ファンド・オブ・ETF×高配当戦略=最強
シーゲル二郎です。
海外ETFを投資対象とする「ファンド・オブ・ETF」と「スマートベータ戦略」の相性の良さを前回説明しました。
参考記事「ファンド・オブ・ETF×スマートベータ=最強」
ちなみにどうでもいいことですが、今までずっと「ファンド・オブ・ファンズ」を「ファンズ・オブ・ファンズ」と勘違いしていました。(恥ずかしい)
ここから本題ですが、海外ETFを事実上の投資先として運用するシリーズには、「楽天・バンガード・ファンド」や「EXE-i」シリーズなどがあります。
これらは現物株を集めて運用することなく、全て海外ETFで代用して行うため、ポートフォリオ維持管理に伴うコストを大幅に削減することが可能です。
直接海外ETFを買えば早いのですが、ドルへの両替が必要だったり、金額指定の積立投資が不可であったりと、利便性に問題があるため、シーゲル二郎のような貧乏人では手を出せません。
海外ETFをわずかな信託報酬と引き換えに投資できることを考えれば、なかなか悪くありません。
さらにリターンに直結するメリットして、配当金の課税を繰り延べできるという点があります。
この特徴を考えると、配当利回りが高いETFであるほどメリットが大きくなります。
高配当戦略は、配当利回りが高い銘柄を中心にポートフォリオを組みます。必然的に、配当金の金額は大きくなるため、キャピタルゲインは少なめ、インカムゲインは多めになります。
配当金は受け取る時点で課税されてしまうので、税の繰り延べができません。トータルリターンのうちインカムゲインの割合が多くなる高配当戦略は、税制上不利という最大の弱点があります。
現在、米国で10%、日本で20%の配当課税が発生するため、配当金の30%近く引かれてしまいます。
米国で課税される分は確定申告で一部取り戻すことが可能ですが、それでも大きなロスです。
S&P500の利回りを2%、バンガード・米国高配当(VYM)の利回りを3%とすると、それぞれ最大で0.6%と0.9%のリターンを失うことになります。
ETFの場合、配当金は必ず発生するので、その都度課税されてしまいます。
投資信託の場合、無分配型であれば、米国で10%で引かれた後の配当金を日本で課税される前に再投資できるので、税の繰り延べを最大限に行うことができます。
これはETFに対して投資信託が持っている唯一のリターン向上メリットであり、ETFでは絶対にマネすることができない部分です。
海外ETFを投資信託でパッケージ化してしまうことで、配当課税の影響を抑えることができます。そして、配当利回りが高くなればなるほど、このメリットは大きくなります。
例えばですが、iシェアーズ米国優先株(PFF)というETFは配当利回りが5%を超えています。海外ETFでそのまま持っていれば、30%引かれた3.5%しか再投資することができません。
もし楽天PFFが設定されたとした場合、配当課税は米国の10%のみなので4.5%を再投資することができます。
その差は1%もあり、信託報酬を考慮しても十分元が取れる計算です。
したがって、高配当ETFを投資信託化することは、リターンの向上においても非常に有利に働くということになります。
もちろん投資信託の場合、信託報酬は多少増えるし、指数と下方乖離するトラッキングエラーという別問題が発生してきます。
それを踏まえても、「高配当戦略」×「ファンド・オブ・ETF」というのは、投資信託の長所を最大限に発揮し、理論上は海外ETF現物よりも有利になることすらある夢のような組み合わせなのです。
したがって、シーゲル二郎が欲しがっている「楽天VYM」は、高配当戦略の弱点をカバーした最強商品になる可能性を秘めているのです。(机上の理論だけどね)
参考記事「バンガード・米国高配当株式(VYM)分析」
楽天より、「楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド」の新規設定が発表されました。夢がかなって嬉しいです。
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