米国分散投資 VS 全世界分散投資
シーゲル二郎です。
長期投資家の鉄則の1つに、分散投資があります。「一つのかごに卵を盛るな」という格言もあり、投資先を複数に分けておくことで、リスクも分散できるという考えです。
この考えに基づけば、全世界のあらゆる業種の株式に投資をするのが正解なわけですが、なぜか米国の中だけで分散している不届者がいます。
なぜ米国だけなのでしょうか?
それは、米国企業は資本主義が徹底されており、株主のリターンを第一に考えられているからです。そのため、利益率が低い事業は黒字であっても捨ててしまうし、リストラも日常茶飯事です。常に利益を第一に考え、得たリターンをしっかり株主に返します。こういう当たり前の文化が米国企業には根付いています。
日本企業は、赤字まみれだし、社内ニートをリストラできないし、「会社は株主だけのものではない」などというふざけた戯言が通用してしまいます。こんなふざけた文化では、投資したくないのは当たり前です。
中国やインドなどの新興国企業では、政府や創業者が持っている株が多く、浮動株が少ないので、利益が本当に株主まで届くか不安です。現在流行中のVALUみたいな詐欺にあう可能性もあります。
その結果、米国至上主義のようなゆがんだ考えが生まれ、米国企業だけに投資するアメリカンな投資家が誕生したのです。
また、実際データでも、米国は他の国より高いリターンをたたき出しています。
緑のほうはバンガード・トータル・ワールド・ストック(VT)と呼ばれるETFで、全世界の時価総額基準の99.5%をカバーしています。つまり、このETF1つだけで全世界あらゆる国のあらゆる企業に投資していることに等しいです。いわば「株式会社ワールド」ともいえる代物です。
青いほうはバンガード・トータル・ストック・マーケット(VTI)で、米国市場のほぼ100%をカバーしています。いわば「株式会社アメリカ」ともいえます。
このチャートは、いわば全世界インデックス VS 米国インデックス の比較といえます。
世界の株式の半分は米国株なので、大体は似たようなチャートを描いています。
ETFと指数を比較するなというツッコミはさておき、S&P500のほうが直近10年では高リターンです。米国で勃発したリーマンショックを経験してこの差なので、やっぱり米国が1番だという誤解が生まれました。
この結果、米国一国集中の異端児が増えすぎてしまいました。
シーゲル派の大先生、ジェレミー・シーゲル氏は、次のように著書「株式投資の未来」で次のように述べています。
国外市場を無視するとは、たとえていえば、国内株のポートフォリオを組みにあたって、頭文字をAからLまでに限定するようなものだ。
シーゲル氏は、米国以外の幅広い株式を保有しろといっています。つまり、日本のシーゲル派のほとんどはシーゲルモドキということです。
「米国企業は世界中でビジネスをしているから地域分散できてる」なんてことを言う投資家もいますが、分散できていません。なぜなら、米国企業の主戦場はあくまで米国だからです。米国経済の動向やアメリカ政府の政策に左右される部分は大きいです。
また、分散できているかどうかは相対的な判断です。全世界分散に比べて分散できていないのは明らかです。
そのため、教科書的には、全世界インデックスが理論的に正しい選択であり、今はたまたま米国株が好調なだけと考えていたほうがいいでしょう。もちろん、投資理念は人それぞれあるので、米国に集中投資するという考え方はもちろん問題ありません。
ただ、今までは調子が良かったからとか、米国一本でも分散投資になってるからという理由で米国株ばかり保有しているなら、少しポートフォリオを見つめなおしてもいいかもしれません。
さんざん言ってますが、シーゲル二郎の投資先は米国100%です。ですがそれは、米国がいいから云々ではなく、「退屈な優良企業に投資をしたいから」という希望に合う投資信託を探した結果、消去法で選ばれたにすぎません。
その証拠に、シーゲル二郎はNYダウと米国配当貴族指数にしか投資をしていないので、どう頑張っても刺激的な企業や、負け犬企業は入り込めません。
仮に「ワールドダウ30種」とか、「全世界配当貴族指数」みたいなインデックスが誕生すれば、そちらに乗り換えるだけです。
参考記事「なぜ米国株なのか?」