株価が暴落するとリターンは向上する
つみたて次郎です。
バイアンドホールドを基本とした長期投資家は、株価が暴落したとしても売却することはありません。
あらかじめ用意していたキャッシュで新規買い増しするのもよし、機械的なリバランスで債券を売って株式を購入してもよしです。
いずれにせよ、暴落した後の安い価格で購入することで、その後訪れる上昇相場のアクセルとなります。
しかし、つみたて次郎の様に株式100%ポートフォリオを組んでいる人は、株が暴落した時に追加購入する資金がありません。
給与から積立しているとしても、元々の投資額が大きい場合は効果半減です。
ですが、株式全力フルインベストメントだとしても、暴落というイベントは歓迎すべき内容です。
なぜなら、次の3点で有利になるからです。
①配当金再投資により株数が増える
②自社株買いにより1株当たり利益が増える
③企業買収で成長できる
暴落相場では、これらの効果が大きく向上するため、理論的には暴落が頻繁に発生するほど将来のリターンには好影響です。
ただし前提として、投資先が長期的には右肩上がりであることが条件です。
インデックス指数にせよ個別株にせよ、永続する企業を選んでいく必要があるのは言うまでもありません。
一直線に伸びる綺麗な右肩上がりよりも、ジグザグを繰り返す汚い右肩上がりのほうが、長期投資家にとっては美しいのです。
また、株式のリターンは、保有期間が長期になればなるほど安定するというデータがあります。
過去200年において、米国株の実質リターンは約6.9%でした。
株式の平均回帰する性質はかなり強く、高リターンが続けば低リターンが続き、低リターンが続けば高リターンが続きます。
期間別実質トータルリターン年平均
期間 | 米国株式 | 米国長期国債 | 米国短期国債 |
1802-2006(204年間) | 6.9% | 1.6% | 0.6% |
1946-1965 | 10% | -1.2% | -0.8% |
1966-1981 | -0.4% | -4.2% | -0.2% |
1982-1999 | 13.6% | 8.5% | 2.9% |
1985-2006 | 8.4% | 7.2% | 1.7% |
参考文献「株式投資第4版」
過去の米国株では、1966~1981年において実質リターンがマイナスになってしまいましたが、その後はそれを取り戻すかのように高いリターンを叩き出しています。
参考記事「米国株の暗黒期(1966~1981)を考える」
これからもこの傾向が続いていくのであれば、暴落や暴騰はノイズに過ぎないということです。
むしろ暴落が定期的に発生してくれていたからこそ、年間6.9%という立派なリターンを叩き出せたといっても過言ではないかもしれません。
だから、長期投資家は暴落を恐れる必要はないし、むしろITバブルのように異常水準まで株価が暴騰してしまうことを本来は恐れるべきです。
とはいっても、暴落は自分の資産が溶けていくことを意味するので、感情的にはとても恐ろしいイベントであることには間違いありません。
ですが、「暴落があるとリターンは良くなるんだ!」という気持ちを心の底にそっとしまっておけば、暴落相場を耐え抜くお守りになるかもしれません。
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暴落次郎
いつも楽しみに読ませていただいています。
一カ所誤記と思われる個所がありましたので連絡させていただきます。
参考文献の表の最後の行。
1985-2006
は誤りではないでしょうか?
前行が1999までなので不自然に思いました。
いつもありがとうございます。
該当部分については、参考文献である「株式投資第4版」をそのまま引用しております。
確かに区切りが不自然というのは私も感じているところですが、おそらくITバブル前後で分けたのではないかと推測してます。
回答ありがとうございます。
誤記ではなかったのですね。
すみません。
指摘した重複した期間以外にも、
この表には不自然な個所があり気になりました。
(次郎さんも同じ思いですよね。)
博士の理論(哲学?)はおおむね納得できるものだし、
我々を騙そうとしているとも思いたくないのですが、
だからこそ
どうしてこの表になったのか、
是非ご本人(博士)に聞いてみたい
気持ちになりました。
・サマリーは1802からなのに明細は1946から
・最終行の重複期間
・期間がバラバラ
もちろん(博士に)お会いしたこともありませんし、
聞く機会なんてないんですけどね。
いえいえお気になさらず。
確かにこの手の分析の場合、年代は機械的に区切るのが自然ですので、かなり違和感はあると思います。
シーゲル教授は、債券に対する株式リターンの優位性・一貫性を主張していますので、株式がより有利になるようにデータを調整している危険性はあると思います。
いずれにせよ、投資本を読む際には著者のバイアスがかかっていることを念頭に置くことが大切ですね。