
・あくまで私たちは日本の良い企業に投資するファンド。
・海外株の比率を50%や60%にする予定はない。ファンドの性格が変わってしまう。
・円高時には海外株を安く購入できるため、為替も考慮していく。
・状況にもよるが、海外株式比率は全体の30%以下を目安にしたい。
現時点では海外株比率は10%程度ですが、将来的には30%くらいにまで増える可能性も十分ありそうです。
いずれによ、投資資金の緊急避難先という側面が強く、運用会社のレオス・キャピタルワークス㈱としても積極的に海外株に投資したいという状況ではなさそうです。
上記の30%という数字についても、現状の目安というだけに過ぎず、今後も10%前後で推移するかもしれないし、逆に総資産額が増えすぎてやむを得ず海外株が50%を超えてしまうという事態も考えられそうです。
リンク先の動画では、8:00~14:00あたりで海外株に関する考察が述べられていますので、特にその部分の視聴をおすすめします。
海外株比率以外で面白かった点は、日本株式市場と米国株式市場における時価総額上位銘柄のリターンについての考察です。
日本では時価総額上位の銘柄は成長率が低いが、米国では時価総額上位の銘柄(FANG等)の成長率が高く、投資対象として魅力的であるという趣旨のコメントがされています。
したがって、米国株ではインデックス投資が報われやすいが、日本株ではあまりそうではないという結論が述べられています。(個人的には疑問ですが)
そのためひふみ投信は、日本小型株+米国大型株という、いいとこどりのポートフォリオを構成しているということになります。
意地悪なことを言えば、「だったら日本株小型株インデックス+米国大型株インデックスでよくね?」と個人的には思います(笑)
ひふみ投信の海外株への投資は賛否両論がありますが、個人的には良い悪いではなく、投資するしかないという消去法的な選択であると思っています。
株式市場や運用会社に大きな問題がなければ、総資産額は通常右肩上がりで増えていくものですから、だんだんと投資できる範囲は狭くなっていきます。
これは世界中のファンドが抱えている問題でもあり、バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)ですら巨額な資金の受け皿がなく困っているような状況です。
特にひふみ投信の場合は、時価総額が今後増えてきそう(=今はまだ小さい)な企業を狙い撃ちしているため、特に顕著です。
ひふみ投信に限らず、巨大ファンドは今後大きな方向転換を余儀なくされているのかもしれません。(もっとも、国内にはまともな巨大ファンドがほとんど存在していないのですが)
必要悪ともいえる海外株投資ですが、結果としてひふみ投信というブランドに傷をつけている可能性があります。
ひふみ投信は、今はまだ小さいけど今後時価総額が大きくなりそうな日本株を選んで投資しています。
出典「レオス・キャピタルワークス」
アクティブファンドはある意味ストーリー性が必要です。
そして上記資料では、「足で稼いだ情報で成長企業を発掘」というフレーズが使われており、これはインデックスファンドでは不可能な、アクティブファンドらしい素晴らしいキャッチコピーです。
定量的で機械的なインデックス投資ではなく、個別に収益機会を伺い超過リターンを生み出せる可能性こそアクティブ投資の存在意義であり、過去市場平均を超え続けてきたひふみ投信のアピールポイントでもあります。
しかし、FANGに代表されるような米国大型株への投資では、この「足で稼いだ情報」を活かすことは困難です。
そもそもレオス・キャピタルワークスは日本の運用会社ですから、海外株を分析するノウハウが蓄積されているとはあまり考えにくいですし、超大型株であれば情報は瞬時に全世界に伝達されるので、むしろ投資難易度は高いといえます。
その反面、日本株は市場があまり効率的ではないといわれていますし、時価総額が小さい中小型株では特にその傾向が強いです。
だからこそ、多くの情報を集めることができ、優秀なファンドマネージャーを抱えているひふみ投信が良いリターンをこれまでもたらすことができたのかもしれません。
裏を返せば、海外株投資ではアドバンテージを活かすことができず、ひふみ投信の成長鈍化につながってしまう可能性もあります。
海外株への投資はごく一部に留める予定にはなっていますが、そもそも海外株を組み入れるようになったのは総資産額の増加が主な原因です。
今後も総資産額がどんどん増加していくのであれば、海外株式比率が徐々に上がっていくのは避けられないでしょう。
そしてその比率が、30%を超えてしまう日が来てしまうのかもしれません。
つみたて次郎はアクティブファンド自体に興味がないので、ひふみ投信含め一切投資していません。
しかし、アクティブファンドに投資している人の意見や考え方から、学べることは多いです。
明確な意図なくひふみ投信に投資している人も多数いると思われますが、しっかり吟味して投資している人の中では、「日本小型株のアクティブファンド」という扱いで保有している人が多いかと思います。
今後海外株式比率が上昇した時に、賢明な保有者はどのような判断を下すのか、注意深く見守っていきたいと思います。
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ひふみ次郎